eスポーツ日本一プレイヤーが目指す、VRの新しい世界──1.5億円調達で話題のダズルに迫る

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山田泰央氏

 
ダズル(Dazzle)といえば、これまでスマホゲームを開発する会社として成長を続けていたベンチャー企業だ。しかし、今年5月に夢真ホールディングスおよび夢テクノロジーから合計約1.5億円の資金調達を実施。さらには「オハナちゃん」を始めとするVRゲームも6月にリリースし、VR向け分析サービス「AccessiVR」(アクセシブル)のティザーサイトをオープンしたりと、わずか2ヵ月で一気に存在感を高めてきた。

 
一方、出てきたばかりということもあって、VR業界においては同社について詳しく知らない方も多いかもしれない。どういった経緯で成り立って、VR事業を始めるに至ったのか。代表取締役の山田泰央氏(以下敬称略)に話を伺った。

 
 

「VRならでは」の楽しさを追求

 
——まず、ダズルがVR事業へ進出した経緯を教えてください。

 
山田 最初のきっかけは、2013年にOculus RiftのDK1(初代開発キット)で、ジェットコースターアプリの「Rift Coaster」を体験したことです。僕はずっとeスポーツをやっていたのですが、VRが今後のeスポーツのスタンダードになるだろうと直感しました。

 
——その当時から会社としてVRをやろうと動いていたんですか?

 
山田 いや、当時は事業にするには早そうでしたから、自分で情報を集めていただけで、社内では特に共有していないですね。だから、主にソーシャルゲームをずっと開発しながら会社を育てて、2015年の年末ぐらいに持ちかけた感じです。

 
——では、本当にここ半年ぐらいで一気にVR事業が動いたのですね。

 
山田 はい。12月から3月にVRに関する研究開発の仕事をたまたま受注させていただきまして、そこからVRに対する社内の体制が一気に整ってきた形です。

 
——案件があったとはいえ、ずいぶん早いペースですね。6月にもGear VR向けにリリースした「オハナちゃん」をリリースされていましたし。

 
山田 「オハナちゃん」はダズル初の自社VRコンテンツで、VR開発ノウハウの蓄積も兼ねて開発してリリースしました。実際にコンテンツを公開してみないとプラットフォーム事情も把握できませんから。スマートフォンゲームだけでなく、VRコンテンツも開発できるという証明にもなっていると思います。

 
——なるほど。これまでのスマートフォンと比べて、VRコンテンツの制作について難しいと感じる点はありますか?

 
山田 まず、フレームレートがきちんと出ていないと、VR酔いなどを引き起こしてしまうというチューニング面の難しさがあります。しかし、それ以上に、今までのゲームをそのままVRに移行するのではまったく通用しないという点が大きいです。今、発表されているVRゲームでも、普通のフラットな画面で遊ぶゲームをそのまま移行したというものも目立ちます。これじゃ、ダメだなと。

 
なので、「オハナちゃん」では、ユーザーインターフェースやユーザーエクスペリエンスについて、特にVRならではの感覚を出すように意識してつくっています。例えば、プレイヤーキャラは最初は自動で動いていたのですが、VR酔いの問題があって、ワープする方式に変更しています。スコアボードも、いかに楽しく見せるかと試行錯誤していています。

 
──短期間でもかなりの気づきを得られてるんですね。

 
山田 はい。その12月から3月における研究開発が役立っています。例えば、VRのゲームでも3人称視点がアリだというのも発見でした。視点を引きすぎると没入感が落ちてしまうので、そのバランスが難しいのですが。あとは先ほども少し触れましたが、パフォーマンスのチューニングですよね。マテリアルを圧縮して、ドローコールを削減していくというノウハウを習得しています。
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プレイヤーは妖精となって、周囲から迫るハチを撃墜して、中央にそびえ立つオハナちゃんを守るというシューティングゲームになっている。

 
 

10代の頃は本当にゲームとプログラミングばかり

 
──山田さん自身の経歴もうかがってよろしいでしょうか? ずっとeスポーツをやっていたとおっしゃられてましたが……。

 
山田 本当にずっとやっていましたね。特にFPSの「Call of Duty」はシリーズを通じてハマっていて、大会で日本一のチームになったこともあります。ダズルという社名は、そのときのクラン名から取っていたりします。

 
——なんと!

 
山田 2011年9月に「Call of Duty Black Ops」のオフライン大会が日本で初めて東京ゲームショウで実施されましたが、そのときにもシリーズを長らく牽引してきたチームということで招聘していただいたんです。でも僕たちのクランはみんな社会人になっていて、練習量がほかのチームより劣っていたのでそのときは優勝できませんでしたけどね(笑)。FPSでは、ほかにも韓国のGameHiが開発した「SUDDEN ATTACK」も遊んでいて、そこでは国内2位だったり。

 
——ガチゲーマーじゃないですか!! ゲームを遊ぶ側からつくる側に回ったのはいつでした?

 
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山田 子供の頃からつくってました。うちはゲーム機を買ってくれないけど、パソコンは転がっているという環境だったので、どうしてもゲームがやりたくて中学の頃からプログラムを組み始めたんです。で、つくったソフトをオンラインソフト配信サービスの「Vector」に投稿していたら、雑誌のオンラインウェアのコーナーでも取り上げられるようになって、その流れでお仕事をもらったこともあります。10代の頃は本当にゲームとプログラミングばかりでした。

 
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「:D」の顔文字をモチーフにしたダズルのロゴ。

 

社内の4分の1のプログラマーがVR担当

 
——話をVRに戻すと、現在どこに注力されていますか?

 
山田 ダズルでは、資金調達した1.5億円でVRミドルウェア「AccessiVR」の開発を急いでいます。プレイヤーの視点や入力デバイスなどの動きといった、VRヘッドマウントディスプレー特有のデータを取得して、分析できるというツールです。プラットフォームにもよると思いますが、VRコンテンツもいずれスマートフォンコンテンツと同様に、ユーザーの利用データを分析して改善するというPDCAを回すのが主流になるでしょう。それをサポートすることでVR市場への良質なコンテンツ提供に貢献したいです。

 
また、VRコンテンツを開発したいけれど、自分たちでは開発できないという方々向けのソリューション事業が2つ目です。企業様はもちろん、まだ言えない情報なのですが法人以外のクライアントとプロジェクトを進めていたりしますので、幅広くダズルの技術を必要としていただける方々と一緒にVR市場を作っていきたいですね。

 
——VR開発というと、社内で個人が頑張っているという企業もありますが、ダズルさんではチームを組んでやっているのでしょうか?

 
山田 そうですね。ダズルは30人中半分ぐらいがエンジニアで、VRに携わってるエンジニアは5人です。1エンジニアが1コンテンツを担当するという風に、ある種、職人的につくっています。デザイン面は、別のデザインチームがすべてのタイトルを見ている感じです。VRコンテンツの制作も受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 
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Touchを含むOculus Rift、HTC Vive、Gear VRなど、各種のVRヘッドマウントディスプレーが揃っていた。

 
——会社としてVRで実現したい夢はありますか?

 
山田 いずれVRのあとに、リアルとCGを自然に合成できる「複合現実」(MR)の時代がくると思います。そうなった瞬間に、既存のECサービスは大きく置き換えられるでしょう。新しいソファーがほしいときには、自宅でMRデバイスを着けて、家の中にソファーを出して大きさや色合いを確認できる。ここまでなら、現在の技術でも実現できますが、将来的には、自分だけでなくその場を共有している全員でMRデバイスを着けて、やっぱり赤がいいとか黄色がいいっていう風に選べるようになる。そんなMRのECサービスを、会社として実現したいですね。僕個人の夢としては、やはりVR向けのeスポーツタイトルをつくりたい。

 
——おー! いいですね!

 
山田 自分自身がゲーマーとしても、プログラマーとしてもずっと濃く活動してきたこともあって、VRでもツールやコンテンツの質の高さには自信があります。ぜひ弊社と一緒にコンテンツを制作して、VR業界を盛り上げていきませんか?

 
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©2016 Dazzle Inc. All Rights Reserved.

 
(提供/ダズル)

 
●関連リンク
オハナちゃん
AccessiVR
株式会社ダズル

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