ダズルのVR向けミドルウェア「AccessiVR」が切り開く可能性 データ解析がキラーコンテンツを生む!

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ダズル(Dazzle)といえばスマホゲームを開発する会社として成長を続け、今年に入ってからVRに注力を始めた企業だ。5月の資金調達VRゲームのリリースを経て、7月には「AccessiVR」というVR向けミドルウェアのティザーサイトをオープンさせた。

 
VR業界は、ハードや配信プラットフォームが先行して、特にキラーコンテンツの登場が待たれている状況だが、そうしたコンテンツ開発に、AccessiVRはどんな利益をもたらしてくれるのだろうか。代表取締役の山田泰央氏(以下敬称略)に話を伺った。

 
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AccessiVRのティザーサイトはこちら。2017年初旬のローンチを予定しており、現在、クローズドβを募集中だ。

 
 

スマホゲームで培われたノウハウが生きる

 
——7月にサイトをオープンしたAccessiVRは、どういった背景で立ち上がったのでしょうか?

 
山田 実は企画の初期段階では、広告プラットフォームをやりたいという話でした。現状、特にリアルの世界の広告は、それを見ている各個人に対して完全にパーソナライズされていませんよね。しかし、VRの先に広まると見られているMR(複合現実)デバイスを多くの人が持つようになった瞬間、今のウェブみたいにパーソナライズが可能になる。そこの覇権を取りたくて、最初は広告にフォーカスすることを考えていました。

 
——なるほど。

 
山田 しかし、広告の市場が立ち上がるためには、まずデバイスがしっかりと浸透しないといけないので、現時点では難しい。そこで、市場の初期にVR事業の発展に貢献でき、かつダズルの強みである技術力と、スマートフォンゲーム開発・運営のノウハウを活かせる「分析・解析」へと舵を切る意思決定をしました。だから、今の時点ではAccessiVRの開発に注力しています。将来的に市場が成長すれば広告方面も検討しています。

 
——段階的に進めていくんですね。そうしたアイデアは誰から出てきたのでしょうか?

 
山田 広告をやりたいと言い出したのは僕ですが、それを具体的に解析ツールの形に落とし込んだのはCOOの出口たちです。弊社の開発陣には、前職でスマートフォン向けゲームのデータ解析を担当していた人も多く、そうしたノウハウを生かした使いやすさを目指しています。

 
——VRではどういったデータが解析できるのでしょうか。

 
山田 例えば視点データです。目の動きというのは、今までのPCゲームとVRの明らかな違いですよね。これまではプレイヤーが視界の端にあるオブジェクトを取りたいと思ったときに、視線をそちらに少し動かすだけでした。しかし、VRで特定のものを見たいと思ったら、首を動かして見たい対象を正面にすることが多いです。これを視点データとして扱って、何に興味を持ったのかなどを調べられる。

 
——実際に社内でテストしてみて、どんな結果が得られましたか?

 
山田 6月にリリースした「オハナちゃん」では、例えば、ステージごとの達成率を取得しています。全部で3ステージあって、ステージ1は96%だった数値が、ステージ2になると10%、ステージ3になると25%くらいがぞれぞれ離脱して行って、最終的には45%ぐらいが離れていってしまう。ユーザーの半分が終わりまでたどり着いていないというのがここから読み取れます。この結果と、ユーザーがどこを見ているのかというデータを掛け合わせて分析していくことで、何がユーザーにとって最適なのかを突き詰められるABテストのようなことができます。

 
——おおー。先ほども言われたように、スマートフォン向けのノウハウが生きているんですね。

 
山田 そうです。今まで大企業や開発企業で経験を積んできた人間が集まっていて、そうしたノウハウでうちのプロダクトはできています。ほかにもAccessiVRでは、デバイス付属コントローラーのどこを押したとか、どういう風に操作したかというデータも取得していきます。また、もうひとつ大きな特徴は、コンテンツ運営のサポート機能です。「プロダクト責任者がプロダクトを改善し、目標を達成することをサポートする」というコンセプトの元、施策効果や施策スケジュールを管理する機能を実装していく予定です。

 
 

企画書いらずのエンジニア集団がスピードを生む

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——しかし、VRのデータ解析といっても、コンテンツ自体がそう多くないので、そもそもどんなデータがあって、どう解析すれば役立つのかという定石すらないですよね。

 
山田 そうですね。実際、どんな分析結果がゲームのデベロッパーやパブリッシャーに役立つのかは手探りの段階です。先ほどのモーションコントローラーでも、弊社でVRコンテンツの配信プラットフォームのひとつである「Steam」にて、AccessiVRのSDKが含まれているゲームをリリースして、HTC Viveのモーションコントローラーでのデータを取る予定です。その数値を元に「ユーザーは何がほしいのか」という要件を突き詰めていきます。

 
——確かに自分たちの経験に基づく話なら、お客さんが相談してきたときにも具体的に話せますよね。

 
山田 そうですね。「こういうデータを取ったほうがいいですよ」とアドバイスすることもできます。それからSDKでは、負荷を極力抑えた点も特徴です。デベロッパーはVR酔いを防ぐため、フレームレートを落とさないようにシビアにプログラムを設計しているので、こちらもロスが起こらないSDKを提供しなければならない。

 
最終的には、そうしたデータを直感的に把握しやすいようにビジュアル化して、ブラウザー上で手軽に確認できるまでは突き詰めたいですね。コンセプトにもある通り、運営やプロデューサーが使いやすいものを提供するのはもちろんですが、僕らも技術の会社だと思っているので、エンジニアサイドに使いやすいものにしていきたいです。

 
——しかし、ミドルウェアもそれをテストするためのコンテンツも両方つくるとなると、結構大変じゃないでしょうか?

 
山田 そんなことはないですね。うちは企画とエンジニアに壁がなく、「こういうのをつくってほしい」というとすぐに実現してくれるのが強みです。本当にエンジニアが優秀で、「オハナちゃん」もざっくりした指示でお願いしたら、すぐに完成品があがってきた。

 
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——ということは「オハナちゃん」は企画書もない?

 
山田 作ってないです。360度のシューティングで、真ん中にオハナちゃんがいて、周りから飛んでくる、ぐらいのレベルの指示です。ゲームバランスもエンジニアが設計しましたし。

 
——それはすごいスピード感ですね。

 
山田 はい。ここは本当にスゴいところで、弊社が半年という短期間で、いくつかのVRコンテンツを世の中に発表できてきたのも、そうした背景があってのことです。

 
 

堅実な経営でVRの新しい未来を実現

 
——VR向けソフトというと今はコンテンツが目立っていますが、その中でそもそもミドルウェアの開発に行かれたのはなぜでしょうか?

 
山田 先ほどのダズルの強みで勝負できる領域という話と、あとはちゃんと事業を創りたいのです。僕もCOOの出口も、実は関西圏出身で「ちゃんとお金回っていないとビジネスじゃないよね」という認識です。お金を一気に集めてドライブをかけて、一発勝負でコンテンツを開発して、それが外れたら終了……という経営はやりたくない。

 
——現時点のVR業界は黎明期で、その堅実方面に行くのも難しそうな感覚もあります。

 
山田 挑戦になると思っています。だから、弊社もVRに注力する部署だけでなく、スマートフォン受託開発事業が拡大路線で走っている。そこでしっかり事業基盤をつくって、かつ勝負所では今回のように資金調達するという経営方針です。スマートフォンという基盤があったうえでVRに挑戦して、さらにVRでも基盤をつくろうとしている段階なのです。

 
——それは堅実! では最後にダズルのVRに対する熱意をお聞かせいただけますか?

 
山田 最初はうちのエンジニアの中にも「VR本当にやるの?」という声があったんです。でも、Oculus RiftなどのVRゴーグルが会社に届いて、実際、ゲームとして遊べる「オハナちゃん」ができあがって社内で試遊してみると、エンジニアの意識も変わってみんなVRで何かをつくりたいと言ってくるんですよね。「社内でVRコンテンツを作るなら自分に任せてほしい」という声も出てきて、VRをキーワードに会社がまとまりつつある。そんな人材をバックに、VRを使った未来を実現していく弊社にぜひご期待ください。

 
 
●関連リンク
オハナちゃん
AccessiVR
株式会社ダズル

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