NASA×NVIDIA、宇宙飛行士訓練にVRを導入 物理と組み合わせた「ハイブリッド・リアリティ」とは

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NVIDIAはブログにて、同社のGPUテクノロジと、Unreal Engine 4、コンシューマ・グレードのVR、実験大模型などを組み合わせた「ハイブリッド・リアリティ・システム(Hybrid Reality System)」を、NASAと共同で開発していると紹介した。従来の「アナログ」でのフィールドテストよりも低コストで、高い没入感と臨場感を備えた訓練機能を目指している。

 
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●VRと物理的現実を融合する「ハイブリッド・リアリティ」
「ハイブリッド・リアリティ・システム」は、NVIDIA GPUテクノロジと、Unreal Engine 4、コンシューマ・グレードのVR、物理的なモックアップ(実物大模型)やモデル、ウェアラブル・テクノロジ、ルーム・スケールでのトラッキングを組み合わせたシステムだ。物理的現実とVRの最高の要素を融合させ、両世界の長所を最大限に活かす。

 
NASAのジョンソン宇宙センターにある「Hybrid Reality and Advanced Operational Concepts Lab(ハイブリッド・リアリティおよび先進運用概念研究所)」のフランク・デルガド氏とマシュー・ノイエス氏の目標は、「地球の外側に導く体験」を実現する、低コストで拡張可能なプラットフォームを開発することであるという。ノイエス氏は「VRゴーグルというよりもホロデッキを着けているような感覚を提供するため、体験を改善して、他の感覚もうまく利用していきたい」と語る。

 
NASAのエイムズ研究センターは、1980年代半ばにVRシステムをいくつか開発している。昨今、民間企業によるVRの開発と商業宇宙飛行の発展を照らし合わせ、当時から受け継がれるテクノロジをシステムに再統合できるという。

 
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●無重力を再現する「アルゴス」
ジョンソン宇宙センターの「アルゴスシステム」(ARGOS:Active Response Gravity Offload System)によって、無重力の感覚を生み出すことを次のステップに見据えている。アルゴスは、人の体重のすべてまたは一部を減少させるロボットクレーンで、最終的に火星、月、国際宇宙ステーションなどで感じられる低重力環境をシミュレートできるようになる。

 
ノイエス氏は「このようなシステムによって宇宙飛行士は、船外活動や地球とは異なる不安定な起伏のある地面を進む訓練を行える。また、小惑星や他の惑星で鉱物試料を採取するため、ドリルで岩に穴をあける訓練もできるようになる」と語り、VRと物理的現実の組み合わせによる可能性を示した。

 
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●訓練とゲームの類似性
その実現には、フォトリアリスティックなグラフィックス、正確な物理学、そして「マルチプレイヤー」機能によって、訓練における多様なシナリオをリアルタイムで視覚化できる必要がある。そこで、VRWorksをはじめとするNVIDIAのGPUテクノロジと、Unreal Engine 4などのゲーム・エンジンの組み合わせが重要な役割を果たす。VR SLIやMulti Res Shadingといった主要テクノロジは、高度なパフォーマンス、視覚的クオリティ、インタラクションを生み出せる。

 
ノイエス氏は「さまざまな制約の下で一連の目的を達成し、周囲の世界を3Dで視覚化し、環境や、場合によっては他の人とのインタラクションを同時に行う必要がある」と、ハイブリッド・リアリティによる訓練とゲームの類似性を挙げた。

 
●国際宇宙ステーション内の微小重力を再現するデモを作成
NASAは、ハイブリッド・リアリティでどんなことが実現できるかを示すため、一連のテクノロジ・デモを作成。NVIDIAの高性能GPUによって、NASAが示す「人々を地球の外側に導く」体験を生み出す。国際宇宙ステーションの体験では、宇宙飛行士が頻繁に出入りする多数のモジュールやさまざまなシステム、窓外の光景も再現。宇宙空間での生活に必要なエクササイズ装置の改良型である「ARED」(Advanced Resistive Exercise Device)も見られる。

 
すべてインタラクティブに操作可能で、より実物に近いアニメーションが表示される。これらの体験でユーザが見る物理的なインタラクションを可能にするのが「NVIDIA PhysX」だ。宇宙ステーションに滞在したことがある宇宙飛行士によると「微小重力での動的なオブジェクトの動き、特に衝突がかなり現実的だ」と、その再現性がうかがえる。

 
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●NASAとNVIDIAが連携し、更なる体験を
NASAは、3Dプリンタを使ってツールや制御面のモックアップを低コストで作成し、体験をさらにブラッシュアップしていく。また、NVIDIAとの連携により、物理モックアップと次世代のグラフィックス・エンジンを統合することで、パフォーマンスの最適化を図る。

 
視覚的要素だけでなく、月面車を走らせる物理的な感覚を再現することによって、別のハイブリッド・リアリティ体験を生み出している。アポロ14号の着陸ゾーンからNASAが実際に得た高度マップのデータを使用して、大規模に生成された月面の景色を見ながら、月面車の操縦者は、現実と仮想の両方の世界に存在するジョイスティックを使用してよりリアルな月面の運転体験が行える。

 
●人類が火星の地に降り立つまで
今回紹介したテクノロジは、火星を目指す上で非常に重要なものとなる。NASAは、国際宇宙ステーション内での科学的進歩の継続だけでなく、地球低軌道に対応する商用貨物・乗組員システムの開発、「オリオン」(Orion)カプセルおよびスペース・ローンチ・システム(Space Launch System)の完成も目指すことで、人類がより深く太陽系に踏み込んでいけると考えている。

 
NVIDIAが協力することで開発が進む「ハイブリッド・リアリティ・システム」は、人類が火星の地に降り立つまで続く長い旅のひとつのステップとなる。近い将来、高度な臨場感と没入感を備えたハイブリッド・リアリティ環境から宇宙飛行士の訓練が始まることになる。

 
●関連リンク
NVIDIAブログ For Astronauts, Next Steps on Journey to Space Will Be Virtual(英語)

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