映画クオリティのVRを目指して! 「シン・ゴジラ」VRコンテンツのメイキング【CEDEC】

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シン・ゴジラ
8月24日から開催されているCEDEC 2016では、ソニー・インタラクティブエンタテインメントのPRセッションが開催された。今年はすべてがPlayStation VRの専門セッションとなっているが、ここでは「ノンゲームコンテンツ Making : PlayStation VR ノンゲームコンテンツの制作事例」をレポートする。

 
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講師はSIEJAにおけるPS VRの伝道師、秋山賢成氏。

 
SIEは東宝とのコラボレーションで現在絶賛公開中の映画「シン・ゴジラ」のVRコンテンツを制作している。このコンテンツの大きな特徴は、映画のアセットをそのまま使用し、ゴジラのいる世界をVRで体験できる、というところだ。体験者は東京駅の丸の内側に位置 し、反対の八重洲側から歩いてくるゴジラの恐怖を体験する、というもの。

 
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「シン・ゴジラ」では日本で制作されたゴジラシリーズでは初めてCGを使用しており、そのアセットを東京駅周辺の背景を含めて東宝から貸し出されており、それを使ってVRコンテンツを作る、という方式を取っている。開発期間が限られていることもあり、開発ツールにはUnreal Engine 4を採用している。

 
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まずはアセットをそのままUE4にぶち込むというかなり乱暴な方法で開発。なんと1フレームの描画が40msかかる≒25FPSということに。このままではVRにならないのでまずはジオメトリの最適化から始めることに。

 
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遠方にある見えない、もしくは見えても小さい建造物の頂点数を割愛して稼ぐことに。負荷が半分くらいになったものの、まだ目標値に満たず。

 
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2回目の最適化。東京駅のモデルに細かい装飾物が付いていてこれが頂点数を引き上げている。これらを最適化して2ms稼げる。さらに瓦礫なども細かいポリゴンが多く鉄筋コンクリートの針金に3000ポリゴンを使っているケースも。

 
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結果、ジオメトリの処理は軽減されるも今度はポストエフェクトに時間を取られることに。ポストエフェクトのScreen Space Refrectionが効果が薄かったため、これを切って1.9msの時間短縮に。

 
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これでも足りないため、大胆にジオメトリの最適化を行いポリゴン数を1/3に減らすことで1画面の描画時間が13msになる。これでとりあえずは目標達成ではあるものの……

 
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パーティクルにライト属性が付いていたのでこれを切ることで、タイルドディファードライティングではなくなり、これに費やしていた3msを稼げることに。その結果、余力を解像度の向上に振り分けることができた。

 
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650万ポリゴンで作った東京駅周辺が……。

 
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こんなにサッパリと!(場内笑)

 
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映像会社による実装の話へ。今回はSOLA Digital Arts社が開発を担当。最近の代表作は「アップルシードアルファ」。Project I CANの「アーガイルシフト」も担当している。

 
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今回登壇したのは同社の八木下浩史氏。2015年に同社入社。前職は「マクロスシリーズ」「アクエリオンシリーズ」でおなじみのサテライト社のCGディレクター。

 
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映像制作で必要となるのは絵コンテだが、VRでは体験者が視点を自由に選べることもあり、絵コンテという形でのカット割りなどの指示は困難。そのため、内容を字で起こす“字コンテ”という形で設計をした。

 
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マップやプリビズムービーを使った指示方法も使われた。

 
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尻尾のアニメーションの指示は最初はGoogle Street Viewをベースにした手書きで。のちにソフト内のキャプチャで細かい指示が行われた。尻尾の表現は東宝側からの指摘が多かったとのこと。書かれた日付が非常に生々しいです

 
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音響は作業用のムービーを作成して指示をすることに。ただ、真面目に3D音響を仕込んだところ志向性が出すぎたことから環境音として反響音を鳴らすことで解決の方向に。

 
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さて本セッションではもう一つのSIE製ノンゲームコンテンツである、「ほん怖プレゼンツ『乃木坂46 VRホラーハウス』」のメイキングも語られている。こちらはざっくりと。

 
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本コンテンツでは解像度非公開であるが、横方向に長い元データを上下2画面分持たせて360度動画では珍しい立体視を実現している。アイドルを題材にしていることもあり、映像ビットレートも高めに作られている。

 
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PS VRではプロセッサユニットの機能を使って立体音響を流すことができる。ただし、それはちゃんとしたフォーマットのサウンドデータがある場合の話で……。

 
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今回のケースではサウンド素材がサラウンドにミックスされたものしかなく(今回のVRホラーハウスではPS VRの映像とシアターにあるスクリーンに投影される映像を同時に流している)立体音響へのエンコードが不可能に。

 
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そこでまずモノラル音声を抽出し、それを張り付けていく形に。言うのは簡単ですが作業量は想像したくないですね

 
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Excelファイルで……というのもアレなので最終的にはスクリプトで処理をしたものの、PS VRで再生するとタイミングがずれたりして正しいタイミングで音が鳴らないケースもあり、そこも修正をすることに。特に口パク(リップシンク)のズレは致命的とのこと。

 
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音声などはアフレコで録っているのだが、撮影中の音が微妙に環境音に交じってしまうこともあったとか。そこは元音声を鳴らしてリバーブのように扱うことで逆に効果的に使用できたとか。ただし、音声の鳴らすタイミングは波形を見ながら決めていくという、これまた地味な作業に。

 
「ほん怖プレゼンツ『乃木坂46 VRホラーハウス』」は8月31日まで、フジテレビ本社マルチシアターで「お台場みんなの夢大陸」として開催。VR体験は整理券が必要となる。「シン・ゴジラ スペシャルデモコンテンツ」はPlayStation VRの発売日となる10月13日より期間限定で無料配信予定(現時点で事前体験を行うかどうかは未定)。これを機会にゲームとは違った切り口のVRコンテンツを楽しむのはいかがでしょうか。

 
 
●関連リンク
PlayStation VR
「シン・ゴジラ」公式ホームページ
映画『シン・ゴジラ』スペシャルデモコンテンツを樋口監督も体験! 特別先行体験会レポート!(PlayStation Blog)
お台場みんなの夢大陸

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