グーグルが明かす「YouTube Liveで360度生配信」の今 最大1440p/60fpsに対応

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グーグルは2日、六本木ヒルズのYouTube Space TokyoにてVRに焦点を当てた「YouTube Space Tokyo 360/VR シンポジウム」を開催した(関連記事)。参加者にはGoogle Cardboardが配布され、初心者向けのVRや360度動画に関する話に始まり、上級者も発見があった空間音声やGoogle JUMPの活用方法なども披露してと、1日掛かりの充実した内容だった。

 
本記事では、360度で生配信できる「YouTube Live 360」に関するセッションをまとめていこう。

 
 

THETA SやALLie Cameraで始められる

 
YouTubeは360度動画の投稿と再生だけでなく、実はYouTube Liveを活用することで360度での生配信も実現できる。視聴者にとっては、リアルタイムで好きな方向を選びながら、例えば、ライブやスポーツを見られるのが特徴になる。

 
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YouTube Liveは、今年4月に開催された放送業界向け展示会「NAB 2016」から360度対応をはたしており、正距円筒図法でYouTubeに送信すると360度ぐるりと見回せるように加工してくれる(関連記事)。現状では1440p(2880×1440ドット)/60fps/9〜18Mbpsほどで送信するといいとのこと。YouTube LiveのAPIも360度に対応している。

 
それから5ヵ月で、下記のような360度配信が実施されてきた。

 

初のYouTube Live 360を活用したイベント。

 

本動画はアーカイブ版だが、コーチェラ・フェスティバル自体は360度配信している。

 

P!nkのコンサート配信では……。

 

2カメを選択可能だった。

 

未来館での収録されたビョークの映像。

 

スポーツものも。

 

政治の記録映像も増えてきている。トランプ氏の演説も2Dだけでなく360度で配信してきた。

 

ロシアの軍事パーレドでは、戦車が間近を通る様子。

 

シンガポールの独立記念日のパレード。

 
「360度の映像をライブ配信するには」というテーマ。正距円筒図法の映像をリアルタイムで送り続けるためには、リコーの「THETA S」(関連記事)やIC Real Techの「ALLie Camera」といった対応する360度カメラが必要になる。

 
それらの映像を通常のYouTube LiveのようにRTMPで送信し、オプションで「このライブストリームは360°です」というチェックボックスをオンにすると、ウェブブラウザーやスマホアプリ上でぐるりと回して見られるようにしてくれる。360度のライブストリームであるかどうかは、今のところメタデータには埋め込めないので、あらかじめ宣言する必要があるとのこと。

 
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YouTube側は、最大で1440p/60fps対応。同時接続者数も数十万単位で大丈夫だという。最高画質で送信すれば、720p/480p/360p/240pといった下の解像度を自動で用意してくれるので、通信速度が遅いユーザーも快適に視聴できるようになる。また、映像のデータ容量を抑えるために、次世代圧縮形式の「VP9」にも一部対応が始まっている。

 
 

カメラの選択肢が少ないのも難点

 
ライブ配信をする上で、正距円筒図法をリアルタイムで出すというのが一番ネックになっている。現状では、高性能なPCと複数台のカメラを用意してソフトウェアの「VahanaVR」で配信したり、先程出てきたALLie CameraやTHETA Sが候補にあがる。

 
発表されている技術としては、VideoStichの「Orah 4i」、Teradekの「Sphere」、そして今回のイベントで国内初の一般お披露目となったパナソニックの「Project PHAROS」(別途、記事化予定)が挙げられていた。グーグルは確認していないそうだが、iPhoneと「Insta360 Nano」で360度配信しているユーザーもいる。

 
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360度ライブ制作の難しさは、まずリアルタイムで映像データを送るためにケーブルでの接続が必須になるが、そうすると移動が制限されてしまう。さらにズームができないので、例えばスポーツ中継で、選手がフィールドの向こう側に行ってしまうと映像的に厳しくなる。ひとつの解決としては、360度の映像につくりこまれた2Dの映像を入れて、その人専用のサービスディスプレーにできるようにする方法がある。

 
ポスプロができないのも難点で、VODでは何回かに分けて収録してカメラマンを消すこともできるが、ライブではできない。あとは高画質配信自体の難しさもあって、ある程度の画質を確保しようとすると、映像を送る機材、スティッチングする機材もどちらもマシンパワーを食うのである程度の性能が必要になる。

 
面白かった活用事例としては、手術の様子をVRで配信して、医者の手元やディスプレーが見られたもの。また、定点で部屋の中にカメラを置くのも合っていて、なかなかカメラクルーが入りにくい音楽スタジオや、自分が見たい人が見られる対談形式のトーク番組といった活用方法が考えられる。ほかにも2Dの番組はつくりつつ、定点で360度カメラを置いて裏側がどうなっているかを見られる風にするアイデアが紹介された。

 
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まとめ。リアルタイムスティッチできるカメラ、2Kや4Kを高品質で圧縮できるエンコーダー、安定したネットワークが必要。2Dがいいのか、360度がいいのか見極める必要がある。あとは改善の速度が速いので、きちんとアップデートについていく必要がある。

 
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YouTube Live APIについて。YouTube Liveでは、システム的にライブ配信が可能。

 
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UIを利用せずに、ライブ配信の枠作成や開始、停止、コメントの投稿、受信といったことができる。

 
 
ちなみにPANORAでも9月12日に、「ポストモーテムVR #02 360度化するライブ配信の今」というイベントを実施するので、ぜひご参加下さい。申し込みページはこちら

 
 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
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