MicrosoftのVRゴーグル発表で思い出した、Oculus Rift DK1以前のあの日

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windows10
マイクロソフトが5社と協業してVRゴーグルを出すというニュースは、ネットでも大いに話題になっています。今回の発表は何がポイントなのか。台湾在住で電子機器の動向に詳しいEjiさんに解説いただきました。

 

HololensのあのHPUをOculusに入れたら……?

 
最近のMicrosoftは一味違う。やはり「千里の道も一歩から」で、飛躍的な改変に起点があります。

 
無論、世の中に驚きを与えるためには情報を隠すでしょう。しかし、敵を騙すにはまず味方からとやっていたら、いつしか自分も嘘を信じてしまうこともある。

 
大企業となると、戦略の振れは珍しくないでしょう。以前に打ち出した自社のビジョンについて迷っているうちに、競合相手に実現されるといった現象はよく起きてる。自分には起きたくない話ですね。

 
10月26日、ニューヨーク。MicrosoftはWindows10の総合イベントを行い、「Creators’ Update」を告知しました。イベントの同時中継では、まず目が見えない人に対してWindowsがいかにアクセス補助に注力し、読み上げ機能を磨き上げてきたかを説明するPVを流します。それは自分にとっては非常に心打たれる内容で、思わずマジ泣きしかけるところでした。

 

 
が、PANORAはVRメディアなので、ほかの部分は割愛して一番衝撃を受けた部分を語っていきましょう。

 
少しさかのぼった8月、マイクロソフトはインテルのイベントにて、Windows 10は今後「Windows Holographic Shell」を送り出して、フラグシップ製品のMRヘッドマウントディスプレー「Hololens」で培ったインタラクティブ環境を、他の製品でもアクセスできるようにしていくことを明らかにしました。

 

 
同時にIntelも一体型VRゴーグルの「Project Alloy」を発表。Core-Mの内蔵グラッフィクスでも90Hzでスムーズに動作できると言及していたものの、個人的には「CPU内蔵GPUならたかが知れているよな」と感じました。VRの普及率は高くなるけど、なんか求められてるものとは違う。

 
モバイルかつ高性能を満たそうとすると、ほかのPCなどのGPUで処理して無線で転送するという手法も考えられますが、現状の無線転送ではまだまだ高解像度を支えきれない。無線でグラフィックスを犠牲するならまぁ有線を選ぶ、というニーズはやはり一定数あると思う。

 
そう、思い出させるのは、まさしくあの時。OculusがまだFacebookに買収される前、初代開発キット(DK1)発売時に示したビジョンでした。

 
image03
・内蔵カメラベースのInside-outトラッキング
・有線接続でPCのグラフィックスを有効活用
・299ドルで安価化させてマスへ普及させる

 
2013年。それがOculusの使命であったはず。

 
image01
しかし、その後2014年に発表されたDK2では、トラッキング方式に外部センサーを使うOutside-in方式を採用。

 
Oculus-Rift-8
2016年にリリースした製品版(CV1)もDK2の路線を継承し、DK2でつくり上げた「Constellation」をリファインして、最近では複数のUSBカメラまで使えるようにしています。

 
Hololens02
一方、Microsoftは2015年に一体型で完結するHololensを発表。独自開発した専用チップ「HPU」を投下し、物々しいセンサーアレイで安定なトラッキングを実現してきました。その値段、3000ドルナリ。

 
VR業界に戻ると、PCではVavleとHTCが連携を取ってViveを作り出して位置トラッキングシステムの「Lighthouse」を投入して、Oculusと乱闘を繰り上げています。「Project Morpheus」という開発コード名で2014年に発表されたソニーのVRシステムは、2015年にPlayStation VRと名付けられて今年発売を迎え、普及の本命とされています。

 
ちなみに中国では一時期、中華CardboardとAndroidベースの一体機が乱発されて、そこから時間が経ってもそれらしいトラッキング技術が出てこなかったです。

 
コレで分かるのは、みんな「Inside-Outのトラッキングはやはり難しいね」と考えたということです。

 
Oculusも先日ようやく一体型「Santa Cruz」のプロトタイプ機を披露しましたが、これを見てinside-outトラッキングがまだまだ「これから」だと思った人も多いでしょう。

 
santacruz
Santa Cruz。

 
そこで思いつくのが、「HololensのあのHPUをOculusに入れたら解決できないか?」という話です。HololensのFOV(視野角)は狭くてVRには向いてない。非常に自然な光線再現技術は、LCoSと三層ハーフミラー層でRGB分離させて、波長によるの屈折率の違いを抑制するなど、高度な技術で支えられています。それが高価格の要因らしい。

 
それと比べては、HPUは初期価格が高いと言っても所詮ASIC。市場の需要に合わせてつくればつくるほど安くなります。専用のASICを使ってHMD側がトラッキングを実施し、座標だけをUSBケーブルを通じて送信。PC側からは画面を送る、という感じで完結できそうだ……。

 
そんな想像が今回、Oculus以外のMicrosoftによって形になったわけです。

 
さらに価格を抑えるために、最初からHP、Dell、Lenovo、ASUS、AcerといったPC市場屈指の大手5社と連携しています。そういえばこの5社は2015年10月にも、MicrosoftとHolographicsをライセンスする契約をしていたような。あの時にメディアは揃って「これで安価なHololensにつながる」と予測していましたが、今思えばあの構成のままだとどうやって安くするんだという話もあります。

 
2016年に販売を迎えたOculusとViveは多少低調だっため、「VR元年」にすっかり肩透かしされた気分でしたが、PS VRも強いコンテンツを背景にユーザーに大いに歓迎されています。そういえば一時期、ミクさんのパンツを追いかけて「プレイエリアの外です」と表示されるコラ画像でネットの一部が騒いでましたね。ここでMicrosoftも自分なりの回答を出して、ほぼ来年からVRの爆発は約束されたでしょう。

 
image03windows10
ただこの二枚の画像を並べて見て、思わず「私達は一体どこで道を間違ってたしまったのか」というのをつぶかずにはいられません。

 
 
(TEXT by Eji

 
 
●関連リンク
Microsoft Windows 10 Event

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