2年の胎動を経てついにローンチに! DMM.comに聞く「VR動画」の今とこれから

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昨今、注目を集めているVRのジャンルでは、名だたる企業の参入も相次いでいる。どんなきっかけでVRに興味を持って、何を狙って参入して来たのか。PANORA編集長の広田を聞き手に、各社のVRへの取り組みをまとめていく。

 
 
初回は、DMM.comの執行役員である山本弘毅氏にお話をうかがった。DMMといえば、2014年11月という非常に早いタイミングから「DMM.VR[β]」というサービスをローンチし、360度動画を試験的に配信してきた企業だ。

 
さらにDMM GAMESでは、先の東京ゲームショウで注目を集めた「刀剣乱舞VR」を、グループ企業のDMM.futureworksが、3DCGキャラがまるで舞台に立っているように見える劇場「DMM VR THEATER」をそれぞれ展開している。

 
そんなVRに積極的なDMMが、360度映像の配信サービス「VR動画」を11月10日にオープンした(関連記事)。一般向けだけでなく、アダルトも含めた広いラインアップを100タイトルほど取り揃え、2300万人という膨大なユーザーに向けて提供を始める。これはVR業界において有料配信サービスでは、あまり類を見ない規模だ。今までの経緯やサービスの目的についてインタビューした。

 
 

Gear VRとスマホ向けにアプリを用意

 
──山本さんが最初にVRに興味を持たれたタイミングはいつですか?

 
山本 2014年のFacebookがOculus VRを買収した前後で、Oculus RiftのDK2でジェットコースターを体験したときです。あれ自体のクオリティーがどうこうという話もありますが、未来が見えたというか、将来的にCGの品質が上がってケーブルも減ってとなると、すごい世界が来るなと実感しました。

 
あとは、FacebookがOculusを買収した際の2000億円が、グーグルがYouTubeを買ったときと同じような金額だったことです。実際、当時YouTubeの企業価値に比べて高いいわれていましたが、今では安い買い物だと見られています。DMMとしてもVRには興味があったので、じゃあやっていこうとランディングページを立ち上げました。

 
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今年10月に開催した年次イベント「Oculus Connect 3」でFacebook色を全面に出してきたOculus VRだが、2年前の当時はスタートアップそのものだった。

 
──2014年当時、VRは市場のかけらもなかったですよね。

 
山本 ゼロですよね。今もまだ発展途上ですが、それでもPlayStation VRも含めて以前よりはVRがメディアに露出する機会が増えてきました。

 
──そんなタイミングで出てくる新しい配信プラットフォームは、どういった流れで構想が固まってきたのでしょうか。

 
山本 動画の配信プラットフォームというと、有料課金だけではなく、niconicoやYouTubeみたいに無料でCGMというパターンもあるのですが、今、YouTubeさんと真っ向勝負しても差が出にくい。

 
では、どこで違いが出せるかといえば、もともとやってきている動画配信の課金サービスです。有料課金で市場が盛り上がってきて、何よりコンテンツホルダーさんの360度映像が整ってきたらやろうと、ランディングページをつくった当初から言っていて、ようやくそのタイミングがきたなというところです。

 
当然、今も大きな収益は見込めませんが、それでもDK2の時代でVRゴーグルを持っていた人といえば、ほぼ関係者だけですよね。消費者向けにサービスを提供するとなると、先の東京ゲームショウしかり、PS VRの発売しかりとやっと流れが整ってきて、さらに「dTV VR」やアダルト系の360度配信サービスもようやく出てきた。だからこのタイミングかなという感じです。

 
──他社サービスと比べた場合の特徴というと?

 
山本 有料課金でスマホ向けだけでなくGear VRアプリできっちりやっているところはないので、そこである程度の差別化ができるのと、あとはリリース時に100タイトルほどコンテンツを用意できる点です。あとは会員数ですね。いちからユーザーを集めるわけでなく、普通の動画配信サービスにVR対応コンテンツも追加されましたよという流れです。

 
──今までいろいろあったジャンルのひとつにVRというタブが増えて、そこに360度映像が集まるイメージでしょうか。

 
山本 単純にiPhone向け、Android向け、PS4向けといった中のひとつが、たまたまVRというだけですね。もちろん操作やハードの説明はしますが、そのページの中だけで完結しますという考え方ではなく、本当に普通の動画と一緒に売る感じです。

 
 

今はVR向けコンテンツで目立てる時期

 
──サービスを立ち上げるにあたって、一番苦労されたのってアプリづくりですかね?

 
山本 そうですね。やはり基本的にはアプリのところです。「このやり方をすればいい」という正解がまだないので、模索しながら作っています。なので、動画の解像度やフレームレート、ビットレートなども、弊社独自の基準を決めさせていただいて、コンテンツプロバイダーさんに合わせてもらっている感じです。

 
──具体的な数字はどんなものでしょう?

 
山本 解像度でいうと最大3840×1920ドットで、フレームレートは30fps。当初はダウンロードのみで、いずれはストリーミングも視野に入れています。DMMとしてはより画質のいいGear VR見ていただきたいですが、よりユーザーの多いスマートフォン版も用意して二軸で行かないとと考えています。

 
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同じ11月10日に新型Gear VRがリリースされた。

 
──Gear VRというと、ネットカフェへの導入が進んでいますが、そうした店舗への配信もありますか?

 
山本 そうですね、ネットカフェでVRを展開されている企業と話をしています。ただきっちりといい形でユーザーさんに伝えたいので、条件があったところと組むという形です。

 
──ローンチ時に100タイトルというと、結構集めるのが大変だったのではないでしょうか。

 
山本 そもそも作っている企業が少なく、半年前はほとんどなかったんです。なので、プラットフォームがあれば全然だしますよという感じでした。やはり、自分たちで1からサイトをつくってユーザーを集めるのは無料でも大変です。コンテンツプロバイダーからしても、100万円かけてつくったもので100万円回収できないと、やっぱり作り続けられない。

 
今はまだ回収は難しいと思いますが、参入するところが少ないので目立てる時期です。そして、マネタイズができるようになればどんどん参入してくるでしょう。でも、「VRは多少目立てるけどビジネスにならないね」、「いっぱい会社が出てきたからもう目立つのも難しいね」となると、みなさん継続してつくれなくなってしまう。

 
──ちゃんとお金を回すという。

 
山本 そこは大きいです。作り続けることができなくなりますからね。

 
──おっしゃる通りです。100タイトルのうち、一般とアダルトの割合はどれくらいでしょうか?

 
山本 半分強くらいがアダルトになると思います。それは価値のある360度映像はすべて売りたいというわれわれのポリシーで、特にコントロールしているわけではありません。現状、アダルトの方がメーカーさんが多いので、必然的にそうなっているだけで、今後、一般のコンテンツプロバイダーさんが増えていけば8割以上が一般コンテンツとなるかもしれません。

 
──突っ込んだ話になりますが、売れたときの配分はどうなりますか?

 
山本 通常の配信と変わらないレベニューシェアモデルです。

 
 

長い目で見て続けていく

 
──数年後のVR業界はどう想像されていて、この事業をどう舵取りしていこうと考えていますか?

 
山本 市場がすごく伸びて来るんだろうなというのは色々は発表を見ている中で感じていますけど、こればっかりはわからないとしか言いようがないです(笑)。まずは参入して、プラットフォームをきっちり作りながら、どういう方向がいいのか考えていきます。

 
例えば、将来的にはスポーツや舞台、演劇といった、お金を払ってチケットを買うイベントのライブ配信も検討していますが、そのタイミングがいつくるかと言われると、普及に合わせてとしかいえない。われわれはプロモーション目的でVRをやろうというのではなく、ちゃんと売り上げが取れるかどうかで判断しています。だから採算のめどがある程度たってきたときに、もう一段階アクセルを踏もうかなとは思っています。

 
──DMM.comの大きなメリットというと、多分、撤退がないことですよね。電子書籍でもサービス閉鎖に伴って、今まで持っていたコンテンツが見られなくなるということがありますが。

 
山本 そこはこうある意味公表はしてないですが、安心して下さいという想いはあります。総合的なプラットフォームとして2300万ものユーザーを抱えていますし、動画サービスにおいて一般・アダルトを合わせて月に100万人以上の課金しているユニークユーザーがいます。

 
──今後、どこかのイベントでの展示はありますか?

 
山本 今のところはないです。ただ、リリース時には一般向けもアダルトでも無料コンテンツを用意しますので、そこをタダで見ていただいて「これは!」と思って買っていただければと思います。

 
──どれくらい売れるかというのは、予想がつきにくいですよね?

 
山本 そうですね。われわれとしても細かい試算をしても仕方がないので、ある程度の大枠で3〜5年の話だと思っています。どんなに悪くても半年や1年では撤退する気もないです。

 
──継続してそこにあることが重要という。確かにすぐにやめられてしまったらコンテンツプロバイダー側はキツいですね。

 
山本 われわれはそういった考えではなく、コツコツと長い目で見て、いつかちゃんと収益が出るようなプラットフォームになればいいなという思いです。それが1年後なのか3年後なのか4年後なのか、はたして一生来ないのかわからないですけどが、競争優位性がある市場なので戦いやすいかなという。

 
2020年になれば色々な事業者さんも入ってきているでしょうし、現在想定してなかったサービスも出てくるはずです。360度コンテンツをお持ちの方は、われわれと一緒に市場を育てていきましょう。ユーザーのみなさんはぜひアプリをダウンロードして、お気に入りの1本を見つけてくださいね。

 
 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
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