「デレマス」&「サマーレッスン」で厳選 PlayStation VRの体験を高めるイヤホンはコレだ!

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VRで「あちらの世界」にいる感覚を高めるためにはオーディオも重要な要素だ。では、どんなヘッドホン・イヤホンを選べば、より体験が高まるのだろうか? AV/オーディオ/ガジェット情報サイト「Phile-web」の「人気声優×人気ヘッドホン」や「宇多田ヒカル『First Love』ハイレゾ音源全曲徹底レビュー!」など、とがった視点の記事で知られるオーディオライターの高橋敦氏にチョイスをお願いした。

 
 

イヤホン選びでVRの高みを目指す!

 
従来のAVと同じく、VRにおいてもそのリアリティに映像と並んで大きく影響する要素は音声だ。あ、「AV」って「オーディオビジュアル」のことです。

 
ヘッドセットを装着し、例えば目の前に女子高生の姿が映し出されたとしよう。しかしその姿だけで「そこにいるかのような気配」を感じられるだろうか? その「気配」の再現において多くを占めるのは映像と同等以上に音声、しかも微細な音声だ。台詞ではない息遣い。動きに伴う衣擦れ。「そこに彼女がいるならばそこにあるべき音」の繊細な積み重ねがあってこそ、VRにふさわしい「気配」が生まれる。

 
……だったらイヤホンをいいやつに変えたらもっとVR感が高まるんじゃない?

 
というわけで今回はPlayStation VR(PS VR)を例にそこをチェックし、コンテンツの特性も考慮して「VR体験を高めるイヤホン」をいくつか紹介させていただこう。PS VRには専用イヤホンが付属しているものの、それしか使えないわけではなく、ヘッドホン端子に市販のものをさせば普通に使える。

 
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HMDのケーブル途中にある有線リモコンの脇にヘッドホン端子がある。

 
なお今回のサンプルコンテンツとしては、

 
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「アイドルマスター シンデレラガールズ ビューイングレボリューション」 (デレマス)
©窪岡俊之 ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

 
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「サマーレッスン:宮本ひかり セブンデイズルーム」(サマレ)
©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

 
の2本をチョイスした。選択理由は、「コンテンツが再現するVR世界が異なればそれに合うイヤホン選びのポイント、おすすめイヤホンも変わってくる」というサンプルとしてわかりやすそうだったから。

 
前者は「熱気溢れるライブスペースでのリアリティ(かわいい)」後者は「静かなパーソナルスペースでの一対一のリアリティ(かわいい)」を感じたいコンテンツ。それぞれそれに合うイヤホンは違ってくるはずだ。

 
 

付属の実力を確認して基本方針を固める

 
さて交換を前提にしても、まず最初に確認すべきは付属イヤホンの実力だ。「付属イヤホン」というものは往々にして「所詮付属品レベルか……」な出来だったりもするのだが……。

 
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……これ、悪くないぞ。

 
僕は現在は主にポータブルオーディオ系なライターであり、年に百モデル前後のイヤホンを聴いている。その経験から言って、近年音質向上が特に著しいのは3000〜5000円のエントリークラスイヤホンだ。しかしこのPS VR付属のイヤホン。その価格帯の基準値には十分に達してしまっている。

 
まずもちろんPS VRコンテンツで確認したのだが、その段階で「……いや特に不満ないかも」という感想だった。細かな物音による気配感にしても、イヤホンでは本来表現しにくい空間の広がりにしても、グッド!ではないが普通にベターだ。

 
普段、イヤホンの音質評価の仕事で使っているリファレンス、試聴時の基準にしている音楽音源でも確認したが、やはりおおよそ問題ない。ほどよいドンシャリ、高音と低音の適度なアクセントでメリハリは付けてあるが、やりすぎ感はない。例えば低音がブーストされすぎていてベースがぼわんと巨大化してしまっているようなこともないし、声が不自然なんてことはもちろんない。

 
……改めて断言すると、

 
3000〜5000円のエントリークラスイヤホンに変えても大した向上は感じられない可能性、大!

 
だ。そこで今回はもうひとつ上の

 
1万円前後クラスで確実な向上を狙う!

 
ことを提案したい。

 
それなりに大きな出費にはなってしまうが、このクラスとなれば音楽リスニング用としても十分な力を備えている。PS VRだけではなく、スマホやウォークマンと組み合わせて外での音楽再生もさらに楽しんでいけば、その出費に足る満足を得られるだろう。

 
 

デレマスのライブ感をイヤモニで高める!

 
ではまず「デレマス」にほしい「熱気溢れるライブスペースでのリアリティ(かわいい)」を得るためのポイントを考えてみよう。

 

 
僕がテストした場面は前後左右上を見渡したところでは「おおよそ2000〜3000人規模かな?」という大型ライブハウスでのライブだった。現実でいうとZepp東京のイメージだ(編集註:キャパ2170の舞浜アンフィシアターですね)。

 
ステージ左右上方に客席向け大型スピーカーが設置されており、視線や視点、座席の移動に応じて音の聞こえてくる方向性や響きの距離感が変わってくる。最前列ではダイレクト感のある音だし、後方に移れば会場全体の響きを含み、距離は遠くなるがビッグな音になる。それらも含めたポイントのうちどこを重視するかでイヤホン選びも変わってきそうだが……。

 
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今回、僕のおすすめはSHUREの「SE215SPE」だ。

 
重視したポイントは、

 
・良質な低音
・イヤモニで気分を出す

 
のふたつ。

 
「良質な低音」というのはしっかりとした厚みと力強さがあり、それでいてぼやけない低音。大きなライブハウスに大きなスピーカーから大きな音が叩き込まれたとき独特の低音の響き。それをしっかり出せるイヤホンでこそ、このコンテンツの雰囲気、ライブ感を再現できる。元々評価の高いモデルの低音域をさらに強化チューニングしたモデルであるSE215SPEはその点で文句なしだ。

 
「イヤモニで気分を出す」は本当に気分の問題。「イヤモニ」とはアーティストがステージ上で自分の歌や周りの演奏を聴き取ってそれに合わせて歌うためのイヤホン。ライブBDで声優さんの耳元に光っているあれだ。

 
シュアはステージやレコーディングで使われるプロオーディオ機器の大手であり、「SE」シリーズはそのシュアによるイヤモニ。シュアのイヤモニを装着すれば「これであなたも内田真礼!」的な気分でコンテンツにのめり込めるだろう。しかし熱中しすぎても水分補給はお忘れなく。

 
なおただし「デレマス」はその特性上、プレイヤーがライブを実際に現場で体感している場合も少なからずなはず。その場合、「自分があの場で実際に感じた音はこうだった!」というご自身の感覚、記憶をいちばんに、それ重視でイヤホンを選んでほしい。

 

 
 

サマレの距離感をセミオープンで創る!

 
続いて「サマレ」で「静かなパーソナルスペースでの一対一のリアリティ(かわいい)」を得られるイヤホンを考えてみる。

 

 
主な舞台は宮本ひかりさんの自室だ。日本の一般的な女子高生(かわいい)の自室であるので現実としても想像しやすいだろう。……いや問題ない。女子高生には縁がなくても「日本の住宅環境における高校生の個室」の広さや響きをイメージできれば問題ない。

 
このコンテンツの音作りで特に効果的な要素は物音だ。わかりやすいところでは、会話のない場面では時計の秒針の音が特に気になってくるし、窓の外からは外の雰囲気が伝わってくる。外の雰囲気が伝わってくることで逆に「……宮本さんと僕は中に二人きり」という事実が印象付けられる。こういった物音の再現性はイヤホン選びにおいて特に重視したいポイントだ。

 
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で、今回僕のおすすめは、ONKYOの「E700M」だ。

 
重視したポイントは、

 
・空間表現の豊かさと繊細さ
・声が脳内になりすぎない

 
のふたつ。

 
「空間表現の豊かさと繊細さ」は前述の物音や気配といった要素の再現に欠かせない。女子高生(かわいい)の個室であるので部屋自体は広くはないが、その部屋の外から聞こえてくる外の気配の広さや遠さが伝わってこないと、それに対しての「中」も映えない。また文房具の音であるとか吐息であるとか、そういう細やかな音はもちろんそのまま細やかに再現してくれないと興醒めだ。

 
その点、このモデルはまさにそれらに強みを持つ。セミオープン型という構造のイヤホンは全般的に、遮音性は高くない代わりに空間の広がりの表現は得意だ。このモデルはその典型かつこの価格帯でのトップクラス。強度の高いアルミ筐体で余計な響きを抑え、ドライバーからの音を高純度に耳に届けることなどで、細やかな描写にも強い。

 
もうひとつの「声が脳内になりすぎない」には「え?脳内の方がいいじゃん?」という方もいらっしゃるかもしれない。

 
しかし問おう。

 
「貴様が求めるのは脳内の女子高生なのか? それとも目の前の女子高生なのか?」

 
と。

 
つまり「脳内再生でいいならお前らVRとかイヤホンとかなくても自力で好きなCVでいけんだろ?」という話だ。せっかくのVR。脳内ではなく目の前の宮本さんの声を聴きたい。聴くべきだ。

 
しかしイヤホンというのはその仕組みからして音を左右に配置することは得意でも、前後の奥行きを表現するのは苦手。どんなに優れたハイエンドイヤホンでも超えられない壁と言える。しかしその超えられない壁の内側にも、音が脳内に詰め込まれる感じのイヤホンとある程度は周りに広がってくれるイヤホンという違いはある。遮音性重視のイヤモニは前者の場合が多いの対して、セミオープンは後者の場合が多い。このモデルは得にそうだ。

 
なので宮本さんの声も、リアルに目の前の距離感にまでは持っていけないにしても、バーチャル感が強調されすぎる完全脳内定位になってしまうことはない。「バーチャル」と「リアリティ」のバランスが「バーチャル」に偏りすぎないのだ。

 
ただこちらも、「いや俺は目の前の女子高生よりも脳内の女子高生を選ぶ!」と強く言い切れるユーザーであれば、それは自分の感覚というか嗜好に従ってほしい。もう僕には止められない。その場合は前述のように、イヤモニタイプなど遮音性が高く没入感を得やすいモデルがおすすめだ。

 

 
 

付属イヤホンと使い分けてよりよいVRライフを

 
ということでPS VR、というか「デレマス」と「サマレ」におすすめなイヤホンを紹介してみた。今回はそのふたつのコンテンツを例としたが、「そのコンテンツのVR感のポイントになる要素を見つけてそこに合うイヤホンを探す」という流れは他のコンテンツにも通用するはずだ。

 
特定コンテンツに特化しすぎると他のコンテンツとの相性が微妙になるかもだが、そのときは平均的に優秀な付属イヤホンでカバーすればOKだろう。そもそもコンテンツの開発者は付属イヤホンを想定してサウンドデザインしているはずなので、当たり外れなく平均点を出してくれるはずだ。ぜひ使い分けて、よりよいVRライフを送ってほしい。

 
 
●文/高橋敦(たかはしあつし)
趣味も仕事も文章作成。現在の仕事はパーソナルオーディオが中心。他の趣味は音楽、アニメ、声ラジ、ギターの整備と演奏、猫の溺愛など。多くの声優さんに魂を手広く販売中。

 
 
●関連リンク
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