トランプ米大統領の入国制限令が起こす波紋【ティーポットの独り言】

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近況:先日、半年以上ぶりに日本に帰国しました。台湾への出張帰りで、単なる短時間のトランジット(乗り換え)滞在でしたが…。今後、気軽に一時帰国できなくなったりすると困りそうです
 
 
こんにちは、あるしおうねです。今回はちょっと趣向が変わりますが、米国滞在者として気がかりなニュースが耳に入って来たので、急遽紹介することにしました。

 
トランプ大統領が下記の大統領令に署名し、現在既に発効しているそうです。
CNNの報道による大統領令をまとめると、
 
イラン、イラク、シリア、スーダン、リビア、イエメン、ソマリアの7ヵ国について
・30日間新規ビザの発給を停止する
・(通過ビザ、国際機関関係者ビザを除く)移民ビザ、非移民ビザ保持者全ての再入国を90日間停止する
・ESTA(ビザ免除プログラム)の発給を停止する
 
という厳しい内容になっています。実際に、空港での再入国審査で対象国の人々が入国できず、止められている事態が発生しています(CNNの報道より)。

 
この大統領令について、Google、Microsoft、Apple、Facebook、Twitter等のIT各社CEOが反対の声明を出すなどの大きな動きになっています(ITmediaの報道)。

 
なぜ今回の大統領令がここまで波紋を広げているのか、自分も詳しい訳ではありませんが、現地にいる人間として少しでも解説できればと思います。

 
 

大統領令の対象範囲

 
今回の大統領令は、当該国の「移民ビザ、非移民ビザ保持者」の全てが対象者となっています。

 
では、この移民ビザ、非移民ビザはどういうものなのでしょうか? 米国ビザインフォメーションサービスの、移民ビザ非移民ビザを見てみましょう。

 
移民ビザにあたるかどうかは、単純に「永住権を持っているかどうか」です。つまり、移民ビザ=永住権=グリーンカードと呼び名は色々ありますが、すべて同じです(厳密には定義が異なりますが)。移民ビザの取得にはいくつかの方法があって、グリーンカードくじはみなさんも聞いたことがあるかもしれません。グリーンカードくじは例外的なもので、基本的には数年の長い期間と、申請と移民弁護士に依頼する高い費用が掛かります。

 
上記以外、つまり永住権を持たず、就学、就労などの目的で滞在許可を得ている人が非移民ビザの区分で、現在の自分もここに入ります。就学ビザは交換留学生や、一定の単位取得や成績の要件を満たすなどの条件が必要で、就労ビザはさらに厳しく、アメリカに利益をもたらす専門性(=専門を持たないアメリカ人労働者の職を奪わない)を証明する必要があります。移民ビザ程ではないですが、多くの場合取得には数ヵ月〜1年程の期間と、やはり申請と移民弁護士に依頼する費用(数十万円レベル)が掛かります

 
例外とされている通過ビザは、飛行機のトランジット(乗り換え)時に立ち寄るための特別なビザで、国際機関関係者ビザは、文字通り国連などの機関で働く職員のための特別なビザです。
また、これらとは別に市民権というのもありますが、これはもう一段進んだ物=つまり国籍で、文字通りアメリカ国民として扱われます。市民権取得者については、今回の大統領令の対象外になります。

 
 

何が問題なのか

 
アメリカに旅行や出張で渡航されたことがある方は、ほとんどの場合ESTA(ビザ免除プログラム)を申請されたと思いますが、ビザの手続きは、期間と費用を考えるだけでもESTAとは比較にならない大変さが伝わると思います。
 
いずれのビザも自国での犯罪歴があると取得は厳しくなると言われており(アメリカへの不利益を考えると当然ですが)、正規の手続きでこれらのビザを既に取得している人々は、後ろ暗い事のない学生や労働者です。もちろん、不正な手続きで取得した犯罪者が潜伏する可能性も0ではありませんが、追加的な検査などでなく全員を再入国禁止にしているため、対象国出身のほとんどの無実の学生や労働者が影響を受けることになります。

 
シリコンバレーのIT企業でも、対象国出身の方が移民ビザ、非移民ビザで就学、就労しているケースもあるようで、Googleは海外滞在者の早期帰国を指示しているそうです(ITmediaの報道)。再入国できなければ、学校で学び続けることも、働き続けることもできず、学歴に穴が開いたり、職を失う恐れも出てきます。その結果について、アメリカが国として責任を持つことはありません。

 
 

これからどうなるのか?

 
さすがに今回の政策への批判は大きく、アメリカの各州(アメリカは地方自治の国です)、各企業、そして市民が反対の声明や運動を起こしています(CNNの報道より)。この辺のアクションの早さ、大きさはさすがアメリカなのかなと感じています。

 
自分が所属している職場のチームも、今回の対象国のメンバーこそいないものの、アメリカ国籍は一人しかおらず、基本的には外国人中心のチームです(自分含)。職場全体で見た場合、対象国の人もいるかもしれません。その位、今回の大統領令は他人事でなく身近な話なのです。

 
今はあくまで7カ国ですが、ここまでの苛烈な政策を即座に実行しているのを見ると、国の関係次第では日本も影響を受ける可能性はないとは言い切れないと思います。今後、批判を受けてどうなっていくのかを見守っていきたいと思います

 
 
●著者紹介
あるしおうね 大学院にて、VRを専門とする研究室に所属。卒業後、国内電子機器メーカーで約9年間、Augmented Realityおよび画像処理の研究開発に従事。2015年11月に外資系電子機器メーカーに転職し、2016年6月より渡米。

 
 
●関連リンク
米国ビザ申請

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