日本で売れてる? どうやって広める? マイクロソフト高橋氏に聞く「HoloLens」発売後の今

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マイクロソフトのMRゴーグル「HoloLens」が日本で発売されてから1ヵ月が経過した。

 
HoloLensは見た目は単なるゴーグルなので、普通の人にとっては何がスゴいのかは理解しにくい。例えば、テーブルの上に猫を出現させて様々な方向からスムーズに見られるように、事前に何か仕込まなくてもリアルタイムで周囲の状況をスキャンして特定位置にCGを出すことができるのが素晴らしい。さらにそれを外部PCに頼らず、一体型のゴーグルで実現したという点でも革命的だ。

 
発売以降、国内でもイベントが続々と開催されて、国産アプリも増えてきている状況だが、HoloLensの担当者はどう見ているのだろうか。日本マイクロソフト テクニカル エバンジェリストの高橋忍氏にインタビューした。

 
*HoloLensの過去記事はこちらから!

 
 

ジャンルを問わず様々な業界から注目されている

 
──先日のユーザーイベントでも「日本ではHoloLensが欧州の3倍売れている」という話が出ていましたが、率直に日本での反響はどう感じられますか?

 
高橋氏 出荷の数字は直接見てないのでわからないのですが、昔からマイクロソフトのデベロッパーをやられている方はもちろん、そうじゃない方からのお問い合わせやTwitterでの意見をいただいております。「この人がHoloLensについてつぶやいているなんて……」といった感じで、MRデバイスとして広いところで注目していただいているのを肌で感じます。

 
それはVRをやっていた方々やホビーユーザーだけでなく、企業からの相談も着実に増えています。ジャンルを問わず様々な業種の方にぜひ一度体験していただいて、「みなさんが持っている製品やソリューションをどう応用できると感じましたか?」とディスカッションすると、いろいろなアイデアが出てきます。それはHoloLensがとてもいいデバイスで、いい進化もできている証拠です。

 
──日本と欧米を比較して、使われ方の違いというのは感じますか?

 
高橋氏 どう使われているのかは調べきれておらず、一言でまとめるのは難しいです。あくまで個人的な感覚でいえば、日本ではホビーデベロッパーやエンタープライズの方などいろいろな立場の方が集まってきていて、とにかくアプリや興味の持ち方のバリエーションが多い。

 
──アメリカのHoloLens担当者と日本について話されたりとかは?

 
高橋氏 出荷はとにかく多いよねという話や、コミュニティーでここまでみんな集まったのはスゴいねと。東京でのミートアップは、Twitterに投稿された写真をアレックス・キップマンもリツイートしてましたし。逆にいうと、世界でもあれだけの数が集まってHoloLensを体験する機会はなかなかない。「またJapanは……」なのか「さすがJapan」なのかはわかりませんが。

 
ただ、Tiwtterのハッシュタグ(#HoloLens)を見ていると、日本の勢いが一番あると感じています。いろいろな場所でいろいろなイベントをやっていただいて、そうした中で「HoloLensスゴい」とか「体験した」という声も出てきて、確実に幅広く勢いがついている。

 

 

 
──御社でも開発者向けセミナーを3回開催されてきましたが、参加者は最新技術にすぐに飛びつくような「猛者」が多い感じですかね?

 
高橋氏 いや、実はそうとも言い切れません。もちろんHoloLesnsをすでに入手されていて詳しい方々はもいらしていますが、それでも半数ぐらいはまだ体験したことがなかったり、まだあまりよくわかってない方々も来られています。MRでわれわれが何をやろうとしていて、実際に何ができるのかというのと、きちんとお伝えしなければいけない段階がしばらくあると思います。

 
 

高橋氏直伝、HoloLensデモのやり方

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──国内でHoloLensを広める施策については何を考えていますか?

 
高橋氏 難しいのはこのデバイスがコンシューマー向けの、いわゆる一般ユーザーに向けたものではなく、あくまでも開発者や企業向けのものだということです。そして企業向けには、弊社ももともとのパイプラインがありますので、まずは開発者向けセミナーを続けて広げていきたいです。

 
とはいえ、東京の品川だけでは地方の方が来られないので、そこはオンラインのコンテンツをどんどん増やしていくなりして、できるだけ情報を出していきたいです。ただ、難しいのはデモを体感していただかないと、その価値が伝わりにくいんです。

 
──かぶらなければ「自分ごと」にできないのは、VRでもさんざん言われてきたことなので、すごくわかります。

 
高橋氏 そう、YouTubeで見る動画と実機では印象がまったく違います。そして短時間の体験ですと、HoloLesnsの本当の魅力っていうのは全部伝えきれない。

 
──おっしゃるとおりです。以前、弊誌で掲載したインタビューでも「HoloLensは日常的につけてこそ」という話が出ていました。

 
高橋氏 だから手間や時間をかけてでも、できるだけ体験機会をどんどんつくっていきたい。それはわれわれの主催だけでなく、ほかのイベントにもどんどん出していきたいです。僕個人のジャストアイデアですが、今HoloLensを持っている方に向けて、どういう風にデモをして話をすれば、HoloLensの魅力が伝えられるのかというレクチャーもやってもいいのかなと。ビデオを撮って、YouTubeで公開したり。

 
──それはすごく聞いてみたい! ちなみに高橋さんたちのデモ手順で、現時点の鉄板ネタはありますか?

 
高橋氏 15分長めにきちんとやるのであれば、まずはメニューを開く「Bloom」や空中をクリックする「air-tap」といった基本的な操作から知ってもらいます。そのときに、ウェブブラウザーや写真のウィンドウ、3Dホログラムの置物などをデモ部屋にいくつか並べておくんです。

 
そしてブラウザーでウインドウの移動や拡大/縮小といった操作を試してもらい、さらにウィンドウを手前に引いて2Dのものを3D空間で移動できることを体感していただく。僕のパターンでは、YouTubeを再生できる状態にしておいて、ウィンドウをair-tapすると動画が流れて、耳の上にあるスピーカーから音が出ますよね、といった感じで案内しています。HoloLensもWindows 10なので、2DアプリもYouTubeも今まで通りのPCとして同じように扱えますよね、と。

 
そこから3Dのオブジェクトに移って、いろいろな角度から見てもらいます。床において、机から隠れた場所は見えませんよね、とか。最後に、飛行機の3Dモデルを見られる「Aircraft Explorer」や、ゲームっぽいのなら「RoboRaid」などいくつかのアプリを見せます。

 
──レクチャーしてるときにユーザーが誤解するとか、わかりにくいところってありますか?

 
高橋氏 まずは一方的に体感してもらうので、意外と質問ではなく、みなさん「あー、あー」とか、「なるほど……」とか、「すごーい」と驚かれていますね。あえて言うなら、air-tapの指の曲げ方とかがつまづきがちですが。

 
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Skypeアプリを筆者(広田)が体験しているところ。空間に指示を書き込んで(写真では青線)、自分の目線を相手の画面にシェアして「ここを見て」とできるのが新しい。

 
 

日本発のオリジナルアプリを支援したい

 
──デモといえば、動く3Dモデルアプリ「Actiongram」にキティちゃんが追加されました(ニュース記事)。あれは日本にとってもデカい話ですよね。

 
高橋氏 デカいですよ。昨年にはJALさんがHoloLensに参入されてエンタープライズの世界で非常に大きな影響がありましたし、今回のキティちゃんのような日本のキャラが出てくるのも、出版やゲームなどコンテンツを持っているさまざまな企業に興味を持ってもらえそうです。

 
日本の文化的なものやコンテンツが出てくると、日本人の開発者にとっても身近に感じてもらえますし。茶道の心得とか、そういうアプリも出てきてもいいかもしれない。とにかく日本からのオリジナルアプリが出てくるのをどんどん支援していきたいです。

 

 
──その流れでお聞きしたいんですけども、興味を持った開発者はどういったアクションを取ればいいでしょうか? 実機を貸していただいたりはできますか?

 
高橋氏 残念ながら、今は貸出機を用意してないんです。

 
──それは買うしかない?

 
高橋氏 そうですね。HoloLensのSDKにはエミュレーターも用意してますが、PCの画面で見るのとHoloLensで体験するのはまったく違うので、今はどうしても最後は買っていただくしかないです。ただ、手元にあれば、「HoloLensアカデミー」という開発者向けのチュートリアルが豊富に用意しているので自分で学べます。品川にきていただくことになりますが、実機でプログラミグを体感していただくハンズオンの機会もこれからつくっていきたいです。

 
──いいですね!

 
高橋氏 自分でコードを書いて体験して、よければ購入を本気で検討しようという開発者も多いと思います。そのハンズオンもどんどん増やしていきたいのですが、考えれば考えるほどやることが増えて自分の首を絞めていくみたいな(笑)。

 
──(笑)。最後にひとつだけ、高橋さんの最近のお気に入りアプリを教えてください!

 
高橋氏 最近出た「HoleLenz」(ホールレンツ)は面白かったですね。元々、壁に穴が空く感が好きで、Roboraidでよく遊んでましたが、HoleLensはすごく新しい感覚。「ぜひ足元に穴をあけてください」っていのがお気に入りです。今後もいろいろな施策を考えていますので、引き続きぜひウォッチしてくださいね。

 

 
 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
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