Valve、音響ツール「Steam Audio」公開 音響も物理演算でVR・ゲームにリアルなサウンドを

LINEで送る
Pocket

Steam Audio
 
24日、米ValveはゲームやVRアプリケーションのための音響設計ツールの「Steam Audio」を公開した。主に物理演算によるリアルな音響で没入感の高い体験を得られることを特徴としている。 
対応機種はWindows, Linux(Steam OS), macOS, Androidで、特定の機器やVRの有無に囚われずにロイヤリティフリーで使用可能だ。 

Steam AudioはHRTF(Head-Related Transfer Function:頭部伝達関数)ベースのバイノーラルオーディオ(人間の頭部を再現した音響)の上に物理ベースのサウンドの伝播を追加して、没入感を高める機能を有している。以下にいくつかの機能に分けて概要を紹介する。 

オクルージョン(閉塞)


 
UnityやUnreal Engineで使われているレイキャスト(任意の線上にある物体を認識する)オクルージョンに加えて、Steam Auioは部分的なオクルージョンをサポートした。部分的なオクルージョンを使えば音源が一部しか見えない時にサウンドも一部だけが聞こえるように遮られるようになる。Steam Audioの機能は既存のシーンジオメトリを使用するので、新たに特別なオクルージョンジオメトリを作成する必要はない。
 

物理ベースの残響(リバーブ)とリアルタイムサウンド伝播


 
Steam Audioは実際のシーンジオメトリを使用して残響をシミュレートする。
 
現在のゲーム制作では音の反射や残響は狭い個室や廊下、曲がり角といった空間のシチュエーションごとに手作業で個別に設定を行う方法を用いることは珍しくない。しかし、Steam Audioでは音響素材のプロパティに基づいて、シーン内の様々なオブジェクトがどのように跳ね返るかを物理ベースでシミュレートできる。Valveは例として「カーペットは大きなガラスパネルにように音を反射しない」ことをシミュレーションできるとしている。
 
つまり、Steam Audioを使えば、金属製の床や木箱、布のカーテンといったアセットごとに音響用に素材の設定をするだけで、それらのアセットが置いてある空間の形状に適した残響効果を得ることができる。 

ベークドリバーブ&伝播

ゲームエンジンでは壁や電柱などの動かない物体と固定された照明といった静的シーンのライティングは、リアルタイムで処理せずに事前に計算して描写しておくことで負荷を軽減し、歩く人間や動く照明といったリアルタイムに動く影の計算に力を回すことができる。
 
Steam Audioでもライティングと同じように、音源が定位置に固定されていたり周囲のアセットが動かない場合にサウンドも伝播効果を空間にベイクする(焼き付ける)ことができる。そうしてリアルタイムに計算する必要のあるサウンド、伝播と残響の品質を上げることができるようになり、VRにおける空間の音響がよりリアルになって没入感が高まる。 
 
 
 
現時点ではゲームエンジンのUnityとC APIで利用可能で、公式ページから入手できる。将来的にはゲームエンジンのUnreal Engine 4, サウンド系ミドルウェアのFMOD STUDIO, WWISE向けにも対応する予定だ。
 
 
(TEXT by ぱソんこ
 
 
●関連リンク
Introducing Steam Audio
Steam Audio

LINEで送る
Pocket