モーションチェアで無重力に! トム・クルーズの映画「The Mummy」のVRメイキングがスゴい【SXSW 2017】

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米国時間の10〜19日に開催しているクリエイティブコンテンツの祭典「SXSW 2017」。メインの展示会場となるオースティンコンベンションセンターでは、別ホールを貸し切って実施している展示もあった。その中から米国で今夏上映予定の映画「The Mummy」をモチーフにした「THE MUMMY Zero Gravity VR Experience」をレポートしていこう。

 
 

モーションチェアの不安定な姿勢が無重力!

The Mummyは、1932年に公開された映画「The Mummy」を始めとする「The Mummy」シリーズのリブート版だ。数千年もの時を経て砂漠の下に埋葬された古代の女王が目を覚まし、現代の人間に対して復讐を始めるといったストーリーで、アレックス・カーツマンが監督、トム・クルーズが主演といった感じになっている。2016年12月にはオフィシャルトレーラーが公開されて、クルーズが演じる主人公がミイラの棺を運ぶ途中に飛行機事故に遭うシーンが描かれた。

 

 
SXSWで体験できたTHE MUMMY Zero Gravity VR Experienceは、この飛行機が落ちて無重力(Zero Gravity)状態になっているシーンの撮影現場を、360度カメラで撮って編集したメイキング映像だ。会場ではVRゴーグルの「Oculus Rift」をかぶって、さらにVRモーションチェアの「VOYAGER」に座ってもらい、微妙にイスを倒す角度を調節することで体験者のバランスを崩して無重力状態を再現していた。

 
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VRモーションチェアはPositronの「VOYAGER」を採用。

 
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コンベンションセンターの入場パス受け取り場所から真逆のところにあるBallroom Bにて実施していた。

 
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事前予約なしでいったところかなりの人気で行列ができており、30分ほど待つこととなった。

 
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ようやく会場に入ったところ、いきなりVRの体験ではなく、木製のコンテナと輸送機の胴体後ろ半分がセットとして用意された場所だった。ここで映画のトレーラーを見つつ、簡単な説明とVR体験について解説された。

 
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解説後に輸送機の後ろから入っていくと……。

 
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なんとミイラの棺が! 絶好の撮影スポットで多くの人が棺と一緒に写真を撮っていた。もちろん筆者も撮った(呪われないんだろうか……)。

 
上の動画を再生した方ならお気づきだろうが、これらのセットはトレーラーで見たシーンを再現したものだ。VRコンテンツのデモでは、事前に体験者の気持ちをいかに盛り上げて、あちらの世界に入り込みやすくするかが重要になってくるのだが、まず映画の世界観を見せておいて刷り込むのは上手いやり方だと感じた。

 
それと同時に、解説中には先発組がVRを体験しており、暇な待ち時間を少しでも減らす効果も生んでいる。世界観のセットを再現するためにはコストがかかるものの、映画などのVRプロモーションを考えるのならぜひ参考にしたい手法だろう。

 
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……ってな感じでようやくVR体験コーナーに呼び込まれたところ、まず20台ずらりと並んだVOYAGERが! 圧倒的だ!

 
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正面にはこれまたトレーラーで見た輸送機の計器類がプロジェクターで映し出されている。芸がかなり細かい。

 
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暗闇に卵状の赤いシートが並んでいる様子は、かなりインパクトがある。これから何が起こるのかかなりドキドキする。

 
さて実際のVR体験だが、覚えている限りでは、冒頭の方に映画のトレーラーが流れ、トム・クルーズが出てきて映画の無重力シーンについて解説。ここは普通の映像がバーチャル空間の正面にデカデカと表示されるパートだったが、その後、360度カメラで撮影した映像に切り替わって、体験者の目の前で飛行機の中に役者とスタッフが乗り込んでいく。

 
あとは飛行機が急降下して、無重量状態になっている現場を360度で視聴可能だ。目の前には極限下で50テイクを超える中でも迫真の演技を見せるトム・クルーズとアナベル・ウォーリス、横や後ろを見れば周囲のものに必死に捕まって撮影しているスタッフといった具合に、緊張感がとてもよく伝わってきた。

 
最後に撮影の終了を祝って(?)20名ほどの役者とスタッフが無重力状態の中に放り出されるのだが、あらゆる方向で人が飛び回っているのを見ているだけで喜びが伝わってきて楽しくなる。まるで自分がその場にいたように感情移入できて思わず拍手してしまった。

 
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おーさむえくすぺりえんす!

 
この飛行機の上下で活躍していたのが、VRモーションチェアのVOYAGERだ。重低音を振動で表現してくれるボディーソニックが仕込まれているだけでなく、飛行機がフライトする際には、ぐいっと後ろに倒れて高度を上げている状態を再現。前述したが、無重力状態になったときにも絶妙な角度でイスを倒し、体験者のバランスを崩して無重力状態を錯覚させてくれる。誰しも小学校の頃にやったイスを半分倒してグラグラするあの状態と思っていただければ間違いない。Zero Gravityというテーマについて、目だけでなく体で実感させてくれるよくできた実写VRコンテンツだと素直に感じた。

 
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根元の部分を動かして角度をつけている。なお、ポッド自体は左右に回転することはできず、後ろを見るために首を回す必要があって苦労した。

 
気になったのは、VR酔いしやすい筆者なので軽く酔ってしまったことぐらいだ。といっても周囲の方々は普通に楽しんでいたようなので、筆者の方が例外なのかもしれない。

 
映画やドラマのメイキングを360度撮影しておいてVRゴーグルで見せるというのは、その作品や役者のファンにとって特別な体験になってくれるだろう。なんならニュースやバラエティーといった普段テレビで見慣れた番組でも、その現場に自分がVRゴーグルで入れるというのは、新しい発見があったり、出演者への親近感が高まりそうだ。

 
少なくともほとんど映画を見ない筆者でも、トム・クルーズがあれだけがんばって撮ったものなら、ちょっとThe Mummyを見てみたいと思ってしまった。国内での展開は不明だが、機会があったらぜひとも体験してほしい。VRで映像コンテンツのマーケティングを考えている方々はぜひ参考にしてみよう。

 
 
*SXSW 2017まとめページはこちら

 
 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
●関連リンク
THE MUMMY Zero Gravity VR Experience
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