gumi、VRゲーム開発会社「よむネコ」グループ化のワケは? 国光氏・新氏に聞く

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3月10日、gumiは社内にVRスタジオを立ち上げるため、子会社である「Tokyo VR Startups」の第1期参加チームである「よむネコ」をグループ会社化すると発表した(関連ニュース)。よむネコはどういった経緯でグループ入りをはたしたのか。gumiの代表取締役社長、国光宏尚氏(写真左)と、よむネコの代表取締役、新清士氏(同右)に話を聞いた。

 

VRで突破できるのはFPS、創作、RPGの3つ!

 
──どういった経緯で今回のよむネコのグループ会社化に至ったのでしょうか?

 
 そうですね、ひとつの理由としては市場環境の変化があります。米国を見てみると、すでに1億円以上の売上を立てる企業が8つ出てきている状況で、まだ爆発的とはいえませんが着実にマーケットが立ち上がっていて、ここから先急激に伸びていくことが予想されます。しかし、日本はまだ先が見えない状態です。

われわれよむネコも、海外を目指してコンテンツを売っていたわけですが、特にgumiさんはgumiさんは海外のVR関連企業に多く会っていて投資もしていて、向かっている方向性は一致している。弊社としても今、攻めるためには安定した資金が必要なわけで、より強力な財政基盤を得るためにグループに入るという選択が出てきたのです。

 
──国光さん側から見てよむネコのどこが魅力だったのでしょうか?

 
国光 VRのノウハウを持っている企業を今伸ばすために、gumiとして資金を投じたかったのです。VRコンテンツはやっぱり、なんだかんだで細かいノウハウの積み重ねが重要です。モバイルゲームでいえば、見た目の部分がパクりやすいので、ひとつヒットすると類似アプリが数多く出てきますが、本質は裏側のデータの扱い方だったりして、そこまでコピーできずに失敗しているケースも多いです。でもVRは裏側だけでなく、見えている部分ですら真似るのが難しい。

 
──確かに。同じVR FPSゲームでも、爽快なものがある一方で、VR酔いしてしまって「二度とやるか」と思うものもあります。

 
国光 そう。もちろん、新さんが先ほど言っていた1億円を超える企業が数社出てきたという話もあって、これってまだゲーム配信サービス「Steam」で30、40万本しか売れていない状況での金額なんです。2017年末に向けてよりVRゴーグルの台数が出て行けば、ある程度のマーケットが形成される。

そして、これも新さんと議論してるんですが、VRで受けそうなジャンルもわかってきました。モバイルの経験では、ヒットしたジャンルが意外と狭いんです。

 
──と言われると?

 
国光 gumiは当初、「全世界・全ジャンル制覇」という目標を掲げていて、アクションやレーシング、FPSなどいろいろなジャンルのアプリをつくりまくったのですが、最終的に世界で流行ったジャンルは、RPG、ストラテジー、パズル、カジノぐらいでした。PCで流行ったゲームが全部ウケたわけじゃなくて、モバイルに向いたジャンルがあったというのが、重要なところだと思っています。

 
──色々経験されて、結果としてわかったっていう。

 
国光 そう。その話でいうと、VRで現時点で見ているジャンルは、FPSと創作、RPGの3つだと思っています。FPSは、現状のタイトル数などからいっても100%きますよね。創作系は「Minecraft」のように自分で何かをつくるものを想定していて、VRお絵かきソフトの「Tilt Brush」からどう進化していくか見守ってます。RPGは、最後にいきつく先がMMO(大規模マルチプレイヤーオンライン)なのかなと。その中で「日本初」に挑むなら、FPSはちょっと難しい。

 
──いやいや、意外とよむネコがやってくれるかもしれませんよ!

 
 正直、しんどいですね(笑)

 
国光 FPSは欧米系のタイトルが多く出てきてるので、そのフィールドで戦う必要はないかなと。一方で、RPGって少ないので、そこを目指すのはいいかなと。いきなりMMOはできないので最初はMO(マルチプレイヤーオンライン)かもしれないけど、MMOまでたどり着けたら確実にデカいヒットが飛ばせる。そうした背景を受けて、gumiも世界で売っていくノウハウを持っているし、協力したほうが早くヒットを目指せるかもということでグループ会社化に至りました。

 
──では開発がよむネコ、配信がgumiという座組もあり得るという?

 
国光 その辺は今後って感じですけどね。

 
 一方で国光さんも触れていましたが、いきなりMMOを完成させるのは難しい。FPSを見ても、現状、一番よくできているとわれている「Robo Recall」ですが、マップをみると「Arizona Sunshine」が充実している。

 
国光 そもそも最初は既存のFPSをそのまま移植しようとして、それって相当に酔うじゃないですか。その酔いを回避するために1箇所に立っている感じになって、360度全方位から敵が襲ってくるスタイルになった。そこから武器も敵も種類が増えて、マップもワープで移動できたほうがいいよね、と。さらにマップもある程度の範囲を自由に動けて敵とエンカウントする方式にしたのが、Arizona Sunshine。どれもいきなり今の方式にたどり着いたわけじゃなくて、積み重ねがあるんです。

 
──確かに!

 
国光 RPGも当然、将来的にはMMOを目指しますが、例えば、武器や魔法などを使うバトルシーンから始めて、「じゃあマップはどうする?」「ストーリーはどう入れる?」と突き詰めていきたい。マルチプレーも超重要です。そうした要素をひとつひとつつくっていく中で、MMOを目指すみたいなイメージです。

 
──パーツごとにつくっていくような感じですかね?

 
 そうですね。

 
国光 海外を見ていると、完成品を40、50ドルで売ろうっていう動きは相当なくなりつつあって、9ドルとか、19ドルとかでまずリリースしつつ、早いサイクルで追加パッケージを出す動きに変わっている。

 
 先のGDCでも感じたのですが、早い段階からユーザーとの接点を持って情報アップデートしていくというのがポイントなんです。よむネコでも日本国内でユーザーテストをやってきましたが、海外で売るとなったときに米国の雰囲気がなかなかつかみきれなかった。

その点、gumiさんならスマホで成功させたワールドワイドで売るノウハウを持っていて、VRでも今立ち上げのところなのでユーザーコミュニケーションをもっと密にやっていけるだろうと。単純にプロジェクトを立ち上げるだけでなく、同時にコミュニケーションもちゃんとやっていくことがすごく重要で、だから一緒にやるメリットが大きいだろうと。

 
──先ほどの話になぞらえると、「エニグマスフィア」で得た知見は、そのままMMO RPGにつながっていくという。

 
 そのままいきます。極端な話、振っているハンマーを剣にするだけですから。現在、「エニグマスフィア」は梅田ジョイポリスに常設されていますが、投げたときの気持ちよさや、まったく酔わない体験、一緒に2プレーをやる楽しさなどをセガさんに評価していただいてます。

 
 

3年後の市場拡大に向けて備えるべし

 
──VR市場が大きく動くのは、いつぐらいになると予想していますか?

 
国光 僕のVRに対する大枠の見方は昔から変わってません。まずモーションコントローラーを使ったリッチな体験を提供してくれるハイエンドが先行するので、現時点でGear VRやDaydreamなどは時期尚早。ただ、ハイエンドは当然価格帯も高いし、コードが邪魔だったり、センサーの設置が面倒だったり、場所をとったりといった制約が売れ行きに影響しているところもある。

一方で、おそらくそんなに遠くない1年ぐらい先の未来には、コードレス、センサーレスの一体型が出てくる。もちろん価格がポイントになるけど、そこは頑張って10万円以下にしてくれるはず。その先の3年後ぐらいには、スマートフォンでも今のVIVEとかと同じVR体験ができるようになっているはずで、そこが勝負どきだと思う。来るべき3年後のその日に備えて、きちんと準備をしてきたところが市場をしっかりとっていくんだろうなと思います。

 
──一方で、日本のVR市場は北米ほど加熱していませんが……。

 
国光 日本もロケーションベースVRはある程度成功してて、ここは立ち上がっていくと思う。でも今の時点で語るのは危険で、すべて出遅れているものの、でも新型iPhoneが「VR Ready」になった瞬間、ダントツの超大国になるじゃないですか。

 
──確かに!

 
国光 しかも一体型で10万円を切ってくれば、それなりに日本市場もでかくなる。ただ、やっぱり現状はハイエンドPCも必要で制約が大きすぎるから、日本市場だけ相手にしていたら食っていけないですよね。

 
──それはその通りだと思います。

 
国光 ロケーションVRはアジアでも伸びているので、現状、欧米とアジアのロケーションVRでしっかりとした地位を築いて、売り上げをつくりながら開発体制を強化していきたい。その上で、日本市場向けには、来たるべきときに打ち出していくというイメージです。

ただ、先ほどのMMOの話にもつながりますが、gumiでもモバイルゲームを数多く海外展開してきましたが、自分たちが「これは米国でウケるんじゃね?」と思ってやったものって、たいていコケるんですよね。

 
──そうなんですね!

 
国光 逆に海外のメーカーが日本ウケを狙ってつくったものもそうですよね。

 
──確かに。

 
国光 同様に、日本の開発チームでつくっていく以上、安易に北米に迎合するんじゃなくて、こっちの国でしかつくれないものを意識してやっていくのが重要。Robo Recallをつくろうとしたら負ける! これは絶対!

 
──(笑)

 
国光 市場はキラーコンテンツが引っ張っていくものなので、よむネコはそうしたところに向けて人材の採用も強化して本格的に始動していきます。

あとは今年はグローバルでのネットワーク、エコシステムをより強固にしていきたい。3月28日には「Tokyo VR Meetup 特別編 ー海外VR企業に聞く世界のVR事情ー」と題して、韓国と米国のVR事情について語ってもらいます。日本と米国、日本と欧州、日本と韓国といったかたちでいろいろなところを混ぜていくというのが、ひとつの目標でもあります。ぜひ期待していてください!

 
*初出時、タイトルを「『よむネコ』買収」としておりましたが、正しくは「『よむネコ」グループ化」です。訂正してお詫び申し上げます(3月23日14時43分訂正)

 
 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
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