誰でも映画クリエイター カメラを持って3DCGを撮れる「映画ツクール」が可能性の宝石箱や!

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VRが生きる用途のひとつに、トレーニングが挙げられる。例えば、作業手順や安全確認など、リアルでやるには機材や人を揃えるのにコストがかかりすぎるけど、冊子や映像で学ぶには頭に入りにくい──。そんな体験をバーチャル世界で用意しておいて、VRシステムさえあればどこでも繰り返し再現できるというのが大きなメリットだ。

 
そんな流れで最近ネットで注目を集めたのが、映画制作ツールのVRデモ「映画ツクール」になる。作者は、以前にもVRフィギュアで取り上げたMuRoさん(@MuRo_CG)。PC向けVRゴーグルの「Oculus Rift」をかぶり、モーションコントローラーの「Oculus Touch」を両手に持ってバーチャル空間の中に入り、ビデオカメラを手にとってプレビューしながら映像を撮れる。

 

 
これだけでも「オラ、なんだかワクワクしてきたぞ」な話だが、VRは体験に勝るものなしということで、実物に触れるのが重要になってくる。というわけでMuRoさんにお願いしてかぶってきました!

 

画角もパパッと変更できる!

まず撮影シーンのシチュエーションとしては、部屋の窓際にテーブルが置かれており、赤と青の素体が向き合って、身振り手振りしているというものになる。特にストーリーや音声があるわけではないが、大ぶりな動きが何か言い争いをしているように想起してしまうのが不思議だ。あとはユーザーはVR空間に出現しているカメラを手にとって、ガンガン撮影していくだけでOK。なお今回はデモなので、このシチュエーションしか選べない。

 
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中央にいるのがユーザーで、ここではカメラを空中に置いてその前に立って自分を撮っている。やけにリアルなのは、3DスキャンしたMuRoさんが割り当てられているから。

 
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カメラをガバッと両手で持って、外部のキーボードで指示して録画スタート。Oculus Touchの親指部分にあるスティックで画角(画面に入れる広さ)を変更可能だ。望遠側にすると、きちんと背景がボケるようになるのも細かくてGood。

 
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前後左右に動かすことで、直感的にアングルを変えられる。さらにプレビューモニターに顔を突っ込むと、周囲の光景がシャットアウトされるので撮影に集中できる。MuRoさんによれば1日で作成した(!)そうだが、基本的な機能は揃っていそうだ。

 
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スパゲッティー食べたでしょ。

 
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食べてないよ。

 
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ケチャップついてるやん。

 
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たーべーまーしーた!

 
……みたいな形で勝手にセリフが想起されてしまうのが面白い。MuRoさん曰く、このモーションは特に意図があるわけではなく適当につけたとのことだが、光の当たり方やカメラアングルで無限に意味合いが生まれてくるのが面白い。

 
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窓側に立って撮るとなんだか暗いシーンのイメージ。ちなみにリアルとは異なり、3Dオブジェクトがある場所にも立てるのが撮影時に便利だ。

 
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反対に光を当てまくって手のアップを撮ってみたり。指輪とか出てきそうですよね。

 
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素体のモーションはループしているので、下からあおって撮ってみたり、俯瞰にしてみたりと、同じシーンを別のアングルで何度でも取り直せるのが素晴らしい。

 

 

入門者やカメラのプロ、UGCなど広い範囲に活用

MuRoさんがこのツールをつくる直接のきっかけになったのが、出社したら机の上に「マスターショット100」というカメラテクニックの書籍が置いてあったことだ。もともと映画好きなこともあり、過去の名作を例にさまざまなカメラアングルが紹介されているページを見ているうちに、こうしたカメラワークを自分で試してもっと簡単に学べないかというアイデアに至った。

 

 
また、3D CGのカメラ操作性も向上できる。今や実写の映画にも当たり前のようにCGが使われている時代だが、カメラマンとして経験は豊富なのに3Dソフトを操作する知識がなくて扱えなかったり、マウスでの操作が直感的ではないので意図したカットをつくるのに時間がかかったりしてしまう。

 
そうした課題を一気に解決できるのが、このVRの映画ツクールだ。

 
実際体験してみた感想は、繰り返し撮影できるところが非常に魅力的だということ。筆者も静止画だがカメラマンとしてイベントやライブを撮影することが多く、何度も現場を踏んでいく過程で「あっ、この現場ではこの角度でこう撮るといい絵になる」という経験を蓄積してきた。VRの映画ツクールは、まさにその気づきを得るのに絶好の「場」だという実感だ。

 
まだ1日でつくったデモなので、機能はそこまで拡充されていないものの、将来的にはゲームエンジンのVRエディターのように、映画セットをバーチャル空間上で組んで、照明や天候などを調節して撮影……といった風にも使えそうだ。ほかにも複数台のカメラを意図した場所に置いて一気に撮影し、スイッチャーで切り替えてつなぐといったワークフローも可能だろう。

 
プロだけでなく、ユーザー生成コンテンツ(UGC)の文脈でも広がりがある。初音ミクやアイドルマスターをはじめ、すでにキャラもののライブVRコンテンツがいくつか出ているが、ユーザーにカメラを持ってもらって好きに撮影してもらい、その動画をSNSで投稿する流れも可能だろう。通常はテレビで遊び、その撮影モードだけVRで楽しむといったゲームもできそうだ。

 
一方で懸念がないわけでもなく、MuRoさんいわく、特にアニメ調のキャラは単純に登場させてモーションをつけただけでは不自然になってしまうこともあるという。というのも、アニメは映画のレイアウトがそのまま使えるわけではなく、ある角度でよく見えるように調整していることもあって、方向によっては絵が破綻するケースも出てくるとか。

 
ともあれ、このVRの映画ツクールは多くの可能性を秘めているデモだ。MuRoさんいわく「やってる本人が楽しいのが前提。ズームのシーンを2回つなげると急に重要なセリフをしゃべったように見えたりとか、手元をとってからの顔にパンしたりとか、すごく遊べる。本物のカメラマンが撮ったらどうなるのか試してほしい」と語っていた。ぜひ興味のある方は、MuRoさんのTwitterにコンタクトをとってみてほしい。

 
 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
●関連リンク
MuRo氏(Twitter)

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