NTTテクノクロス「パノラマ超エンジン」デモを体感 360度動画をズームしたいニーズに応える

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NTTテクノクロスは12日、会社設立の記者発表会を開催した。同社はNTTソフトウェアがNTTアイティを吸収合併し、さらにNTTアドバンステクノロジの音響・映像に関する事業を統合して4月1日に発足した企業だ。代表取締役社長は、NTTソフトウェア出身の串間和彦氏(写真中央)。

 
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3社それぞれで分担していたNTT研究所の最先端技術を集結して、より高付加価値なサービスを社会に提供。

 
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研究所技術の活用、統合契機の新たなシナジー、新ソリューションの創出──という3つが事業の柱となる。

 
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社名の「クロス」には、最先端の技術を掛け合わせて、今までなかった領域にサービスを提供していきたいという意味が込められている。

 
その発表会にて、NTTアドバンステクノロジが有していた「パノラマ超エンジン」のデモを実施していたので、レポートしていこう。

 
 

高解像度だからズームにも耐えてくれる

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現状、360度動画の課題として、よく挙げられるのは解像度だ。360度映像をVRゴーグルで見た場合、テレビやスマートフォンなどの画面に比べて空間の広がりや人物の近さなどを実感しやすいのがメリットだが、一方で「画面がなんだか荒い……」という意見があるのも事実だ。

 
この原因は、360度動画の仕組みに起因する。360度動画は「エクイレクタングラー」と呼ばれる画面比2:1の形式で保存されており、再生ソフトではちょうど横長の世界地図を地球儀にするように映像を展開している。ユーザーはこの地球儀の中心に頭を置いており、ゴーグルを向けた方向の一部が切り取られて表示されているイメージだ。

 
しかしこの方式では、例え元の解像度が4K相当(3840×1920ドット)でも、VRゴーグルで見える部分はかなり狭まってしまい、ゴーグルの視野角が90度なら90/360度=960/3840ドット相当しか表示されていない。しかもVRゴーグルで見ると、目の前の数cm先にディスプレーが置かれているわけで、よりドットが目立ちやすい。フルHD(1920×1080ドット)の精細な画面に慣れた現代人にとっては、先に触れたように「なんだか荒い……」と感じてしまうわけだ。

 
では、解像度をよりあげればいいかというと、今度は再生機器やネットワークの性能が引っかかる。現状、8Kの映像は一般的なパソコンですら再生が難しく、多くの人が持っているスマートフォンはさらにハードルが高い。動画の圧縮率をより高くすれば再生負荷も軽減されるが、荒さも目立つようになってしまう──と「痛し痒し」な状態だ。

 

ドバイ空港を写した8Kの360度映像。解像度を8Kに変えて再生してみると、機器やネットワークの負荷の具合がわかるはず。

 
そうした課題を解決するひとつの方法が、NTTテクノクロスのパノラマ超エンジンだ。

 
実は2014年にNTTとドワンゴが協力し、小林幸子さんのコンサートをVRライブストリーミングして、Oculus Riftで現地にいるように見られるという試みが行われた(レポート記事)。このときは低解像度/高解像度という2つの360度動画を用意し、周囲を見回しているときは低解像度で再生して、止まってしばらく注視すると高解像度に切り替えるという仕組みで、ネットワークの帯域を節約しつつなるべくきれいに見せる環境を実現していた。

 
パノラマ超エンジンは、この研究所の技術をNTTアドバンステクノロジが受けて、3D表示などの独自機能を加えて発展させたものだ。Android 4.4以上/iOS 8.1以上というスマートフォン向けで、再生時は独自アプリを利用。SDK提供もしているので、自社アプリにこのエンジンを組み込むことも可能だ。

 
会場では、VODとライブストリーミングの2つのデモを用意していた。

 
VODでは、前述した「少し待てば高解像度」という機能を体験できた。例えばコンサートの360度動画では、ステージの一部をもっとズームして見たいというニーズが出てくるが、このときに見回しているときは低解像度、注視してしばらく待つと高解像度という機能が生きてくる。

 
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ゴーグルに入れない視聴スタイルも想定。指でスワイプして視界を切り替えて……。

 
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ズームしたいところでストップ。

 
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しばらく待つと「メインゲート」と書かれた文字がシャッキリしたのがわかる。スタッフによれば、「スマホ向けの360度配信はフルHDのものが多いが、それではズームには耐えられない。この辺がわれわれの売りになる」とのこと。

 
パノラマ超エンジンはすでに利用実績があり、例えば2017冬季アジア札幌大会(PDF)や「Mrs. GREEN APPLE」の新曲プロモーションなどで活用されてきたとのこと。「idoga」を展開するクロスデバイスなどパートナーも多いため、エンジンだけでなくトータルでの提案も可能だという。

 
さらにこのパノラマ超エンジンに、旧NTTアイティが提供してきた電子透かしの技術を「クロス」させることで、スポーツ中継のパンフレットをスマホで読み込むだけで、会場の360度映像をリアルタイムで視聴できる──という活用ができるようになるそうだ。

 
ライブストリーミングのデモも、旧NTTアイティの大規模ライブ配信ソリューション「viaPlatz」を利用。同社の横浜事業所に360度カメラを置き、HLS(HTTP Live Streaming)形式を利用して4Kの360度映像を3Mbpsに圧縮して、LTE経由でスマートフォンに配信するというデモだった。同じ動画を、仮にH.264で配信しようとすると12Mbpsかかってしまうという。

 
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スマホなので、そのままVRゴーグルに差し込んで見ることも可能。ライブストリーミングのタイムラグは10〜15秒ほどだった。なお、このゴーグルは子供でも見られるように単眼になっている。

 
直近では、6月28〜30日に東京ビックサイトで開催される展示会「コンテンツ東京」に、8K映像/6Mbps(実験段階)の360度ライブストリーミングのデモを出展予定なので、気になる方々はぜひ現地でチェックしてほしい。

 
 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
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