現実を超えたVRがそこにある──ファンが語る「アイカツスターズ! イリュージョンShow Time」の魅力

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横浜にある劇場「DMM VR THEATER」にて、23日よりついに上映が始まった「アイカツスターズ! イリュージョンShow Time」。試写会レポートに続いて、今回もアイカツ!・アイカツスターズ!ファンによる座談会をお届けしよう。

 
メンバーは、前回の「LIVE★イリュージョン」再演で熱く語っていただいたカヤックVR部リーダー・原真人氏と、某企業でVRに関わるお仕事をされている女性・(仮名)さんのお2人だ。そこまでアイカツスターズ!に詳しくない筆者の目から見ても、完成度がかなり高く見所の多いライブだったが、さらにファンならどこに感銘を受けたのか。8000字ほどのロングインタビューになってしまうが、ぜひアツい想いを受け取ってほしい。

 
なお、演出面などで若干のネタバレを含むため、まっさらな気持ちで見に行きたい人は鑑賞後に読んでほしい。……といっても、VRもライブも読むのと体験するのでは、まったく受け取り方が違うので、逆に期待が煽られると思いますYO!

 
 

「カレンダーガール」が流れた瞬間、衝撃が走った

 
──原さんの経歴については前回の座談会を読んでいただくとして、蕪さんのアイカツ歴を教えていただけますか?

 
 ごきげんようジャパン! 私は元々、いわゆる女児向けアニメには興味がなかったのですが、アイカツ!のアニメが始まった2012年の年末、出会いのきっかけがありまして……。

 
 僕も同じで女児アニメには興味なかったのですが、アイカツ! だけ急にハマりました(笑)

 
 わかります!! 当時、冬休みの子供たちが楽しめるように、公式サイトで最初の12話を期間限定で一挙配信していたんです。それを友人に「とにかく見てくれ」と強烈に勧められまして、義理で就寝前に「とりあえず1、2話見るか」というつもりで見始めて、気がついたら朝でした。

 
──ちょ(笑)

 
 そのまま最新話を録画予約して、その朝は寝ました(笑)。最初はやっぱり興味のないジャンルでしたし、「ふんふん、こういう感じなのかー」と、ニュートラルに見ていたんですが……、エンディングの「カレンダーガール」が流れた瞬間、衝撃が走りました。

 

 
 ああーー!

 
──えっ、どういうことですか!?

 
 やっぱり、楽曲のレベルというか威力が「穏やかじゃない!」ですよねー。

 
 楽曲としてもすさまじい力があるのですが、さらにエンディングイラストもレコードが回っていくもので、とても凝った演出なんです。「これは曲も演出も含めてターゲットの女の子達に伝わるの!?」と思いました。それで、ちょっと話は飛ぶのですが、かつてNHKで放送していた子供向け番組の「ハッチポッチステーション」を思い出しまして……。

 
──どういうことでしょうか。

 
 番組の内容はグッチ裕三さんとパペット人形たちがドタバタコメディを繰り広げるというものなんですが、その合間にグッチ裕三さんが歌うコーナーを挟むんですね。童謡をプレスリーやビートルズのパロディスタイルで歌うという、メインターゲットには絶対にわからないぶっ飛んだもので(笑)

でも、子どもたちが将来パロディ元に触れたときに、「これハッチポッチステーションでみたことある!」と思って、いろいろな音楽に触れるきっかけになるのではないかと。アイカツ!にも、それに近いものを感じました。アイカツ!の楽曲も非常にいろいろなジャンルを取り入れていますし。

 
 なるほど、実に興味深い。教育的な側面もありそうですね。文化を知るきっかけになりそうですし。

 
──そのエンディングきっかけでハマって、ずっと見ている感じなんですね。

 
 ストーリー面でクオリティの高さを確信したのは6話の「サインに夢中!」です。初代主人公の星宮いちごちゃんは全く素人の状態でアイドルの学校に入ってくるので、アイドルとしてのサインを持っていません。そこで、自分のサインを考えなきゃ……というのがあらすじです。

ですが、実はサインができるまでが前座と言ってもよく、そもそものサイン意味、何のために、誰のために存在するのか? という投げかけがされます。自分の仕事を帰りみるほど、思い入れのある話です。

 
 アイカツ!は、仕事熱心な人に響くパターンが多い気がします。

 
 そうかもしれません。アイカツ! はすべてのことがつながっていて、全部自分に返ってきます。前回、原さんもお話しされていましたが、立ちはだかる困難を悪役に任せるのではなく、切磋琢磨するライバルはいますが、最終的には自分と向きあう話なんです。そして、1話1話ですぐに理解することは難しいかもしれないメインターゲットの女の子たちにも、50話を積み重ねることで、「カレンダーガール」の歌詞「何てコトない毎日がかけがえないの」が響くんじゃないかと。

 
──深いですね……!

 
 

ふなっしーの姿に「いちごちゃん」を見た

 
──想いがアツくていいですね〜! そういえば蕪さんは、アイカツ!以前にもDMM VR THEATERに行ったことがあるとか。

 
 2015年9月に初回公演コンテンツの「hide crystal project presents RADIOSITY -prologue-」を見に行っています。発表会の報道を見た時、hideのほかにデモンストレーションで「ふなっしー」が出てきたんです。その瞬間、ふなっしーにいちごちゃんが見えたんですよ。いつかこの場所でアイカツ!のライブが上演されると確信しました。

 

 
── !?

 
 フルCGのふなっしーがアリなら、これはもういちごちゃんへの道しるべじゃないですか!

 
 普段からアイカツ! のことを考えてるからこその発想ですね。これはカリエンテ、つまり熱い!

 
 グラシアス、つまりありがとう! 幸い、hideとアイカツ!が好きで同じ結論に至った友人がいたので、一緒に初回公演を見に行きました。終わった後、「俺たちはいつかここでアイカツ! を観るんだ。これもまたアイカツだね!」という興奮冷めやらぬまま、喫茶店で5時間くらいhideとアイカツ!の話をしていましたね。

 
──スゴい(笑)。そんな想いがあるお二人ですが、今回見た講演は100点満点でいうと何点でしたか?

 
 それは……1万点くらいかな。

 
──100点満点って言ってるのに!(お約束)

 
 私も同じ気持ちです。半端ではありません!

 
 期待をはるかに超えてきたので。期待通りだったら100点だったでしょうけど。

 
 アイカツスターズ! のステージとしても、DMM VR THEATERで見たものとしても面白かったです。白銀リリィ先輩の言葉を借りるなら、「赤毛のアンがいたらこう言うでしょう、『こんな日に生きていられて良かった』」という感じでしたね。

 
 ショーとしての完成度も、演出の盛り方も、自分としてはこれまで観たことがないくらいにレベルが高かったです。かつ、フアンの気持ちをよくわかってる内容になっていて、非の打ち所がなかったです。まさにパーフェクト!

 
 

ファンの気持ちを理解した演出! 驚きの波状攻撃!

 
──どのあたりが、ファンの気持ちをわかっていると思いましたか?

 
 まず、演出の個性付けが非常に丁寧にされていたことです。登場・退場のエフェクトひとつとっても、ちゃんとそのキャラクターのカラーに合ったものが個別に用意されていて、しかも非常に納得できる、どころか「こんなかっこいい登場ってある!?」って思わせるくらいよくできた演出になっていたところです。

「ここは同じで端折ってもいいでしょ」と判断されかねないようなところも、個性に合わせて丁寧に演出分けされているところに感動しました。そういうのが何度も出てくるので、「やっちゃう!? そこまでやっちゃうの!?」と喜びの波状攻撃みたいな状態になりました。

 
──クリエイターとしても生みの苦労がわかるから、その丁寧さに気づけるわけですね。

 
 そういう側面もあるのですが、やはりいろいろなコンテンツを消費していくなかで、「これはしょうがないよね」というところはどうしても目がついてしまいますよね。それとの比較として感じるところが大きい気がします。

 
──蕪さんはいかがでしょうか。

 
 アイカツ! フアンとして嬉しかったことのひとつは、ステージ演出でした。豪華客船型アイドル学園「ヴィーナスアーク」の花園きららちゃんのステージ「おねがいメリー」は、ファッションショーステージを見事に表現していて「こういうやり方があるのか!」と、とても衝撃を受けました。アイカツ!、アイカツスターズ! ではステージの種類がいくつかありますが、ファッションショーステージはシアターの構造上、再現がとても難しいだろうなと思っていたんです。

 

 
 わかる!

 
 ですよね!!

 
──すいません、わからないです(泣)

 
 ファッションショーステージはアニメやアーケードゲームで出てくるステージのひとつですが、その名のとおり、比較的長い1本のランウェイを歩きながらのステージなんです。ですので、映像媒体では見せ方が工夫できるのですが、アングルは動かせない、サイズも限られたステージでその感覚を生み出すのは難しいだろうなと思っていまして。今回は、本当に「その手があったか!!」という衝撃がありました。DMM VR THEATERの可能性を見せつけられましたね。

 
 きららちゃんのファッションショーステージがスゴかったのって、背景を手前に向かって進んでいる映像にして歩いているように見せるだけでなく、ちゃんときららちゃんのペースに合わせて映像が進んだり止まったりしていたところですよね。

きららちゃんの振り付け的に、他のファッションショーステージに比べてやたら止まったり、ゆっくり歩いたりするという内容になっているのですが、それをうまく利用して、イリュージョンShow Timeでの背景演出が際立つ結果になっているように感じました。

 
 アイカツスターズ! は意外とスローテンポな曲が少ないのでより印象づきましたね。今後、あの演出をスペシャルアピールなど、もっと色々な発展系で見たいですね。

 
──公式がTwitterで告知していましたが、初という七倉小春ちゃんのステージはいかがでしたか?

 
 (大人のファンたちがいた)会場後方が固唾を呑んでいるような気配を感じました。

 
 僕はびっくりしたという感想だったのですが、Twitterを色々みていると「みんなで泣いた」というレポートも結構見ますね。小春ちゃんはたくさんのアイカツスターズ! のフアンの心に引っかかっているというか、鷲づかみにしているというか。そもそも1期で退場すると思われていたキャラクターなんですが、そのステージお披露目をここに持ってきたかみたいな。

 
 1期はまったくステージがなかったですから、相当異例ですよね……。現実の歌唱担当の方もついていなかったので。

 
 そう。1年通して歌唱担当いなかったのに、いきなりコレですもんね。

 
 制作スタッフの方々がどの時点でどこまで決めていたのかわかりませんが、結果的に衝撃的なカムバック演出ができたのではないかと思います。

 
──今回、親子連れも招待されていましたが、子供でも楽しめそうな内容でしたか?

 
 むしろ僕ら以上に子供が楽しんでいましたね。いや、気持ちは同じかな。

 
 お子さんが通路で踊っているのを観て、「これが私たちの見たかったアイカツ! なんだ」と思いました。初回公演に来ているので、当然、とても作品が好きな子というのもありますが、彼女たちの目にアイカツスターズ! のキャラクターがアイドルに見えているというのがはっきり伝わってきました。

 
 子どもたちが、自分の好きなキャラクターが出てきたときに「○○ちゃん かわいいーー!」と感極まっているのを見て、エモシオン!つまり感動しました。ちゃんとクオリティが子どもにもささるんだなと。同時に、子どもも大人のオタクと同じような反応する んだな……という驚きもありました(笑)

 
 女の子は恐らく、自分がリスペクトするものへの憧れが素直に力になるというか、真似よう、近づこうという姿勢が自然に出てくる気がします。

 
 ファッションショーに出ていた女の子が、ちゃんとキャラに寄せたポーズ や表情していたのもスゴかったです。とってもボニータ!つまりかわいい!

 
 アイドルって現実と地続きの職業なので、本当に可能性があるんですよね。「アイカツ! に憧れてアイドルになりました!」っていうアイドルが出てきて欲しいですし、ファッションショーに出演していたモデルの子はまさにその可能性を体現していますよね。

 
──アイカツ! も5年目ですし、そろそろ本当に出てきそうですね。

 
 出てくるといいですね~。ファッションショーはそこへつなげるための、ひとつの布石としてあるのかも。女の子たちの憧れをつなぐ、まさにSHINING LINEですね……!

 
 ファッションショーは、親でもなんでもないのにちょっと泣きそうになっていました。

 
──それはわかります(笑)

 
 

現実を超えたVRがそこにある

 
──しかしお二人とも仕事がVRに関係していますが、VR界隈がアイカツ! に惹かれる理由があったりするのでしょうか?

 
 アイカツ!シリーズ劇中に出てくる「アイカツシステム」はもろにVR/MRなシステムで、アイドル達が身にまとっている衣装やオーラは全てホログラム映像のようなもので構成されている、という設定になっているんです。なので観客はみんなゴーグル型でないにせよ、ヘッドセットを付けて見なければいけないという設定すらあります。また、最近話題 の「マストドン」では「Kirakiratter」という インスタンスがつくられて、 2000人ほどのフアンが参加して24時間アイカツ! について語っています。

何の話かと思うかもしれませんが、実はアイカツ! の世界に「Kirakiratter」というTwitterのようなサービスが出てくるんですね。それをフアンの手でマストドンを使って再現しようという。4月中旬ごろからの流行なのに、こんなに早期にインスタンスが立っていると言うのは、テクノロジーに詳しい人にフアンが多い裏付けでしょう。

 

kirakiratter。

 
 ちなみにインスタンスをつくられたのはニューヨークのソフトウェアエンジニアの方で、日本人ではありません。

 
──どいういうことなの……。

 
 Kirakiratterに登録している海外のフアンとも交流するために、日本のアイカツおじさんたちが英語を勉強し始めたり、サービスの見た目を劇中のKirakiratterに合わせるべく日米でCSSを共同開発しているんです。Kirakiratterで今起きていることは、本当にアイカツ! そのものなんですよね。

 
──いやー、本当に面白いお話で興味が尽きないです。それでは最後に、今後どうなっていってほしいという思いはありますか? 今回の完成度が高く、ハードルも高くなったと思いますが。

 
 むしろ、まだここをこうできる! ということがわかりましたので、期待しかありません。アイカツスターズ! という意味ではこれが1回目なので、絶対に2回目があるでしょうし、そのときにはまた「最高超えてる!」と言ってしまうようなものを間違いなく見せてもらえると思っています。本公演はアイカツスターズ! とDMM VR THEATERの現時点で最高のクオリティと将来のポテンシャルが詰まっていると思うので、それを実現するためにもぜひ見に来ていただきたいです。私もあと2回行きますが!

 
──普通のライブと比べると期間が割と長めなので、何度でも見に行けるのがいいところですよね。あと、座席の位置も結構重要かと。

 
 そうですね。でも、どの席で観ても、それもまたアイカツ! と感じられると思います。

 
──原さんはいかがですか?

 
 今回のライブは個人的に、数年に1度しか観られないような希有な完成度と新しさが同居したものだと思っています。こんなにすごいものを作ってくれたアイカツスターズ!制作スタッフとDMM VR THEATERにはグラシアス!つまりありがとうと何度も言いたいです。それに、こういうすごいものって技術やアウトプットの成熟度合いによって、生まれるタイミングと生まれないタイミングがあると思うので、このライブを目にできる人はすごい幸運だと思うんですよね……。ここでもやはり、白銀リリィ先輩の引用が脳裏をよぎりますね。「赤毛のアンだったらきっとこう言うでしょう。『こんな日に生きられて良かったと思わない?』」と……。

VRはどう頑張っても現実を凌駕することはできないというか、知らず知らずのうちに「凌駕できないのは当然のこと」という認識になっていたところが個人的にありました。でも今回のイリュージョンShow Timeは、自分にとっては現実をちょっと超えた内容でした。つまり、始めて「VRコンテンツが現実を超えた」と思わせてくれたものになりました。一緒に見ていた友人が「僕たちが虚構であちらが現実なのでは……?」と感想を語っていましたが、その気持ちに近い気がします(笑)

 
 そうですね。やっと世界がアイカツ! に近づいてきました……!

 
 今回、かなりハイレベルな作品ができてしまいましたが、当然次はさらに上を目指すことになると思います。ということは、現実を超えたような体験が、 さらにたくさんVRで生まれてくる。DMM VR THEATERはそれをやってくれれる……! という期待をしております。

 
 
(TEXT by Minoru Hirota、Mirai Hanamo)

 
 
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