誠実さがつかんだ「Job Simulator」大ヒットの運 Google買収のOwlchemy Labs創業者が登壇【東京サンドボックス】

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10〜14日に都内数カ所で開催しているゲーム関連イベント「東京サンドボックス」。13日(メディアデイ)、14日(一般公開)は、インディーゲームの試遊・頒布イベント「Tokyo Indie Fes」「VR Lounge」と学生開発ゲームの試遊イベント「Coding for Life」が開催される。

11日のセッション「PUSH」では、主にVRに関するセッションが開催されて、元Oculus創設者のパルマー・ラッキー氏やGOROman氏、新清士氏らが登壇した。ここではOwlchemy Labsの創設者であるAlex Schwartz氏による「How to Start – The Beginnings of VR Studio Owlchemy Labs」をレポートしたい。

 
Owlchemy Labsといえば開催日である11日においてVR界のトップニュースになった「Googleによる買収」が報じられた企業だ。そんな最中の来日であるが、Schwartz氏はあくまで謙虚にスタジオの生い立ちを話すことから始めた。

 

Owlchemy LabsはVRゲーム「Job Simulator」「Rick and Morty: Virtual Rick-ality」の開発元。

 
Schwartz氏がゲーム開発を志すきっかけとなったのは学校での「遊び」だった。建築などの授業を受けていた彼は放課後に人気FPS「Halo」のMODを作っていたことから教師に「ゲームの開発に興味があるなら別の学校にゲーム開発のカリキュラムがある」と転籍を勧められる。

そこで彼はウースター工科大学でゲーム開発の授業を……受けるも、実際には放課後のクラブ活動の時間のほうが開発に携わる時間が多かったようだ。大学を卒業し、ゲーム会社でテクニカルアーティストとして働くも、どうもそりが合わない、ということで独立を決意、恋人(現妻)と一緒に自室で開設したのが「Owlchemy Labs」となる。

 

大学でのクラブ活動、こっちのほうが生徒さんたちが生き生きしてる。

 

ゲーム会社勤務を経て会社設立。

 
会社を作ったとはいえ、設立費用で資金はほぼゼロ、ということもあり、受託開発をしながら自分たちのタイトルを出すという、とある方面の用語である「ビバ!馬車馬」状態に突入……。

 

「Job Simurator」の前はこんなゲームを出してました。なお「AaaaaAAaaaAAAaaAAAAaAAAAA!!!」は、後にOculus版、Google Cardboard版がリリースされた。

 
こんな馬車馬状態の彼らに転機が。なんとValveから「『秘密の会合』があるんで、飛行機のチケットも用意したから(!)来ない?」とのお誘いが。そこで見せられたのが、のちにHTC VIVEとなるSteam VRヘッドセットの試作品。会合はこれのお披露目用のデモソフト開発のできるスタジオの募集イベントだったのだ。

 

彼らはその提案に乗っかって、生まれたのが「Job Simulator」というわけだ。GDCのVIVEお披露目でデビューし、VIVEのロンーチ時にはバンドルソフトとして人気を博す。その後Oculus対応、PlayStation VR版も発売され、大ヒットとなった。

 

開発はスタッフの奥さんが妊娠のために里帰りしている、ということもあり、極寒のカナダにスタジオごと移って行われた。

 

プロトタイプとなる、モノをつかむアクションゲームから「Job Simulator」の原型へ

 

新規事業は大きなリスクはつきもの。しかし彼らはVRの未来にかける「ファーストペンギン」になった。

 
「Job Simulator」がヒットし、VR開発の先端スタジオのひとつになったOwlchemy Labsだが、それを手にしたのは運の要素、つまりSteam VRの初期の開発に携われた、という面が大きい。だが、その運を呼び込んだのは自分たちが「誠実であった」こと、とSchwaltz氏は述懐する。Valveスタッフとのコミュニケーションを欠かさず取って関係を持っていたから、そのチャンスをつかんだともいえる。

 

長期的なビジネスの秘訣。

 

そして現在は20名を超える大所帯に。

Googleによる買収後もDaydreamだけではなく、ハイエンドのVRプラットフォーム向け開発を続けるといわれているOwlchemy Labs。今後の活躍にも期待が持たれる。

 

イベントスタッフの計らいで、会場にて「GoogleによるEXIT」を記念した乾杯が行われた。

 
さて、大手資本に買収された、ということなら、その資本をフル活用する手はない、ということで、質疑応答の時に筆者はこんな質問をした。

「Job Simulatorは日本語ローカライズはされてないので(Googleの金で)ローカライズする予定はありますか?」

Alex氏は「日本語の認識もあるし、フルボイスのキャラクターが35体もいるから……」と難しそうに答えると、イベント参加者の一人が「うちローカライズやりますよ! OculusもVIVEもPS VRもパブリッシュ経験あります!」と手を挙げた! こういうスピード感あふれる対応が見れたのが「Tokyo Sandbox」というイベントのの面白いところだろう。

(TEXT by Shogo Iwai)

 
 
●関連リンク
Owlchemy Labs
Job Simulator
Rick and Morty: Virtual Rick-ality

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