Unity大前氏に聞く「ユニティちゃん新展開ってありますか?」【Unite】

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8、9日に東京国際フォーラムで開催している「Unite 2017 Tokyo」。基調講演の終了後、プレス向けに囲み取材が行われたので、その質疑応答をまとめていこう。なお写真の人物は左より、Unity Technologies 、テクニカルディレクターのルーカス・メイヤー氏、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの日本担当ディレクター、大前広樹氏、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンのゲームデザイナー、安原広和氏だ。

 
 

アーティストフレンドリーなUnityに

 
──Unityのバージョンが、「5.x」からいきなり「2017」に変更されましたが、この理由は何でしょうか?

 
大前 バージョンが一気に2012も上がったのはなぜかということですよね(笑)。今までは目玉機能を盛り込んで、「これが大きなバージョンアップなので、みなさんお金を出して買ってください」というやり方だったのですが、それは時勢にも僕達の開発スタイルにも合っていなかった。

VRも機器の進化はとても早いし、iOSやAndroidでも更新や機能のアップデートも頻繁です。僕たちも新しい機能をつくってみなさんにすぐ届けなきゃいけないのに、次のバージョンアップを待っている場合じゃないと。

そこでUnityの料金体系もサブスクリプション(月額課金)に変更して、3、4ヵ月に1回、可能な限り品質を担保した上で細かくバージョンを上げて、つくった機能をできるだけ早く出せるようにする。これが必要なんです。

 
ルーカス サブスクリプションモデルに移行したのは、私たちの開発サイクルに関係しています。古いモデルですと、やはり新しいバージョンを出すためには何か大きな機能付けなければいけないという考えがあって、目玉となる新機能ができあがっても、まだタイミングが来ていないからリリースしないということもありました。それでは、われわれとユーザーの利益がうまく噛み合っていないことになります。

実際に日々、細かなアップデートを積み上げていっているのにもかかわらず、リリースできないというところでも、現実にあっていない。だから今回の変更はユーザー、そして私たちにとっても最適なものだと思います。付け加えると、Unityでは多くの方々に無償版をご利用いただいているので、実はあまり重要でないのかもしれません。

 
大前 結局、もうメジャーバージョンアップっていう概念が消失するんです。このまま例えば「5.549」とかになるよりは、「2017.1」とか「2017.2」とかの方がわかりやすいし、いいだろうということで、こうしたバージョニングになっています。

 
──今後は「2017」「2018」「2019」と続いていく?

 
大前 はい、西暦が突然終わらない限りはやっていくと思います。

 
──直前の5月1、2日に米国ロサンゼルスでUnity Technologiesが開催した「Vision VR/AR Summit」も取材したのですが、そこで講演名にVR/AR/MRを統合した「XR」という言い方が出ていました。海外ではAR/MRの存在感が増している状況なのでしょうか?

 
ルーカス それを判断するには、まだ始まったばかりで時期尚早だと思います。みなさんはVR/AR/MRのいずれにも関心を持っていると思います。そしてまだ学習段階で、3年後にどうなっているかというのは誰にもわかりません。ただ私たちが分かっているのは、VR/AR/MRでコンテンツを提供したい、体験したいといった方々が、Unityがさまざまなハードウェアに対応していくのを待っているということです。

5年後、10年後にはまた状況は全く変わっているでしょう。私も東京でいつも道に迷ってしまうので、Google マップが眼鏡に搭載される日がくることをいつも願っています。そうした未来にあっても、体験を提供してくれるデバイスに対応していくことが重要であって、そのために開発者としてUnityを学んでおけば、VRやARなどどのデバイスが勝ち残るのかわからなくても対応できます。

 
──Unityは、そうした「XR」だけでなくAIやIoTなど新しい技術をからめたソリューションにも使われています。今後もそうしたトレンドを取り入れていく感じなのでしょうか?

 
ルーカス Unityにはふたつの側面があると思っていて、ひとつがパブリッシュ(公表)できるプラットフォームで、もうひとつが開発者がつくるコンテンツのファシリテーション(活性化)という部分です。

プラットホームについては、ARのVRの次にくるポピュラーなものなら何でもサポートしていくと思います。ファシリテーションについては、今はアーティストにフレンドリーな状態を目指しています。プログラマー主体の会社ですので、そこを変えようということです。

私自身がつくった新機能は、アーティストが作ったものではないことが一目瞭然です。Unity 5.6の「Lighting Explorer」という機能もアーティストからの助言がなければ対応しなかったもので、プログレッシブライトマッパーについても同様です。そうしたところは、タイムラインなどの新機能についても反映されていくと思います。

 
 

ユニティちゃんはキャラ表現を試すプラットフォーム

 
──話がまたガラッと変わりますが、最近、マスコットキャラである「ユニティちゃん」の新発表をあまり見かけません。若干寂しい気もしますが、今後の展開はあるのでしょうか?

 
大前 実はやってます。ユニティちゃん自体は2013年の12月の冬のコミックマーケットで発表して、2014年のUnite Tokyoでデータの提供を始めました。そこから毎回コミックマーケット(コミケ)に出展して、「ユニティちゃんライブステージ! -Candy Rock Star-」や「VOCALOID4 Library unity-chan!」、ドラマCDなどを発表してきましたが、だんだんと時間に追われるような感じになってきまして。

大本としてのユニティちゃんのプロジェクトは、みなさんがいわゆるアニメ的なコンテンツを作るためのキャラクターとして利用できるだけでなく、新しい技術が出てきたときに、キャラクター表現をいろいろ試して意見交換するプラットフォームとしても役立っている。

そうしたことを考えたうえで、私たちはそろそろ力を貯める時期がきたなと。要するにちゃんと時間をとって、進化したユニティに対応した新しい展開、新しいコンテンツ、そういったものをつくって出していくことが必要だと思っています。そうしたこともあって、昨年冬のコミケはお休みしました。

今回のUniteで発表した「ユニティちゃんトゥーンシェーダーVer.2.0」も、様々なアニメ制作会社からのフィードバックを得ながら、アーティストが必要なコントロールを全部盛り込んだものです。これも実は今取り組んでいる新しいユニティちゃんプロジェクトの成果のひとつだったりして、今後の展開は着々と進めているので、ぜひ楽しみにしていてください。

 

ユニティちゃんトゥーンシェーダーVer.2.0。

 
──まさかのアニメ化があるとかですかね?

 
大前 そこまでいけばいいですけどもね(笑)。私たちも色々と夢はありますけれど、ただ私たちはテクノロジーカンパニーであって、実際にゲームそのものをつくる会社ではなかったりします。

例えばデモであってもハイクオリティーなものはつくるけど、30分のアニメをつくれるわけではない。これはアドバンテージであると同時に制約でもあります。みなさんが触ってみたくなったり、イマジネーションを広げるようなコンテンツを提供して、それを皮切りに色んな人が新しいものを試す流れをつくれれば嬉しいです。

例えば、私たちが2014年に出した「ユニティちゃんライブステージ! -Candy Rock Star-」というダンスのプロジェクトは、ほぼすべてのAR/VRデバイスに移植されて使われてきたプロジェクトです。その理由はコンテンツ自体が素晴らしいということもあると思うんですが、移植しやすくて、何か新しいデバイスが出たら「とりあえずこれでやってみたい」と思ってもらえるようにできたからでしょうか。このような部分は今後も大切にしていきたいです。

 

 
──ちなみに「Unity仮面」が最近出てこないのがファンとしては寂しいのですが、リストラされてしまったんでしょうか?

 

Unity仮面。Twitterアカウントは2015年の7月より更新されていない。

 
大前 リストラじゃないです。最近は違う仮面をかぶってるんで。今日の夜とかもしかしたら……。

 
──まじですか! まだキャラクターとしては保留されてるという。

 
大前 保留です。ともかく、ユニティちゃんの今後の新展開をぜひ楽しみにしていてくださいね。

 

実際に講演やパーティーに出没したそうです。

 
 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
*Unite 2017 Tokyoまとめページはこちら

 
 
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