西田宗千佳氏レポート Build 2017で聞いた「Windows Mixed Reality」のこれから【Build】

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現地時間の5月11日(現地時間)、米マイクロソフトは開発者会議「Build 2017」の2日目を迎えた。1日目はAIやクラウド環境などのまさに「開発者向け」の話題が中心だったが、2日目はWindows 10を軸にした、より身近な話題が中心だ(ニュース記事)。

ここでは、本メディアに関係するVR/MR関連の話題についてまとめていこう。一部の情報については、基調講演後関係者を取材して得た情報を補足してある。

 
 

ハンドコントローラー登場! 年末までにHMDとセットで「399ドル」

Windows Mixed Reality、およびHoloLensのプレゼンテーションを行ったのは、みなさんにもおなじみのAlex Kipman(アレックス・キップマン)氏。HoloLensのデベロッパー版に対する支持と、そこで得られた知見とアイデアに感謝を述べた。

 

HoloLensおよびWindows Mixed Realityの顔であるテクニカルフェロー、Alex Kipman氏(インタビュー前編後編)。

 

JALの事例や「HoloGiraffe」(のしぶ氏開発)など、日本のHoloLens活用事例も多くビデオで紹介された

 
ちなみに、米Microsoft Windows & Devices担当上級副社長のTerry Myerson氏がHoloLensの原型に最初に触れたのは7年前。その時、Kipman氏が彼に見せたのは、踊るエビだったという。そこからここまで来たことに、Kipman氏もかなり感慨深げであった。

 

Myerson氏が最初に見たデモ。最初に見せたのは、手の平で踊るエビ。

 
HoloLens関連の大きなアップデートはなく、期待もあった「新型HoloLens」にも触れられなかった。一方で、大きな進展があったのが、Windows 10での「Mixed Reality」である。4月に行われたWindows 10の大型アップデートである「Creators Update」で基盤となる「複合現実ポータル」は搭載されていたものの、肝心の対応HMDが登場しないため、実際には利用できなかった。

 
だが、秋の大型アップデートである「Fall Creators Update」では、いよいよ本格的に使えるようになる。年末までに各社よりWindows Mixed Reality対応HMDが登場し、個人市場に向けた展開が行われる。

 

Windows 10の次なる大型アップデートは「Fall Creators Update」に。南半球の人からみれば、名称に違和感があるかも?

 
そこに合わせて公表されたのが、「Windows Mixed Reality motion controllers」だ。年末にはAcerのHMDとバンドルで399ドルと、第一報ですでに記事化しているが、現地で得られた情報をいくつか補足したい。

 

Windows Mixed Reality motion controllers。年末にはAcerのHMDとバンドルで399ドルで一般販売される。

 
コントローラーはモーションセンサーを内蔵しているものの、ポジショントラッキングは基本的に、Windows Mixed Reality対応HMDのInside-Out方式のセンサーを使う。そのため、他にセンサーバーなどの設置は不要で、非常に手軽なのが特徴だ。操作は「トリガー」「アナログスティック」「タッチパッド」の3系統で、親指・人差し指・中指の3本を主に使って操作する。

 

指先のコントローラーを併用し、多彩な動きを実現する。

 

トリガー・アナログスティック・タッチパッドの3つの要素がセットになっている。

 
ポジショントラッキングにHMD正面にあるセンサーを使う、という性質上、手を頭の裏や背中に回した時などは検知範囲外となる。だが、そうした場所にある場合には、モーションコントローラー内にあるセンサーと、それまでに把握した腕などの関節構造(要はインバース・キネマティクスに基づく情報)から位置を推定する仕組みだ。このあたりの機能はモーションコントローラーのSDKに含まれているという。

 
また、このコントローラーはマイクロソフトが開発したもので、Acer製HMDには「マイクロソフト製のコントローラーがバンドルされる」形になる。Windows Mixed Reality向けの標準コントローラーという扱いで、HP製など、他のWindows Mixed Reality対応HMDでも利用可能だという。追って単品販売される可能性もあるが、現在は情報が公開されていない。ちなみに、HoloLensでは動作せず、UI上の差別化点となっている。

 
また、開発者向けには本日から、アメリカ・カナダ市場向けに、Acer製(299ドル)・HP製(329ドル)のHMDのプレオーダーが開始されている。ただし残念ながら、日本での提供予定は現状ではわからない。日本マイクロソフト広報によれば「各ハードウエアベンダーの製品になるので、各社からのアナウンスをお待ちいただきたい」とのことだ。

 
現状、Windows Mixed Reality用HMDの「推奨環境」は、OculusやHTC Viveに比べると若干低めだ。しかしそれでも、dGPUの乗ったPCが必要になることに変わりはなく、ハードルが高いように思える。

 
しかし、これはあくまで「デベロッパー版」のための仕様。Fall Creators Update以後、本格的に一般消費者向けに販売されるころには、「大幅に推奨環境は下げる。すべての環境ではないが、インターナルGPUレベルで動作し、dGPUは不要になる」と関係者は話す。

 
昨年、Alex Kipmanに取材した時には「Kabylake以降」とのことだったが、色々環境の幅もあるので、明確な「コンシューマ向けで必要なPCスペック」はまだ明かされていない状況である。

 
 

既存HoloLensアプリには「若干の修正」が必須

Alex Kipmanは「Windows Mixed Realityは、PCからコンソール、HoloLensのような一体型のものを含め、すべてをカバーするもの」と語った。すでにXboxへの対応(おそらくは、今年年末登場のProject Scorpio)は明言されていたものの、今回改めて、家庭用ゲーム機も含めた環境になることが強調された。これは、Windows Mixed Reality向けに開発されたアプリケーションが、そのままHoloLensや将来のXboxで動作することを意味する。

 
一方で現在、Windows Mixed Reality上では、HoloLens用に開発されたアプリは動作していない。HoloLens用アプリはWindows Mixed Reality向けに「若干の変更」(マイクロソフト関係者・談)が必要になる。シースルーでないこともあり、3つほど専用APIが増えているため、そこへの配慮が必要……ということのようである。ただし、その変更量は非常に小さく、決して難しいものではない、という。

 
結果的に、Windows Mixed Realityの中では「既存のUWPアプリ(フラットなウインドウで表示される)」「サードパーティー製Windows Mixed Reality+HoloLens対応アプリ」「マイクロソフト製のアプリ」という3種が動作するようになり、様々な作業も行えるようになる。

 
ちなみに、Windows 10の「複合現実ポータル」を介してWindows Mixed Realityを使った場合、海沿いの家というか部屋のような風景が表示される。これはマイクロソフトでは「Cliff’s House」と呼ばれていて、「デフォルトの部屋」のようなものだ。ちょっとした調度品の変更やウインドウの配置などはできるが、部屋全体を大胆に変更するようなカスタマイズは、現在はできない。

 
こういった部分も含め、いまはまだ情報が少ないと感じるが、HMDが開発者向けに出荷される8月に向け、本格的な情報の提供が始まることだろう。

 
 
*Build 2017まとめページはこちら

 
 
(TEXT by Munechika Nishida

 
 
●関連リンク
Windows Mixed Reality
Microsoft Build 2017
日本マイクロソフト

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