Oculus Story Studio謹製「Henry」を体験! かわいすぎる一方で実在感は……

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先の記事で書いたように、現地時間の23日から始まったOculus VR開発者のイベント「Oculus Connect 2」では、「Oculus Rift」の製品版プロトタイプを使ったデモが3種類体験できた。

 
その中から、日本にはまだ上陸していない「Oculus Story Studio」が手がけたVRアニメーション「Henry」(ヘンリー)のレポートをお届けしよう。ただし、機会があったらぜひ自分の体で感じてほしいので、なるべくネタバレしないように書いていく。

 
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ヘンリー。はりねずみである。

 

ピクサー的なかわいさが炸裂!

Oculus Story Studioは今年1月、ピクサーなどのクリエイターを集めて、VR映画を手がけるOculus VRの子会社として設立された。最初に制作したのは暗い森の中を歩き回る「Lost」で、第2作目が7月末に公開したハグが好きなハリネズミを描いたコメディーの「Henry」になる。監督は、「モンスターズ・ユニバーシティ」や「カーズ2」、「メリダとおそろしの森」(Brave)などでアニメーターを務めたRamiro Lopez Dau氏

 

Meet Henry from Story Studio on Vimeo.

 

Henry's Premiere from Story Studio on Vimeo.

 
ヘンリーはハグ好きだが、残念なことに体に尖ったトゲがあるせいで友達に敬遠されてしまっている。そんな彼は誕生日にすべてを変える特別な願い事をする。……といった感じのあらすじになる。制作としては、Unreal Engineや音響制作を行うスタジオ「Skywalker Sound」がクレジットされていた。

 
ストーリーは、オープニングが終わったあとに、大木の中にあるヘンリーの部屋の中で進行していく。この部屋の作り込みがまずいい感じで、中央にある観葉植物的な木を腰を落として見上げたり、天窓から降り注ぐは柔らかな光を感じたり、後ろを振り返って、地階(?)にある別部屋を見下ろしたりと、VRならではの縦方向の広がりが感じられるのが面白い。

 
そんな空間の中にいる、ヘンリーのCGとアニメーションも作り込まれている。いかにもアメリカのアニメという、ピクサー的な動きのかわいさといえばわかりやすいだろうか。吹き戻しのようなおもちゃを吹いたり、てんとう虫と戯れたり、逃げ回る風船を追い回したり——。大げさに喜んだり、悲しんだりと、目の前で繰り広げられるキャラクターのどたばたを眺めていると、自然と感情移入してしまう。

 
VR的には、例えば、ケーキに突っ込んでクリームが自分の方向に飛んでくる演出がユニークだと思った。ほかにも通常、正面からしか見られないスタッフロールを、上から見下ろしたりできる感覚が新鮮だった。PlayStation VRの「サマーレッスン」でも見せ方が斬新だったが、VRコンテンツではエンドロールがユーザーを引きつけるひとつのカギとなっていくだろう。

 
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最初は立って見ていたが、ヘンリーが小さくて遠いため、自然と座って近くで見るようになっていた。リアル空間で敷かれた円形のマットがバーチャル空間にもあって、体験者がはみ出してリアル空間の何かに当たらないように配慮しているのも流石です。

 

かわいいからこそ触りたいんです!

 
一方で、さまざまなVRコンテンツを体験してきた筆者(広田)からすると若干の物足りなさも感じた。

 
一番大きいのが、ヘンリーがこちらを意識してくれないことだ。事前情報ではヘンリーを見ると目を見てくれたりと反応してくれるそうなのだが、ユーザーが何もしなくても話がどんどん進んでいくタイプのデモなので、筆者のタイミングが悪いせいもあって特に目があうことがなかった。

 
PlayStation VRの「サマーレッスン」のように、相手のキャラが自分のパーソナルスペースに入ってきてくれないのも消化不良な印象だ。せっかくハグがテーマになっているのに、ヘンリーがこっちに近づいて来てくれないし、彼を持ち上げることもできない。

 
リアル空間に置き換えて考えてみると、目の前にかわいい子イヌや子ネコがいて、許される状況なら手を差し伸べて触りたくなるはず。自分の手の動きで毛並みが揺れる様や、気持ちよさそうに顔をほころばせてくれるような反応を返してくれれば、そこにキャラがいる感覚(実在感)がもっと出せる。

 
単にかわいいキャラがいて、平面ディスプレーと同じような動きをしているだけでは、「これはVRじゃないと味わえない!」というような渇望感を煽りにくい。今回のCGやアニメのできがよすぎるがゆえ、「もっとVRならではの演出がほしい!」と思った次第だ。

 
といっても、Oculus Story Studioは1月末に立ち上がってまだ8ヵ月で、半年でデモを2作品を生み出してきたというスピード感を考えると、かなり無理な注文をしているところもあるはず。逆にいえば、半年でこのレベルのクオリティーまで持ってきたのなら、製品版がリリースされたあとの2016年には、想像をはるかに超えたVR映画がでてきそうだ。

 
「見るだけ」といっていた現状も、来年上半期にモーションコントローラーの「Oculus Touch」が出てくることで状況が変わっていくはず。Oculus Story Studioの今後の動向に目が離せない!

 
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Oculus Touch。

 
 
●関連リンク
Oculus Story Studio
‘Henry’ by Oculus Story Studio Premieres in Los Angeles(Oculus Blog)
Oculus Connect 2

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