リアル式場でゲームキャラとVRで結婚、誓いのキスも 「新妻LOVELY×CATION VR結婚式 」レポート

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2017年6月30日、あかべぇそふとつぅのブランド「hibiki works」のアダルトゲームである「新妻LOVELY×CATION」のキャラクターとのVR結婚式が、天王洲アイルのシーフォートスクエア内、ファストウェディングヴィータ天王洲で執り行われた。そのレポートをお届けする。

本結婚式は、公式サイトのイベント詳細ページである「新妻LOVELY×CATION VR結婚式」で案内している通り、「新妻LOVELY×CATION」のパッケージに含まれるアンケートハガキを送付した希望者から選ばれたユーザーを招待し、登場キャラクターである栗原愛子・石動雪・成瀬乃々の中から一人と現実のチャペルにて牧師の前で誓いの儀式を行うというものである。

 
 

実物にあわせて会場をモデリング、人物をE-moteで再現

1日会場を貸し切って12〜21時という長丁場でハードなスケジュールの中、筆者も合間を塗って体験させていただいた。

新郎ユーザーは会場にてタキシードに着替え、チャペル内の聖書台の前で、ヘッドセットを装着する。VRシステムはHTC Viveで構成しており、VR空間内は実際の会場にあわせて階段や聖書台がモデリングされ、キャラクターの身長含めサイズが正確に再現していた。

 

二人が聖書台の前で並ぶところから始まり、牧師の進行にあわせ誓いの宣言をしたのち、新婦と誓いのキスを行うまでが体験の全容である。新郎のキスタイミングへの合わせこみは新郎の移動にあわせてViveコントローラの振動で通知されるようになっており、Viveコントローラを持ったスタッフがトングでマシュマロを掴みキスを再現する仕組みとなっている。

 

VR空間内の新婦は、「新妻LOVELY×CATION」ゲーム内でも利用しているエムツーの「E-mote」のVR対応版である「E-mote VR」にて再現していた(関連レポート)。キャラクターの身長含めてリアル環境に合わせたきめ細かいチューニングを施しており、ゲームのグラフィック表現がそのままVR空間上に3Dで再現されたバストアップは大きなインパクトだった。筆者は新婦の表情を眺めてる間に式が進行してしまっていた。

 
このあたりについては、エムツーからいただいた開発時の情報を以下にそのまま引用する。

「2D イラストの質感をそのまま VR 空間に表示できる E-mote VR では、女の子の柔らかさを再現するため、身体や胸などの”まるみ”やレースの透け具合の調整に全身全霊を傾けました。ヒロインの元絵はドレスを着ているため足元の位置がわかりにくく、身長を設定通りに再現することが困難でした。VR 空間上に表示したキャラクターの高さを実際にメジャーで測って試行錯誤を繰り返すシーンも。」

 

 
キスのタイミングをあわせる仕組みについては、最終的にViveコントローラーで手動でトリガーを引く方式になったが、直前までタイミングがなかなかあわず、当日までチューニングすることになっていたとのこと。

式場や聖書台は3Dモデルで、牧師と新婦はE-moteによるキャラクター表示であった。ウェディングドレスも含め2Dイラストをビルボード表現しており、角度がついてしまうドレス足元は厳しそうであったが、バストアップ周りについては2Dイラスト絵が3D空間で正面以外の方向からも破綻なく表示され、不思議な感覚の体験であった。

 
 

「ゲームを買ってくれたユーザーにどうやったら恩返しできるか」

企画側であるあかべぇそふとつぅ伊藤氏、開発側であるエムツー・澤氏にも話をお聞きすることができた。実際の結婚式に多くの要素があるように、企画・技術両面から様々な話題が飛び交う内容となった。

 
Q. (ゲームは2Dのため)3Dモデルなどは全て新規に起こしたのか? 実際に抱き寄せてしまうぐらいリアリティーがあった。

A. (ゲームで使われているE-moteのVR版である)E-mote VRにてキャラクターを質感そのままVR空間内に再現しており、女の子の柔らかさの表現、身体や胸の”まるみ”やレースの透け具合などの調整に全身全霊を傾けた。背景であるチャペルは実際の式場を下見した上で3Dでモデリングしており、階段・聖書台はリアルへのあわせこみをおこなっている。キャラクターの身長は正確に再現しているが、ドレス姿は足元が見えないため、調整に苦心した。

 
Q. なぜVR結婚式を? リアルの結婚式場でやることにした理由や経緯は?

A. 企画についてはユーザーさんに喜んでもらいたい、こういうのがあったら喜ぶだろうということのみを考えて実施を決定した。結婚式をするのであれば徹底的にリアリティを追求し、リアルの式場でやらないと意味がないと考えた。式場探しについては(元がアダルトゲームということもあり)かなり難航し、数十箇所に断られることとなったが、最後にここが見つかった。ここがダメだったら秋葉原の会議室などでの開催になっていたかもしれない。

美少女ゲームというジャンルが斜陽と言える中、ゲームを買ってくれたユーザにメーカーとしてどうやったら恩返しができるのか、何かサプライズを提供したいという想いでやっている。

 
Q. VRを絡めた企画についていままでやったことがあったのか?

A. VRコンテンツはこれがはじめて。新しいことに挑戦して、「おもしろいですね」と言ってもらえることを貫きたいと考えている。技術的な観点についてはエムツーさんにお任せした。このような企画についてはやりたいことがまず先行して思いついた後で、できる人に任せるスタイルでやっている。

 
Q. (VRは経験者であっても完成品のイメージが難しいが)期待した通りの出来だったのか?

A. (このような企画は)業界初であると認識している。おおむねイメージしていた通りのものができあがっており、体験した際にはびっくりした(伊藤様)。開発側なのにリアリティがあり緊張してしまい、「誓います」を(新婦のターンも含め)2回言ってしまったりした(澤様)。

 
Q. 申し込み数は多かったのか?

A. 本日体験いただくユーザは90名となったが、多数応募いただき、抽選となった。メディア取材のために、インタビューを受けてもいいユーザさんが居るか事前確認をとったが、予想外に多くの人にOKをいただいた。

 
Q. この企画にはどれくらいの期間がかかっているのか?

A. 開発期間は3ヵ月ぐらいだが、企画そのものは年末にはスタートしていた。先ほど述べた通り式場探しに大変苦戦したため、会場が決定したのはかなり後である。まさにリアル結婚式と同等の手間がかかっているのではないか。

 
 

「やってやったぜという気持ち」

実際にチャペルを行い式を執り行えるのは一人ずつのため、新郎の着替え・入れ替わりなどかなり慌ただしいオペレーションの中、参加されたユーザーさんに式の最中の撮影やインタビューにご協力いただいた。いわささんのインタビュー内容を以下にお届けする。

 
Q. お名前、年齢、どこからいらっしゃったか。

A. いわさと申します。年齢は25歳、神奈川県から来ました。

 
Q. 当選した際のお気持ちは?

A. 受かるとは思ってなかった、嬉しかった。指輪(※1)も買っている。

 
Q. 式の感想は?

A. 嬉しさもあるがそれ以上に緊張した。終わった後は満足感が。やってやったぜという気持ち。

 
Q. キスした時の気持ちは?

A. 嬉しさ。味わったことのない感覚だった。

 
Q. VRとして、臨場感はどうだった?

A. VR体験は初めてだったが、音で方向が分かり、臨場感があった。新婦を見ていればいいのかそうでないのか、どこを見てればいいのか迷った。

 
Q. 新婦について

A. 芯のある子で素敵な人。ゲーム内ではあまり描写のなかった式中の会話があり、いつもと違い緊張しているのが新鮮だった。

 
 
他の方の話では、「まだまだ発展途上の技術であると感じた。今後どのプラットフォームがメジャーになっていくか見極めたい」などのシビアなコメントもあったが、式場でのリアリティーに非常に感動された方が多かったようだ。また、HTC ViveはもとよりVR体験そのものが初である方も多く、VR技術そのものが普及の最中であることも感じられた。

 
※1「新妻LOVELY×CATION Marriage Ring」パートナーの名前刻印入り結婚指輪が購入できる企画が別途実施されており、当日その場で引き渡しがあった。

 
 

リアリティーの追求がすごい

機材運用側の担当はエムツーが担当し、式場スタッフはあかべぇ側が別途イベントスタッフを雇っていたとのこと。会場に入るとスーツ・ギャルソン衣装のスタッフが複数人並んで受付や案内をきちんと遂行されており、式場側のスタッフが特殊なオペレーションまで担当しているのだろうかと思っていたが、別に準備されたとのことでこのあたりからも本気度がうかがえる。

ゲームに限定せず、ヴァーチャルキャラクターとのリアルイベントは様々な技術を使われて昔から行われているが、VR技術を組み合わせてリアルの結婚式と同じものにこだわった本イベントは大変素晴らしいものだった。リアリティの追求には多様な方面のコストがかかると思うが、今後面白いイベントがまた開催されることを期待したい。

 
(TEXT by ようてん

 
 
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