CEDEC 2017開幕! 基調講演で「ソードアート・オンライン」の技術は現実になるか?を原作者ら語る

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本日、8月30日より9月1日まで、パシフィコ横浜において、コンピュータエンタテインメントの開発者向け会議となる「CEDEC 2017」が開催されている。

 

 

初日を飾る基調講演として、「『ソードアート・オンライン』仮想から現実へ。小説とゲーム技術のお話。~ソードアート・オンラインが現実になる日まで。~」を作者の川原礫氏とバンダイナムコエンターテインメントで同タイトルに関わるプロデューサーの原田勝弘氏二見鷹介氏を交えての緩やかな、でも技術面ではしっかり突っ込む内容となっていた。

 

極めて緩いトークに川原氏も低姿勢に。

 

川原氏は2009年、「アクセルワールド」で電撃文庫デビュー。別名義で連載していた「ソードアート・オンライン」も2009年に発刊。両作品ともTVアニメ化、ゲーム化、劇場アニメ化されている。

 

写真右はバンダイナムコエンターテインメント・鉄拳プロジェクトリーダーなどでお馴染み原田勝弘氏。川原氏の投げかける疑問に次々と回答した。

 

写真中央はバンダイナムコエンターテインメントのプロデューサー、「世界の」二見鷹介氏。「ソードアート・オンライン」以外にもハイターゲットアニメのゲーム化のプロデュースを数多く手掛ける。現在はチーフプロデューサーとして「ソードアート・オンライン フェイタル・バレット」を開発中。

 

 

「ソードアート・オンライン」は2001年にMMORPGにハマった川原氏が作り上げた作品。ログアウト不可能・ゲームオーバー=現実の死、というデスゲームと化したVR MMORPGを攻略する、というのが導入部(「アインクラッド編」)となる。

原田氏は海外の大学でよく講演をするそうなのだが、VRを説明するためにわかりやすい掴みとして「マトリックス」を用いていたのだが、今となってはわかる学生は少なく、いまや「ソードアート・オンライン」の方がメジャー、という。

 

小説は2000万部(海外が800万部とのこと)、ゲームはワールドワイドで300万本(写真の「ホロウ・リアライゼーション」がワールドワイドで100万本)、劇場映画は30億円越えと世界的な人気を誇り、今後はアメリカでの実写ドラマ化も控えている。

 

小説の中では現実世界を模したような表現がちょくちょく登場する。たとえば、お風呂のシーンで、女性キャラクターが髪をまとめてお湯の中に入る、というのはVRではどう表現されるか、という質問に対し、情報密度の向上や処理のミクロ化によってより人間に近い表現ができるという。ただ、そこまでリアルになるともはやエンターテインメントではなくてもう一つの人生そのもの、と原田氏は語っていた。

 

「ソードアート・オンライン」のゲーム化は2011年のアニメ化始動とほぼ同時期に行われた。二見氏は当時アドベンチャーゲームのプロデュースを多数していたので、川原氏もそういう路線のゲームと思いきや、実はガチのリアルタイムRPG。二見氏は「.hack//」シリーズ(*1)が好きだったこともあり、疑似MMORPGの要素を持ったゲームが売れる、とノリで作ったそうだ。

(*1)サイバーコネクトツーが企画・開発、旧バンダイ・ビデオゲーム事業部(現バンダイナムコエンターテインメント)がプロデュース・販売を行ったアクションRPGで、「The World」というMMORPGが舞台となっている。第1作では同梱されたアニメと連動した連作という形式が用いられ、4タイトルがリリース、続く第2作「.hack//G.U.」は3部作となった。また、本作をバックグラウンドにした3DCG映画がサイバーコネクトツー内部で制作されている。なお、2017年11月にPS4版「.hack//G.U. Last Recode」が発売予定。

前述のとおり川原氏は1999年ごろからMMORPGにはまり、それからインスピレーションを得て本作の執筆を開始した。執筆開始の2001年は名作といわれるMMORPG、例えば「ファイナルファンタジーXI」「ウルティマオンライン」「ラグナロクオンライン」といったタイトルが出揃った頃であるが、一般的な認知度はまだまだ低かった。

小説の内容も「MMORPGとはなんぞや?」といった説明はほとんど行われなかったため、一般作品として世に出るには川原氏が「アクセル・ワールド」を受賞する2009年までかかっている。その時にはMMORPGもメジャーになり、そういう体験をした人が読むようになって人気が高まっていったという。

 

「オーディナル・スケール」の元はバーチャル東京!? 劇場版の舞台裏も

 

 

川原氏は過去に様々なバーチャルリアリティ小説があり、「VR MMORPGを舞台にしたデスゲーム」を題材にしたものは必然的に出てくると語った。そこで登場したのが「ナーヴギア」。これは一種のオーパーツであり、「ゲームオーバー=死亡、機械を外しても壊しても死亡」という大前提を成立させるためのギミックだったという。魂を持っていくという案もあったが、あまりSF寄りにするとゲーム色が薄くなるという理由で今の形に。

 

 

 

劇場版「オーディナル・スケール」ではARヘッドセットとなる「オーグマー」が登場、これを使うことで、実際の東京がゲームのバトルフィールドになるという仕組みだ。構想段階ではバーチャル世界の東京で戦う、という設定だったが、VRだとゲームから現実に切り替わったとき、登場人物がベッドの上にいるのでしまらない、東京ではなく妙な埼玉感がある、ということでARを使う方向に切り替えた。

なお、企画当時はまだ「Pokemon GO」はなく「Ingress」が一部のマニアのうちで流行っている程度だったが、PVなどはコンテの参考にしたという。なお、外にまで出て体力を使うゲームはやりたくないという原田氏に対し、川原氏は最終的には剣をちょんちょん突くようなバトルスタイルになりますよ、と応えていた。

 

 

「オーディナル・スケール」に登場したAIキャラクター「ユナ」もライフログから個人を再生することは行われている、と原田氏。近年はAIと気付かれないチャットボットも出てきており、近い将来にはユナくらいは実現するのではないか、としている。

 

 

 

 

ゲーム「ソードアート・オンライン」の中のAIは人間の脳細胞を模したAIとなっているが、それが現実に作られるのかという問いに原田氏はYes、と回答。将来的にはAIも宗教的な概念を持ち分裂するのではないかという話題に。ただ、最終的にターミネーターのようなAIバトルが勃発するもそれは家で見ている、という原田氏にどこまでインドア派なんですかというツッコミが入った。

ナーヴギアはともかくとして、ほかの技術は将来的には現実になりそうだ、という結論になった今回のトークセッション。「ソードアート・オンライン」が“未来を予言した過去の古典”になる日はそう遠くないのかもしれない。

 
*CEDEC 2017記事まとめはこちら

 
●関連リンク
「ソードアート・オンライン」アニメシリーズ公式サイト
「ソードアート・オンライン」βeater’s Cafe(ゲームポータルサイト)

 
(C) 2016 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/SAO MOVIE Project
(C) 2014 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/SAOⅡ Project
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