【ミクさん10周年おめでとう企画】元SEGAの中の人(1号)さんに聞く「これまでとこれから」超ロングインタビュー前編

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ボカロ界には“神”と呼ばれる存在がいます。

今や世界で賞賛されるムーブメントを創り上げたクリエイターたちはもちろん、音声合成ソフトのボーカロイド『初音ミク』の販売元・クリプトン社 伊藤社長、同社開発者の佐々木さん、VOCALOIDを開発したヤマハの剣持さん……などなど。ミク廃(初音ミク廃人の略で初音ミクファンの総称であり敬称でもある)の皆様から「ミクさんのお父さん」や「ボーカロイドの父」という称号で絶大なリスペクトを集めていらっしゃいます。

そして、今回インタビューをお願いした元SEGAの内海さんも外せない神様のひとり。1号さんという愛称で親しまれ、2号さんと呼ばれるセガ大崎さんや林さんとともに初音ミクのゲーム・ライブ事業を支えられてこられました。

そんな内海さんがSEGAを電撃退職し、業界は騒然となったのは昨年のこと。常に前進、新しい試みを探求していく姿勢や飾らないキャラクターが人気の1号さんのニュースに多くのファンから嘆き惜しむ声が上がりました。現在は株式会社DMM.futureworksに入社され、昨年末には社長に就任、新天地にてまた新しい挑戦を挑まれていらっしゃいます。

初音ミクの何かと問うと「ミクさんのオジさんかな、親戚のさ」とはにかむ神様に「これまで」と「これから」を伺いました。(あまりに聞きたいことがありすぎて超ロングになっています、ごめんなさい!)

 

 

 

あれ?ちょっと今までと違うな

 

──初めての読者もいらっしゃると思うので、自己紹介含め今までの経歴などお伺いできますか?

内海:2005年から11年くらいSEGAにいたんですけど、元々はプロジェクトマネジメントというか、商品を企画して作って、周辺の色んな仕込みやったりっていうのを全般にやってました。特にライセンス周りの商品が多かったので、それでたまたま2007年の秋ぐらいにちょうど初音ミクの企画が上がってきて担当することに。

 

──発売された直後はいかがでしたか?

内海:僕自身としては『VOCALOID 初音ミク』の体験版がリリ—スされた時に興味というか、「まぁどうせ音声合成だからそんなもんでしょ」みたいな感じでクリプトンさんのHPを見に行って。デモソング聞いて「あれ?ちょっと今までと違うな」って感じたんです。

その時はニコニコ動画が盛り上がっていましたし。そこで、たまたま僕がやっていたプロジェクトが終了するので、初音ミクさんをやらせてもらいました。案件としてはもうひとつあったんですけど、そっちはかなり有名なコンテンツだったので、新しいものをやってみたいっていう事で。それがきっかけでプロジェクトで言えば何作ですかね、6作7作……くらいやってきました。

 

──でもそこから派生してる物も含めたらものすごい広大な世界になってますね!?

内海:そうですね。あ、ニンテンドーDSも3タイトルくらい出して、PlayStation 4も『初音ミク Project DIVA Future Tone』っていうのを出して、PlayStation VRの開発くらいまでは関わらせて頂いたんですけど。その間に色々ね、イベントだとか、ライブだとかやらせて頂いてっていう感じですかね。

 

──ライブは大変そうでした。

内海:まぁそうですねえ。

 

──最初から関わられていらっしゃいますよね?

内海:はい。ライブは2009年の「ミクFES’09」からですね。あの時は何やるかが全然決まってなかったので、元々感謝祭の基礎になるメンバーが集まって、初音ミクがライブするフェス形式を考えました。

あの頃はボカロPさんとかがバンドで演奏されたりとか。特にryoさんをステージで見られたのは貴重でしたね。

 

──本当ですよね! 今となっては豪華すぎるボカロPのメンバーが登場していました。

内海:そうですね、あの頃は普通の少年少女だった人も多かったんで。ほとんど二十代そこそことかぐらいだったんじゃないですかね。

それで映像作らせてもらって、たまたまその時にアーケードの方の企画が進んでいてCGモデルが出来上がってきた頃だったんで「じゃあこれ使わせてよ」って言ってライブで使って。その次の年2010年に感謝祭やって、11年にロス行って、12年に最後の感謝祭やって、13年マジカルミライやって、16年のマジカルミライまでお手伝いをさせてもらいましたね。

──ずっと見守っていらしたって感じですね

内海:そうですね、だったら10周年までいろよっていう話なんでしょうけど、僕が……。

 

──まさかの電撃退職!! まさに衝撃でした。業界ではいろいろな憶測も飛び買いましたが、どんな経緯だったのでしょうか?

内海:え? あぁ、すいません。(笑)

僕がやらなくても、もう大丈夫というか。セガの社内の人材も育ってきたし、(初音ミクの)ライブもクリプトンさんがちゃんと仕切ってやられてるんで、みんなそれぞれ仕事ひとつ終わったかなぁっていう感じで。たまたまVRシアター立ち上がって、新しいことを始めてみようと。

 

 

 

まずレイア姫をやろうっていう

 

──「ミクFES’09」の頃、初めてキャラクターのVRライブをやられた時に感じた可能性みたいなものはありましたか?

内海:意外と面白いなって思いましたよね。

 

──意外と言うと?

内海:いやこんなの、うまくいくわけないじゃんって思っていたんですよ。一番最初のリハでバンドも集まって、小さいスタジオで実際に投影用のボードを持って写してみたんですけど。「あら結構そこにいるって感じだね」みたいな。元々デジタルサイネージ用のアクリルのパネルにプロジェクターで絵を写すという、何て事ない技術なんで。そのなんて事ない技術でいかにミクさんが召還させたっていう体を表すのかっていう所をどんどん年を重ねるごとに突き詰めていけたらな、とは思ってましたね。

そもそものイメージがスターウォ—ズのレイア姫なんで。その年代の連中、リアルタイムで見てた連中が多かったのんで、まずレイア姫をやろうっていう。

 

──レイア姫!? 製作陣がそれを目指していたのですか?

内海:そうですね。会った事ないのは一緒なんで、レイア姫に(笑)。初音ミクさんっていうのは、そもそも僕らとしてはデジタルの中いるので。地上に降り立つ時にもデジタルツールを使って降りてくるっていう体で僕らはやっていたんです。

だから本当に人が立ってるように見せるっていうのは難しいと思うんで。逆にガジェット感だったりとか、そういう機械的なものと一緒に出てきた方が面白いんじゃないかっていう事で、僕が出たライブに関しては全てプロジェクターがわざと見えるようにしていたんです。

 

──えー! あれはわざとやっていらしたんですね

内海:そうなんです。もっと低くすれば光が見えなくなったりとかするんですけど。後ろにワーっと光源を置いて、わざと隠さなかったりとかしました。そうすると照明が少しあたってプロジェクターが見えて、ここから出てきてるんだっていう感じがで出ていいのかなっていう。

あと空間ができるだけある方が奥行きが出るので。みんな正面から見てるわけじゃないんで、少し斜めに見る人とかも後ろの立体感みたいなのもすごく大事だなと思ってて。そういう光源や奥行き感も大事にしてましたね。

 

──長年ずっとやられてきた中で、キャラクターを召還してライブとして見せるみたいな演出なり、技術なり、凄く進歩されていらしたと思います。こういう改善されてきたとか、こういう所に力を入れてやってきたみたいな所などありますか?

内海:今VRシアターでもいろいろな作品を扱わせて頂いてますが、キャラクターものは原作など作られた方達もいらっしゃるので……その方たちのこだわりっていうのがどこにあるかっていうのが一番の部分ですね。

例えば初音ミクでいうと2010年の感謝祭でやった時は、生バンドのギターとベース、キーボード、ドラムを入れたのですが、やっぱりデジタルというよりバンド調になりましてね。そういうライブをやる時にどういう演出、どういう間が必要かとか、MCはどれくらい入れるかとか、それら全体を構成しました。

その頃年齢層が高い方がファンが多かった印象だったので、そういう間とか、声をかけられるタイミングを作ってあげるとか。

 

──そんな空気感がミクさんのライブですごく好きなところでした。

内海:技術的な所で止めなきゃいけない部分もあったんですね。もう10年前ぐらいの前の技術っていうか、PCとかも十年前の物だったので。セッションをいくつかに切らなきゃいけなくて、切れた時に30秒とか1分止めなきゃいけないんですよ。

そこで期待感をあおるような演出なんだろうとか。どっちかというと技術的なネックと戦いながら演出作ってきたっていう感じですかね。

 

──でもそれが逆に良い方に生きたんですね!

内海:もうネガティブに考えるのはやめよう、できない事はできないんで。(笑)じゃあどう楽しんでもうらかっていう所で、例えばそこだけセッションを外して生で音入れたりとか、マニピュレータに叩いてもらったりして飽きさせないように……っていうのは結構やりましたね。2012年まではそんな感じで。2013年ぐらいからボカロPもいろいろすごい方が出てきてブームになったので。

そこから随分若い方、それこそ中学生とか高校生の方がいらっしゃるようになりました。『マジカルミライ』は横浜アリーナでやらせて頂く機会ができまして。じゃあ今までのライブは「2500人くらいの箱できっちり音を聞かせて」っていうコンセプトだったんですけど、まぁ横浜アリーナなので音の質ってそんなにこだわれないじゃないですか?

マジカルミライ2013
©Crypton Future Media, INC. www.piapro.net

──いや〜、アリーナは無理ですよ。(笑)

内海:だとしたら演奏をむしろ楽しくやるとか、今まで聞いた事ないアレンジでやるとか。

2013年のマジカルミライを僕「普通のライブ」って呼んでたんですけど。凄くお金をかけると凄くたくさんの事ができて、お金をかけないとできなくて。だから、そこそこ普通に見れるアリーナのライブってどんなんだろうって考えたんです。

舞台設計でバンドの方にステージに上がって頂いたり、今まで初音ミクの可動域って6mしかなかったんですけど、それを倍にして12mにしたり。12m歩けるとそこそこ動けて、今までなかった演出ができたんです。下手から上手まで走るとか。

 

──そうでした、そうでした!

内海:だからアリーナの広さをどう出すかっていうような事を考えていました。例えば見た目でミクがいてバンドがいて……距離をあえて少しとって、バンドを後ろに下げてみたりとか。またミクの後ろに機材がたくさん置いてあるんですけど、そこのスペースを広くとってみたりとかっていう事をご提案させて頂いたりとか。

あとね、バンドメンバーも今までギター1本だったけどギター2本に増やしたり。「初音ミクと生バンド絡むとどうなるのか?」みたいな演出をやらせて頂きました。あとはバンドの方もステージ前に出てもらってアドリブで弾いて頂いたりみたいな感じの事はやってみたりして。

横浜アリーナのあの広さで、普通に見れるライブっていうのを意識してやりましたね。やっぱり若い客層向けに曲も変えたりとかも。どちらかというとライブっていうよりは『マジミラ』はエンターテイントに近い演出だったと思います。

 

──何か新しくなった感じがしました、すごく!

内海:あと本当はダブルアンコールも作ろうと思ったんですけど、予算が足りなくて。でも最後にどうしてもマジカルミライバージョンの衣装で出て来てほしかったんで。
ピンスポットが出て来てみんなに「帰るまでが遠足」みたいな挨拶をさせて終わりにしようっていう。

 

──あれは会場湧きましたね! そおえいば10代専用シートでしたっけ。そのサービスも初めてではなかったでしたっけ?

内海:あっ、そうそう。U-18(18歳以下のお客様の優先ライブ)。なのでそういうのもあったんで、若いファンに人気のリン・レンパートをしっかり入れたり。

特にレンくんですね。レンくんってソロ曲だと割とシュールだったり、シリアスな曲が多くて。どうしてもライブのコンセプトとずれてしまう。もっと明るい感じでやりたかったんで、じゃあどういう風に出そうかというところで、レンくんのいろいろなパターンを増やしたんです。イケてるレンくんとか、リンちゃんとキャッキャしてる場面とか。主役はミクさんで、そこをサポートする役みたいな感じで双子を一緒に出したりもしました。

後ろでバックダンサーもできるし、自分も歌えるし、ミュージカルみたいな事もできるしバク転もしちゃう……あのレンくんは凄くバリエーション広くやらせてもらったで凄く楽しかったなっていう感じですね。

 

 

愛なんですかね? やっぱり使命感じゃないですかね。

──PlayStation VR(以下、PSVR)の方も関わられてたんですか?

内海:そうですね、最初の企画のあたりですかね。

 

 

──でもVRって今までステージに出すっていう所から逆に世界に入り込むみたいな方向転換じゃないですか? それを作ろうと思ったきっかけは何なのでしょう?

内海:いやもう「PSVR出るなら絶対やるでしょ」という感じですね。「僕たちがやらなきゃいけないんでしょ」っていうある程度使命感みたいな。

 

──確かにPSVRを誰かにデモでお見せする時には、まずミクさんを最初に試していただいています(笑)。

内海:技術力はセガさんってやっぱり凄いんで、期待以上の物ができますよね。クオリティ、企画力、アイディアでいうと、正直バンダイナムコさんとかの方が面白い物ができるなと思うんですけど。
初音ミクを料理させたらやっぱり上手いよなっていう感じは非常にしますね。こだわる部分や動かすためのこだわりっていうか。

 

──愛がありますよね。

内海:愛なんですかね? やっぱり使命感じゃないですかね。

 

──ファンにちゃんとした物を届けたり、版元のコンセプトを生かしたりとか?

内海:どちらかというと、やってた頃は逆に親の目を盗んで何やるかっていう意識の方が高かったと思いますけどね(笑) ファンっていうよりは自分たちの自己満足。ゲーム作る時って自己満足とファンのニーズが必ずしも一致しないんですよ。

例えば「ファイナルファンタジー」とかでも、ストーリーを見せるために演出部分とか、ムービー部分のこだわりとか。僕は好きなんですけど、やっぱり純粋にRPGずっとに楽しみたい人はいちいち演出いらねーよみたいな方もいらっしゃるみたいな。

ただそこにずっと僕らの自己満足が凄く合致していて、求める所は同じだったんですよね。きっと立場が一緒で入ったから、例えば僕ら作る側から最初入ってたら多分きっと違った結果だったんだなと思って。

僕ら見る側で、楽しむ側で、僕は企画から割と早めに入っていたんで両方の立ち場で見ましたけど。この人たち何が楽しいんだろうっていうのを凄くやっぱり考えながらやりましたね。

だから作っていく上でも作っていく過程をどんどんみなさんに見せてOk頂いたりとかっていうような事とか。そこら辺の蓄積も結構あったので、VRに移行するっていう部分はそんなに難しくなかったのかなという感じですね。

 

──ライブをずっとやられてきたノウハウですね。

内海:逆に僕らも見た事ない角度ってあるんですよ。

 

──えっ、そうなんですか?

内海:初音ミクさんのライブって結局正面しか見えないから。横行っても、横見えるわけじゃないんで。例えば三人で踊る曲とか、その姿を横から見れるってことに僕らも感動してました。
「こんな風に動いてたんだ~」とかって「この角度のリンちゃんかわいい~」みたいな。(笑)5年くらい経って、初めて見るっていうね。

 

──そうか、そうですよね! ずっとずっと正面で見てきたものが、初めて横から見られるっていう。

内海:ただVRってやっぱり隙がないので、皆さんどこの角度でも見られるのでそこを調整するのが結構大変ですよね。今まで『初音ミク -Project DIVA-』とかはカメラがついてる所だけちゃんとやってればよかったんですけど。

見えすぎてもダメだし、見えなさ過ぎてもダメだしみたいな、そこの角度の難しさだったりとか。

 

 

 

 

正直言ってつらいです。誰か変わってくれれば(笑)

 

 

 

──DMM VR THEATERさんではそういった背景があって、次は何を目指していらっしゃるのでしょうか?

内海:そうですね、色々やらせて頂いて……2016年の7月から参加ですけど。

 

──じゃあちょうど「レジェンドオブふなっしー」が始まる前くらい?

内海:そうですね、前ぐらいで。僕が入って1年くらいはトライアルの時期としてやらせて頂いて。女性向けアイドル、女児向け、子供向けとか。hideさんの『hide crystal project presents RADIOSITY』とかもやってたんで、どの辺に需要があるのかは、わかってました。

他にも色々な事をやってみて、最終的にこれからエンターテイントとして何が楽しいのかっていう事を突き詰めていって。もう一つはビジネスとして何が成功するのかっていうのが、なんとなくそこは見えてきたところです。

とりあえず2015年の9月からやってますので「3年くらいして結果出さないとね」みたいな感じはありますね。

 

 

 


──でも世界に類を見ないシアターであって、いきなり任されて「じゃあやれ」って言われても、いやどうするの?みたいな感覚にはなられないのでしょうか(笑)

内海:そうですね、僕入った時は普通に映像作ってればいいのかなとか思ってて。

 

──内海さんも社長を任されるということは予測はしてなかったんですよね?

内海:そうですね、全然まったく。いまだに副業だと思ってます。そんな事言っちゃいけないですね、難しいもんです。やりたい事ができなくなっちゃうんで、正直言ってつらいです。誰か変わってくれれば(笑)

 

──ビックリされました? えっ? 俺が?みたいな。

内海:いやでも交代の経緯も色々あったんで、多分一旦僕の方で引き受けないとみんな困るだろうっていうのがあったんで。

 

──義務感みたいな?

内海:義務感というか……。

 

──使命感?

内海:使命感というか……。

 

──そこにいたからなったみたいな?

内海:そうかもしれません。

 

 

 

僕の中ではもうちょっとできるよねっていう話なんですけど。

 

 

──それでは先ほどのお話に出たエンターテインメントで目指す所の本質って何でしょう?

内海:多分リアルに人が出るっていうのはもうやりつくしてるんでそんなに驚かないじゃないですか。エンターテインメントってある意味、刺激がないと。驚きだったり、喜びだったり、悲しみだったりって、いろいろあるとは思うんですけど。

映像を見て、みんな「凄い」って言うんですけど、やっぱり一時間とか見てると慣れちゃいますよね。だから「ここじゃないとできない事って何だろう?」ということで……一つのトライアルとしては稲川順二さんの怪談話をやりました。色んな方が喋って、割と映像はシンプルに少なめに作ってあって、逆に「音」を。

 

──あっ、音なんですね、あれ。いよいよきましたね、こだわり続けれらた音。

内海:結構、音でビックリっていうのになると、あんまり怖がらせてしまっても意味がなくて。あと稲川順二さんの怪談ってやっぱ優しさっていうか。霊みたいな現象に対してもその方が生きてきた情念みたいなものもご説明された上で、最後に怖いけどみんな成仏してほしいんだって思うとか。

そういう優しさが込められた話が多いので、そういう感じで暇つぶしにラウンドワンの帰りに寄ってくれるといいなっていう。デート帰りにリア充さんが寄ってくれるといいなと。

 

──カップル対象だったんですね!

内海:でもお友達とか家族とかでも全然。男性グループでも女性グループでも楽しめるコンテンツになってますので。まずは横浜で面白い物を提供し続けるっていうような事をやっていけたらいいなって思ってます。

 

──さっきも話してたんですけど『アイカツ!LIVEイリュージョン』とかも凄いファンにとって好評で、評判見てても絶賛しかなかったです。

内海:最初、チケット全然売れてなくて。50公演くらいあるんですけど、10%とか売れてなくて、知らない間に今連休明けくらいで半分以上になってて。

 

 

──口コミで、拡散した例ですね。

内海:きっとプロモーションが下手くそなんだな、僕たちは。

 

──でも一時はアイカツのファンだからこそ言える事がたくさんあって。やっぱり一回目より二回目の方がパワーアップが凄い。

内海:やっぱ愛ですよね。

 

──劇場に対する作り込み、あのシアターに対する製作人の腕が上がってきてて、クオリティーがすごいアップしてきてるっていうのが。

内海:僕の中ではもうちょっとできるよねっていう話なんですけど。

 

──あっ、もうちょっと?まだまだいけると?

内海:そうですね。もっと喜んでもらえるものになるんじゃないかなと思いつつ、色んな事情がありまして今の所はベストなんでしょうね。この環境下ではベストな物ができたんじゃないかなとは思いますけど。

 

──まだまだ上を目指せる?

内海:思いますね、やっぱりミクの時もそうですけど、人様の物をお借りするって限界があるんで、何かオリジナルで作ってやりたいなとか思ったりもするんですけど中々ね。

 

──結構長期にやるじゃないですか? あまり他にない、演劇と同じようなボリュームで映画を見るみたいな感じですよね。

内海:そうですね。映画とライブのちょうど中間ぐらいの位置づけなんだろうなと思うんですけど。今は映画とライブの中間にあるがゆえのジレンマというか。チケット代の設定とかもその間じゃないとできないっていうのもありますしね。でもライブよりへたしたらお金がかかるんで。

そこら辺をどうバランスをとってやっていくかっていう所とかも含めてマネタイズになります。どういう客層がどの時間帯にいらっしゃるのかっていう所もだいぶ見えてきたので。あとは何をやれば喜んでもらえるのかっていうのかっていうのが身に染みて感じてるっていうか。

自分達がやってきた事に対するお客さんの直接の反応が見れるんで、そこは凄い重要かなと思いますね。凄くメンバーの意識が変わってきました。僕が来てちょうど一年弱くらいですけど。

 

ライブって居心地悪いくらいがちょうど良いのかなって思う派なので。

 

 

──同じ特殊な会場っていうと結構ドワンゴのニコファーレも60度に設定してキャラクターが出せるみたいなのもあったりしますけど。

内海:面白いですよね。ARもできますしね。

 

──そういう他の劇場とかも結構見られてきた?

内海:ニコ―ファーレさんはそうですね、結構最初の頃に見させて頂いたり。あとは今使ってるアイライナーの仕組みはスタジオTEDさんにお伺いして、色々実験させて頂いたりとか。TEDの吉田さん、PA担当の武井さん、元KADOKAWAの福岡さんもいたし。みんなで初音ミクのシークレットライブをプライベートでやるっていうよくわからない集会になってましたけど。テスト、テストとか言いながら。

色んな所、見させて頂いた上で、出来上がった物を引き継いでるんで。もう少しニーズに合った手を入れられたりとかすればいいんですけど……もう少しあれで頑張ってみたいです。

 

──劇場自体もうちょっとパワーアップしていかれる?

内海:パワーアップっていうか、例えば舞台なのかライブハウスなのかでだいぶ違うじゃないですか? その場の作り方や演出とかの工夫でもっとライブ感出せたり。

 

──確かにそうですね。今結構アイカツの話でよく出てるのが、着席でやってるからみんな席を立っていいのか、声を出していいのかわからないという話も。

内海:そうですね、皆さん行儀よくて。女性の方は良いって言ってるんですけど、僕はもう少しライブって居心地悪いくらいがちょうど良いのかなって思う派なので。

 

──ミクさんのライブの時に立って良い、振って良いとかやってくださったのって内海さんでしたよね?

内海:何でしたっけ?

 

──「ペンライトがディラッドボード(※初音ミクを投影する透過性のボード)反射してしまうから禁止」を解いたのは内海さんだったかなって。

内海:あれはやった方がいいと思いますよ。だって別にパッケージにする時の事情なんてこっちの事情じゃないですか。お客さんどう楽しんでるか。お客さん座ってるパッケージ見ても面白くないんでというのはありますね。あれはロスかなんかだったかもしれませんね。

 

──そういえば、ロスは……!

内海:ロスの時はね、関係者が前の方にいたんですよ。

 

──ど真ん中に赤いペンライトが。(笑)

内海:赤がね、結構ダメなんですよね、ミクのライブ。なんで、2012年のライブの時にミクさん出てくる時に赤がどうしてもクリアできなくて。ただあの頃まだペンライトじゃなくて普通にこういうプラスチックのもので。あの時も一応舞台の高さとか、角度とか、距離とか考えてどうやったら反射しないか考えました。

一番反射で困るのって東京ドームシティ―ホールで1階のお客さんのサイリウムのライトが3階の人とかにうつっちゃうんですね。そこの角度とかライティングも考えて、できるだけ赤が反映しないようにギリギリまで調節して。もう赤いけそうだねということで、あの時に赤いの振っていいですよっていう話をさせて頂きました。

 

──やっぱりライブ会場に来てくれる人、ライブとして見てくれる事をちゃんと尊重されていて。

内海:だからちょっと今ね、お行儀がいいのをどうすればいいんだろうっていうのがかわかんなくって。でもそれは劇場自体の環境を変える事で、そういうお客さんの体系もどんどんどんどん変わっていくかと。チャンスがあればもうちょっと盛り上がるやつを!

 

──でも確かに両方あるといいですよね、それって。劇場として多分中身を変えるのも難しいかもしれないですけど。ゆっくり観れる時、ライブ風にもっとみんな騒いで観れる時。

内海:「アイカツ!ミュージック フェスタ」に僕初めて伺わせて頂いて拝見したんですけど、「これだよな!」って。

 

──夜の部凄いですよね。

内海:久しぶりにホームに帰ってきたっていう感じで。これです、これですみたいな。もうみんな泣きながら踊ってるんですよね。そうだよなとか思って、ああいう事やりたいです。

 

──確かにあれは是非再現して頂ければと。

内海:ここは多分使えないかもしれないですけど、Soleil(ソレイユ)が好きなんで、単独バーチャルライブとかやりたいな、大きな箱で。やらせてくれないかな……。

 

 

 

そのくらいやらないと僕がここにいる意味がない

 

 

──おお! VRシアターではいかがですか?

内海:VRシアターは例えばF1やった後、その技術を市販車にもっていくとみたいな考えでいいのかなと。

 

──なるほど、なるほど。あの技術はどこ持っていってもいいわけですもんね。

内海:そうですね、もっと広い所でやりたいなぁと。

 

──そこで大きな会場でやったものが一部だけど常設で見られるみたいな感じでVRシアターに持ってくるとか。どんどん広がりますね。

内海:そうですね、そのくらいやらないと僕がここにいる意味がないかな。まあ、中々ハードルが高いですよ。どこからくどけばいいのかわからないっていう状況。

 

──結構強いIPが上演されているじゃないですか? ワンピース、プリキュア、アイカツ、ふなっしー……。よく持ってこれるなぁと思うんですけど。

内海:皆さんがやっぱり共通してる点としては、ああいうバーチャルなライブをやった事があったりとか、やってみたい希望があったりするので決まる時は早いです。

やっぱり長い期間やれるっていうのが魅力なんじゃないですかね? 開催するにあたり会場費・機材費もかかりますが、それがうちでは常設なんで、費用も抑えられますし。どちらかというと今は版元さんの方のニーズに合ってるっていう感じですね。

ある男性アイドル系のライブをやらせて頂いた際、皆さん凄く集まって頂いて。現地スタッフも頑張っているんで凄く評価頂いていて、〝聖地〟と呼んで頂いたらしいので。そこはそこで伸ばしていければ、一年中やっててもいいかなみたいな。

そういうのやりつつ、例えばですけど女性向けのアイドルの企画とかもいくつか走らせていただいてり。そうするとお客さんもいろいろな選択肢でてきますし。たくさんのラインナップが組めるかなと思ってますけど。

 

──シアターでやったタイトルをミクさんみたいにVRに持っていく可能性はありますか?

内海:あっ、でも多分あるんじゃないですか?

 

──DMMさんで売るみたいな。

内海:そこまでのアイディア、なくはないですけど中々超えなきゃいけない壁がいくつかあるので。

 

──そういうのもあったらあの公演が永遠に観れる、いつでも好きな時に観れますね。

内海:そこまでやるんだったらもう少し元々の素材というかクオリティを僕らの方でもう少し突き詰めたいなと。

別に今のが悪いわけじゃないですけど、やっぱり細かい所でどうしても、元々がそこまで考えられて作ってない物だったりするので。VRだと360度四六時中見られる可能性があるのできっちりと細かい所まで作らないとっていうのがありますね。割とそのままっていうのは結構難しいっていうね。

 

 

後編に続きます→コチラ
後編では、いよいよVRシアターで天使が降臨するか? VRの未来は?など伺っています。

 

●関連サイト
DMM VR THEATER

 

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