ノキア「OZO」体験者が語る「VRで大切なのは音」

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フィンランドのノキアが開発した360度カメラ「Nokia OZO」(オゾ)は、360度ビデオやバーチャルリアリティーの業界でコンテンツを制作している人たちに大きな衝撃を与えた。

 
今まで360度映像を撮ろうとすると、GoProのようなカメラを複数用意して、自分で組み合わせる過程が必要だったが、OZOでは内蔵した8個のレンズで撮影が可能だ。マイクも8カ所用意し、360×180度の全方位を3Dサラウンドとして記録してくれる。さらにリアルタイムでの生配信にも対応しているというのが素晴らしい。

 
バッテリーを利用したケーブルレスの運用も可能で、500GBのSSDに45分記録が可能。複数台のGoProからSDカードをいちいち抜かなくても、一気にデータを取り出せる。ついでに11月末に明らかになった6万ドル(約730万円)という素人お断り価格も激震を与えた。

 
では実際のOZOはどんな印象なのだろうか。某メディアの記者で、フィンランドで11月13〜14日に開催された世界最大の起業イベント「Slash」を取材した際、実機を見てきたという盛田氏に話を聞いた。なお、口調が謎にフランクなのはご容赦ください。

 

 

映像のつなぎ目も気にならなかった

——OZOの実機、何がすごかった?

 
盛田 Slashの会場でOZOで撮った360度映像をGear VRで観たんだけど、まず音がスゴかった。

 
——3Dサラウンドだもんね。

 
盛田 そう。音が立体的だとVRの意味がガラッと変わる。後ろから音がすると振り向くじゃない。あと上から音が出たら、上を向くし。映像の解像度はちょっとまだまだかなと思ったけど、音がリアルだから「うおーっ」と感動しちゃう。

 
——解像度が足らないのは、PC向けのVRHMDじゃなくて、スマホを使ったGear VRで観てるせいかもしれないね。でも音はスゴく重要。

 
盛田 前に立川シネマシティを取材したときに担当の方が言ってたんだけど、映画もやっぱ音が命で、映像は例えばドキュメンタリーだと昔の映像つないで荒くなってたりするじゃない。でも音がよければまったく体感が変わらない。

 
——確かにネットの生放送とかでも、映像がフレーム落ちしてても、音が高音質ならそんなに気にならないよね。

 
盛田 それが例えばマイケル・ジャクソンの「THIS IS IT」みたいな感動につながっている。だからボディソニックとは言わないまでも、音のリアルさというか体感というのはVRでもっと追求していってほしい。

 
——映像もどれくらいの性能か気になるなぁ。

 
盛田 解像度は公表されたよね。

 
——スペック表を見ると、カメラについて「8個の同期された2K×2Kセンサー」と書かれているけど、実際の出力サイズが書いてない。あと、白飛び・黒つぶれとかがどれくらい起きないかとか、色合いの傾向とかはみてみないと分からなそう。

 
盛田 あーそれは……そうね。ディスプレー側にも依存しそうだけど。

 
——そういえば映像のつなぎ目って目立ってた?

 
盛田 つなぎ目?

 
——既存のGoProを6個とか組み合わせるシステムだと、1m前後の近い距離に被写体が入って動き回ると、GoProとGoProの間で切れ目ができがちなのよ。OZOの映像をGear VRで見たときはどうだった?

 
盛田 特に注意してみてなかったからかもしれないけど、切れ目はあまり気にならなかった。要するにGoogle ストリートビューみたいにたまに切れてるところがある感じ?

 
——そうそう

 
盛田 コンテンツが3種類くらいあって、いちばん印象的なのはバンドが体育館みたいなところで演奏するやつなんだけど、360度ぐるぐる見まわしても「あっ切れたな」みたいになる瞬間なかった気がする。

 
——おおー、素晴らしい。そういえば本体サイズってどんなもん? サッカーボールくらい?

 
盛田 もっとちっこくて、ラグビーボールくらい。五郎丸が抱えてるサイズなので、タックルかけてOZOでタッチダウンしてほしい。

 
——やめて(笑)。730万円が!

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目指したのは「誰でも簡単に使えるVRカメラ」

 
——映像といえば、生放送用にリアルタイムで360度映像を取得できるのもスゴいよね。

 
盛田 そうそう。ディスプレーしかなかったのでおそらくPCで処理して表示してると思うんだけど、めちゃなめらかに映ってた。遅延もあんま気にならない。あと730万円ってのが安いのかどうなのかはわかんないんだけど、扱いやすいのは確か。リアルタイムレンダリングの仕組みが備わってるのはスゴい。しかもバッテリーパックも後ろからスコッと取り外すだけで交換可能。

 
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——おー。あの筋斗雲の尻はバッテリーなのね。

 
盛田 機構がスゴくシンプルなんだよね。ケーブルとバッテリーだけだもん。

 
——運用も楽そう。今のGoPro6台とかのシステムで撮ってると、データ抜き出すのも充電も一苦労なのよ。

 
盛田 リアルタイム配信もビデオケーブル1本だけだからね。普通に三脚にマウントできるようになってるし。ちょー楽だと思うわ。

 
——素晴らしい。

 
盛田 ノキアが目標にしているのは誰でも簡単に使えるVRカメラなんだよね。

 
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——会場の反応ってどんなかんじだった?

 
盛田 ブースにめっちゃ行列できてたよ。Oculusみたいなヘッドマウントディスプレーと勘違いして「サムスンと共同開発したのか?」とか言ってる人もいたけど。

 
——みんな驚きの声をあげてたとか?

 
盛田 いや、そうでもなかった。やっぱりOZOの運用の楽さとかに感動するのは撮る側の人なんだよね。「なんて楽なんだー!」「うおーリアルタイムレンダリング!」、「映像見ながら撮れるとかマジ神!」みたいな感じにはなると思う。

 
——今後はスティッチに苦労しないところがスタートラインになる360度映像プロダクションも増えるんだろうなぁ。その分、360度に適した演出とかでの差別化が鍵になると思う。

 
盛田 専門領域から一般領域に降りてきた感じかな? ソニーあたりが対抗機種だしてくれるといいんだけどね。市場は対抗機種あってのものだから。

 
——ともかく、OZOはメチャ期待ってことはわかったんだけど、OZOのサポートのページ見ると「OZO is currently only available in the U.S. and can only be shipped to a U.S. address. We will be announcing commercial availability in other markets at a future date.」って書いてあって、日本で買えないのよね……。

 
盛田 海外の展示会とかに行って触ってみるといいよ。ぜひどこかで体験してみてください。

 

 
(聞き手/広田稔

 
 
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