【連載】神足裕司 車椅子からのVRコラム 国際福祉機器展で見かけたVR 編

LINEで送る
Pocket

6年前にくも膜下出血で倒れた人気コラムニストの神足裕司さん。闘病中の氏が車椅子の上から隔週でお送りしているVRコラム第11弾です!

 

9月の末東京ビッグサイトで行なわれた国際福祉器機展に出向いた。15カ国、1地域200000点もの福祉機器を展示する大イベントだ。ボクが病に倒れて1年の入院の後、退院そしてちょっと動いてみようかな?そう思ってからというもの毎年行っている。だから5回目。

今回訪れたのは目的があった。最近よくニュースでVRを介護の世界で利用している、そんなことをよく聞いていたからだ。「実際どんなふううに使っているかみれたらいいな」そう思った。事前に調べてもらった。すると意外なことにヒットしない。最近の国際福祉器機展の傾向は、ロボット、AI搭載の器機やソフト、そんなものがかなり多く展示されるようになった。昔は、いわいる介護グッズや便利品というものが多くて介護初心者のボクはそれでも驚きの連続だった。それとは様変わりした。きっと近い将来こういうロボットたちや人工知能搭載のものたちに助けられて生活するんだろうなと思う。それは、ボクが思うよりずっとすぐのことなんだろうとも思う。介護従事者を少しでも楽にしてくれるパワースーツにボクたちを癒してくれるペットロボットなどなど……。

“VR”で検索してやっと「仙台フィンランド健康福祉センター」という団体をみつけた。足こぎ車椅子TESS社のCOGYを使ったVRシステムを支援したり、TESS社とトゥルク応用科学大とのコミュニケーションをサポートしている団体だ。VR画像を使ってリハビリをするという。

 

フィンランド健康福祉センター事業創成国際館のブース

数年前、歩行訓練をやはりロボットを使用して行なうサイバーダインというスタジオで「COGY」という足漕ぎ車椅子にのった。
COGYは、左半身麻痺していて発病後自力で移動したことが無かったボクがスタジオ内をスイスイ移動させてくれた。自分の意思で。嬉しくって用もないのにスタジオ内をグルグル回った。

今年になって友人が「いいもの見つけた。これならきっと神足も平気だ」そういって添付してきた資料がCOGYだった。さらにそのすぐ後に、雑誌の編集者が「神足さん、これならホノルルマラソンいけますよ」そういってCOGYを紹介してくれた。
そして今回、VRを探していたら国際福祉器機展のブースでまたまたCOGYと出会った。
なにかCOGYに吸い寄せられているような気さえする。

 

あきらめない人のための革新的な車椅子COGYでディスプレイ上のVR空間を楽しむ神足さん。

COGYのリハビリソフトはトゥルク応用科学大のVRの高齢者への取り組みをもとに開発が進んでいる。実際国際福祉器機展で試したVRは広いゴルフ場のような高原がロールスクリーンに映し出されている。

 

ディスプレイのVR空間のイメージ。360度映像を取り入れることでエンターテイメント要素付与し楽しみながらのリハビリが可能となる。

 

そこをCOGYを漕いで進む。右に曲がれば右に画面は変わりどんどん進む。自分が進んだ距離も明記されていて、ただ足漕ぎを部屋の中でしているよりも駆るかにおもしろいし、目標も立てやすい。「あそこの丘の上までいってみよう。」そう思うだろう。これは、ゴーグルは使わないバーチャルリアリティーの画面上を進むものだが自宅で、施設でリハビリをしなければならない人たちにとっては画期的なものだと思う。我が家でも足漕ぎペタルを購入してリビングで漕ぐというリハビリを行なっているがかなり飽きる。テレビを見ながらやっているがテレビに夢中になりすぎて足がおろそかになる(笑)
このソフトを開発しているトゥルク応用科学大のMika Luimula氏はフィンランドで、高齢者運転講習のソフトなども開発されているという。高齢者がVRゴーグルをかけて運転をしている姿や前者のVRのソフトを使用したリハビリと普通に行なった場合よりも効果があがっているなどのデーターも拝見した。これと、いま何人にもすすめられているCOGYがタックを組んだらきっと面白いものができるだろうなあと思う。ボクがここで前回書いたような、高齢者が昔住んでいた町や、子どものころの風景をリハビリのVRで使用しようと思っていると開発者たちは話していた。きっと数倍やる気もでるだろう。

 

HMDの導入開発も始まっており、VRを利用したリハビリなど医療業界の新たな発展に期待が集まる。

ボクは、あの丘の上まで頑張って漕いでいったら見渡した場所が360度、上の下もこんな素敵な風景のところに来たんだなんて思えるようなものをゴーグルでみたいような気もしたけど……贅沢かな。

 

 

●著者紹介

撮影:石川正勝

神足裕司(こうたりゆうじ)
1957年、広島県出身。黒縁メガネ・蝶ネクタイがトレードマークのコラムニスト。「金魂巻(キンコンカン)」をはじめ、西原理恵子との共著「恨ミシュラン」などベストセラー多数。2011年にクモ膜下出血発症。1年の入院生活を送る。半身マヒと高次脳機能障害が残り、要介護5となったが退院後、執筆活動を再開。朝日新聞をはじめ連載も多数。最新刊は「一度、死んでみましたが」「父と息子の大闘病記」などがある。

 

●関連リンク
国際福祉機器展
株式会社TESS – あきらめない人の車いす「COGY」
朝日新聞デジタル 連載 コータリンは要介護5
神足裕司Twitter

LINEで送る
Pocket