xRの未来をハード3社のキーマンが激白!「グローバルVR/AR12兆円市場へのロードマップ」【Japan VR Summit 3】

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10月11日~13日にかけて、東京ビックサイトでグリー株式会社と一般社団法人VRコンソーシアムが主催し、日経BP社が共催するVRイベント「Japan VR Summit 3」が開催。12日には多くの識者を招き、プレミアムセッションが中心となった。

本記事ではHTC、ソニー・インタラクティブエンタテインメント、マイクロソフトのxRのキーマン(一人は女性ですが)を招いて行われた「グローバルVR/AR12兆円市場へのロードマップ」についてお送りしたい。なお、12兆円の根拠は2021年にVR/ARの世界市場が20兆円になるという調査会社の予測から取っている。

 

 
 

 

 

ソニー・インタラクティブエンタテインメントからはグローバル商品企画部 担当課長の高橋泰生氏。PlayStation VRのハード面でのキーマンとして知られている。

 

PlayStation VRの発売台数は2月に発表された90万台以降新たな情報がなかったが、6月の時点で100万台を発売したと発表。10月14日には実質的に値下げされた新型モデルが発売され、こちらは潤沢に出荷されているようだ。

 

 

日本マイクロソフト株式会社、業務執行役員 Windows&デバイスビジネス本部 本部長の三上智子氏。

 

 

マイクロソフトは「Windows Mixed Reality」と銘打ったMR/VR機器とそれに連なるOS機能の開発を行っている。2016年に発売した単体で完結するMRデバイスとして「HoloLens」を発売。VRを主眼に置いたヘッドマウントディスプレイとなる「Windows Mixed Reality Headset」も提唱している。「Windows MR Headset」はエイサーなどのデバイスメーカーが開発・生産を行い、10月17日より発売を開始した。

 

HTC Corporation, Vice President, VR New TechnologyのRaymond Pao氏。

 

 

 

 

 

 

 

「HTC VIVE」の製造とVIVE用VRコンテンツの独自マーケットプレース「VIVE PORT」構築とソフトウェアサブスクリプション、ファーストパーティソフトウェアプロデュース「VIVE STUDIOS」とサードパーティソフトウェア誘致、アクセラレータプログラム「VIVE X」。この4つのプログラムでVIVEのエコシステムを構築する仕組みとなっている。

 

モデレータは一般社団法人VRコンソーシアム代表理事/株式会社ハコスコ代表取締役の藤井直敬氏が担当した。

 

まず最初の質問は「VRの成長がスローであることについて悲観的な意見が出ているが、それについてどう思うか」といういきなり突っ込んだものに。会期の前にはNokiaが同様の理由でVR事業から撤退を発表するなど、成長が伸び悩んでいるのではないか、という意見は多く流れていた。しかし、3人の意見は揃ってノー。スローではあるが、成長が止まったわけではないというのが一致した見方だろう。

 

「20兆円中、ハードウェアの数値となる12兆円を3社でどのように取り合うか」という答えにくい話題も。高橋氏は「時間はもう少しかかるかもしれないが、それだけの規模になることは間違いなく、その中でPlayStationとしてしっかりとしたビジネスを続けていきたい」と解答。

三上氏は「VR/ARというカテゴリで区切ることが難しくなる」と答えたが、それは「Windowsの機能としてVR/ARの機能が標準化されていくとそういう垣根がなくなっていく。区切らないでいいのかな」という未来の予測から。

Pao氏は「ハードウェアだけでなく、マーケットプレース運営やコンテンツの制作に注力することでVIVEのエコシステムを強固にしていきたい」、といずれのパネラーも具体的な数値目標には一切触れず答えている。

 

また、3社が他の会社のVRプラットフォームのいいところを上げてください、という質問も。高橋氏はマイクロソフトのWindows MR Headsetについて、「PCにプラグインでつなげるだけですぐに使えるところ。その手軽さは大きく障壁を下げた。また、それが多くのデバイスメーカーから発売されることもあり、VRの垣根をぐんと下げた」とのこと。

三上氏はHTC VIVEに対し、「VIVEがVRのキーイノベーターだと言っても過言ではない。VRの世界観をいち早く広め、その良さを知ってもらうことで普及が広がった。それらから生まれた知見や取り組みがVRをけん引していった」と話した。

Pao氏はPlayStation VRについて「VRコンテンツが少ない時期から多くのスタジオと協業して優れたコンテンツやIPタイトルを世に送り出してきた」と話し、それに藤井氏が「(コンソール業界では)圧倒的な力を持つPlayStationというプラットフォームがあったから大きな影響力を持った」、と続いた。

 

「Appleは現在AR KITでARのビッグプレイヤーになったが、VRにはどういう形で入ってくるかを予測する」という質問には「Appleは開発者をエキサイトさせることがうまい」と話す三上氏。だが、実際どう仕掛けるかは予想ができないとも。

 

 

「VRやARが日常に溶け込むために必要なものは」というテーマにはやはり「(HMDを)かぶることがハードルが高い」「小型化・ケーブルレス化」を唱えたのは高橋氏。ただし、PlayStation VRでは「非日常を感じるためにHMDを被っていただく」という方向性とのこと。

Pao氏は「いろいろなところでVR/ARが普及すれば身近なものになる」と答えた。三上氏はそれに同調する形で「ハードウェアは遅かれ早かれ進化するもので、軽くて快適なHMDが早く実現できるか」、それに加え「コンシューマだけではなく、B2B2CでのVR/AR利用が拡がること」と語った。

 

また、開催日の深夜にOculus Connect 4で電撃発表された「Oculus Go」にも触れられた。高橋氏は「スマホもPCもいらない手軽なデバイスが登場するのは消費者にもコンテンツ開発者にとってもいいこと」、三上氏は「業界の底上げにはいいと思う。ただし、価格と性能はトレードオフなのでどこまで優れた体験できるかは気になる」と語った。Pao氏は「性能は普通の人が使ってみてがっかりしないレベルは超えているはず。200ドルなら若い人たちも買えるので一般向けのスターティングモデルとしては非常にいいものになるだろう」と高評価だった。

 

VRと現実世界をパススルーして重畳(ちょうじょう)することについて、藤井氏が「個人的な質問として」、3人に質問。PlayStation VRはHMDにカメラがなかったが、「VRと現実世界の融合はPS VRのリリース時点では考えていなかった。今後は考えたい」と高橋氏。Windows MR Headsetにはインサイドアウトのカメラが付いているが、MRとしての使い方ができないことを突っ込まれた三上氏は「乞うご期待(笑)」と逃げの方向へ。HTC VIVEにもセンサー用途としてのカメラが付いているがPao氏は「安全面で使用している」とさらっとかわしている。仮想世界と現実世界がヘッドセットだけで重畳できるようになるのは次機種以降の課題となりそうだ。

 

最後に「xR世界が未来の社会をどう変えていくか」という質問には「現実世界ではいかなる場所にも一瞬で移動できるし、非現実的な世界にも行けるところがVRの利点」と高橋氏。三上氏は「xRの世界がコミュニケーションを変えていく。今自分がこの場にいて、地球の裏側のチームメイトと同じ空間を共有してあたかも隣にいるかのように会話ができる技術はもうある。それをみんなが身近に使える世界がやってくる」とかたった。Pao氏は「xRの技術の進歩で時間と空間の制限を超えていつでも世界のどこにでも行ける日がやってくる」と語り、最後に藤井氏が「空間と時間を超えることができれば社会の仕組みや世界の認知も変わってくる。VR/ARのテクノロジーのインパクトは今までなかったようなインパクトであり、将来の発展が楽しみだ」と締めて、本セッションは終了した。

 

3社とも一見するとベクトルは異なってはいるが、VRの発展を望む気持ちは一緒の物だと思われる。もちろん、この3社以外にもコンペティターは存在するわけだが、それらが友に切磋琢磨してより良いxR体験ができるよう、これからの取り組みに大きく期待したい。

 
 
(TEXT by Shogo Iwai)

 
●関連リンク
Japan VR Summit 3
PlayStation VR
Microsoft HoloLens
Microsoft Mixed Reality(英語)
HTC VIVE

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