なぜFacebookはVRハードをつくり続けるのか? VR担当VP、ヒューゴ・バッラ氏に聞く

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Facebook傘下のOculus(オキュラス)が11、12日、米国サンノゼにて開催した開発者向けイベント「Oculus Connect 4」にて、FacebookのVR担当ヴァイスプレジデントであるヒューゴ・バッラ(Hugo Barra)氏にグループインタビューする機会を得た。同氏はGoogleでAndroidのOSや端末を担当したのち、2013年にXiaomiに転職して今年1月よりFacebookにて同職についている人物だ。

 
VR関係者にとっては、今後FacebookにおけるOculusの扱いがどうなっていくのかが気になるはず。2013年からVRムーブメントを追っている筆者の見解も含めて、彼のインタビューをお届けしたい。

 
 

徐々に強まるFacebook色

まず前提として知ってほしいのが、FacebookとOculusの関係だ。

 
Facebookといえば、ご存知ソーシャルネットワークサービス(SNS)の巨人で、一方でOculusは「Rift」というハードウェアに端を発するスタートアップになる。そして世界で昨今のVRムーブメントに火がつき始めた2014年、Facebookは約20億ドルという巨額を投じてOculusを買収した。

 
当時、OculusはまだRiftの第二世代開発キット(DK2)をリリースしたばかりで、実際に製品としてネットや店頭でRiftが購入できるようになったのは「VR元年」と呼ばれる2016年だった。その間、Oculusも徐々にFacebook色が濃くなっていき、2016年にはOculus Connectという開発者とのコミュニケーションの場においてもOculusロゴの下に「from Facebook」と打ち出すほど明確になった。

 
その後、Oculusの共同創業者でCEOだったブレンダン・イリーベ(Brendan Iribe)氏がPC VR部門に異動。アイコン的存在であった共同創業者のパルマー・ラッキー(Palmer Luckey)氏、社員番号1番のクリストファー・ダイカス(Christopher Dycus)氏らも相次いで退職して、人材面でもOculus色が薄くなっていった。

 
そうして迎えた今年のOculus Connect 4でも、基調講演で同社のビジョンを説いたのはFacebookのマーク・ザッカーバーグCEOで、Facebook連携の新要素もいくつか盛り込まれた。

 
そこで気になるのは、ハードウェア事業の存在意義だ。

 
市場調査会社・SUPERDATAの4月のレポートによれば、同じPC向けVRゴーグルの出荷台数で、RiftはHTC VIVEの後塵を拝している(その後、大幅値下げのサマーセールで台数を伸ばしたようだが)。特に今回の基調講演でも「Oculus for Business」を発表したように、B2Bの分野での使い勝手が悪かったため出遅れていた。さらに10月17日よりAcerの「AH101」などが発売されるなど、Windows Mixed Reality対応のMRゴーグル勢もここに参入してくるわけだ。

 
もちろん先のレポートを見れば、Oculusとサムスン電子が協業で手がける「Gear VR」が圧倒的に出荷されていることがわかるものの、競争が激化するならハードづくりをサードパーティーに丸投げして、本業のSNSでVRの分野を制するほうがシンプルなのではないだろうか。

 

「ハードウェアビジネスは目的を達成する手段」

という前提があったうえでのヒューゴ氏のインタビューだ。

 
──FacebookはSNSの企業ですが、Riftなどのハードウェアをつくり続ける意義は何でしょうか?

 
ヒューゴ氏 VR製品を自分たちで作る理由はとても簡単で、それが非常にいいものでなければならないからです。もしあなたが何か非常にいいものを求めるとしたら、それを自分たちでつくるのがベストなやり方です。そうして、そのつくり方を世界の残りの人たちにシェアすればいい。

われわれは自分たちが教える側に回って、多くの会社からVRプロダクトが出てくるのを望んでいます。そうすることで私たち自身のVRサービスを異なるすべてのプラットフォーム上で構築することができます。

今日のVRはとても難しく、コンピュータービジョン、ハードウェアセンサー、ディスプレー、光学、そしてリアルタイム性への最適化など技術的観点からも複雑な状況にあります。すべてが完璧でなければいけません。世界はまだVR製品のつくり方を一生懸命に学んでいる最中で、われわれも世界に共有しているところです。それが自分たちでハードウェアをつくる理由です。

ただ、それはわれわれの目的ではありません。われわれはハードウェアビジネスを行なっていますが、財務的な観点からハードでお金を稼ぐことを目標とはしていません。ハードウェアビジネスは目的を達成する手段でしかありません。われわれがそこに行き着くために、ハードウェアビジネスを続けています。

 
──それではRiftの互換機を出す予定はないのでしょうか?

 
ヒューゴ氏 Riftについていえば、今はその計画はありません。ご存知のようにすでにGear VRではサムスン電子と一緒に仕事をしていますし、そうしたビジネスモデルがほかのカテゴリーでも実施する可能性はありますが、現時点で発表することはありません。

 
 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
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