エアバス・JAL共同開発のHoloLens向け訓練アプリを体験 素人でも飛行機のドアクローズができた!

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エアバスは14日、MicrosoftのMRゴーグル「HoloLens」(ホロレンズ)を活用した訓練アプリのコンセプトデモを発表した。2019年より同社のA350系を導入予定という日本航空(JAL)との共同開発となるが、具体的な導入スケジュールは決まっていない。

 

 
HoloLnesは、Windows 10がインストールされた単体で動作するゴーグルだ。前面のカメラで周囲の環境をスキャンして、床や壁、家具などの位置情報を構築。その位置に合わせて、内部に備えた透過ディスプレーにCGを表示することで、現実にCGがあるように見えるというAR(拡張現実)を実現してくれる。Microsoftは開発者を支援する「Mixed Reality パートナープログラム」を用意しており、エアバスはパートナーとして選ばれている。

 
今回のコンセプトデモでは、「ドアの運用」と「コックピットでのエンジン運転」という2種類のトレーニングが体験可能だ。HoloLensをかぶると、飛行機のCGが目の前に出現。音声での指示を聞きながら、操作すべきところに目線を合わせて人差し指で中空を叩いたり(エアタップ)することで、ステップバイステップで操作方法を学んでいける。

 

ドアの運用のイメージ写真。

 

コックピットでのエンジン運転のイメージ写真。

 

航空機のHoloLens活用といえば、JAL自体も2016年4月の「ニコニコ超会議」にて企業として日本で初めてHoloLensデモを展示していた。このときはコックピットの操作方法と、エンジンパーツの仕組みを学ぶ2種類だった。

 
一方、今回の開発はエアバスで、JALはパートナーという立場だ。その理由について発表会では、「リアルなバーチャル航空機でシナリオを組むためには、航空機の3Dデータが不可欠」と、「目覚ましいITデバイスの進化に対応できる技術者を日本航空の中に抱えるのは難しい」という2つを挙げる。そこで訓練アプリの開発を検討していたエアバスに協力し、ユーザーの立場からコンセプトやシナリオを提案し、実際に使って改善点を出したうえで最終評価にも加わった。

 
JALによれば、飛行機の高性能化に従って整備士の学ぶべきことも増えているが、一方でトレーニングに使う実機の確保が難しい状況があるとのこと。MRの訓練アプリも整備士トレーニングの初期段階や自主教材としての活用を期待しており、実用化された場合は部屋にデバイスを持ち帰ってもらって何度も訓練を繰り返すような使い方を考えているという。今回の最終評価では、一度もA350を触ったことのないエンジニアが短時間で操作を理解できたという結果を得られたそうだ。

 

せっかく訓練しても、座学では5%しか平均記憶保持率が保てないとのこと。

 

実際、筆者も体験してみたが、慣れで学習できることがメリットだと実感できた。例えば、ドアの運用を外部から閉じる場合、ノブなどを数ヵ所を確認し、レバーに手をかけて……と実機と同じ位置を作業順に目視することになる。これが教本となると文字とイラストで手順が書かれるわけだが、いざ実機でというときに頭の中で空間に置き直すのはなかなか面倒だ。それなら最初から目線と手の動きを慣れさせた方が手っ取り早い。

 
筆者は航空機整備についてはズブの素人だが、説明員の話も聞かずに、アプリのアナウンスと目線誘導だけでものの数分でミッションを完遂できた。真剣に繰り返し学習すれば、A350のドアが現れたら対応できると実感した。

 
さらに会場に用意していたLenovoのWindows Mixed Reality対応のVRゴーグルで訓練アプリを体験したところ、目線の代わりにハンドコントローラーのレーザーポインターを使えるため、より触っている感覚が出ると感じた。こちらはPCが必要でHoloLensより可搬性は落ちるので、持ち帰りの自主学習はハードルが上がるが、より手でのインターフェースに最適化すれば学習効果が上がりそうだ。

 
前述の通りエアバスの訓練アプリはまだコンセプトで導入は決まっていないものの、VR/ARゴーグルは将来的にトレーニングに欠かせない存在になっていくと実感した記者発表会だった。余談だが、MicrosoftがかつてリリースしていたFlight Simulatorのように、実際の航空機を自分の手で動かしてみたいファンにとっても魅力的なアプリになるだろう。

 
 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
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