Oculus Touch専用ソフト「Coco VR」レビュー DisneyとPixarがVRにかけた魔法とは?

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15日、米DisneyはOculus Touch専用タイトル「Coco VR」をOculus Storeで無料リリースした(関連ニュース)。ジャンルは「映画」「探検」「ソーシャル」「カジュアル」で、主にメキシコで盛んなラテンアメリカの祝日「死者の日」を題材にした映画「リメンバー・ミー(原題:Coco)」の世界をVRで体験できる。11月22日にはGear VR版も配信された。

 

開発は国際宇宙シミュレータ「Mission:ISS」(関連記事)を制作した「MAGNOPUS」とDisneyのVR制作チームが担当している。

Coco VRの開発にはOculus社も関わっており、映画の販促を目的としたOculus社による他のVRコンテンツはOculus Studioが開発したゴースト・イン・ザ・シェルブレードランナー2049といったサイバーパンク系のハリウッド実写映画のものがあるが、リメンバー・ミーの特徴はDisney・Pixarの3DCGアニメーションの世界に等身大でそのまま浸れることだ。DisneyがVRに仕掛けた魔法とは一体何なのだろううか。

この記事ではOculus Rift版をソロで一通り体験した様子を紹介する。

 

「死者の国」へようこそ

 

Coco VRを起動すると、初めにプレイヤーの身長のキャリブレーションを済ませてから体験が始まる。プレイヤーは映画の主人公「ミゲル」の家の部屋にいるようだ。部屋には死者の日の飾りが施してあり、棚には大量の写真が置かれている。どうやら大量に散らばっている花びらはマリーゴールドらしい。

しばらくすると、ミゲルがプレイヤーに部屋で待つように言ってその場を去る。すると青いモンスターが現れ、プレイヤーは死者の国へいざなわれる。なお、ここまではプレイヤーに操作は要求されない。死者の国に到着すると服屋と思わしき部屋の中でプレイヤーの移動とアバターの作成から始まる。

 

ここからプレイヤーによる操作が要求される。Coco VRの操作方法はOculus Touch向けの多数のVRコンテンツと同じく、コントローラのスティックを上に倒してコントローラを傾けた先にワープ移動、スティックを左右に倒すと視界の回転、人差し指・中指のトリガーで物を掴むものだ。また、プレイヤーは移動可能エリア内であれば自由にワープ移動できるが、一部スポットでは固定されたワープポイントが存在する。

 

プレイヤーの目の前にある化粧台の上には小さいカラカ(骸骨)が置いてあり、カラカに頭や服を着せることでプレイヤーのアバターにも反映される仕組みとなっている。自分好みにカラカをカスタマイズしたらワープポイントで扉を選択して服屋から出よう。

 

服屋を出て通路を抜けると、電飾であふれたカラフルな建物が密集している不思議な街の広場に出る。広場には写真機や美術スタジオ、シネマや駅に繋がるエレベーターなどのアトラクションが用意されており、プレイヤーは自由に巡回して体験することができる。

 

ただし、駅に繋がるエレベーターはゲームが進行するイベントが発生するので、なるべく最後に体験することをお勧めする。なお、広場で一番目につきやすい街の奥にあるスペースではカラカによるライブが行われているが、ワープ可能範囲が想像よりも狭いので近づいて鑑賞することができないため注意してほしい。

続いて、各アトラクションを体験した様子を紹介する。

 

おめかしして写真機で記念撮影

服屋の通路から広場に出ると右側に巨大なカラカが二つ並んでいるのが見える。ちょうどそこに写真機とヒゲやメガネ、帽子などの装飾品が置いてあるので、自由に装飾品を身に着けて写真撮影をしてみよう。

 

撮影した写真はPCディスプレイ側のCoco VRのウィンドウ上部にある「Open Photo gallery」ボタンをクリックすることで写真の保存場所のローカルファイルが開かれるのでそこから閲覧可能。なお、装飾品を身に着けたまま写真機から離れてももちろんそのまま自由に行動できる。

 

 

資料がいっぱい!倉庫のような美術施設

アートスタジオの「ESTUDIO DE ARTE」にはリメンバー・ミーのコンセプトアートや設定資料、ファンアートなどが描かれているキャンバスが置いてあり、作品の近くに置いてある装置のオレンジ色のボタンを押すことで英語の音声ガイドが再生される。

 

また、倉庫の奥には化粧台があり、そこにプレイヤーのカラカの頭部を置くことで頭部のペイントができる。カラカの頭部が外れてもプレイヤーの視点はカラカの頭部があった位置のままなので安心して外してほしい。自分の手で引っこ抜いた自分の頭を見る体験は中々に新鮮だ。

 

化粧台に置いてある筆はそれぞれペイントできる模様が決まっていて、赤、黄色、黄緑、水色、ピンク、紫のインクの壺に筆を浸すことで色を変えられる。筆をそれぞれ口、額、ほおなどの顔のパーツに当てると模様が付く。自分の好みを見つけるまで気ままに調整しよう。

誰かと一緒に見てみたい野外シネマ

シネマエリアではリメンバー・ミーの2本のショートムービーが交互に野外上映されている。非常にDisney・Pixarらしい非言語的な楽しい映像だった。ちなみに、筆者がVR体験後に調べたところYouTubeのDisney公式チャンネルでも同じ映像を見ることができるようだ。

 

 

エレベーターから電車、そしてステージへ

筆者のCoco VRのイチオシのシーンはこの「エレベーターから電車」だ。広場の後ろ側にあるエレベーターに乗って駅から電車を発車させると、トンネルを抜けたところで空中に浮かぶ路線から死者の国の美しい景色を一望することができる。

 

スクリーンショットを見るだけではわからないが、この広大な街の景色は360度動画で再生されている。VRHMDで立体視非対応の360度動画を視聴すると天球の映像を平坦だと感じるが、VR空間で立体的な物体を通して非立体360度映像を見るとなぜか映像が立体的だと感じることが知られている。

Coco VRでは立体物である電車の中から景色を見せることによって360度の映像がまるで立体的のように巧みに演出しているので、このシーンで電車の外の景色が360度動画であると気が付かないプレイヤーも多いのではないだろうか。

 

しかし、筆者はCoco VRの360度映像はリアルタイム描写の立体物に比べてフレームレート数や解像度が少し低く感じられたので、酔いに敏感な人は少し気になるかもしれない。

 

電車が次の駅に到着すると、プレイヤーはステージ上に移動して、ライブを行っているダンサーのカラカと一緒に踊ることになる。ダンサーはジャズバンドの演奏に合わせて華麗に踊っているが、プレイヤーはステージの端にあるマラカスを手に取って踊る。

 

 

ダンサーや観客がプレイヤーを応援しているので、ここは恥ずかしがらずにリズムよくマラカスを振るとより楽しめる。調子を上げて気分よく演奏をやりきると、プレイヤーは死者の国からミゲルの家に戻って、Coco VRの体験は終了となる。

 

Coco VRの一部不満点を挙げると、冒頭のシーンの棚などディテールの細かい箇所に目を向けるとVRHMDの解像度が追いついていないために粗が目立って違和感を感じたり、ワープ移動可能範囲が意外と狭いのでPixarの世界観の100%を感じることができないといった点を少し残念に思った。

しかし、Coco VRの体験は全体的に快適で満足度が高く、リメンバー・ミーのカラカによる独特なアバターや、電車から景色を一望するシーンはVRに関心の強いマニアや開発者には必見だ。興味があればOculus Storeから無料でインストールしてぜひ体験してみてほしい。

 
 
(TEXT by ぱソんこ

 
 
 
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