画質や重さは問題だと感じている──「niconico(く)」発表会、質疑応答を全文起こし

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ドワンゴは28日、動画コミュニティーサービス「niconico」の新バージョンとなる「niconico(く)」(クレッシェンド)に関する発表会を開催した。4月に開発を表明し、サービス開始を10月に予定していたが、2018年2月28日への延期が明らかになった。

 

 
合わせて「niconico(く)」の新機能の一部として、動画共有サービスの「ニコニコ動画」、生放送サービスの「ニコニコ生放送」に次ぐ3つ目のインターフェースとして「nicocas」(ニコキャス)を発表。双方向性がコンセプトのひとつで、全員強制参加のゲーム「ニコ割ゲーム」やアンケートの「ニコニコQ」など、配信者と視聴者がリアルタイムで一緒に遊べる新機能を用意することを明かしている(詳細は特設ページで)。

 
新要素が盛りだくさんだったものの、そうしたドワンゴの提案とは裏腹に、ユーザーの反応は冷ややかだった。発表会を中継していた生放送は、途中で番組をいったん終了し、「niconico(く)」に移動して新機能を実際に披露するというものだったが、人数制限されていたりスマートフォンで視聴できなかったりと、まず放送自体が見られないことにツッコミが入る。

 
さらに以前よりユーザーから意見が出ていた画質やサーバーの強化、ログインの不要といった、ニコニコ動画やニコニコ生放送の性能向上に関する目立った発表がなかったため、発表会中継のコメントやTwitterで不満の声が多く見受けられた。

 
ドワンゴも画質の向上、タイムシフト/チャンネル/スマホアプリ/HTML5プレイヤーの高速化を「niconico(く)」で実現していくと明言しており、今回の発表内容がすべてではない。2018年1月28日に予定している全機能を公開する発表会で何らかの動きがあると思われるが、発表順が悪かったこともあって熱心なユーザーの期待に応えられなかった面もある。

 
そうした空気を察知してか、発表会の質疑応答中にドワンゴの川上会長が「質問はすべて受ける」と公言し、約1時間にわたって会場に集まったユーザー・記者・関係者からの疑問に回答した。VR系メディアのPANORAとしても、YouTubeが先行している360度動画対応が気になったため質問を投げかけている。かなり熱の入ったパートだったため全文を起こして編集したので、ぜひチェックしてほしい。

 
 
──今回の発表会を見て非常にがっかりして、コメントとかを見ているといらない機能を山ほどつけてしまった。まさにすっからかんの弁当箱に冷えた食材を詰めたという感想を持ちました。そこで質問ですが、なぜ今になって誰もやらないような分割ゲームに力を入れているのでしょうか?

 
川上 僕らはゲームそのものがやりたいわけではなくて、実際、生放送を見ている方はゲームをやらない人も多いと思うんです。そういう人に遊んでもらうためのゲームということで、非常にライトなものを用意しています。

 
──ぶっちゃけniconicoはあと何年ぐらい持つと思いますか?

 
川上 いやぁ(笑)。現在、色々ご批判はいただいていますが、それを僕らはクレッシェンドで盛り返したいと思っています。

 
──今回、動画に関する発表がないのが残念だと感じていて、投稿者の中にはYouTubeよりも綺麗にいい体験で動画をniconicoに投稿したいと考えている人も多いと思います。例えば、8K対応やH.265、360度映像の対応などは動画に盛り込まれたりしないのでしょうか?

 
川上 動画の画質の改善というのはひとつありますが、まずは投稿した動画をそのまま保存するということを来年から始めようと思っています。

 
──それは現在のように再エンコードされないで保存されるという?

 
川上 変換はされるんですが、4Kだったり将来8Kだったりに対応できるように、元の動画を残すという対応を始めます。変換せずに再生する機能はそのあとつくかもしれないという。そのまま変換せずに出すというのはできない動画も出てくるので、全部の動画で変換しないというのはできないと思います。でも、一部の動画に関しては変換しない機能がつけられると思います。

 
──H.265や360度動画への対応は考えられていないという?

 
川上 H.265は試験もしていまして、検討はしていますが、現在のところ再生に対応するかは別として、投稿には対応しようと思います。360度に関しても今話せるような状況にないということで予定はないですが、検討はしていますし、他のサービスでついている基本的な機能は対応するつもりはあります。

 

画質や遅延なども順次強化していっている。

 

現在の対応はこちら。

 
──新要素の「ニコニコ新市場」で、番組の画面にAmazonの商品や「ニコ割」など7つの機能が紹介されましたが、これは今後増える予定はありますか?

 
川上 ひとつの機能でも、Amazonだったら何百万もの商品がありますし、オープニング/エンディングもそれだけで何十種類もできますので、ジャンルとしては数が少ないですが、実際に張れる商品の数は非常に膨大になります。そして機能自体も今後かなり増えていくと思います。

 
──新市場の機能をつくるのは、ドワンゴ側でやるのか、それとも例えばオープニングをユーザーがつくるということはできるのでしょうか?

 
川上 最初はオープニングとエンディングに関しては当初は僕らがつくったものになりますが、ユーザーに開放していく計画はあります。ニコニコQは最初からユーザーのみなさんがつくって張ることができます。

 
──先日ドワンゴさんが出されている決算発表会で、「niconico(く)」の効果としてユーザー層の拡大によるMAU/DAUの増加という指標がありました。今回の新機能によってユーザー層の拡大にどのように結びついていくのか、ターゲットを明確にしたうえでご説明いただけると助かります。

 
川上 まずniconicoが現在、取れてないマーケットというのは、スマホのマーケットなんです。それは僕らの方は現状のスマホアプリのクオリティーが正直低いせいだと考えています。新サービスではかなり改善していて、まずスマホアプリの機能と操作性が向上しているのが1点。その上で、今日発表した映像合成と双方向の機能が充実しますので、スマホユーザーも含めて受け入れられるというのを考えています。

 
──スマホユーザーというのは、例えば10〜20代という若年層のことを指しているという理解でよろしいでしょうか?

 
川上 はい、それで結構です。

 
──かつての時代と違って、今は小学生からYouTubeなど他の動画サービスに慣れ親しんでいる現状もあると思います。その中でniconicoを使ってもらうために、どのようにユーザーを取り込んでいこうと考えていますか?

 
川上 若年層というのは新しいサービスに対する感受性が高いと思っています。10代は失いやすいマーケットでありますが、獲得することも十分に可能だと思っています。それはサービスの新規性などでできるんじゃないかと考えています。

 
──今回の発表でプレミアム会員の方がおそらく期待していたのは、いい画質で見られることと、重さが解消されることだと思います。そうした視聴側ではなく、投稿側の新機能が重視されたのはなぜでしょうか? また、具体的な解決策があるならそれも教えてください。

 
川上 まず投稿者を優先しているわけではなく、視聴者と投稿者の双方向が楽しめるサービスとして設計しています。そのなかで画質と重さに関しては、解決するための努力をかなりしているのですが、かなり根の深い問題があって時間がかかっています。それは順次やっていますが、まだ解決に至っていません。

本当に申し訳ないと思っています。プレミアム会員でも重い、画質も他のサービスに比べてよくないというのは大変な問題だと感じていて、すぐに解消できないのは申し訳ないと思っていますが、いずれ解決いたします。あと半年お待ちください。それまでには順次解決していきます。

 
──クリエイターが他社に流出しているその原因と今後の対策は考えているのでしょうか?

 
川上 基本はクリエイターさんが一番望まれているのは、つくったものを、たくさんいい環境で見てもらうということだと思っています。その点において僕らはサービスそのものの基本性能で劣っているのが大きな問題だと思っています。そこは繰り返しになりますが、今解消の努力をしていることと、新サービスで新しい魅力をつくりだして解決していきたいと思っています。

 
──なぜ「niconico(く)」のリリースがここまで遅くなってしまったのかというのがひとつ。あとはniconicoのプレミアム会員数の減少の原因として、先ほどから川上会長が何度かおっしゃってた要因もあると思いますが、個人的には他サイトのようにユーザー登録せずに視聴できるようになると快適になっていくと思います。ゲームも「くだらないな」と思いながら、実際参加して見て面白かったので、以前あったビンゴゲームを戻していただけるといいなと感じました。

 
川上 ご指摘いただいた会員登録がないとまったく利用できない問題は、「niconico(く)」においてはログインせずに使えるようにするつもりです。ビンゴゲームについても、僕も非常に好きな機能でしたので、何らかの時点で実現したいと思っています。

 
──自分はソフトウェアエンジニアで、今、法人だけのOAuth認証を個人で使いたいと考えています。個人にも開放していただけると、ソフトウェアのほうから盛り上がっていくのではと思うのですがいかがでしょうか?

 
川上 そのあたりも今、niconicoはAPIの利用制限がかなり厳しい状態です。それと実は動画がまさに解決していないのがリンクしている問題なんですが、それも合わせて僕らは解決しようと努力していますので、もう少しお待ちいただければと思います。

 
──プレミアム会員はいつ廃止しますか?

 
川上 プレミアム会員は廃止しません。

 
──イベントにいっぱいお金を使わないでください。

 
川上 実はイベントはそんなにお金を使っていません。サーバーの費用の方が全然多いですね。イベントはおかげさまでそこまでの赤字には実はなってないです。テレビCMとかをやる方がよっぽどお金がかかります。

 
──生放送についての話ですが、他社はHDはもちろん60fps対応だったり、ビットレートも10Mbpsまで使えたりという状況で、nicocasは2Mbpsと制限があります。その辺はアップデートしていく予定はあるのでしょうか。

 
川上 ビットレートについては、10Mbpsだと正直ほとんどのユーザーは使えないと思います。それを本当サポートするかどうかについては僕らは計画はありません。ですが、少なくとも他のサービスがやっていて、実際に利用者がいるようなサービスついてはすべてやろうと思っています。60fpsについても検討対象です。10Mbpsについては宣伝のために上げているだけだと思っていますので、僕らはやるつもりはありません。

 
──宣伝ではなく、実際に他の生放送サービスのビットレートは上がっていて、サービスを移っていくユーザーもいる状況ですが、そちらについてはどう思われますか?

 
川上 日本のインターネットで多分標準的な環境ですと、夜間で2Mbpsでも出ないお客さんが半分ぐらいいらっしゃる。ですので、その辺りぐらいが現状の限界なのかなと思います。それ以上のハイスペックを求めるユーザーに対してどうやっていくのかというのは、多分それは切り分けで、検討するテーマではありますが現状で対応する予定はありません。

 
──以前、コメントを評価する「ニコる」というサービスがあって、復活を望む声も届いていると思います。そういった背景も含めて、新機能を選んだ採用基準を教えてください。

 
川上 「ニコる」は、私自身も関わっていて愛着があり、本当は廃止したくなかった機能です。今でもいいと思っています。あれはサービスのつくり方が特殊でして、それを維持したままシステムを改善するのは非常に難しかったんです。なので「ニコる」機能を復活させるには、いちから作り直さないと難しいということで、やむなく廃止しました。

niconicoのいろいろな機能が、長い歴史の中でつぎはぎでつくってきたがために機能追加が難しくなっているという状況があって、新しい機能を簡単につくれるようにということで、今回発表した双方向の「Akasic」や引用・合成の「DMC」といった新しく自社開発したストリームサーバーに移管している最中です。ですので、今後は新しい機能もより追加しやすくなると思います。

「ニコる」については、僕はとてもいいサービスだと思っているので、どこかのタイミングで復活させたいと思っています。本当に重くて、いろいろなところと相性が悪くて、まずは少し違にはなるかもしれませんが、少なくともコメントを評価できる機能というのは実現したいなと思っています。発表をお待ちください。

 

表面上の機能ではなく、ストリームサーバー自体からの改修となる。

 

発表された新機能は、このストリームサーバーがあって実現できたものだ。

 
──プレミアム会員について、もう少し付加価値や新機能がつくのかというのが1点。あとは12月1日から始まるコメント付きでアニメ見放題という「dアニメストア ニコニコ支店」について、もともとユーザー登録しているのと連携できるかどうか。もう1点、動画投稿にある「ニコニ広告」に付いた宣伝ポイントは、どれくらい投稿者に還元されるのかを教えてください。

 
川上 プレミアム会員の特典ですが、次回1月28日の発表会で説明する予定です。当然プレミアム会員向けの機能はリリースの根幹ですので、会員になってよかったと思えるようなサービスにしていきたいなと思っています。

dアニメについて申し訳ないですが、現在の加入者とのひも付けはないです。niconicoで見る場合は、ニコニコ支店に加入してください。申し訳ないですが、別なのでアカウント連携はできないです。

ニコニ広告は、使われている方はわかると思うんですが、無料チケットがあります。その無料チケットは配分の対象にならなくて、有料部分だけが配分されます。その仕組みや計算式については、僕らの方針で公開してません。いろいろなサービスがあって、投げ銭みたいなのは一方でそういう雰囲気を嫌うお客さんもいて、そういうところが計算できてしまうのは僕らはよくないなと思っています。その辺のロジックは基本公開しないで、実際どうなっているのかわからない状態にしています。

 
──もう1点、動画はクリエイター奨励プログラムに登録された作品のみ報酬対象になるのでしょうか? それとも登録されてなくても、広告がついたらもらえるわけでしょうか。

 
川上 クリエイター奨励プログラムに登録しないともらえません。

 
──登録しててかつ、広告がついて、運営のチェックが通ればもらえる感じでしょうか。

 
川上 クリエイター奨励プログラムに加入している段階で、基本は自動的に計算されてもらえます。クリエイター奨励プログラムはもともとあるものなので、再生数やマイリスト数などで計算されて配分されます。それに広告で応援していただいた収入も加わるということです。

 
──ユーザー登録をしないで見られるという話が出ていましたが、配信側はプレミアム会員費を払わないとできないのでしょうか。

 
川上 放送者がプレミアム会員である必要があるというのは、基本的には続ける予定です。

 
──ほかの配信サイトだと無料で登録できて配信できるサイトもありますが、そうした風にはしないという?

 
川上 そこについては基本的に守ろうと思っています。それはどういう意図があるのかというと、放送する人と視聴者の数のバランスで、視聴者の方がたくさん来る放送が生まれるようにしたいということと、生放送の場合、生主がオピニオンリーダーになるんです。そうすると生主じゃない人がプレミアム会員でないと、その視聴者もプレミアム会員になっていただけないという状況があるので、そこはわれわれの都合でみなさんプレミアム会員になってくださいということをできるだけ挑戦したい。ですが、プレミアム会員のお金ですとか、生主が使うチケットだとかを視聴者が代わりに払ってあげる仕組みは用意したいと思います。

 
──もうひとつ、ニコニコ動画やニコニコ生放送という現状あるサービスを強化するのではなく、なぜ新しいnicocasを付け足したのでしょうか。

 
川上 「ニコる」を廃止した話と関係ありますが、作り直す方が早かったからです。

 
──私としては、すでにあるものをバージョンアップしてほしかったなというのが正直なところでした。

 
川上 現状あるものに関しても、画質の向上などを最優先でやってますので、そこに新機能をつけるのが非常に難しかったので、新サービスにさせていただきました。

 
──ニコニコ生放送がなくなるということはあるのでしょうか。今後アップデートしなくなるとか。

 
川上 アップデートしなくなるというのではなく、生放送とnicocasは何処かのタイミングで一緒にしたいと考えています。

 
──では始めるときだけ枝分かれしているという。

 
川上 そうです。

 
──今回の発表会は生放送の新機能がメインだったと思いますが、名前も「ニコニコ動画」ということでやっぱりメインは動画サービスだと思うんです。現状のニコニコ動画が優っている点、ユーザーが選ぶ点で思い当たるのが、「淫夢動画」(*ゲイビデオを元にした二次創作群)しかないと個人的には思っています。中の人から見たときに、ニコニコ動画が他社より競争力があるのはどこだと思っているのかという点と、どういうところを伸ばしていきたいのかという点を教えてください。

 
川上 ニコニコ動画が受け入れられた一番の理由は、コメント機能だと思っていて、クリエイターが何か物を発表したときにユーザーの方からレスポンスがすぐに返ってくるところが支持されているポイントだと僕らは考えています。ですので、クリエイターの人とユーザーの方がコメントも含めていろいろコミュニケーションできる機能をたくさんつくっていきたいなと思っています。

今回は生放送中心の発表に見えてしまう部分はあるんですが、動画の方も大事にしてまして、nicocasの方では、動画の再生もできます。そして動画の再生自体も新しいnicocasのアプリはとてもいいと感じています。そしてクルーズみたいな機能を用意しまして、動画の発掘など、動画を楽しむ文化もテコ入れしたいと思っています。

本日から利用可能な「ニコニコまとめ」という機能も、動画のコミュニティーを活性化させるための機能です。ただ、動画と生放送だと、生放送の方が機能を追加しやすいんです。動画はある意味、割と完成されていて、そこまでここから新しい機能をつける部分が生放送に比べると少なくなってしまうことはご了承ください。

 
──今日発表されたニコニコまとめのフッターにリンクされている運営会社が、evaluniとなっています。どういった会社なのかを教えてください。

 
川上 元社員の会社なんですよね。ちなみにオフィスもドワンゴの中にあります。そういう会社ということでご了承いただけますでしょうか。

 
──経営の都合で別の会社になっているけど、開発は一緒にやっているみたいな。

 
川上 そうですね。僕らとしては中の会社と思っていますが、一応別の会社ではあります。

 
──なんども出ている質問ですが、「niconico(く)」が最終実装されたときに、ニコニコ動画、ニコニコ生放送、nicocasの各サービスで実現できる解像度やフレームレートは現実的にどれくらいを目指されているのでしょうか?

 
川上 現時点では動画/生放送とも720pまでは対応しようと思っています。1080pについては、今考えているところで、一部限定したところで使えるようなサービスにする可能性があります。とりあえず720pについては、それなりのタイミングで対応できると思います。フレームレートも必要に応じて、その時に適切なレートを出すようにします。

 
──nicocasはいかがですか?

 
川上 同じです。配信の仕組みが、DMCというものに置き換わっていて、すべて同じ足回りを使っています。

 
──今、やられていると思われるHTML5対応について、ライブストリーミングの方式でアップルが開発したHLSへの対応も必要になると思います。そこに関してFlashよりラグが大きくなりがちなのがデメリットで、今nicocasはどれぐらいのラグで収まっているのでしょうか。

 
川上 HLS部分に関しては基本、HTML5版と同じですので、4秒から人によっては8秒ぐらいの感じになると思います。実際、4秒の遅延でやった場合、環境によってはブツブツ途切れる原因になるので、そうなると低遅延モードが使えなくなって8秒になります。

 
──クリエイター奨励プログラムで、お金やポイントに換えることができるのは登録から4ヵ月後となっていますが、例えば「ふわっち」ですと翌月には換金できます。なぜ4ヵ月という時間がかかるのかということと、今後短縮される予定はありますでしょうか。

 
川上 時間を置いているのは、違法配信とかをしたユーザーに奨励プログラムが行かないように一定の時間を取っている。それが3ヵ月ということですが、その3ヵ月が本当に必要なのかという議論はありますので、縮めることはあり得るかと思います。現状はとりあえず3ヵ月ということにしています。

 
──先ほどの質問の中で答えていただいていない、なぜ「niconico(く)」のリリースがここまで遅れたのかという理由について教えてほしいということと、先ほど4〜8秒の遅延という話がありましたが、自分が体験した話として、8秒以上のタイムラグや動画が止まるというトラブルが増えている実感があります。新発表も大切だと思うのですが、現状niconicoを楽しんでいるユーザーに対しての改善というのはどれくらい見込まれますでしょうか。

 
川上 それはPCですか? スマホですか?

 
──PCです。

 
川上 PCのほうは、もともとFlashの場合はRTMPというプロトコロルを使っていまして、それがHTML5版だとHLSというアップルが使った規格で配信しなくてはいけなくなる。基本はHLSがちょっと仕組み上、遅くなってしまうので、現状その遅延になっています。これは今後、WebRTCという別の規格を導入することで解決すると思います。申し訳ない、現状僕らもHTML5版に関しては何とかしたいと思っているのですが。

 
──その切り替えがいつぐらいになるのかと、遅延がどれくらい改善されるのかを教えてください。

 
川上 従来のniconicoと同じぐらいにはなります。

 
──4秒、遅くても6秒には戻るという?

 
川上 遅延は環境に依存するので、遅い人はどこまで伸びるかはわからないのですが、4秒以下にはなると思います。

 
──それはいつ頃? 「niconico(く)」に合わせてですかね?

 
川上 できるだけ急いでいて、「niconico(く)」からはそんなに離れないと思っています。

 
──中国の動画共有サービスの「ビリビリ動画」(bilibili)についてどのように捉えているのかというのと、もしniconicoが打勝とうとしたときにどこを考えているのかという2点を教えてください。

 
川上 ビリビリ動画はできてすぐの頃から色々コンタクトがありまして、実はうちの役員が出資していた時代もありました。そのあとテンセントさんが買収して、今は完全に中国の会社になりました。ご存知の通り、niconicoが非常に好きな方がつくったサービスで、ニコニコ動画とは非常によく似ています。

現状、僕らは中国は外資企業は入れないので、そういう意味ではビリビリ動画に対抗するサービスをやりませんかという中国企業の誘いも何社もありましたが、おたくの国が入れてくれないので実現していない状況です。そういう意味ではまずビリビリ動画は認識していて、彼らがどんな人でどういうことができるのかというのもある程度は知っている感じです。

 
──先ほどのなぜ「niconico(く)」が遅れたのかという質問に答えがないというコメントが大量に来てますので、ぜひお願いします。

 
川上 「niconico(く)」が遅れた理由は、本当に申し訳ないとしか言いようがないのです。すいません、こういう状況でいうのは不適切なのですが、開発はよく遅れるんです。僕らもなんとかしたいと思っています。ただ本来もっと早めることは可能だと思うんですが、今回の「niconico(く)」は失敗できないサービスだと思っていますので、それなりに機能・内容・安定性を考えた上で、遅らせようという決断になったということです。

 
──4月に10月のリリースを発表したタイミングでは、大丈夫だと思っていたけど、だんだんアラが出てきたという?

 
川上 そうですね。10月に出すつもりで僕らはやっていました。途中までは。

 
──その発表をユーザーのみなさんは期待して待っていたかと思いますが、今回の発表会自体の延期も10月末に明らかになったわけで、なぜそのタイミングでの発表になったのでしょうか。

 
川上 延期を明らかにするときは、「じゃあいつ出せるのか」という発表と同時にしなければいけないなと思っています。10月の段階ではその正確なスケジュールがちゃんと僕らの中で出せなかった。そのいつだったら出せるという確信が持てたのが10月の末だったということです。

 
──今色々な配信サイトが増えている中、niconicoの新バージョンがなかなか出ないということで自分も含めてユーザーが不安になっていたので、10月のスケジュールが遅れるということが確定していた段階で詳細は後回しにしてでも早めに知りたかったです。

 
川上 そこは本当に申し訳なかったです。

 
──生放送の追い出しはなくなるのかということと、184機能(匿名コメント機能)の廃止を検討しているかどうかについてお聞かせください。

 
川上 184機能については、コメビュ(コメントビューワー)を使われている方が多いので、実質形骸化しているというのは僕らもわかっています。例えば、ユーザー生放送については廃止してもいいのかなと僕らは思っています。追い出し機能については、僕らとしてもこれを残すのかなくすのかという議論は社内で非常にありまして、僕は残したい派なんですが、少なくとも今とは違う納得いく形にしたいと思っています。

 
──今、nicocasをいじってみたのですが、ここに書いてある人数は累計視聴者数で、今見ている人数は表示しないのでしょうか?

 
川上 はい、そうですね。

 
──もうひとつ、nicocasで引用した動画と生放送について、それは再生数は加算されるのでしょうか?

 
川上 全員分ではないですが、再生数は加算されます。

 
──その引用を拒否することは動画/生放送ともに可能でしょうか?

 
川上 なるほど。そうしたご意見については、これから体験会を色々やっていきますので、その中でユーザーのみなさんから要望がある機能は実現したいなと思っています。

 
──細かい質問ですが、全画面で表示するにはどうしたらいいのでしょうか?

 
川上 今はつけていません。それは今回、新市場とか双方向の機能があって、全画面にされると困るのでできないようにしているだけです。将来的にはもちろん全画面にできるようになります。

 
──引用は生放送もできてしまうわけですよね。それは拒否することはできない?

 
川上 今現在、拒否設定はつける予定はありませんが、そういう要望は出るだろうなと思っています。

 
──荒らしや凸対策で、引用をつけたくない生放送もあるかと思います。個人的にはその辺を検討していただけると助かります。もう1点クリエイター奨励プログラムについて聞きたいのですが、現状、登録のための基準が厳しいというか、ややいい加減なところがあって、YouTubeでは審査が通るゲーム会社の方から配信が推奨されているタイトルのゲーム実況でも、niconicoではなぜかダメだと言われて、メールで何度送っても通らないことがあります。その基準が緩和されることはあるのでしょうか。

 
川上 それは自分が確認したいのであとで詳しい内容を教えていただいてもいいでしょうか。運用を改善します。

 
──先ほどの説明で、最初はnicocasとニコニコ生放送を同時に展開して、最終的に1本にまとまるという話が出ていましたが、その場合、公式生放送はニコニコ生放送中心で放送するのでしょうか? それともnicocas中心なのか、同じ生放送を同時に配信するのでしょうか?

 
川上 仕組み的には、nicocasもニコニコ生放送のシステムを使って配信しています。ですから、基本はどっちがどっちということではなく、2つを一緒に投稿する形になると思います。

 
──今回、コアなファンからこれだけの質問が集まって、みんなniconicoが大好きなんだなというのが伝わってきたのですが、一方で発表された新機能が、コアなファンの期待から乖離している感じも受けました。今回の新機能は、従来からのコアなファンではなく、よりライトな層に向けて出したという意図があるのか。niconicoのマスのファンがライト層に変わってきていて、そっちの方々に楽しんでもらいたいから今回のような機能を出してきたのかという、サービス開発の意図を教えてください。

 
川上 まずniconicoは、コメント自体がそうであるように双方向性が支持されたサービスだと思っています。その部分を「niconico(く)」で強化したのは、むしろniconico本来のサービスの良さを伸ばそうとしていることです。現状批判を受けているのは、そもそも画質と重さの問題が大きいと思うのですが、それがまだ改善していない段階でこうした新機能を発表したことで反発があるんだと思うんですけど、これは僕らは両方ともやろうと思っています。ですが、ちょっと一部前後する部分があるのは申し訳ないことですし、ユーザーのみなさまにもご理解いただければと思っています。

 
──旧来のユーザーは、ゲームのように運営側が用意した遊べる機能ではなく、自分たちで遊びをつくれる広場のような場所に魅力を感じてきたのかなと思います。一方で、今回は「これ使って遊んでよ」という提案が多く見られましたが、その辺の認識の差はないでしょうか?

 
川上 2パターンあると思っています。今回色々な機能を用意しましたが、このうちのいくつか、ニコニコQは最初からですが、ユーザーのみなさんに使っていただける機能として最初から解放している。もしくは将来可能性があるサービスだと思っています。

実はユーザー生放送も、最初は公式生放送から始まったんです。それが1年ぐらいありまして、色々な機能とかを実際に使っていただいて、そのあとユーザー生放送が開始したので、色々な機能が皆さんすんなりと導入していただけた。そういう順序の問題だと思っていまして、昔から変わっていないです。

例えば「ブロマガ」も、出たときは一部ユーザーだけで、そのあとにみなさんに開放しましたが、今までのniconicoの歴史を見ていますと、最初に公式でやって、あとでみなさんに開放するという順番自体は割と成功しているものが多いのかと思います。

 
──niconicoの「nicovideo.jp」以下全ページがhttps対応するのは、「niconico(く)」で実現するのでしょうか?

 
川上 「niconico(く)」に関係なく、それは全ページのhttps化は進行中でかなり進んでいます。

 
 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
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