VRC最終章は雑談&知見の共有!? 基調講演は東大暦本研の暦本氏が登壇【VRCカンファレンス2017】

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11月11日、東京渋谷でVRCカンファレンス2017が開催。株式会社ハコスコ 代表取締役の藤井直敬氏を代表理事として2015年に発足したVRコンソーシアムが主催するVRCカンファンレスは、今回の開催が最後。ここまで国内のVR業界を牽引してきたコンテンツ制作者や研究者などのトッププレイヤーたちが集い語り合った。

 

開会挨拶冒頭で、VRCカンファンレスに関して、ひとり30ツイートがノルマと述べ、会場を沸かせたVRコンソーシアム 代表理事の藤井直敬氏。

今回で最後となるVRCカンファンレスは、「難しい知見を共有するのではなく、雑談で良い。ただ、普段聞けないハイレベルな方々の雑談や、くだらない考えのなかには、VRの次のヒントが隠れている」と語り、自身もこの雑談を楽しみしていると述べていた。また、今回、東京大学大学院 教授 暦本純一氏に基調講演を受けて頂いたことで、VRCカンファンレスを終われると感じたとも語った。

 

東大暦本研が取り組むVR・AR研究

続いて、「未来を自ら創り体験する」をモットーに研究を進めている東京大学 大学院情報学環 暦本研究室を率いる暦本純一氏が登壇。「ブレードランナー 2049」の話や、「2001年宇宙の旅」を元ネタにした「2017:A HUMAN AUGMENTATION」と題したスライドを表示するなど、雑談で始まった基調講演。

 

 

窓の一部の透明度を自由にプログラムできる未来の窓「Squama」を紹介。この透明ディスプレイとも言える技術の使い道として、カーテンを開けても隣人と眼が合わないように、顔の部分を隠すという情報を遮断する用途を提案。5年ほど前に行なったという、人体をトラキングして顔の部分を半透明化する実験を説明。窓に広告などの情報を追加する使い方とは逆に、見えている部分や、見せたくない部分を隠すという情報の減損を行なうことが、生活の快適レベルを上げるかもしれないと述べた。

 

 

 

この技術の可能性として、部屋の窓から見える邪魔な看板広告を、上書きして消してしまったり、窓から差し込む光をコントロールして、影で時刻を表示したりといった使い方紹介。

 

 

ユビキタスコンピューティングの祖として知られるマーク・ワイザーの論文冒頭とともに、どこにでも自然に組み込まれており、気にならずに生活している技術のひとつとして、情報の減損や日陰、日照のコントロールを試したかったと述べた。

また、このような現実を少し仮想化するアプローチを「Programmable Reality」と位置づけていた。

 

 

 

 

「あたかも現実のような」と言うがまだまだ先は長い

続いてVRについて暦本純一氏は、我々は視覚と聴覚に、若干のタクタイル(触感)くらいで、仮想だと言っているが、一杯の水を飲むということを、あたかも現実のように作れるかと言うと、まだまだ先は長い。完全なバーチャルな世界を作って、そこに行くというよりも、わたしたちの身体(現実)と仮想を組み合わせるのが、VRの本質かなと思っていると語った。例としては、水槽の周囲をプロダクションで囲み、珊瑚礁や深海など投影。水泳ゴーグル状の3Dメガネにより、仮想的な水泳の体験を実現する水中バーチャルリアリティ環境のAquaCAVEを上げ、VR的身体の拡張に近いことができるという。

 

 

サイボーグ009のようにいろいろなタイプのある人間拡張

わたしたちは、窓や空間そのものを改善していくことを考えており、いま主に行なっているのが人間拡張(Human Augmentation)になると暦本純一氏。どういう方向で人間を拡張するかは、サイボーグ009のように、飛ぶ人や武器を持っている人など1個に収斂できない。そのため、存在(PRESENCE)、身体(PHYSICAL)、知覚(PERCEPTION)、認知(COGNITION)の、4つを拡張する方向で考えていると語った。そして、人間や機械のいろいろな能力をネットワーク上で共有、交換できる世界の「IoA(Internet of Abilities)」を構想。他人やドローンと感覚を一体化することで、あたかも自分がドローンや他人になったように感じる「ジャックイン」の研究を行なっているとのこと。

 

 

 

 なお、人間へのジャックインに関連して、暦本純一氏がめちゃくちゃ好きという80年代の映画「ブレインストーム(Brainstorm)」(DVDで販売中)を紹介。「2001年宇宙の旅」や「未知との遭遇」の特撮スタッフや、「ブレードランナー」の特殊監督を担当したダグラス・トランブルが監督を務めており、人間の記憶・知覚を他人に伝達するヘルメット型のブレインマシンが登場している。この映画などにインスパイアを受けて、360°カメラ技術を使って「JackIn Head」を製作。頭にカメラを取り付けた人間の体験を、HMDで別の人間が共有する実験を4、5年前に実施しているという。なお、このファーストパーソン(本人視点)のジャックインの先に、ファーストパーソン、サードパーソンビジョン(第三者視点)、世界全体からの視点をシームレスに融合(JackIn Space)できるかなと思っていますと語った。

 

 

体外離脱スキルを実現する「JackIn Space」

体外離脱視点に近いという「JackIn Space」。自身の体験として、子供のころ溺れた際に、溺れる自分が見えたことを披露しつつ、体外離脱(幽体離脱)は、スポーツ、芸能では非常に重要だと言われており、自分を外から見る視点があると、客観的に自分のフォームなどを理解できると説明。この自分を外から見る視点をドローンなどで実現しているという。

 

 

自分の存在感を転移させるのが重要

海外の学会などでは普通に使われているという自分の映像を映し出し、移動もできるロボット。この遠隔地の人間と、その場で対面しているかのような臨場感を提供する技術のテレプレゼンスで大事なのは、自分の存在感をいかに転移させられるかと述べた暦本純一氏。

 

ただ、階段やエレベーターなどロボットだと難しい状況も多い。タブレットに別人の顔を映して、数時間だけ他人になりましょう的に「Human Uber」という実験を実施。顔を映し出しているだけだが、プレゼンス(存在感)は高く、仕掛けが分かっていても、映っている人に話しかけるとのこと。さらに男性の体に女性の顔を付けて、ハグしろと言うと、顔とともに体を女性と認識してしまい多くの男性が躊躇したという。また、代理人は右や左など行動をカメラ越しに指示されることで、純粋に人の役に立っている感が湧き上がってくるようだとも述べていた。

 

 

 
 
*VRCカンファレンス2017のレポート記事まとめはこちら

 
 
(TEXT by 藤田忠)

 
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