なぜオッサンはかわいいに憧れるのか 「バーチャルのじゃロリ狐娘YouTuberおじさん」独占インタビュー(前編)

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PANORAでもインタビューした「キズナアイ」をはじめ、このところ3DCGがまるで生きているように動くバーチャルキャラ界隈がアツい。アニメやゲームの作品中に登場するのではなく、人格を持った一人としてYouTubeなどに動画や生放送を公開し、視聴者とともに身近な話題を楽しむというのが今風だ。

 
そんな界隈で先週、怒涛の勢いで知名度を上げたのが「ねこます」氏、通称「バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん」になる。にゃるら氏のブログ「根室記念館」の記事をきっかけに火がついて、わずか数日でYouTubeの登録者数が300から9000に急増するほど注目を集めている。なぜそんなに受けているのか。まずは動画を見てほしい。

 

 
そう、見た目はかわいい狐娘なのに、声が明らかに男性なのだ。それもボイスチェンジャーのような生ぬるい妥協は一切入れないという、まごうことなきストロングスタイルだ。語尾に「のじゃ」をつけて可愛らしさを演出したかと思いきや、「本職がコンビニバイト」や「セブンイレブンにあるコーヒーマシンを洗うのが大変」といった具合にやたらと殺伐(!?)した会話をし出すギャップにも惹かれてしまう。筆者が一番好きなのが、下のポッキーゲーム回だ。

 

 
このテンションのカンスト具合は、世が世なら天下人となっていた勢いだろう。下の「ワキ握り」回の仕上がりもヤバい。

 

 
センサーや顔認識といった先端技術を活用した「おっさんでも美少女」になれるソリューションは継続して出てきており、過去にもFaceRigやiPhone Xの「アニ文字」などが話題になった。一体、「ねこます」氏は何を思って、どんな機器を使って「バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん」として活動しているのだろうか。ご本人をソーシャルVRアプリ「VRChat」内にてインタビューしたので、早速まとめていこう。

 
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大好きな作家にファンアートを描いてもらえた

 
──本日はありがとうございます。実はPANORAでは、バーチャルキャラとしてキズナアイちゃんと「あんたま」の2人をインタビューしてきたわけですが、その次にお願いしたのが……。

 
ねこます はいどうもー。バーチャルのじゃ……ロリ……狐娘……おじさんの「ねこます」です!

 
──本物だ!

 
ねこます 本物です!

 
──わー! まず最初に聞きたいのは、今、Twitterなどで大いに話題になっているじゃないですか。あれはいつ気づかれたんですか?

 
ねこます 話題になっているのに気づいたのは、Twitterでやけに色々な方の通知が来るなと思って、タイムラインを見たり、検索したりして気づいた感じです。「にゃるら」さんのツイートが出て、だいたい10〜15時間ほどで記事に気づきました。

 
──自分のことについて取り上げられたわけで、どう感じました?

 
ねこます 意外なところで、意外な方に記事にしていただいたなというのと、反応も完全に意外で、突然起こってパニック状態みたいな感じでした。
 
──当時はご自宅にいられたかんじですか?

 
ねこます そうですね。多分家でゴロゴロしながらスマホを見ていた感じだったと思います。

 
──バイト中ではなかった?

 
ねこます ちょうど休みだったんです。気づいたときが。それで休みの間中に色々伸びていって、急いで動画も出したりして大変でした。

 
──ネットでも、イラストを描いてもらたり、好意的な声をもらったりと色々な反応がありました。

 
ねこます 本当に身にあまる思いといいますか、自分も絵を描くのですが、自分のレベルと釣り合わないほど上手い人や有名な方が書いてくださって、とにかくひたすら恐縮という思いです。その中でも、驚いたのが、自分もファンだった「SHOW BY ROCK!!」の「クリクリ伝説」というアンソロジーを書いている羊箱さんに描いてもらえたのが衝撃的でした。世の中、生きていればいいことあるんだなって。

 

 
──何をおっしゃいますか!

 
ねこます 現実は世知辛くても、ネットはあまり世知辛くないという。

 
──その直後にVRChatにまつわる動画を速攻で出されていました。

 
ねこます VRChatのことをどうしても伝えたかったので、もう多分失速するだろうという気持ちで急いで出した感じです。

 

 
──いやいや。今やYouTubeの登録者数も急増していますし。

 
ねこます にゃるらさんに記事を書いていただいた時点で300ぐらいでした。

 
──それが今や8000超えですよ!(*編集註:9000を超えました)

 
ねこます パズドラ並みの倍率ですね。

 
──でもそれはとても面白いことをやっていて、それがみんないいと思ったからこそ出た結果だと思います。

 
ねこます いや、なんかそれも過大評価な気がしてて、こういうことをできる人とか、他にも面白いことをできる人なんてたくさんいるので、それは偶然見つかったかどうかの違いかと思います。

今回「はてなブックマーク」の人に受けたというのが強かったです。自分もブログを書くことがありますが、はてブの人に受ける記事を書くとアクセス数が伸びるというのが体感としてあります。あとは自分のコンテンツがTwitterとの親和性が高かったので、バズりやすかったのかなと。やっていることがどうというよりは、色々な条件がうまくかみ合った印象です。

 
 

「アレは狙ってできない」

 
──そもそも、可愛い外観なのに、地声で行くみたいなスタイルで行こうと思ったのは、なぜだったんですか?

 
ねこます こういうスタイルをつくろうとしてつくったわけではなくて、もともと自分とキャラクターの動きを同期させて表現したり遊んだりするのが好きで、その過程で声をどうするかという問題があったんです。他の方ではボイスチェンジャーを使ったり、あえてボイスチャットを使わなかったり、自分の発言をボイスロイドに置き換えたりしていますが、それらの処理が面倒臭いのと、インターネットだと音質が大事で、ボイスチェンジャーを使うと音がガビガビになってしまうので、地声がいいという理由があります。実際のところみなさんも「慣れれば大したことがない」ということに、だんだん気づいていくと思いますが……。

 
──確かに(笑)。でも外観をここまで可愛くつくり込んだわけじゃないですか。なぜそこでもう一歩踏み出さなかったという。

 
ねこます なんでしょうね。スタイルとか、表現方法とかっていうよりは、まず動画を作るモチベーションが「Unity」(*編集註:ゲームなどのソフトをつくるためのツール)を勉強しようというところから始まっているんです。でもただ一人の世界で閉じこもったままUnityを勉強するのは辛いので、動画にするという目標があれば挑戦する気持ちになれるし、Unityで新しいことができるようになったらさらに動画にも使えるとうまく回っていくんじゃないかと思ったんです。そのUnityの練習をしたかったというのが一番のモチベーションなので、色々と投資がかかってしまうこともあってボイスを気にしなかったわけです。

 
──ヤバい、カッコいい。

 
ねこます あとはVRChatで慣れてしまったというのもありますね。

 
──そうか! みなさんもアバターで可愛いけど、声は男みたいな。ん? ちょっと待ってください。ここに集まっていただいた方々は、20人ぐらいいらっしゃいますがみなさん男性だったりするんですか?

 

 
ねこます そうですね。女の方は一人もいませんね。

 
──マジで! 女性アバターしかいないですよ! あっ獣の方が1人いらっしゃいますが。

 
ねこます この絵で女性の方が1人もいないまま会話が飛び交う世界観です。

 
──すごいなー。かなりカッコいい。

 
ねこます そうですね。VRロッカーですね。

 
──(笑)。そういえばねこますさんの動画の内容もロックなぶっちゃけ系ですよね。可愛いキャラなのでもっと可愛いことをする選択肢もあったわけじゃないですか。

 
ねこます そうですね。もうちょっと「にゃんにゃん」とかやったほうがよかったってことですよね?

 
──ポッキーゲームの冒頭の勢いとか、ほんと神的じゃないですか。

 
ねこます なんかそれしか思いつかなかったというか、なんであの動画になったんですかね。自分でもなんであの動画になったのか……。

 
──脚本とかはつくっているんですか?

 
ねこます 頭の中にある「こういうことをやろう」というふわっとしたイメージをとりあえずやってから編集している感じです。だからほかのバーチャルYouTuberさんみたいな感じで、今回は自己紹介をやろうとか、王道ネタをやろうとか特に考えないで、普通にラフな感じでやった結果がアレということでお願いします。

 
──いやでも、アレは狙ってできないですよね。

 
ねこます 自分も狙ってやってないので、狙ってできないと思います。

 
──普段の「ねこます」さんも楽しませる系のキャラなんですか?

 
ねこます いやぁ、ああいう感じじゃないです。「のじゃー」とか普段言わないですよ。当たり前ですが(笑)

 
──そりゃそうですね(笑)。動画で決して「のじゃ」を忘れない精神も素晴らしい。

 
 

「俺、ずっとこんなことやってるのかな」と目覚めた

 
──そもそも何かものづくりを始めようと思ったきっかけというのはなんだったんでしょうか?

 
ねこます そこは結構熱く語りたいところで、自分の創作歴は5年半ぐらいなんです。始めたきっかけは、昔、工場勤務で自分のせいでできてしまった再製作品(不良品)を抱えて走って、いろいろな方に「すいません」と頭を下げて回って新しいものを作り直してもらっていたときに、「俺、ずっとこんなことやってるのかな」と思ったんです。

 
──えー!

 
ねこます 要は「この狭い工場で仕事できない奴として一生走り回っているのかな」と思ったときに、何か技術を身に付けたいと思ったわけです。で、色々悩んだ結果、自分ができることを増やそうとして絵を描き始めて、その延長にLive2Dがあったり、それをFaceRigに持って行ったり、ゲームにしたわけです。3DもVRが好きだったので始めて、やっていたうちにここにたどり着きました。

 
──でも思い立っただけで、この可愛いモデルをつくるところまでたどり着くのはなかなかできないことです。

 
ねこます MMD(「Miku Miku Dance」 *編集註:フリーの3DCGソフト)の世界なら、これくらいのモデルをつくれる人はいっぱいいると思います。

 
──とはいえセンスもありますし、かなり細部までこだわられてつくっているのが伝わってきます。今の前にも猫耳のキャラもつくっていたわけですよね。

 
ねこます そうですね。FaceRig用にもキャラをつくっていました。Live2Dで動かしてて、FaceRigで使ってましたが、一通り遊んでそのあとに3DでMMDのキャラをつくろうと思ったんです。ちょっとプログラムにも触ったりしてましたし。

 
──それっていつぐらいの話ですか?

 
ねこます 3Dを触り始めたのは、去年の9月頃が初めてですね。

 
──去年!? わずか1年でここまできてるわけですか。

 
ねこます でもテクスチャとかはその前の絵をやってる期間があった。実質3D自体を始めたのは1年ちょっと前なんですが、全体で見たら過去に学んだことを活かしている部分があったりします。

 
──工場で思いつかれる前というのは、絵やCGの創作活動はやったなかったんですか?

 
ねこます 一切してなかったです。

 
──マジで!?

 
ねこます 自分がちょっと変わってまして、昔からお絵描きが好きだった人がやり続けたというタイプじゃなくて、ある時突然やろうと思い立ってやった感じです。

 
──それはおかしくないですか。なんかモノリスとか触りませんでした?

 
ねこます でももしかしたら、そのときの再製作品がモノリスだったのかもしれません(笑)

 
──なかなかありえないです。プログラミングも昨年9月からですか?

 
ねこます プログラミングはそこから半年ぐらいですね。絵は2年ちょっとぐらいの工場勤務の間に描いていました。そこから辞めてニートやバイトしたりしなかったりという期間で、FaceRigや3D、Unity、プログラミングをやっていたという感じです。そんな感じで中途半端に色々手を出して行った感じです。

 
──でも5年の努力がここに実っているわけです。

 
ねこます なんか怖いですけどね。今の状況が。

 
──Unityを覚えるのって、大変じゃないんですか?

 
ねこます それも言いたいところで、ただ漠然とUnityや3Dを覚えるのは大変で続かなかったりしますが、例えばVRChatみたいな出口があれば、やった成果が直に返ってくるのでモチベーションにつながるんです。実際、VRChatの人たちは何かつくっているアクティブな人たちも多いです。3DやUnityをやりたいという意欲が高まって、成果がVRで返ってくるので、学習の場としてかなりいいと思います。

 
──それは「創作を見せて直でコメントをもらえる場」として機能しているniconicoみたいな感じですね。

 
ねこます そんなニュアンスであってます。しかもいちからアプリをつくるとなると、題材を選んだり、完成させるのも大変だったりしますが、VRChatの場合は自分でやるのは一部なので小分けに学習できるわけです。ある程度ゲームの土俵が決まっている上なので、自分のやりたいことも見つけやすい。完全にゼロだと大変じゃないですか。VRコンテンツつくろうとなったときに、ライブなのか、それとも音ゲーなのか、銃撃戦なのかというところから考えてやっていくのは大変ですが、土台ができているところに乗っていくのなら楽だと思います。

 
──しかし、Unityの中の人も喜ぶいい話だと思います。

 
ねこます ほんとUnityには感謝しています。「魔力Unity」ですよね。VRの住人は、Unityと「Unreal Engine」なくしては生きていけないですから。

 
──モデルはMMD向けに作ってる感じですか?

 
ねこます 3Dモデリングソフトの「Blender」でつくってFBXで書き出して、Unityに持って行ってる感じです。一応、「Metasequoia」(メタセコイア)も使ったことがあります。根底にあるのが、絵もLive2Dも3Dも、ケモミミの女の子を作りたいというのがあったので、やってることの本質は同じで手段が変わっているだけです。

 
──そのケモミミの女の子をつくりたくて、最終的に自分がなってしまったわけですが、その理由は何でしょうか。

 
ねこます まずケモミミの女の子がむちゃくちゃ可愛い。ケモミミがついていない女の子が90点だとすると、ついてる子はまぁ1058点で、補正のつき方がグイッと上がるんです。好きだからつくるんですけど、なぜ好きかと掘り下げると答えれないです。多分、DNAが可愛いものだと認識するようになっているのかなと。なのでケモミミの女の子に惹かれていて、つくりたいし、なりたいです。

 
──きっかけとなるアニメやゲームがあったりしたんですか?

 
ねこます 特別好きな作品がありますが、それをトレースしようとは考えていないです。

 
──なぜ巫女なんですか?

 
ねこます それはVRChatの中にutauの「櫻歌ミコ」(おおかみこ)という人気キャラがいて、それにあやかって巫女にしました。

 
──髪の毛がオレンジなのは、狐ベースだから?

そうですね。キツネ色のデザインってことです。

 
──全部一人でやってるわけですよね。

そうですね。ただ、動画に関しては結構素材を使わせていただいていますが、だいたい一人でやっています。

 
──でも会社としてバーチャルキャラに参入するところも多い中、一人でっていうのがすごい。

 
ねこます なんというか山賊みたいな感じですね(笑)。「ヤッホ〜、やってきたぞー!」っていう。「やってるかーい」みたいに乗り込んだ感じです。

 
 
*後編はこちら

 
 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
●関連リンク
ねこます氏(Twitter)
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