【連載】集英社 ジャンプVRが行く! 特攻野郎 VRチーム Z ‼︎ 「ジャンプ美術館 」制作秘話 編

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こんにちは!ジャンプVRの武田です。
この文章を書いているのは、まさに「ジャンプフェスタ2018」直前のバタバタしているときなんですが、思えばこのジャンプVRチームの初デビューがまさに2年前の「ジャンプフェスタ2016」だったんですね。あれからもう2年か(遠い目)。

で、今回ご紹介する「ジャンプ美術館」は、ジャンフェス2016と17のちょうど真ん中、2016年の夏休みに開催されたジャンプビクトリーカーニバルに出品されたものなんです。マンガにもある通り、次の出品は1年後のジャンフェス2017を考えていたのですが、マツモトが「ヘ~1年後なんだ。ふ~ん、のんびりしたもんだねぇ」なんてことを言い出しやがるものだから「じゃあやったるわい」ということになったわけです。
ただ、内容的にはその場で思いついたわけではなく、VR脱出ゲームデスノートを作っているときから考えていたことなんです。

ご存知のように、出版社はたくさんの作家さんから作品をお預かりして、雑誌掲載から始まって、作品のためになるであろう様々な展開、たとえばアニメ化やゲーム化などの実現に向けていろんなメーカーさんといろんな取り組みをしています。
そんな折、VRが新しい媒体だからといって、キャラクターたちを使ってゲーム化を始めてしまうと、今まで作品を応援していただいていたメーカーさんたちに迷惑がかかる。
だから、キャラクターは使うけれども、ノンゲームで行こう、で出てきたアイデアが「VR空間内で原画をみよう」という企画でした。
この企画には、乗り越えなければならない問題がふたつありました。

一つは、対象ユーザーが主に小学生であるということ。これはつまり2眼での体験は、現在の日本では事実上不可能ということ(注:「2眼VR体験は、子供の目に悪影響を与える」という学説が発表されている)。ジャンプビクトリーカーニバル略してジャンバルはジャンフェスの弟分みたいなイベントで、主な対象が小学生なんです。2眼で立体視して初めて没入感が得られるわけで、1眼ではたしてどこまで感動を伝えられるのか?

もう一つは、「原画を見せる」といっても所詮は本物の原画ではなく、あくまでデータを見せているだけだから、本物の感動とは比べるべくもない。この点をどうするか?

この両問題を、解消とまでは言えなくても、かなり軽減させたアイデアが、スマホやゴーグルではなく、タブレットを使って1眼で見せるということと、もう一つがボールチェアを使って視聴してもらうということだったんです。でもタブレットをもってプレイしてもらっても、まったくインスタ映えしない。ならいっそタブレットを収納する「側」を、ジャンプの表紙にして、はたで見ているとマンガを読んでいるようにしか見えないようなギミックを用意しました。そしてそれを視聴する椅子を、ただの椅子ではなくボールチェアにしてくるくる回れるようにしてみたんです。データはデータ、本物にはかなわないけれど、VRを体験することのワクワク感を演出することにより、仮想空間での美術の楽しみ方を提案できたのではないかと思ってます。

で、この美術館を作ったことで、年末のジャンプCUBEにつながっていくわけですが、それはまた別のお話。アウフヴィーダーゼーエン(注:ドイツ語で「さようなら」「またあいましょう!」という意味)。

 

【フィクサーマツモトの、今だから言えるジャンプ美術館】

「ジャンプ美術館」ね。今だから言うけど、最初に聞いたとき、オレ自身はあまりピンとこなかった。理由はタケダが書いている通り。絵を見せるだけなら本物にはかなわないし、全然VRらしさがない。その後VRっぽさを出すために、いろんなアイディアが出た。プレイヤーがマンガのページの中に入りこむとか、ライドに乗って美術館を回るとか。その中で「お、これは!」と思ったのが「巨大絵展示ゾーン」のアイディアだった。見上げるほどの巨大絵なんて、いかにもVR! 高所からの落下なんて、まさにVR! こうして現在の仕様に決まったのだった。

しかしマンガのせいで隠していたのに、オレがジャンプVRチームのフィクサーだということがバレてしまったではないか! 白状するが、このチームはすべての物事において、オレ様の決定と行動力がないと回らないようになっている。ささいなことでも、オレ様を通さないと動かないようになってしまっているのだ! しかしこれも、オレ様の非凡な力ゆえの結果なので、仕方ないとあきらめている。

タケダ「マツモト~、打ち上げの店、予約しといて~」
タカノ「マツモト~、ゴーグル磨いといて~」
ウノ「マツモト~、焼きそばパン買ってきて~」
ハラダ「マツモト~、肩もんで~」

マツモト「はーい、ただいま~」

どんなこともオレ様を通さないと動かないが、これもオレ様の非凡な力ゆえの結果なので、仕方ないとあきらめている。

 

(C)鳥山明・尾田栄一郎・岸本斉史 スコット・松井優征・堀越耕平/集英社

 

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