価格ありきでつくったものではない――SCE吉田修平氏が語るPlayStation VR【GDC2016】

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16日に発表されたPlayStation 4用VRシステム「PlayStation VR」(PS VR)の価格と発売時期は、リアルでもネットでも大いに話題を呼んだ(ニュース記事)。この発表には、どんな思いが込められているのだろうか。GDC 2016の期間中、ソニー・コンピュータエンタテインメント ワールドワイド・スタジオのプレジデント、吉田修平氏にインタビューする機会を得たので、3回にわけてお伝えしていこう。

 
——まず一番にお聞きしたかったのは価格です。以前の公演でも「比較的安価に提供できる」と語っていましたが、4万4980円という価格はまさに「有言実行」ですね。

 
吉田 でも価格ありきで進めてきたわけではないんですよ。Oculusさんもよく言われていますが、レイテンシーや視野角など、コンシューマーがきちんと満足できるレベルのVRヘッドマウントディスプレーをつくることが重要で、そこに責任を感じていました。特にPS VRは家庭用ゲーム機向けのため同じ仕様で長く販売することになるので、とにかく最先端の技術を使って、目標にたどり着いたところで商品するという感じでした。

 
だから必要だと感じた要素は決して妥協していません。例えば、PS VRで見ている画面を同時にテレビに出力できる「ソーシャルスクリーン」はすごく大事な機能だと思っていたので、コストは上がりますが、出力のためのプロセッサーユニットをつくった。ほかにも120Hz駆動対応の有機ELディスプレーなど、こだわりを盛り込んでいます。

 
ただ、そうはいっても価格はやはり家庭用ゲーム機並みに抑えなければいけない。具体的にはPlayStation 4のローンチ価格である399ドルがある種の目標でした。そこに落ち着けるために、われわれの製造技術を駆使するなどして、ようやく提供できるようになったのでホッとしています。

 
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——PS VRのキットには、位置トラッキングに必須の「PlayStation Camera」やモーションコントローラーの「PlayStation Move」が含まれていません。あれは価格を抑える目的だったのでしょうか?

 
吉田 価格の面というよりは、実はたくさんの人がもう持っていらっしゃるんです。特にPlayStation Cameraは、最初にPS4を買われた方はだいたい持っている。PS VRにしても、最初はアーリーアダプターの方が買うものなので、PlayStation Cameraが2つあっても、カメラを接続する専用端子がPS4側にはひとつしかないのでどうにもならない。

 
PlayStation Moveについても全世界で1500万本以上は売れているので、今は使っていなくても、どこかにあるという人も多いです。それを2個同梱しようとすると、「そんなのつけるのなら安くして」と言われるのがわかっていたので、基本セットから抜いて安くするという方針でした。

 
PS VRの生産に合わせて、PlayStation Moveも手に入れやすくしますし、PlayStation Cameraの方もニーズが伸びるのがわかっていますので切らさないようにしていきたい。現在、PS VRは欧州だけがプレオーダーが始まっているのですが、聞くところによるとイギリスのあるオンラインショップでは、PlayStation Cameraの売り上げが750%増えたみたいです。

 
——スゴい(笑)

 
吉田 これまでPlayStation Cameraを持ってなくて、PS VRをプレオーダーできた方が買ったみたいです。PS VRは、PlayStation Cameraがないと使えない仕様になっているので、とにかく在庫を切らさない準備をしています。

 
——米国やカナダではPlayStation CameraやPlayStation Moveを含むバンドルセットがプレオーダーで用意されますが、日本でもあるのでしょうか?

 
吉田 未定ですね。「いつから予約できるんだ!」とも聞かれるんですけど、それも含めて後日発表となります。今までのPlayStation 4でもPlayStation Vitaでも、地域ごとの需要に合わせていろいろなバンドルをやっていますので、ニーズに応じて基本セットとは別のバンドルが出てくる可能性もあります。

 
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——発売時期が「2016年上半期」という過去のアナウンスから10月に延びたわけですが、この大きな理由は何でしょうか?

 
吉田 私もとても残念だったのですが、ハードは6月までに出すスケジュールでずっと動いていて、開発の方も完了しています。あとは量産していくだけですが、やっぱり去年から今年にかけてVR業界の盛り上がりがスゴいですよね。われわれに対する期待感も高まっていて、いろいろな地域のメンバーに聞いてニーズを積み上げていくと、これはもっと量産しないとならないなと。

 
だから無理に早く出すのではなく、できるだけ地域差がない形で発売できるように10月に調整しました。そのおかげで時間ができますから、ソフトを作っているチームとしては、ほぼ完成していたゲームにさらに磨きをかけたり、新しい機能を追加することができます。

 
また、VRは体験してもらわないとよさがわからないので、発売までの間、全世界で継続的にPS VRを体験していただく機会を作っていこうと。そうしたことをいろいろ考えて、10月という結果になりました。

 
——ちなみにPS4を持っている方の何パーセントぐらいが買ってもらえそうという期待値はありますか?

 
吉田 それは本当に難しいですね。ある程度の値段はしますし、普通のペリフェラル(周辺機器)ではないですから。われわれはPS VRはペリフェラルではなく、「PlayStation 4を含むVRシステム」という呼び方をしています。

 
言葉遊びみたいな感じもしますが、これまでのペリフェラルだったら「いくらじゃないと売れない」とか「何パーセントのアタッチ」といった考え方をしますが、PS VRはそうじゃない。ゲームを推進力に、PlayStation 4の画面をPS VR内に表示する「シネマティックモード」や360度写真/映像の再生など、より多くの人に受け入れられる形となっています。

 
 
(*続編はこちら

 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
●関連リンク
PlayStation VR
GDC 2016

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