「バーチャルの可能性を伝えたい」 VTuber・フィオが語るマッハ企画への情熱【週間VRChat】

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日本でも大流行のソーシャルVR「VRChat」。本連載「週間VRChat」では、日々何かしらの新しい技術や文化が生まれているその最先端を、同サービスにどっぷり浸かっている水菜氏(@mizunana_T)にレポートしてもらいます。

 

VTuber界きってのプランナー・フィオさん

VRChatで注目したい動きのひとつが、ユーザー主導でイベントの開催やネット番組の収録が行われているという点だ。単純にVRゴーグルをかぶってログインして、アバターの姿で知り合いとたわいのないことを話すだけでも楽しいのだが、お祭り感覚で参加できる仕掛けがあると、バーチャル空間に入る強力な要因になる。

そんな気になるイベントや番組をバーチャルYouTuber(VTuber)としてVRChat内で初めて企画して注目されているのが、今回取り上げる「フィオ」さんだ。正式名は、「バーチャルつるぺたドワーフ錬金術師ロリ爺のフィオ」。長い肩書は、同じVTuberである「バーチャルのじゃロリ狐娘YouTuberおじさん」こと「ねこます」さんへのリスペクトになる。

 

 
フィオさんのYouTuberへの初投稿は2月20日。3Dモデリングも、UnityもVRも何も分からない状態から約1ヵ月で「マッハ」デビューをはたしたとのこと。

 
https://www.youtube.com/watch?v=RtZXKHHb8Pw&t=1741s
*YouTubeの仕様で埋め込みできず、リンクでの表示となります。

そして3月24日には、バーチャル空間で99枚の巨大ドミノを並べるという生放送「バーチャル賽の河原」を企画。ねこますさん、ニーツさん、Icotsuさん、ミディさん、モスコミュールさん、ユニさんといったVTuberを招き、約1時間半に渡ってわいわい共同作業する様子をYouTubeで生中継して、「VRChat面白そう」と反響を起こした。

 

 
4月7日には、11人のVTuberを回答者として招いた「クイズ王決定戦」を生放送。本格的なセットを用意し、テレビ番組でさまざまなタレントが名・珍回答を引き出すのと同じ楽しさをVTuberで提供することで、「こんなこともできるんだ」とVRChat界に大きなインパクトをもたらした。

 

 
最近では、ねこますさんも登場するスマホゲーム「共闘ことばRPG コトダマン」の制作とPRを手がけるフナコシステムが立ち上げた「VR法人 HIKKY」に所属。自らを「バーチャルテイナー」(バーチャルとエンターテイナーからの造語)と呼んで、VRChatで開催された落語会「VR落語」にも出演していた。

 
そんなエネルギッシュに「V活」(バーチャル活動)するフィオさんが、今何を考えていて、これから何をやっていきたいのか。日本のVRChat界を見て行く上でとても気になるところなのでインタビューを行った。

 

 
なお、今回は試しにVRChatでフィオさん自身がつくったワールドにうかがい、公開収録した。VTuberの公開インタビューはこういった形でしかできないため、VRならではのやり方といえるだろう。

 

「けもみみおーこく」建国宣言にゾワッと来た

──VRChatやVTuber始めたきっかけは?

フィオ ねこますねーねの話がきっかけだったのだわ。最初は色んなVTuberさんがデビューしているのを面白いなと思って見ていた。そこで、自分もLive2Dモデルを使って今年1月くらいにVTuberを始めてみたけれども……それはあんまり、続かなかった。そんなときに、ねこますねーねが建国宣言の動画をアップロードしたのだわ。

 

 

──チャンネル名が変わった時期ですね。

フィオ そうそう。これを聞いてVRすごいなと思ったんだよね。うぃはねこますねーねの言葉通りに受け取っていて、バーチャル空間で国を作るっていうのは、今後普通にできると思う。もうすでにバーチャル空間に国を作っている国(電子国家エストニアのこと)もあるくらいだし、バーチャルにしか存在しない国っていうのは、出てくるんだなと思った。それで、ねこますねーねは、本当にけもみみおーこくを作るんだろうなと。

それをわかった瞬間にゾワッとして……これは早くVRに触れる必要があると直感した。このときにはVRについてはよくわかっておらずに、ディスプレーの延長線上だと思っていたのだわ。でもそれは違っていて、バーチャル空間に国ができる可能性があるものだと分かったときには早く触りたいと切望したし、そういう世界っていいなと。

それでうぃは、バーチャル空間上の国を旅するのとかいいなぁと思い、モデルを作り始めて2月の真ん中くらいにVTuberを始めたのだわ。VRChatを始めたのは、VTuberデビューする2日前。

 
──でも、目まぐるしく新展開が出てくるVTuber界隈で2日は結構大きいですね(笑)

フィオ そうそう大きいのだわ(笑)

 

デビュー組に声かけして豪華メンバーを実現

──「バーチャル賽の河原」について、どんな経緯で思いついたのかと、どういうつながりでねこますさんをはじめとするVTuberさんを招けたのかを教えて下さい

フィオ 実はその前に「白黒城」(白二郎、巣黒るい、動く城のフィオというVTuber3人の総称)でPUBGの企画をやって、そこで初めてVRChatで二次会をやった。

見てくれた視聴者さんと、PUBGが終わったあとにVRChatで遊ぶという感じで、放送終了後に会えるというのが今までに無い斬新な出来事だったのだわ。今の数に比べると、当時はまだVRChatをやっているVTuberさんもほとんど居なかった。

 
──確かにその頃はまだ、VTuberさんにVRChatが普及していなかった時期ですね。

フィオ 2月時点でねこますねーねは「VRChatはコラボには最適なツールだ」ということを言っていたが、VTuber全体としてはまだよく分からない時期だった。そこで二次会をやって、「そういうことか」とねこますねーねの言っていることを理解したのだわ。

そこで、過去にうぃが1人でやっていたことを、VRChat上に持ってきてみんなでやればもっと面白いんじゃないかと考えついた。うぃはその頃、巨大ドミノを1人で10枚くらい使ってUnity空間で「物理演算芸」をやる動画を投稿していた。

 

 

それをVRChatでやってみようと思ったのが、賽の河原の1週間前くらい。うぃは最初にサムネイル画像を作って発表したのだけど、すごく反応があって、VRChatのフレンドやねこますねーねが目をつけてくれて、かなりの注目を受けた。それもあって、必死になってワールドを作り始めたのだわ。

偶然にもうぃが準備をしている最中に、ニーツ先輩やモスおじ、あっくん先輩など、多くのVTuberさんが参入してきた時期と重なった。実はその少し前の時期に、うぃがVRChatにオリジナルアバターで入る講座を投稿して、割とその動画を見て、参入したというVTuberさんが多く居た。

 

 

そういう経緯から、参入してきたVTuberさんたちにはVRChatの面白さを知ってもらいたいというのもあって、コラボを持ちかけた。Twitterで少し絡んだことある程度だったし、VRChatでも会ったことないし、まだまだ親しくない関係の方もいらっしゃったんだけども……声かけないと始まらないと思って、話を持ちかけたら、みんな優しく受け入れてくれて来てくれた。

ねこますねーねに関しても、初めてそこでTwitterのDMを送って、自分の狙いを伝えたら来てくれることになった。ねこますねーねも配信したいとのことで同時配信が実現して、結果的に8000人規模の人数が視聴したのだわ。

 
──これは面白いなとみんなが思ったんでしょうね。

フィオ それが「VRChat企画VTuberマン」の最初だったのだわ。

 
──話を聞いていると、それをすべて1週間でやったというのは、最近話題の「マッハ新書」じゃないですが「マッハ企画」ですよね(笑)

フィオ まさに、マッハ新書の提唱者、GOROmanさんが出している表紙だけの電子書籍が、この感じに近いと感じるのだわ。1番最初にサムネイルを作って発表するところとか、まさにそう。

 
──サムネイルは表紙みたいなものですもんね。

フィオ そうそう。

 
──今まで企画をやってきていて、こだわりはありますか?

フィオ みんなに楽しんでもらいたいというのが根底にあって、ちゃんとしたエンターテインメントにしたい。最初の頃はVRChatってだけで面白いというのがあったんだけども、それだけじゃなくて出演者さんや視聴者さん、自分自身もみんなが楽しめる内容にしたいなと思っていた。

だから、こだわりのポイントとしては、そこから派生して、もっと楽しんでもらえるためにVRならではの要素を入れようとか、楽しめない要素を排除するためにグダグダをなるべくなくそうとタイムスケジュール組もうとか考えている点かな。

 
──私も結構フィオさんの企画に関わってきましたが、一番スゴいと思ったのはクイズ番組で長い時間なのにテンポがよくて、長いと感じさせないものがありました。そういうこだわりがきっと反映されていると思いました。

フィオ そうなのだね。やっぱりテンポは大事だし、自分は面白いものをつくっていると思っているから、折角だから見始めた人たちには最後まで見てほしいという思いもある。生放送って最後まで見てもらうの難しくて、ちょっとでもテンポが悪いとすぐに離れてしまう。それをなるべくなくしたくて、90分の中で緩急をつけて、場面転換を入れるなどの工夫をしている。

 
──やっぱり視聴者さんの時間を貰っているというのがありますしね。

フィオ あとは最初からそこまでこだわっていたわけじゃなくて、自分の企画や他の人の企画に参加したとき、やっぱりグダっちゃう瞬間はある。そこで危機感を覚えて、視聴者さんの気持ちになると「うぃはここで見るのをやめるな」と思ってしまうのだわ。

別に、うぃ達の番組を見なくても世の中面白いものはたくさんある。その中から選んでくれたなら精一杯楽しんでほしいから、ちゃんと時間を意識して密度の濃い面白さを提供したい。そういう経験から考えるようになった。

 

個人だからできること、企業だからできること

──これからの活動について思い描いている企画はありますか?

フィオ 個人としてのフィオとHIKKYとしてのフィオと2つに分かれるんだけども、1つは個人のフィオとして企画っていうのを月1くらいで続けていきたいと思っているのだわ。そのときに思っているのはVRならではと、色んな人が楽しめるっていうのを進めていきたい。今まではVTuberさんが楽しめる企画っていうのが多かったんだけども、「バーチャル忍道」のように参加型にして楽しめる人を増やしていきたいと思っている。

あとは、さっきまでYouTube Liveのコメント欄に居たのに、放送終了したら会いに行ける。バーチャル忍道だったら、一緒にワールドを楽しむことができる。白黒城の二次会であったように、もっと視聴者さんとの距離が近い企画をやっていきたいのだわ。

 

 

HIKKYの方はまた違う。VRの可能性っていうのが今見えていなくて、世の中的に見てもよく分からないものになっている。興味はあるけど分からないという人たちに対して、VRでこういうものがつくれるんだというのを、HIKKYは企業クオリティーで出せる。

やっぱり個人だと限界があって、その企業クオリティをほかの会社さんやVRを興味を持っている人たちに対して見せることができれば、VRに対して投資しようという人たちが増えていく。極論を言うと、そこでHIKKYを使わなくてもいいの。それでVRという技術全体が盛り上がれば良いと思うなのだ。

 
──いわゆる、市場を作るという感じですね。

フィオ そうそう、市場を作るのだわ。お金が還流すると、バーチャル空間に生きることに対して喜びを持っている人たちにお金や価値が返ってくる。それがいいサイクルになって、もっといい価値が出来上がって、よりいいものが出来ていく。そういうことをHIKKYでやっていきたい。

まとめると、自分はバーチャルの可能性を伝えられる存在になりたい。個人としてもHIKKYとしても、根幹はそこにある。なので、これからも楽しいことをどんどんやって行くのだわ。

 
 
 
インタビューでは語り尽くせないフィオさんのVRに対しての熱意。もっと知りたい場合は、フィオさんのマッハ新書を購入することをお勧めする。フィオさんができた経緯や、企画のノウハウなどを吸収できる。

パパな、女の子になろうと思うんだ
クリエイティブという熱病 ~Vtuberに贈る企画のすゝめ~

 
 
(TEXT by 水菜、EDITED by Minoru Hirota

●関連リンク
動く城のフィオ(YouTube)
動く城のフィオ 公式HP
動く城のフィオ(Twitter)
VR法人 HIKKY

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