例えるなら武藤とムタの関係──高坂はしやんが語る、VTuber「MonsterZ MATE・コーサカ」の可能性

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3000人を超えて、ますますキャラクターのバリエーションが増えているバーチャルYouTuber(VTuber)の世界。そのVTbuerというと、キャラと一体になっている「魂の人」については公にしないのが通例だが、ここにきてアンジョーとコーサカの2人組である「MonsterZ MATE」という例外の動きも出てきた。

ニュース記事でも触れたように、アンジョーは歌ってみたのジャンルの中でも実力派として活躍している「un:c」(あんく、@ankuosu)さん。コーサカはラッパーかつ作家・脚本家としても名を挙げている「高坂はしやん」(@kosakahashiyan)さんだ。

そこで疑問に思ったのが、すでに知名度があるクリエイターがVTuberをやる意義だ。アンジョーとコーサカは何を目指してプロジェクトを始めたのか。そしてリアルの存在がVTuberにとって「雑味」で邪魔にならないのか。収録に協力しているバルスを訪れて、コーサカこと高坂はしやんさんをインタビューしたところ、むしろ今までやれていなかったことができているという可能性を語っていただけた。

 

バルスにおける収録風景。VTuberはPerception NeuronやVIVEトラッカーなど低予算で作られていることが多い中、バルスではよりお高いVICONのシステムを用意し、より豊かな表現のフルボディートラッキングを実現している。

 

演者の動きはリアルタイムで確認可能だ。

 

自分そのままをコーサカのアバターに重ねる

──まずはVTuberに興味を持たれた経緯を教えてください。

はしやん ライトノベル「ハロー・デッドライン」を出版したときの担当さんが新しいことに挑戦しようとしていた。それが、3Dを扱う企画で、2017年の11月くらいに打ち合わせに行ったときに3Dスキャンを見せてもらって、めっちゃ面白かったんですよ

──昨年12月にVTuberの人気が爆発する前ですね。

はしやん そうですね。その頃はまだVTuberのことも全然知らなくて。それからしばらく経った頃にVTuberに興味を持って衝撃を受けて、知り合いに「こういうのやりたいんですけど」と相談したら3Dモデルをつくってくれたんです。そのあたりから詳しく調べるようになりました。それで、俺と同じタイミングでVTuberに衝撃を受けていたun:cちゃんを誘って投稿を始めました。

──VTuberのことを調べて、どう感じましたか?

はしやん VTuberをやってる人の発想もスゴいし、中身もちゃんと面白い。今のコンテンツっぽくないんですよ。ちゃんと中身があったんで、次に勝負するならここがいいなと思った。そこでVTuberの中でもカメラ目線じゃないことをやっている人はいなかったので挑戦しました。

──アンジョーとコーサカの二人で始めた理由は?

はしやん 演技ではない仲のよさを大事にしたかったんです。仲もよくて、新しいコンテンツをやるっていう意義を理解してくれて、かつそれのために様々な人が動いてくれてることをちゃんと理解できる友達をさがしたらun:cでした。

──アンジョーとコーサカは、un:cさん、はしやんさんと「魂」は同じですが、設定は微妙に違う。その辺はどう考えてつくりましたか?

はしやん プロジェクトを始めるにあたって、二人の設定はよく考えました。最初はYouTuberっぽいことはしないで、私生活を覗き見するみたいな感じにしようと。キャラクターは吸血鬼と狼男っていう設定だけど、お城に住んでるわけじゃない、普通の人間社会になじんでいるとか……。コーサカはこの間も「Fate/Grand Order」のガチャを普通にやってたりとか(笑)。

 

 

 
──普通の等身大の男の子がそこにいる感じですね。

はしやん そうですね。

──はしやんさんは小説も書いていますが、そうした物語のキャラクター作りとは違いますか?

はしやん コーサカのキャラは、考えなくてすむのが楽ですね。小説のキャラだと「このキャラはこんなこと言わない」とか「こんなことやらない」ってなるんですけど、コーサカは俺自身だから。

──確かに(笑)。VTuberは中の人の「素」が出ることも多く、その瞬間とかがすごく面白かったりしますが、収録するうえで物語を作り込んでいきたいとか、そういうは考えは出てきますか?

はしやん もちろん。この前、初めて台本ありの動画を撮りましたが、それでもキャラはやっぱつくらないようにしている。コーサカとアンジョーは長くやっていきたいと考えているので、そうなるとキャラをつくったら疲れてしまう。だから、自身のままでできる台本を考えてみました。やっぱりお話作るのも好きなんで。

──動画にVTuberとして出演するのは、生身で出演するのとはどんな違いがありますか?

はしやん 俺らがオフで喋ってる話をそのままYouTubeにあげても、男二人がただ喋ってるだけでコンテンツとしては成立しづらい。でも、二次元のキャラクターがしゃべっていたら、それってアニメーションに見えるということです。

それに3Dモデルは自分よりはるかに容姿がよくできます。イケメンなやつがしゃべっているのと、そうじゃないやつがしゃべっているのがあったら、イケメンの方がいいじゃないですか、絶対。俺らもメイクとかしないでいい! 俺らにとっても、リスナーにとっても、Win-Winでしかない。

──リアルだとなかなかやりにくいことが、キャラになることでやりやすくなる部分もありますよね。

はしやん 例えば、俺はお笑いが好きなんで、コント番組をやりたい夢があるけど、今はその路線には乗っていない。でも、VTuberのコーサカという形式ならできる。やりたいことがいっぱい浮かんでくるのに、現実ではできないことも多いんです。そんなやりたいことを、VTuberならやらせてもらえる。

今までは何かやるときに、常に人に気を使ってものをつくってきました。。高坂はしやん名義でのソロの曲や、今ウェブで書いている小説はとかは自分主導でやれていますけど、例えば出版となると規制される表現もある。

あとは一緒につくっている人に対して「もっとこうしてほしい」と思っても、担当してくれてる人に直してもらうことが申し訳ないと感じることもありました。でもそれはコンテンツのクオリティー上げるときに無駄だなって気づいて、コーサカに関してはいいものを実現するために、一切容赦せず「こここうしてほしい、ここを直してほしい」と言うようににしました。昔の俺だったら10分の1ぐらいしか言えてないと思う。

 

高坂はしやん≒コーサカの距離感

──視聴者の反応とかで印象的なものはあったりしますか?

はしやん 「まんまじゃん!」っていわれると、「そうだよ、まんまなんだよ」って思いますね。あとは、狙って作った部分を気に入ったといってくれた人がいてうれしかったです。創作活動って理解してもらえないことのが多いので、わかってもらうと言われるとテンションが上がる。

──コーサカとアンジョーは、はじめから正体を明かしていたのも面白いですね。

はしやん 最初から中身を隠さないようにと思いましたね。VTuberは「中の人バレ」で炎上する流れがありますが、それがクソだるく感じられて。別に中の人なんて誰でもいいじゃないですか。

──本当にそう思います。

はしやん だから最初から高坂はしやんのアカウントのままで公開しました。それに、VTuberが好きな層って、サブカルも好きそうだから「プロレス」をちゃんとわかってくれるだろうと思っていました。アンジョーとコーサカのことは、自分も最低限は告知するけど、基本的には侵食しないようにしている。例えるなら、武藤敬司とグレート・ムタの関係ですね。

──なるほど! まさにプロレスですね。

はしやん 武藤敬司とグレート・ムタって別人なことを知らない人が偶にいるじゃないですか。コーサカの動画を公開した直後はやっぱり「un:c」「はしやん」ってコメントで呼ばれていたんですけど、案の定、最近の動画のコメントは「アンジョー」「コーサカ」に変わってきています。俺らは一切、「アンジョーとコーサカって呼んでほしいな」とは言ってないんですけど、自然に変わっていったんです。あっ、武藤とムタというか、ヒールターンしたときの内藤哲也ですね。観客が「どうしたー?」って最初は茶化してたのに、今は「あっせんなよ!」まで一緒に叫ぶみたいな。

──面白い。はしやんさんもコーサカというレイヤーがひとつ増えて、全然別のことができるようになったという。

はしやん 誰かに自分の代わりをやってもらえて可能性を広げられるというのはあります。例えばコーサカでMVを撮る際、ダンスパートが必要になれば「踊ってみた」の友達にやってもらうことがきるわけじゃないですか? 実際、俺が今からダンスを覚えるのは、アーティストとしての付加価値を上げるためにはいいことかもしれないけど、コーサカでは省略出来る部分かなあ、と思いました。中の人さえ入れ替えれば、自分自身ができないこともできてしまうんです。

──しかし、動画を見るとかなり演技慣れしているように感じましたが、これまで演劇などをやってきた経験があるのでしょうか?

はしやん 演劇や声劇は一切やったことはなかったんですけど、小・中・高・大と漫画の好きなシーンを友達同士で再現するっていうのをやっていました。それを本気でやってくれる友達が常に周りにいて、即興で演技するみたいな。それがここにきて多分いきてるんだと思います。演技しているつもりはなくて、全部素なんですけどね。演技できるようになりたいです。

──話の流れでどう返したら面白くできるかっていう瞬発力でが重要ですよね。

はしやん そうですね。でも今まで自分の瞬発力を活かせる場所ってまったくあんまりなかったんです。ライブでもMCが面白いといってくれる人は多いですが、気づいてくれるのは来てくれたファンだけで、そこからなかなか広まらなかった。

──YouTubeだと色々な人に見てもらえます。

はしやん un:cも元々「わんく」のようにキャラを演じるのが上手で、そのノリがわかっている。前から、遠征で同じ部屋になることも多かったんですけど、そのときも二人でごっこ遊びみたいなのしていました。アンジョーとコーサカは、まさにその延長みたいなところもあります。

──そんな2人でこれからやっていきたいことはありますか?

はしやん キャラを増やしてみたいですね。ただ、このノリに入れられるのってなかなかいないから難しいところはあります。2人は「水曜どうでしょう」で言ったら、大泉洋と鈴井貴之。安田顕や音尾琢真が居れば更に盛り上がるじゃないですか。あとはこの界隈に限らずですけど、男性向けコンテンツにおける男性タブーや、女性向けのコンテンツにおける女性タブーが嫌いなので、できれば女の子キャラとも絡んでいきたいです。

──活動としてはどう広げていきたいと考えていますか?

はしやん やっぱり、音楽を出していきたいですね。2人でアルバムを出しつつ、それぞれソロアルバムも用意したい。「それ別々に出す意味ある?」っていうのが、いよいよアーティスティックじゃないですか。

──本当にアイデアが尽きなくて、楽しそうにやってるのがわかります(笑)

はしやん 制作に協力してくれているバルスさんが「それでいいよ」って言ってくれて、そんな頭の悪さが好きです(笑)。なにかアイデアを出すと、できるできないは置いて置いて、「おっ、いいね! それ」とか「いいじゃん、それ」って言ってくれる。アンジョーとコーサカを支えてくれている人たちもすごく熱意を持ってやっているんだよというのも伝えていきたいです。今週金曜日の8日22時から初の生放送を実施するのでぜひチェックしてください。チャンネル登録と高評価もお願いしま~す(最低限のYouTuberっぽさ)。

 

 
 
(TEXT by Minoru Hirota、八坂豚)

 
*一部誤字を修正いたしました(6月7日15時33分)

 
 
●関連リンク
MonsterZ MATE(Twitter)
MonsterZ MATE(YouTube)
バルス

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