二人は本当にそこにいた VTuberの可能性を広げた「かえみと」寝落ち耐久配信が本当にスゴかった 

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6月16日深夜。バーチャルライバー「月ノ美兎」ちゃん(通称「委員長」)は、YouTubeチャンネルにて「楓と美兎~寝落ち耐久配信~」を生配信した。

配信内容は、委員長が同じバーチャルライバーの樋口楓ちゃん(でろーん)と同室に会して、どちらかが寝落ちするまで配信を続けるという至ってシンプルなもの。しかし、この配信は話題が話題を呼び、深夜3時過ぎにもかかわらず同時視聴者数は2.5万人を突破。Twitterトレンドでもワールドカップ関連のワードを差し置いて3位にランクインするなど、ネットを騒がせる一大事件となった。

生放送は後から見直したのでは伝わらず、その場に居合わせた人しか価値がわからない部分も大きい。本記事では、一連の出来事を時系列で振り返り、この盛り上がりを追体験していきたい。

 

動きのない静止画を見続ける

寝落ち耐久配信は、3つのシーンで構成された。

 
1.食事シーン

配信開始は、6月17日午前1時。「RAGE バーチャルYouTuber GRAND PRIX」のリハーサルから委員長が帰宅した直後に始まった。帰宅直後でまだ落ち着かない様子の委員長に対して、先に合い鍵を受け取って準備していたというでろーんが、テキパキと家事をこなしていく。

でろーん じゃあお湯沸かしてきます

委員長 あ、はい。ありがとうございます。あ、でもわたくしね、さっき弁当も貰ったからさ。弁当って一日食べなかったらどうなるの?死ぬ?

でろーん 冷蔵庫入れときゃいい。

委員長 冷蔵庫に、じゃあ入れましょうね、はい。

でろーん 入れるよ。

委員長 何を?あ、冷蔵庫?ありがとう。あー、でも多分これ、液漏れをしている。あー!財布ーー!!

 
部屋を動き回り着々と家事を進めるでろーんと、でろーんに甘えっきりの委員長。さらに、この会話の最中には、冷蔵庫を開閉する音や、ビニール袋が擦れる音が入り込み、「二人がそこにいる」という生活感を生々しく伝える。

 

また、配信には食材としてうどんとコロッケを用意。食事しながらの配信を楽しむ二人を前に、視聴者もまた「実質会食」を楽しんだ。

 
2.入眠前のシーン

午前2時20分。コメント欄から「今どんな気持ち?」と聞かれ、委員長が「寝落ち配信なのに眠れなくて焦ってる」と答えたことをきっかけに、二人はベッドに移動。しかしここで、委員長の家にはベッドが一つしかないという問題が発生。

でろーん わたし床でいいよ。

委員長 え? え? でも布団ないよ?

でろーん じゃあパーカー着て寝る。

委員長 ええ? そんなことできる?

でろーん あー、でも遠くで寝たらマイクが拾えへん。

委員長 いやー、だから。いいんじゃない? ここで。

 
また、「委員長が着替えている様子をでろーんが覗き見する」「でろーんが委員長から部屋着を借りる」などといったイベントの様子も、そのまま配信していた。

 
3.寝落ちシーン

午前2時32分。委員長は本格的に眠りに入るべく、なんとモーション機能をオフに。また、コメント欄も読まずに目を閉じることを宣言。ここから約1時間、約2.5万人の視聴者は、動きのない静止画を見続けることになる。しかしこの後、二人の会話はさらに加速する。

委員長 かえみと解散よ!

でろーん 解散ー。ありがとうございましたー。

委員長 もう今後コラボは絶対にしません!

でろーん 4ヵ月の間、本当にお世話になりましたー。

委員長&でろーん(笑)

 
といった仲良しトークのほか、しりとりや、委員長によるウソ寝ドッキリなどを展開。二人の秘密の会話を隣で聞いている感覚が非常に新鮮だった。

そして、午前3時28分。日々の疲れですっかり意識が朦朧としてきた委員長。

でろーん ……寝ますか?

委員長 ……うん。

 
と確認したところで、耐久戦の勝負あり。午前3時30分。言葉もあやふやな委員長を脇に、でろーんが配信のスイッチを切り、2時間半に渡った寝落ち配信の幕は閉じた。

 

「生活音垂れ流し配信」の可能性

そんな寝落ち配信には、3つの特筆すべき点があった。

 
1.音へのフォーカス

1点目は、二人の存在をよりリアルにする手段として、音へのフォーカスを行ったことである。月ノ美兎自身が「生活音垂れ流し配信」と銘打った通り、この配信内に特別な企画はなく、ただ延々と、生々しい生活音が流され続けた。

さらに、月ノ美兎自身のモーションもオフにし、コメントも拾わないなど、音以外の要素を徐々に削っていったことで、視聴者を音に集中させる環境を作った。

動きや双方向性を強みとして語られることの多いバーチャルYouTuber界において、これらの機能をあえて削り、音でリアルを表現したこのアプローチは、業界に一石を投じるものであろう。

 
2.配信後の話題性

2点目は、「配信後」に膨れ上がった話題性である。上記の通り、情報が音に限定されることで、視聴者の想像を誘発。まるで二人と一緒にいたような新鮮な感覚が、「配信後」の話題を活性化させた。

その結果、でろーんと委員長の関係を表すネットスラングがTwitterトレンドランキングでなんと3位まで急上昇。同時間帯にサッカーワールドカップが生中継されている中、ネットの話題をさらう快挙となった。

このような配信後のネットでの動きは、2018年初頭にネット界の話題をさらったアニメ番組「ポプテピピック」などでも見られたもの。バーチャルYouTuberに限らず、今後のコンテンツ制作において欠かせない視点と言えよう。

 
3.月ノ美兎の底知れない創造力

最後に、やはり特筆すべきは、この配信を企画した月ノ美兎の底知れぬ創造力である。この企画は、「月ノ美兎の朝まで起立しナイト」内での小林銅蟲氏との対談で発案された(関連記事)。

月ノ美兎はこれまで、「みとらじ」を中心に、目を引く企画を数多く実施。バーチャルYouTuber界の第一人者である「バーチャルのじゃロリ狐娘YouTuberおじさん」こと「ねこます」氏も大絶賛するクリエイターである。

2017年末に始まったバーチャルYouTuberブームから早半年。徐々に見え始めてきた正攻法に真正面からメスを入れ、確かな実績を残した今回のかえみと寝落ち耐久配信。委員長、そして「かえみと」の今後から、目が離せない。


*編集部の意図としては、キャラクターでありながら実質人として機能しているバーチャルYouTuberの特異性を端的に示した生放送だと感じて記事化を依頼しました。一方でご不快という意見も頂戴したため、下記のように記事を変更しております(2018年6月18日)。

・掲載後に関係者に記事をご確認いただき掲載許可をいただきました。
・タイトルなど、一部表現を変更しました。
・生放送のURLを削除しました。
・視聴者の反応を削除しました。

 
 
(TEXT by 覆面リーマン

 
 
●関連リンク
月ノ美兎(Twitter)
樋口楓(Twitter)

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