個人勢からアイドル部入り、そして3Dへ……VTuber「もこ田めめめ」がひた走るシンデレラストーリー

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「おっすおっす! こんばんめぇ〜、いらっしゃい」

「.LIVE」(ドットライブ)といえば、電脳少女シロちゃんも所属するアップランド運営のバーチャルYouTuber(VTuber)プロダクションのこと。その.LIVEで世界初の男性バーチャルYouTuberをうたう「ばあちゃる」くんがプロデュースするVTuberグループが「アイドル部」だ。

前回はアイドル部から神楽すずちゃんを紹介したが、今回はもこ田めめめちゃんを推していきたい。彼女は、偉大な先輩であるシロちゃんから(若干過剰な)愛を向けられたり、ファンからもたくさんいじられたりという愛されキャラである。

アイドル部では2018年9月、彼女に加えて、金剛いろはちゃん、北上双葉ちゃん、夜桜たまちゃんの4人を3D化したのが最近の話題だ。もともと部員は12人全員が2D(Live2D)の見た目でスタートし、動かせる範囲が頭部や上半身に限られていたのだが、3D化したことで背中を見せたり手を前後に振ったりと、より人間に近い自然な動きができるようになった。3Dでの活動が本格化する前に、これまでの足跡を追っておこう。

 

イラスト、Live2D、3Dモデリング、動画編集
なんでもござれの「やりおるマトン」

羊とアルパカと人間が混じった存在、もこ田めめめ。

彼女はもともと2018年3月にデビューし、個人のVTuberとして活動していたが、憧れのシロちゃんを追って3月に行われたアイドル部のオーディションに応募する。

もともとこのオーディションは10人のキャラクターしか用意していなかったが、めめめちゃんと、同じく個人バーチャルYouTuberとして活動していた七篠ちえりちゃん(現在は「花京院ちえり」と名称変更)の2人は追加枠としてそのままアイドル部入りをはたした。そういった意味でも、かなり特殊な経歴の持ち主だ。

現在は個人時代の動画は非公開となっており、また本記事の筆者は恥ずかしながら個人時代の彼女を見出せなかった「アイドル部デビューからの毛玉」(めめめちゃんのファンの名称)なので、その前は深掘りできない。当時からファンだった「古参毛玉」の方々には、深い尊敬の念を覚える。一応、個人時代の初生放送は編集版がアップされているが、当時の様子はとても初々しくてかわいい。

 
アイドル部としての初配信によると、個人時代は「だらだらと4時間Minecraftをしたり雑談をしたり」していたそうだ。

 
そんな個人勢でもあった彼女の特徴のひとつが、マルチなクリエイターであるという点だ。

自身の2Dモデルのイラストや、Live2Dによるアニメーションは彼女の自作。Blenderを使用した3Dモデリングも行なっているほか、アイドル部のデビュー時の全員分の予告動画も彼女が編集したものだ。

 

 
6月3日のLive2D講座の際に描かれた「かんたんごんごん」は、後に「ごんごん」こと金剛いろはちゃんの配信では欠かせないマスコットとなる(以下の19分30秒頃)。

 

 
こうした技術が買われたのか、8月にはLive2Dの案件動画も手がけた。その多彩さが光るエピソードだ。

 
いわゆる個人勢バーチャルYouTuberの中にはイラストやモデリング、編集などの観点で技術力を発揮する「技術勢」が存在するが、彼女もそんな要素を持ったバーチャルYouTuberであると言えるだろう。

 

ゲーム実況で全開になる「イキリマトン」の悲鳴芸

めめめちゃんの魅力はクリエイターの側面だけに止まらない。特にゲーム実況はぜひ見てほしい。

他のアイドル部メンバーと同様、彼女もゲーム実況を多く投稿している。たいてい「イキリマトン」と化してイキった後、プレイで「お察し」となるパターンが多い。とはいえ、とても楽しそうに遊ぶ彼女の姿は、ファンを魅了してやまない。彼女の特徴的な声から生まれる「あ゛あ゛ー!」という濁点のついた悲鳴は必聴だ。

プレイ中に謎の寸劇を始めることもある。例えば「League of Legends」をプレイした際は「反抗期の娘」と化し、コメント欄には親面のファン(もこ田ぱぱぱ&もこ田ままま)が続出。彼らに対して「高校卒業したら家出てくから。めめめ一人暮らしするから。東京行くから」と冷たく告げる茶番を繰り広げた。

 
「マリオカート8」をプレイした際は、

「いけませんわ。めめめ、そんな汚い言葉遣い、いけないでしょ? あなた、アイドルなのよ?」
「うるせー! めめめは今、戦ってるんだ!」

などと謎の一人芝居を始めながら、ルドウィッグと熱いバトルを繰り広げたりしている(以下の59分35秒頃)。

 
個人的にお気に入りなのは、ヤマトイオリちゃんとマリオカート実況でコラボした際、イオリちゃんの「なんでそんなスター持ってるの?」という問いに対して、「まぁ、めめめがスターみたいなところあるからさ」とイキったものの完全にスルーされるシーンだ(しかもの2回も。以下の32分5秒頃と40分43秒頃)。というかこのコラボ、ドSのイオリちゃんにいじめられるめめめちゃんが本当に面白いので必ず見てほしい。

 

靴下、MMM、「凍らせためめめ」

さて、めめめちゃんといえば「靴下」に触れないわけにはいかない。とても個性的な靴下をお召しになられており、ファンからは「ださい」と評判である(以下の58分20秒頃)。

 
「過剰ないじりはよくないかな……?」と心配する空気が流れたこともあるが、本人が「めめめいぢり」と命名したこともあり、今では節度を持った範囲内でお約束のようなやりとりが交わされている。

 
一方、めめめちゃん自身は「怒られたい」という願望を持っていることも発覚している。

「好きな子ほど、怒ってるところが見たかったり怒られたかったりするんですよね」「基本的には怒られたいんですよね」「アイドル部の子たちに『もー、めめめちゃん!』って怒られたい気持ちもありますよね」(以下の31分44秒頃)

「はー、アイドル部の子みんなに怒られたいなー」「可愛い女の子にこうされたーい!っていう欲望あるよねー。あるあるー。わかるわかるー」(以下の47分36秒頃)

 
ついたあだ名が「Mこ田MMM」である。

 
めめめちゃんのヤバい部分はさらに続く。本人いわく「気持ち悪い妄想」がたまに出てきてしまうことがあり、特に彼女の憧れの存在である電脳少女シロちゃんに対して発揮される。

「めめめのすごい気持ち悪い妄想、聞いてくれる? あのねー、シロちゃんのところ行って、シロちゃんに『射的でシロちゃんはもらえないんですかー?』って言ったら、シロちゃんが目から光を消して『シロのこと、欲しいの〜?』って言ってくるの。ああ〜。『シロのこと、もらえると、思ってるの〜?』って。えへへへへ。こうね、迫ってくるの。いや〜〜〜もう〜〜〜。かわいい……かわいい……かわいい……。これはね、めめめの妄想だよ。ああ〜シロちゃん、かわいい」(以下の36分40秒頃)

 
限界オタクすぎる。

実はシロちゃんも、めめめちゃんを異常に気に入っており、生放送で度々彼女に言及している。特に有名なのが「凍らせためめめ」エピソードだ。少し長いが、シロちゃんのすさまじく「ためになる」雑談を書き起こそう。

「そうシロ、シロちょっと正直に話すと、凍らせためめめを頭の下に置いて冷やして寝たんですけど、凍らせためめめが、爆発して、漏れてました。ある日起きたら、シロ、赤くなくて、青い液体にまみれてて、びっくりして、頭から青い液体出たんだって、耳だと思って、咄嗟に電脳綿棒で耳をやったら、全然青いのが出てこなくて、意味不明だなと思って、とりあえず洗って無視してたら、次の日は、腰のあたりに出たんですよ。お尻から青い汁が出たんだと思ったら、全然違くて、1回目の日は頭の下で、2回目の日は背中に、凍らせた、ジェル……アイスノンみたいな、あの、羊の氷枕を置いてたんですよ。で、ところでめめめといえば、お歌が上手すぎましたね。そうなんです、シロ感動しましたね。あの、全方位謝罪兄貴はなんなのか、全然わからなかったんですけど。なので、凍らせためめめは爆発したので。愛ゆえに爆発させたので」(以下の28分1秒頃)

 
この「冷凍庫に入れられている、爆発しためめめ」ネタはその後、シロちゃんの生誕祭でも言及されて定番となった(以下の1時間13分42秒頃。その直前の、めめめちゃんからシロちゃんへのメッセージは、めめめちゃんの本気っぷりが垣間見えるので必見)

 
ほかにもシロちゃんのめめめちゃんへの言及は随所に存在する。こうした「本人以外がその人に言及している様子」を探すのも、VTuberの楽しみ方のひとつと言えるだろう。

 

そして3Dへ……

そんなめめめちゃんも、アイドル部の3D化ラインであるYouTube登録者数5万人を突破。ついに3Dとなった。プロローグ動画では、他の3人に比べてネタ度が高く、謎の愛され方をしている。

 
シロちゃんの「靴下、ダサいもこー!」という掛け声で始まる3Dおひろめ生放送では、3Dになっためめめちゃんの靴下がたっぷり堪能できる。双葉ちゃんやたまちゃんが3Dで衣装チェンジとなったため、「めめめちゃんも3Dになったらあのダサい靴下じゃなくなってしまうのでは……?」というファンの不安は杞憂となった。良かった。

 
「RAGE バーチャルYouTuber GRAND PRIX 〜2018 Autumn〜」では、前回優勝のシロちゃんに続き、たまちゃんと共に参戦。めめめちゃんはアズマリムちゃんとペアを組み、あの後輩キャラであるアズマリムちゃんからもいじられるという偉業を成し遂げると同時に、準優勝を勝ち取った(レポート記事はこちら)。

https://www.openrec.tv/live/ZLMmY2QbMnqfm

 
現在は3Dモデルでの配信準備中ということで、いくつか動画という形で投稿している。

 
3Dでの配信環境の構築はなかなか大変そうで、待っている間は少しやきもきしてしまった部分もあるが、ここは信じて待とう。きっともうすぐ、彼女の「おっすおっす!」という掛け声と共に始まる生放送をまた楽しめるはず。それまで、彼女の足跡をたっぷり見返しておこう。

2D個人勢から、企業グループ所属を経て3Dへ。星の数ほど増殖したVTuberたちの中にあって、ある意味で最も稀有なシンデレラストーリーを歩む彼女の新たな物語は、もうすぐ始まるのだ。

 
 
(TEXT by みね)

 
 
●関連リンク
もこ田めめめ(Twitter)
もこ田めめめ(YouTube)

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