世界でウケるVRゲームをつくるには?──コロプラがOculusゲームの開発で得た知見(後編)

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コロプラ01

前編に続き、コロプラのVRゲーム開発における挑戦を小林傑氏に聞いた。

 
 

海外のレビューをゲームに反映した

 
──VRゲームをつくる際には、やはり大きいと思われる北米市場を意識しているのでしょうか?

 
ええ。今後、VRのゲーム制作を続けていくために、海外を意識したコンテンツを当然生み出さなければいけないという意識はありました。コロプラはもともと国内向けのゲーム、例えばキャラクターであれば、三頭身や四頭身の「白猫プロジェクト」のような見た目を得意としているので、なかなかのチャレンジでした。

 
VR Tennis Onlineでも、「白猫」のような頭身のキャラクターにしてみようかという話もしていましたが、苦手でも海外で認知されやすい頭身の高いキャラクターにしようと挑戦しました。「Fly to KUMA」のクマもカワイイので、少し毒がないと海外では受けないのではという懸念があって、ああしたやられ方(詳細はゲームを遊んでのお楽しみ)になっています。

 
フォトリアルでガチガチの海外向けキャラは、われわれがまだそこまで得意ではないのですが、日本ならではのデフォルメテイストを残しつつ、海外で好まれる表現に寄せていければいいかなという思いです。

 
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VR Tennis Online。

 
──米子会社であるCOLOPL NIが「Cyberpong VR」をリリースしていますが、そちらのチームと交流はありますか?

 
やりとりは頻繁にしています。この3月にGDCでサンフランシスコに行った際には、開発現場の人と会うこともできました。それにNIのチームが日本に来る機会も頻繁にあるので、積極的に交流しています。

 
──え、そうなんですか!?

 
そうした機会に、Oculusはどうだ、Viveはどうだと意見を交わしています。その流れは今後も変わらないでしょう。米国のデザイナーやエンジニアは「本場」の人間なので、吸収するべき点が多数あります。一方、開発力でいうとわれわれの方が人数も多く、経験豊富な人材も多いので、NIにゲームづくりのノウハウを共有できる。お互いに教え合って、共同で開発できるようになっていけたらと思います。

 
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Cyberpong VR。

 
──VR Tennis OnlineとFly to KUMAの2タイトルについて、NIのチームがレビューするようなことはあったのでしょうか?

 
そうですね。NIのみならず、関連会社で海外在住の方や、外国籍の方にもレビューしてもらいました。北米出身の方だけじゃなく、アジアやヨーロッパ出身の方にも見てもらって。こうしたフィードバックは大事にしています。

 
──「これって日本と違うよね」という意見はあったりしましたか?

 
やはりビジュアル面は大きいです。例えば、VR Tennis Onlineのスタジアムは、最初はもう少しデフォルメ感が強かったのですが、もらった意見を反映し、最終的には本物になぞって、よりリアルに表現しています。

 
Fly to KUMAでは、あのやられ方をすると、海外の人は自然と笑顔になるんですよ(笑)。やっぱりこれは間違ってなかったんだ、と。「Oh Sorry!」とか言いつつ「でも見てみたい!!」という反応をしてくれたので、そこは狙い通りだったと思います。レビューをしている時に気が付いたのですが、レビューをしている時に気が付いたのですが、クマといえばテディベアで有名なドイツで好まれそうなイメージですが、実際はアメリカの方が登場するクマへの反応がよかったです。

 
──売上をワールドワイドで見ると、北米が強いのでしょうか? まぁ、そもそも北米ではOculus RiftをAmazonや店頭での販売を始めていて、出荷台数も違いそうですが……。

 
どこの地域の割合が多いというのは一概には言えないのですが、北米はやはり多いですね。単純に台数が出ているからだとは思うのですが。ただ、海外を意識しているとはいえ、海外でPCゲームをつくっている企業に真っ向から対抗しようとはあまり考えていません。日本のよさ、われわれが得意な部分も織り交ぜながら、苦手な部分にもチャレンジしていければいいかなという思いです。

 
 

ボイスチャットの導入で「会話」もできる!?

 
──これはOculus、ひいては業界全体の問題になるかもしれませんが、VRコンテンツの面白さを広める際、コロプラとしてやっていきたいマーケティング施策はありますか?

 
マーケディングに関しては、弊社の担当グループとも悩んでいて、正直「答えがない」というのが今のところの答えです。

 
──(笑)

 
もちろん試行錯誤はしていますが、「コロプラがVRをやっている」という認知に関しては、いろいろな広め方があると思うのです。

 
現時点でお伝えできることはありませんが、例えばVRのみの大型イベントをコロプラが主催すれば「コロプラがVRをやっている」という認知は拡大すると思います。しかし、VRをやったことのない人に対して、「このコンテンツは面白いんだよ」ということをどう伝えていけばいいか、ということについては正直なところ答えが出ていない。

 
──今回、2タイトルをリリースしたあとのユーザーの反響はどうでしたか?

 
端末がまだ普及しておらず、ユーザーさん自体が少ないので目に見える形での反響はあまりありません。ただ、ローンチタイトルとして2タイトル出せたので、「コロプラはVRをやっているところ」という認知を世界的に広められたことがよかったと思っています。また、今後コンテンツを作る上で非常に参考になるデータを取れたという点も大きいです。

 
今後もっとユーザーが増えて、例えば15分しかプレーしない人が多いのであれば、15分で1回遊べるステージ制にするとか、数字分析のチームと連携して突き詰めていきたいです。その辺はモバイルゲームで培ってきたことですね。

 
──ここは直せばよかったというところはありますか?

 
VR Tennis Onlineで、オンライン対戦のときにボイスチャットは入れたかったです。

 

 
シングル対戦では相手と会話したり、ダブルスでは味方とコミュニケーションをとったりと、ボイスチャットは入れたかったのです。OculusのSDK(ソフトウェア開発キット)にボイスチャット機能がつくんじゃないかと思って、待っていた部分もあるのですが……。今後は積極的に取り入れていきたいです。

 
──そうするとコミュニケーションのひとつとしてゲームを活用する流れも生まれてきそうですね。

 
コミュニケーション重視のコンテンツをつくるのはまだ先になると思います。ただ、ゲーム中に何人か集まって、一緒に遊んで小さなテーブルゲームをアンロックしていくとか、そういうコミュニケーションを取りながら遊べるものはつくりたいですね。

 
 

HTC ViveやPS VRにも対応していきたい

 
──最後に今後の展開をお聞かせいただけないでしょうか

 
現在、Oculus Touchでコンテンツを開発しています。「アクション」や「格闘」など4、5本つくっていて、そう遠くないうちにリリースできるかと思います。

 
──この短期間で4、5本というのはスゴいですね。

 
われわれがたくさんコンテンツを開発している理由は、いろいろなジャンルのコンテンツをいち早く出して、ユーザーさんの反応をうかがいたいからです。VR市場はまだ黎明期ですので、いろいろなコンテンツを出してみないと何がウケるかわからない、VRとして何がマッチするのかわからないんです。

 
──最近、国内ではネットカフェやアミューズメント施設など、店舗での導入事例が増えているので、もしかしたら「コロプラVRランド」が誕生する可能性も!?

 
どうなんでしょうね(笑)。「コロプラVRランド」はさておき、マルチプラットフォームでの展開は検討しています。

 
──マルチプラットフォームということは、コロプラさんのゲームがPlayStation VRで遊べる可能性も!?

 
もちろんです! HTC Viveにも出しますし、PlayStation VRにも出したいなと思っています。そこは頑張ってやってきますので、ぜひ今後ともご期待ください!

 
© 2016 Valve Corporation.All rights reserved.
© 2016 COLOPL, Inc.

 
 
(Reported by Minoru Hirota

 
 
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