VRは「体験」を共有できる次世代コミュニケーション──KDDIが明かすVRへの取り組み

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VRの活用が期待される分野のひとつに、コミュニケーションがある。過去の体験を360度動画+VRゴーグルで体験してもらったり、アバターを使ってまるで目の前にいるような感覚で会話できたりと、さまざまなアプリケーションやサービスが今まさに登場している最中だ。2014年にFacebookがOculus VRを20億ドルで買収したことを始め、この分野への投資も盛んだ。

 
そんな背景を受けて6日、KDDIがプレス向け発表会を開き、日本の通信キャリアとしては初めて自社のVR関連の取り組みを明らかにした。

 
 

SXSWで展示したデモを6/11、12にお披露目

 
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なぜKDDIがVRに取り組むのか。商品・CS統括本部 商品企画部 部長の松田浩路氏によれば、「コミュニケーションは電話、テキスト、写真と移ってきて、今は動画になってますが、そうした『情報の共有』から『体験の共有』に移っていく。そのひとつの手段としてVRがあるのではないか。空間そのものが送れて、体験を共有できるようになるイメージ」とのこと。

 
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KDDIは、「キャリア=コミュニケーションを提供する企業」と自社を定義し、VRの可能性について「顧客体験価値を向上させる次世代コミュニケーションを提供できるツール」と捉えている。

 
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そうしたコンセプトを受けて、今回、HTC Vive用のデモとして「Linked-door」(仮称)を制作。

 
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3月に米国オースティン州で開かれたクリエイティブの展示会「SXSW 2016」(サウス・バイ・サウス・ウェスト)に出展した。会場でも人気で、最大で2時間待ちになったとか。あまりにも没頭しすぎて、ダンスフロアのシーンで踊る人もいたそうだ。このあたりの経緯は、以前PANORAで開催したイベント「最新VR事情が一気にわかる!! 2016年1〜3月海外イベントまとめ」にて語っていただいたものになる。

 
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Linked-doorでは、水辺、ダンスフロア、パーティー会場という3つのシーンが用意されている。例えばダンスフロアではしばらく空間を歩き回りながら堪能していると、電話がかかってきて、目の前にスマートフォンで見慣れた赤と青のボタンが現れる。青の「Accept」を押すと、通話相手のCGキャラクターが目の前に登場し、さらにドアが現れる。このドアを開けて歩いて中に入れば、別のシーンが現れるという仕掛けだ。

 
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このドアにも意味がある。松田氏によれば、「誰かと空間を共有することになった際に、今いるシーンからドアでスイッチする。インターネット上のウェブページにもURLがあって、それを入力することであらゆるホームページや情報にアクセスしているが、ゆくゆくはこうしたドアを開けて体験を共有するようになるのでは」とのこと。

 
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VR空間でキャラクターとのインタラクションも楽しめる。

 
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Linked-doorのように空間を移動する手法は、ほかのアプリケーションにも利用できる。例えば、自分の過去の体験を360度で記録しておき空間で思い出す「イマーシブアルバム」、店員が出てきて「何かお手伝いしましょうか」と提案してくれるバーチャルショップ、自分好みに内装を変えて本や音楽などのレイアウトをカスタマイズできるマイルームといった具合だ。

 
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松田氏は、現在、VRゴーグルは、性能重視の据え置き型と手軽さがメリットのモバイル型に分かれているが、将来的には「高性能で手軽なモバイル型VRの浸透」が登場すると予測。

 
その上で「これが3年後なのか5年後なのか。3年後というとわれわれとしては5Gが来ますので、そのアプリのひとつとしてVRを考えている。だいたい2020年ぐらいにはさまざまな技術がかみあって、VRのような体験価値が生み出されるのでは」と語っていた。

 
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キャリアがVRの発展に貢献できることとしては、1)ショップを利用した体験会の提供、2)スマートフォン普及によるモバイル型VRの拡大、3)コミュニケーションを軸とした新たな体験機会の提供、4)5Gを活用した大容量・低遅延なネットワーク──という4点を指摘。

 
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まずは6月11、12日の12時30分〜18時、東京・新宿にある直営店「au SHINJUKU」にて、デモ展示を実施する。イベント情報はこちら

 
 

新作の「ハコスコDX2」も展示

 
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後半では、新規事業統括本部 新規ビジネス推進本部 戦略推進部 部長、江幡智宏氏より、KDDIオープンイノベーションファンドが出資しているハコスコについて説明があった。ちなみにハコスコは、まだVRの波が本格到来する2015年2月に、auとコラボしてオリジナルデザインのハコスコを提供していたことがある(関連記事)。

 
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ハコスコはダンボール製のビューワーが目立っているが、「ハコスコ」というスマホ用アプリ、さらにいろいろな企業とコラボしたコンテンツまで、ワンストップで提供しているのが特徴になる。

 
「1000円で誰でも手軽にVRを体験していただけることをやってる会社」と、江幡氏。KDDIがやりたい「VRの体験機会を増やす」というテーマにハコスコはぴったりで、ユーザーに店頭に来てもらって高スペックな据え置き型を体験してもらうだけでなく、ハコスコを持ち帰ってもらって自宅で広めることも可能になる。

 
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プラスチック製の「ハコスコDX」で最新モデルとなる「ハコスコDX2」も展示していた。近日発売とのこと。江幡氏は「近いうちにオンラインのコマースやauのショップなどでの販売、お客様へのご提供なども考えていきたい。KDDI自身もさまざまなコンテンツの配信にも関わっていきたいと考えている」と語っていた。

 
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VR市場でハードウェアが整っていき、買いたいと思わせるコンテンツが増えてくれば、配信プラットフォームや課金/決済が重要になってくる。

 
 
次世代の5Gを活用したい通信キャリアがVRに力を入れるというのは、以前にインタビューしたNokiaと目指すところと同じだ。そして通信キャリアの持つ既存の課金プラットフォームは、日本で本格的にVRが流行し始めたらコンテンツプロバイダーにとって非常に魅力的に映るはず。さらに先日発表されたグーグルの高品位プラットフォーム「Daydream」が今秋に登場し、その後、国内の通信キャリアから発売されれば、日本におけるVRの一般化が加速する。今後はKDDIを始めとする通信キャリアの動向にも要注目だ。

 
 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
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