VR報道番組の配信も構想 フジテレビとグリーの意気込みが伝わってきた「F×G VR WORKS」発表会

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フジテレビジョンとグリーは30日、VRに関する共同プロジェクト「F×G VR WORKS」に関する記者発表会を開催。今年5月に発表した本プロジェクトの展望を解説し、フジテレビアナウンサーの永島優美さんが出演する360度動画「永島優美アナのヴァーチャルお忍びデート」など、いくつかのデモをお披露目した。

 

BtoBからスタートしていく

 
発表会ではフジテレビ常務取締役の大多亮氏と、グリー代表取締役会長兼社長の田中良和氏が登壇し、プロジェクトの「なれそめ」を語った。

 
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大多氏によれば、きっかけは田中氏との会食だっという。

 
「今から数ヵ月前、田中さんと特に何のテーマもなくご飯を食べていて『VR知ってます?』と聞かれた。そのとき、僕はVRは来ない、かつての3Dテレビのようになってしまうのではと思っていた」(大多氏)

 
しかし、「騙されたと思って一回見てください」と田中氏に説得されて、六本木の本社に行って体験したところ、意見ががらっと変わったようだ。

 
「その映像の力と没入感にすごいものがある。一番感じたのは圧倒的なビジネスの広がり。この中に映るもの、ソフトですよね、コンテンツについてはここのチャンスを逃すわけにはいかないなと強迫観念に似た想いが湧き上がった」(大多氏)

 
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田中氏もフジテレビとのコラボについて、コンテンツ制作力についての魅力を強調していた。

 
「Windows 95が発売されてから20年ぐらい。スマートフォンが出てきて10年ぐらい。その次のプラットフォームがVRで生まれると思っています。われわれもソーシャルネットワークやゲームをつくってきましたが、VRにおいても、コンテンツの中身、キャスティング、編集など、より総合的なものが求められると思っている。そこで大多さんの顔が浮かびまして、一緒にやりましょうと今回の発表に至っています」(田中氏)

 
「フジテレビはエンタテイメント、報道、スポーツなどを始め映像コンテンツをつくってきた。そうした強みを生かして、VRでも先行者優位が得られるのではないか。VRにおいてもコンテンツファクトリーになりたいという思いがある」(大多氏)

 
その後、フジテレビコンテンツ事業局長の山口真氏によって、同社の取り組みについて解説された。山口氏は「テレビは2兆円の市場だが、2020年におけるVRの市場規模は7兆3500万円との予測もある。世界中のあらゆる企業が参入してくるが、日本においては先陣を切りたい」と意気込みを見せていた。

 
具体的には、当初は360度映像を制作するBtoBサービスからスタートしていく。また、素晴らしい景色や災害、報道の最前線の現場を定期的に配信するレギュラーのVR報道番組をつくる構想もある。

 
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永島アナ「ここ5年間で一番恥ずかしかった」

 
会場では、報道陣や関係者向けに現時点でできているデモ映像も披露された。発表会冒頭では、来場者がGear VRを装着して、約8分半ほどの360度映像である「永島優美アナのヴァーチャルお忍びデート」を視聴した。

 
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永島アナと一緒にお台場のクルーズや箱根園水族館、東京タワーを巡れるコンテンツ内容となっている。カメラに向かってガンガン話しかけてくれるのがうれしい。

 
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撮影について「ここ5年間で一番恥ずかしかった」と永島アナ。

 
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会場の様子。今年3月に実施したUnderworldの360度生配信も手がけたエジェ協力のもとにシステムを開発し、Gear VRに向けた無線での「100人同時配信」を実現した。ちなみに4月に開催したカドカワのN高校入学式でも同様のソリューションが提供されていた。

 
エンタメ×VR「永島優美アナのヴァーチャルお忍びデート」

 
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後半では、AMF代表取締役・椎木里佳さんとスポーツジャーナリスト・前園真聖氏が登壇。

 
まずは椎木さんがOculus Riftを装着して、東日本大震災で屋上に避難した330人の命を救った宮城県南三陸町、高野会館の360度映像作品を視聴する。高野会館は「震災遺構」としての保存が決まった建物で、現在の360度写真の一部に当時の写真を重ねるなど、その差がわかるようなコンテンツに仕上がっていた。

 
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椎木さんは、建物の1階から見上げて津波の高さが分かるシーンについて「見上げることによって、よりリアル感が増した」とコメントしていた。

 
ジャーナリズム×VR「私はこの場所で被災した」

 
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続けて、椎木さんと前園さんがHTC Viveとハンドコントローラーを装着。2人が同じバーチャル空間に入って、230インチ相当の巨大テレビでワールドカップ女子バレーの映像を楽しむというデモを体験していた。

 
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単純に映像を見るだけでなく、テレビの前に置かれたスティックを両手にとって……。

 
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交差することで音が出てコントローラーが震える。これで応援している感が非常に高まる。

 
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さらに椎木さんが机の上に置かれたドリンクを飲むなど、大画面で見る以上の視聴体験を実現していた。前園さんは「めちゃめちゃ大画面だったので臨場感があったのと、こういう応援の仕方は面白いかもしれない」と感想を述べていた。

 
会場では、いくつかのVRコンテンツを展示していたが、残念ながら今回のみの展示で、特に常設は予定していないとのこと。

 
観光×VR「Don’t you Know MARUNOUCHI?」

 
 
直近でも日本テレビ北海道放送などが、360度映像への取り組みを表明しており、テレビ局のVR活用はひとつの大きな潮流になりそうだ。

 
360度映像でより良い画質を求めると現状の4Kでは足らずに、8K、16Kという解像度が必要になるが、この流れは、高解像度化を目指す放送業界の狙いと合致している。遠い将来には、現在のテレビを視聴しながらスマートフォンで調べ物をするスタイルのように、テレビ番組を見ながら「あっ、この映像の中に入りたい」と考えたときにVRゴーグルをつけて体験できる……というスタイルが定着しているかもしれない。

 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
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