YouはどうしてVTuber好きに? スコットランドニキに聞く海外ファン事情

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「スコットランドニキ」として有名なライアンさん。スコットランド、グラスゴー出身の27歳。5月から日本で翻訳者として働いている

VTuberといえば、日本発祥の新しいネットカルチャーだ。その勢いは国内だけにとどまらず、世界のあちこちでVTuber好きを生み出している。

例えば、このジャンルを作ったキズナアイさんも、2017年に英語圏で火がついて一気に登録者を伸ばした。白上フブキさんや神楽めあさんなど、中国のbilibiliで人気を博しているVTuberも多い。ここ半年ぐらいの変化としては、「にじさんじ」や「ホロライブ」の動画や生配信でも英語のコメントが目立ってきている。月ノ美兎さんの「つきのみと没カット集」や、白上フブキさんの「Astronomia FUBUKIDANCE」など、完全に海外の勢いで再生回数が大幅に伸びたものも出てきている(関連記事)。

一体、海外のファンは、何をきっかけにVTuberを知ってハマっていくのか──。そんな疑問に答えるべく、今回はにじさんじファンに「スコットランドニキ」(あるいは「スコニキ」)として知られるスコットランド出身のライアンさんをインタビューした。

ライアンさんは、「Virtual to LIVE in 両国国技館 2019」や「にじさんじ JAPAN TOUR 2020」など、にじさんじのライブイベントにおける生放送でよくインタビューされている人物(画像はJAPAN TOUR 名古屋における生放送のスクリーンショット)。ジョー・力一さんとの「プロレス」的な関係もファンにはお馴染みだ。

海外といってももちろんいろいろな国が存在していて、極端な話、個人レベルでもVTuberに興味を持ったきっかけは異なるはずだが、一つの事例としてぜひ読んでほしい。


「しずりん」ゲーム実況のおかげで辛い仕事を乗り越えられた

 
──ライアンさんはどういう流れで日本のコンテンツに興味を持ちましたか?

ライアンさん 私は主にポケモンやデジモン、ファイナルファンタジーといった日本のアニメやゲームがちょうど一般的になってきた頃の世代なんです。一番好きなゲームのジャンルがRPGということもあって、年齢を重ねる度にどんどんオタクへズレていきました。特に2007年の春から毎週アニメを追うようになったり、ニコニコ動画の全盛期に触れたり、アイマスに出会ったりと、そうしたコンテンツのおかげで崖から一気に落ちたような感じでした(笑)

 
──VTuberを知ったきっかけは?

ライアンさん 「知る」きっかけとしては他のVTuberファンと同じように、キズナアイが初めて流行りだした頃です。元々海外でバズってから日本に広がった感じでしたので、Twitterのタイムラインの英語側と日本語側の両方で自然にVTuberの情報が流れるようになったことを覚えています。そのときはただ「ふむふむ、へー」みたいな感じで眺めるだけであまりハマりませんでした。自分のVTuberの原点でいえば、間違いなく「にじさんじ」の静凛さんです。

 
──ライアンさんの周囲の海外ファンはVTuberについてどう見ていますか?

ライアンさん オタクであればあるほど、VTuberを知っているのが当たり前になっています。特に今はTwitterやYouTubeで翻訳された切り抜き動画が毎日のように上がっている状況です。

ただ、翻訳や短編動画だけでは、そのVTuberさんの魅力がすべて伝わらないこともあるので、偏見も生まれやすいという印象があります。加えて、海外ではネットコンテンツは「分かりやすさ」が結構重視されていることもあって、普通のYouTuberや配信者たちは「とりあえず叫べばある程度の登録者は稼げる」と思うのがセオリーになっています。

 
──先ほど静凛さんがきっかけとおっしゃってましたが、ちなみにライアンさんの「推し」は?

ライアンさん 普段から「にじさんじ」の「箱推し」を名乗っていますが、その中でも静凛(しずりん)さん、リゼ・ヘルエスタさん、笹木咲さん、森中花咲(かざちゃん)さんの4人が中心です。

しずりんは仕事で結構辛い思いをしていた時期に出会って、彼女のそのゲームを何よりも楽しむ姿で文字通り救われました。特に「始めよう、FF14」シリーズを見ながら仕事をしていると、とりあえずいやなことを忘れられて、むしろいつも以上に捗っていた気もします(笑)。ですから彼女には本当に一生感謝してもしけれないと思っています。

ただ、当時はVTuberの知識がまだまだ浅くて、しずりんに出会ってからにじさんじに「沼る」までは1年ぐらいかかっています。リゼ様にハマったのは、VTuber好きの海外友達が集まるDiscordサーバーで、貼られていた彼女のアーカイブを何も考えずにクリックして見たところ、秒で落ちました(笑)。凄く耳に優しい声が第一印象で、気づいたら初配信からアーカイブを追っていた(笑)。

一番記憶に残ったのが「7×6=48」……じゃなくて、ゲームに対してのスタンス。とりあず作品の一つ一つに対して真面目に向かって、本当にそのゲームの世界の住人になったかのようにプレイしているのが刺さりました。その上に陰キャとは信じ難いほどのトーク力を持っているので、どの配信に行っても必ず有意義な時間になれると思います。

リゼ様の配信を追っていたということは、コラボもチェックしていたので、「さんばか」同期のアンジュ・カトリーナさんと戌亥とこさんはもちろん、笹木咲さんを知るのも時間の問題でした。スペランカーでのパワハラや命を救うたびにお金を要求するところとか、マイクラで変な叫びを放ちながら魔法を撃つとか、とりあぜすめちゃくちゃ面白くて自然に興味が湧いていました。そしてマイクラといえば、すぐその後にロ○サスの命を奪ったあの事故が起きてしまい、ゲーム中に降りかかる不幸に対しての反応があまりにも天才的だったため、がっちり心を掴まれました。あの人より面白い人間はもう出てこないかもしれないって本気で思っている(笑)

ここまでくると「推し」以外のライバーも見るようになっていたので、その意味ではかざちゃんとの出会いが一番自然的だったかもしれません。普通に配信におじゃまして、普通に「お? 気になるかも」って思って、そして結局推し増しするパターン(笑)。自分の思っていることを発信する所が結構好きで、リスナーとの距離感も良いし、短編動画が意味不明すぎて逆に賢くなる気もしなくはない(??)。でも一番と言えば、歌に執着がある人としてやはりあの吐息をするような歌声がすごく好きで、歌枠と歌ってみたが来る度に必ず見る事にしています。

かざちゃんとの出会いでやっと「これはもう箱推しでよくない?」って思うようになりました。そしてここに至る、ということです(笑)


──最後に、配信でよく「スコニキ」を取り上げるジョー・力一さんについては、どう思ってますか?

ライアンさん 「RainDrops」メンバー発表の配信でいきなりネタにされた時は本当にびっくりしました(笑)。さっき言ってたDiscordサーバーの友達と一緒に見ていたので、自分が混乱している間にほかのみんなが爆笑してたり「メジャーデビューおめでとう」ってからかわれてたり、もう一生忘れられない日にはなったと思います。

力一さんのことはもちろん知っていたのですが、あのときは一切絡みがなかったので、まさかただのオタクの自分があんな人智を超えた天才に目をつけられるとは思いもしなかったです。多分それが無かったら「スコットランドニキ」はここまで盛り上がることは無かったと思いますので(自分で言うのもアレなんですが)、彼にもすごく感謝していますし、ライブで本人がいると知りながらネタにする度胸もリスペクトしています。ただし、「やられたらやり返す」という言葉があります。だから覚悟しておけよ、力一!


(TEXT by Minoru Hirota

●関連リンク
ライアンさん(Twitter)