SIE吉田氏に聞くPS VR「コレを遊べっ!」 同じハードでもソフトの作り方が飛躍的に進化している

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9月20〜23日に幕張メッセにて開催している「東京ゲームショウ 2018」(TGS、関連記事)。VR系でいえば、PlayStation VR(PS VR)向けのタイトルも数多く発表されたわけで、プレイヤーとしてはどれを遊ぼうかと気になっている人も多いはず。ソニー・インタラクティブエンタテインメント ワールドワイド・スタジオ(SIE WWS)でプレジデントを務める吉田修平氏にオススメを聞いてみた。

 
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VR酔いへの常識が変わって来ている

──PS VRは2016年のリリースからもうすぐ3年目ですが、今回のTGSでもVR向けタイトルを数多く発表されましたね。

吉田 頑張っていますよ! 思い返せば2016年の頃は、最初はVRで何が面白いのかを探る段階で、何年もかけてゲームを作っていると、その間にみんなどんどん先に行ってしまうので、できるだけ短期間で色々なものをつくろうとしていました。それをオムニバスのようなかたちで出したのが「PLAYROOM VR」や「PlayStation VR WORLDS 」だったのですが、2年後の2018年になって前者は「ASTRO BOT:RESCUE MISSION」(ASTRO BOT)、後者の中で一番人気が高かった「The London Heist」(ロンドンハイスト)は「ライアン・マークス リベンジミッション」としてリリースを予定しています。

 

 

 
当初、FPSは移動が酔うから無理だろうという声もありましたが、やってみると結構できるじゃないか、という状況に変わってきています。VRのコンテンツ制作にあたり、最初はわれわれも「やってはいけないガイドライン」を作って普及させようとしていましたが、デベロッパーの工夫によって、やってみたらできましたということが増えています。特に移動の工夫が進んでいて、例えば日本未発表ですが「Sprint Vector」では腕を振ると大丈夫だったり、いろいろな形で新しい取り組みが実現されて、内容としてはすごいスピードで充実して来ていると感じています。

 

 
ですので、我々自身もタイトル数を増やすというよりは、1本1本の規模やゲーム性を深めていて、「Firewall Zero Hour」にしても、出した後にDLCなどのサポートを続けながら、コミュニティーを育てていきたいと思っています(レビュー記事)。そういう形でより深い、より大きなVRゲームを出していきたいです。

 

 
その中で今年、TGSは非常にタイミングよく、JAPANスタジオで制作した日本ならではのタイトルを3つも揃えられたので、すごく嬉しいく思っています。中でも「みんなのGOLF VR」は、ぜひ体験していただきたいですね。

 

 
──実は私はまだ遊べていません……。

吉田 かぶった瞬間にゴルフ場で、それだけでも非常に気持ちいい。「みんGOL」なのでシミュレーターではなく、ゴルフをやらない人や下手な人でも打てばバシューっと飛んでいく。そんな気持ちよさを追求したタイトルなので、ぜひ体験していただきたいです。

 
──おおー! 実は唯一体験できたのが「ACE COMBAT 7: SKIES UNKNOWN」のVRでした(インタビュー体験レポート)。

吉田 ACE COMBAT 7だと、最初に空母から飛び立つシーンとかもいいですよね。ゾクゾクします。

 
──あと目線で見るだけで敵を追えたりするVRならではの操作性もいいなと感じました。

吉田 下を見るとすごく高いところから海を見下ろせたりするのもいいですよね。

 
──はい。しかもびっくりしたのが、飛行機だから絶対VR酔いすると思ったのに、しっかり対策されていたことです。先ほど吉田さんが言われていたように、デベロッパーの工夫でVR酔いに対する常識が変わって来ているのを実感しました。

吉田 そのノウハウの蓄積が早くて素晴らしいですよね。今後業界としてはハードもよくなる一方なので、そのハードがまた進化すると酔いにくくなります。そしてソフトのノウハウもたまって来ているので、ますます多くの人に楽しんでもらえるようになるという実感があります。

 

 

三人称視点でもVRらしさを出す工夫

──先ほど「みん GOL VR」も語られてましたが、今年発表されたVRタイトルの中で個人的なオススメを教えてください。

吉田 「ASTRO BOT」をプッシュしたいですね。三人称視点なんですが、実は自分もキャラクターになっています。

今までのVRゲームで、目の前にあるサンドボックスでアクションをするだけだとVRとしては物足りないと思えてしまうこともありました。「ASTRO BOT」はそうではなく、自分もキャラクターで、操作する小さなロボットと自分自身を使って進んでいきます。

主人公のASTRO君はプレイヤーをキャラクターとして認知していますし、プレイヤーは好きな方向を見られるので、ステージ作りも目の前だけじゃなくてもいいわけです。もちろんあまり後ろを作り込むと首が痛くなるので制約をつけていますけど、色々なところに様々な仕掛けを入れて、テレビでは絶対できないようなアクションが体験できるようになっています。私としてはアクションプラットフォーマーが2Dから3Dになったと同じぐらいのインパクトがあると思っている画期的なタイトルです。

 
──確かにOculus Rift向けに初期に出ていた「Lucky’s Tale」とかは、「これは別にテレビでもいいかも……?」と感じるところもありました。
 
吉田 今はそこを乗り越えて、VRじゃなきゃできないことを沢山盛り込んでいます。

 
──VRではプレイヤーに「自分は誰なのか」を認識させるのが重要ですよね。

吉田 それは本当に大事です。自分もキャラクターなんだって。

 
──「V!勇者のくせになまいきだR」でも、ちゃんとプレイヤーが魔王でしたものね。

吉田 ムスメが隣にいて、話しかけてもらったりとかね。「自分がそこに存在するんだ」とプレイヤーに伝えるのはとても大事です。

 

 
──ソフトの作り方でどんどんVRの体験がよくなってきているという。

吉田 そうなんです。ハードは基本的に変わらないのですが、ゲーム体験自体がよくなっているし、ゲームの規模も大きくなっている。「ASTRO BOT」は26ステージある上、秘密の部分を見つけてクリアするとチャンレンジステージがアンロックされて、今までのアレンジ版が遊べます。だからかなり長い期間楽しめる作りになっています。

 
──PS VRは税別で3万4980円と発売当初よりハードウェアの値段も下がりましたし、「PlayStation Move モーションコントローラー」(PS Move)が2本含まれるエキサイティングパックもリリースして買いやすくなっている。

吉田 そうですね。日本でも最初からPS Move付きで買えるようになったので、パソコンと同じ手を使うタイトルもPS VRで出しやすくなります。もともと両手を使えるというのはVRにとっていいことなので、今後そういうタイトルも増えていくと思います。SIEとフロム・ソフトウェアの宮崎さんで作っている「Déraciné」(デラシネ)もそうで、PS Moveで手があるのが重要な要素になっています。

 

 
PS Move自体も日本で普及を進めていきますし、そうすると「SUPERHOT VR」とか日本のユーザーがまだあまり気づいていないタイトルも遊んでいただけるようになるはずです。

 

 
──一方でゲームだけでなく、PCにおける「VRChat」のようにコミュニケーションツールもPS VRに求められていると思います。

吉田 VRはそこにいる感じを強く出せるメディアなので、時間が経つとソーシャルVRはどんどん重要になっていくと思います。ただ、PS VRは家庭用のゲーム機ベースなので、どういうものがこの先に成長するかはなかなか見極めにくいところもあります。

日本未発表ですが、現在のPS VRでもソーシャルVRの「Rec Room」はリリースされていて、バトルロイヤルモードなど、ゲーマー向けの体験が多いので非常に人気が高い。プレイ時間も非常に長いので、やっぱりそっちに来たかなという印象もあります。ソーシャルVRに関してはPCが先行すると思いますが、その中でコンソールフレンドリーなサービスは今後も期待していきたいです。

 

 
──ゲーム以外で言えば、Oculusの「Venue」のようにVR内でのライブビューイングも流行っています。

吉田 日本では「シアタールームVR」という形で映画を楽しむ体験を提供しています。日本未発表の試みでは、先のW杯にてイギリスでBBCと組んで実際の生中継をPS VR向けにやってとても好評でした。

ライブで言えば、「Joshua Bell VR Experience」のチームが制作した「Tom Grennan VR」も本当に目の前で演奏しているように見えるのがスゴいところです。ゲームももちろんですが、さまざまなタイトルを用意しているので、ぜひPS VRをお買い上げていただき、色々と楽しんでみてください。

 

 
 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
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