【TGS2018】ビジュアルの「叙述トリック」!? VR ADV「東京クロノス」の新たなミステリー演出のカタチ

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9月21日から23日まで幕張メッセで開催した「東京ゲームショウ2018(TGS2018)」で、10番ホールにて設置された「VR/ARコーナー」。ここでは様々なVRやAR、MRを用いたコンテンツを展示するブースが多数集まり、独自の製品を展示していた。

今回、このコーナーの一角にあるMyDearestのブースにて、VRミステリーアドベンチャーゲーム「東京クロノス」の試遊を体験してきた。

 


▲MyDearestブースの様子。来場者用のメッセージボードには、本作のイラストレーター、LAM氏のサイン色紙も。

 
本作は、3DCGアニメ「楽園追放-Expelled From Paradise-」のモーション監督を務め、スクエア・エニックスのVR漫画プロジェクトにも携わった柏倉晴樹氏や、「ソードアート・オンライン」のプロデューサーとして著名な三木一馬氏などが制作に携わるビジュアルのベル形式のADVゲーム。

シナリオは、ミステリー小説「謎好き乙女」シリーズを手掛けた小説家、瀬川コウ氏が担当し、キャラクターデザインはイラストレーターのLAM氏が手掛ける。

 
今回の試遊では、主人公と3人の女性キャラクター、桃野夕(CV:木戸衣吹)/二階堂華怜(CV:石川由依)/東国ユリア(CV:柚木尚子)が登場し、彼らがおかれた不可解な世界観を体感できる物語冒頭の約5分ほどをプレイすることができた。

その際に感じた本作の特徴や見どころについてレポートしていこう。

 

▲「東京クロノス」第1弾トレイラー映像

 

360°ゲームの世界に入り込めるADV

 
▲首を動かすことで、好きな方向を見られる。

 
まず第一には、やはり「VRで360°好きな方向を見ることができる」ということだろう。

従来のビジュアルノベル形式のアドベンチャーゲームでは基本的に、背景の一枚絵と、キャラクターたちの立ち絵、セリフなどのメッセージウィンドウといったもので画面が構成されている。自由に左右を向いたりといったことは出来ず、平面的な印象の画面になりがちだ。

そのためプレイヤーは、あくまでゲームをプレイしている人、「画面の前の存在」という立場に置かれ、ゲームの世界から一歩引いた視点で作品を体験していることになる。

もちろんそれでもストーリーの面白さやキャラクターの魅力などは十分に味わうことは出来るのだが、ゲームへの没入感という面では、ビジュアル面で印象付けることは難しい。

 

▲会話中のイメージ

 
「東京クロノス」では、キャラクターも背景も3DCGでつくられているので、左右上下はもちろん、後ろを見てもしっかりと景色がある。キャラクターたちの会話の際などは、輪になって顔を合わせて話す形になり、自分が会話の一員として参加しているという臨場感を感じられた。

ゲームの舞台となっている渋谷の街並みの中で、自分が今どこにいるのか、周りに誰がいて、どんな状況なのか、首を動かすだけで直感的に理解できる。そのため自分が「ゲームの中にいる」という感覚を強く味わうことができ、より没入感のある中でストーリーを楽しむことができるのである。

 

キャラクターの魅力を引き立てるVR演出

また、キャラクターたちの魅力を引き立てる、VRならではの演出も見どころだ。例えば、主人公がゲーム内で初めて桃野夕ちゃんと出会うシーンで、いきなり彼女に抱きつかれるのだが、その際まるで本当に抱きつかれているかのように彼女がものすごく近くにいる。

VR視点で見ているので、ちょうど肩のあたりに顔が来るような感じになっており、少しドキッとするような距離感。これがなかなか破壊力が高く、恐らくこの時点で男性なら彼女に好印象を抱くのではなかろうか。まあこれは、筆者が単純すぎるだけかもしれないが……。

 

▲桃野夕ちゃん。抱きつかれたときは本当に密着したような位置まで接近する。

 
ともかく、VRによって距離感や迫力をより強く感じ取れることをうまく活用した演出が印象的だった。イラストレーター・LAM氏がデザインした色彩豊かなキャラクターたちは、全て3Dで作られていることによって多彩な動きの表現が可能となっているため、この後のストーリーでも彼らの様々なアクションが見られそうだ。

 

景色の中に仕込まれた視覚トリック


▲ビルの上に立つ二階堂華怜ちゃん

 
そして、筆者が最もユニークに感じた点が、景色の中に仕込まれた、「もともとそうなっていたけど、言われるまで気づかない」ような視覚的な仕掛け。例えば今回試遊した中では、背景のビルの上に立っている二階堂華怜ちゃんの姿。

筆者は、桃野夕ちゃんに教えられた時点で初めて気づいたのだが、実際にはその会話よりも前にそこに居たらしい。VRで全方位を見渡せるからこそ、背景の部分的な変化に気づきにくいのかもしれない。

 
こうした視覚演出はストーリーの随所に出てくるようで、さらには物語の真相にも関わってくる部分があるかもしれないとのこと。まるでミステリー小説の「叙述トリック」のように、「気づいた後でもう一度見返すと視方が変わる」ような視覚演出があるということだろうか。

となれば、1週目で全ての謎が明かされた後、もう一度プレイすることで「ここがそうなっていたのか!」と新たな発見ができる、2週目も楽しい作品になりそうだ。

 

臨場感だけじゃない、一歩踏み込んだVR活用

今回試遊した部分は、約10時間ほどのプレイ時間を想定したストーリーのうちの冒頭5分ほどであるため、あまりストーリーに触れることはなかったが、それでもVRを活かす工夫が随所に見られた。

ただ周りを360°見渡せるというだけでなく、それを利用してミステリー作品としての深みを加える表現は、技術の特性を理解しているからこその一歩踏み込んだ活用法という感じだ。

これは「楽園追放」や「ソードアートオンライン」など、VRを題材とした作品に関わってきた豪華クリエイター陣の知見が活かされているのかもしれない。

 
本作は2019年春に発売予定のため、少し先にはなるが、早くも発売が楽しみになった。VRによるミステリーアドベンチャーゲームの新たな可能性を切り開くかもしれない「東京クロノス」。気になる人はぜひチェックしてみてほしい。

 

▲今回ゲームを試遊した人には、裏面QRコードを読み込むことで、東国ユリアちゃんが主人公の限定ムービーが見られるカードのプレゼントも。なかなか意味深な終わり方をするムービーになっているが、果たして本編との関連性はあるのだろうか。

 
●製品概要
タイトル:東京クロノス
発売日:2019春
対応予定プラットフォーム:Oculus/SteamVR/PlayStationVR
販売元:MyDearest(MyDearest Inc.)
ジャンル:VRミステリーアドベンチャーゲーム
プレイヤー:1人

 
(TEXT by 高橋佑司)

 
●関連リンク
東京クロノス 公式サイト
東京クロノス 公式Twitter

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