東方同人×ホロライブの夢のタッグが実現? 宝鐘マリン・ビートまりお・七条レタスに聞く同人CD「#幻想郷ホロイズム」の裏側

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今年5月、VTuberファンを驚かせたニュースのひとつに、「#幻想郷ホロイズム」という同人CDアルバムの制作発表があった。

今まさに旬であるVTuberグループ「ホロライブ」の宝鐘(ほうしょう)マリンさんと、東方Project二次創作アレンジ「ナイト・オブ・ナイツ」などが代表的なビートまりおさん主宰のサークル・COOL&CREATE(クールアンドクリエイト)がコラボするという大きなニュースだ。6月16日には続報が明らかになり、ダウンロード版は6月26日にDLsiteにて先行で、通常版CD・限定版BOXは現在予約受付中で、7月10日よりそれぞれ頒布をスタートすることも明かされた。

東方Projectといえば、2010年前後にniconicoでボーカロイド・アイドルマスターと合わせて「御三家」と呼ばれ、いまだに原作ゲームも二次創作のテーマとしても人気を集めている一大ジャンルだ。一方、VTuberは、ここ2、3年で急速にファンを増やしてきたネットで気鋭の存在になる。最近、VTuberの楽曲をボカロPが手がけて新しい価値を生み出しているように、今、VTuberが東方とも重なって化学変化が起きようとしている。

一体、どんな経緯でアルバムの制作が始まり、どんな作品を生み出そうとしているのか──。本作の主役である宝鐘マリンさん(船長)、楽曲制作を手がけるビートまりおさん、ドラマパートのシナリオを担当する七条レタスさんをお招きしてインタビューしたところ、実は多数のホロライブメンバー(ホロメン)が出演しているという超本気のコラボということが判明した。本記事を通じて、参加クリエイターの想いを受け取ってほしい(以下、敬称略)。

宝鐘マリンさん(船長)
ビートまりおさん
七条レタスさん


20年選手が注目した「ガチ東方ファン」の船長

 
──まず、お互いのジャンルで初めて知ったという読者のために、自己紹介をお願いできますでしょうか。

まりお COOL&CREATEという同人サークルの主宰を務めているビートまりおと申します。東方が好きで、もうかれこれ17年近く東方の二次創作活動を楽しませてもらっています。

レタス まりおさんは、「ナイト・オブ・ナイツ」や「Help me, ERINNNNNN!!」などのアレンジ曲をつくって一世を風靡し続けている人物ですね。

 
──いずれもniconicoを通じて多くの人を東方の世界に引き込み、「〜してみた」の派生でも影響を与えた作品ですよね。レタスさんは?

レタス 自分はIOSYS(イオシス)のメンバーとして実は一番最初から活動しています。「チルノのパーフェクトさんすう教室」や「魔理沙は大変なものを盗んでいきました」などの編曲を手がけたARMさんを中心に色々なクリエイターが集まったサークルで、かれこれ20年以上やってます。

 
──20年以上!?

まりお そんなにやってんの?

レタス やってますよー。元々高校の知り合いだったりするので。あとはアニメや音ゲー、VTuberさんらに楽曲を提供したり、タイトーさんのNintendo Switch向けパズル「東方スペルバブル」のシナリオや、セガさんの音ゲー「イロドリミドリ」の原作なども手がけています。

 
──音楽だけでなくシナリオまで! 20年以上という話がでましたが、まりおさんは何年ぐらい活動されているんですか?

まりお 俺はコミケのサークル初参加が2001年で、COOL&CREATEという名前では1998年からWeb上で活動していますね。

 
──ということは22年。

レタス 多分ほとんど同じぐらいだと思います(笑)。

 
──スゴい(笑)。ではマリンさんお願いできますか?

マリン Ahoy! 宝鐘海賊団船長、ホロライブ3期生の宝鐘マリンです~。一世を風靡中のホロライブで一世を風靡している最中なんですけれども、2人のおじさまとは違って「若い」のでキャリアはあまりないんですけど、これから築いていきたいなと思っております〜。

 
──(笑)。今回のプロジェクトが始まった経緯をお聞きしてもよろしいでしょうか?

まりお きっかけになったのが、タイトーさんの「東方スペルバブル」です。東方の二次創作ゲームで、俺は楽曲提供で関わっていたのですが、普通にゲームとしても面白くてハマっていました。それで2月中旬ぐらいの、ちょうど全ステージクリアした日、シナリオを書いているレタスさんに「スゲーよかったよ~」という話を振ったところ、ホロライブのVTuberさんがこのゲームを紹介する案件があると聞いたんです。

実はそれまでホロライブは名前をなんとなく知ってるだけで、配信は見たことがなかったんですが、「宝鐘マリン船長っていう人がやるそうだよ」といわれて「どんな人なの?」って聞き返したら、「スゲェよくしゃべる女性ですよ」って。

 
──正しいと思います(笑)

まりお 「しかも東方がめっちゃ好きな人」と言われてさらに興味を持って配信を見に行ったのが最初ですね。

 
──それまでVTuberと関わりはなかったのですか?

まりお 輝夜月さんや月ノ美兎ちゃんとかの動画をたまに見るぐらいで、配信系VTuberさんはスルーしていました。なんとなく硬派な「古(いにしえ)のオタク」を気取って、避けてた部分もあったかもしれないです。でも、実際に見たらめちゃくちゃ面白くてハマっちゃった。「本当だ、スゲェしゃべる女性」だって。

 
──(笑)

まりお しかも「東方好きってどんな程度のもんかな?」と思って聞いてたら、ガチで好きな人の語り口で驚いたんです。俺、東方原作が好きな人をすぐ好きになるチョロい傾向があって、この配信をきっかけに宝鐘マリンというキャラクターが刷り込まれましたね。

さらに船長がちょうどARMさんの曲で遊んで「わ〜」っと喜んでいて、「ナイト・オブ・ナイツ」にも触れてくれたら嬉しいなと思い、それとなくツイートしてみたら船長のファンたちが「船長!まりおさんが見てますよ!」って拾ってくれて、船長も「わっ!マジ?マジ? 魔剤!?」とか反応してくれて。

マリン いや、まさかあのビートまりおが見てるわけが……と思いましたけど。

まりお その距離感も嬉しくて。俺がタモリさんのことを「タモリ」、ダウンタウン松本さんのことを「松本」と呼ぶみたいに。

マリン そうそう、本当そんな感じの。私がまだ若くて学生でみたいなときにまりおさんが一世を風靡していて、歌もカラオケで歌っていたので「まさかその人が見てる!?」みたいな。

まりお あとひとつ印象的だったのは、船長が東方を好きで、ビートまりおとかを聴いてくれていて、その線がつながったことに対して船長のファンたちが「よかったですね!」「おめでとう!」って素直に祝っているのが素敵だったんですよね。東方って15年以上も二次創作が活発に続いてて、それこそ15年前のオタクは「これ好き」に対して「ふーん…」って、ちょっとだけ斜に構えるみたいなところがあった。これほどストレートにポジティブな界隈は最近見ていなかったので、新鮮で好印象でした。

 
──光のオタク!

まりお そうそう。でもそのときは船長と面識はなくて、なんとなくTwitter上でやりとりするぐらいでしたね。

 
──そもそも東方についてマリン船長が詳しいルーツが気になるところですが、初めて触れたきっかけはなんだったのでしょうか?

マリン 私は高校のときに友達から「東方妖々夢」を借りて……。

 
──二次創作ではなく、原作のゲームから入った感じなんですね。

マリン そうそう! でも元をたどればニコニコ動画を見ていたから東方の存在を知っていたわけです。それこそまりおさんの「Help me ERINNNNNN!!」とかで、他にもIOSYSさんの「魔理沙は大変なものを盗んでいきました」の動画サムネイルにアリスがいたから、アリスのことを魔理沙だと思っていたりとか。

まりお あるあるだなー、それ。

マリン そんな「曲が上がってるなー」ぐらいの認識で、これは何だろうと思っていたのですが、友達に勧められた妖々夢を触りはじめてめっちゃハマって「東方輝針城」ぐらいまでは全部やり込みました。特にその子と2人でハマってたのが大きくて、「クリアできた?」とか「あの曲いいよね」とか語って影響し合ってました。原作のキャラの掛け合いの独特なノリとか、キャラクターデザインとか可愛さとか、媚びない感じのキャラたちとか、世界観とか曲とか弾幕とか、すべてがよかった。

 
──その船長の原作への情熱がまりおさんを動かして、今回のCDにもつながっているという。まりおさんが船長を認知してから、どういう流れで作ろうという話になったんでしょうか?

まりお 確かツイートに船長が反応してくれて、そこで隔月ぐらいで配信している東方の情報番組「東方ステーション」のスタッフさんと「反応してくれてるから、番組に出てもらおう!きっと出てくれる!」みたいな話をしたんです。あとは軽率にTwitterでからみにいって、出演していただくことが決まったという。

レタス すげぇスピード感でしたよね。何日か前にTwitterでからんでたと思ったら、次の「東方ステーション」にはもう出ることになっていて、早すぎて笑いました。

 
──東方ステーションで共演したときはどう感じられました?

まりお 今までとは違う新しい視聴者さんが一気に来てくれたことに驚きました。ホロライブのファンたちが、「俺たちのホロライブが東方の番組に出るぞ!嬉しい!頑張れ!」ってドドドって来てくれて、それがすごくよかった。

俺、2009年のアニサマ(Animelo Summer Live、世界最大級のアニソンイベント)に東方の曲で出させてもらったことがあるんですけど、「おらが村のまりおがステージに出るぞ! がんばれ!」みたいな空気があった。構図は違いますが、そういうファンみんなで押し上げているのが今のホロライブなのかな~、と。

 
──船長は、ある意味憧れだったまりおさんとの初共演でしたがどう感じました?

マリン すごく気配りしてくださるし、緊張してたけどうまくいじってくれたりと、めちゃくちゃやりやすかったです。さすが一世を風靡しているだけあるなと。これは一世を風靡し続けるなという……。

まりお 何か馬鹿にしてないですか?(笑)

マリン 本気です!


*次ページでは「#幻想郷ホロイズム」の詳細と3人のオススメポイントに迫る!