「思い出をVRで体験」をより手軽に Lenovoの新提案・Mirage Solo/CameraをCESで試す

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Lenovoが米国時間の9日に発表した、一体型VRゴーグル「Mirrage Solo」と、VR向けカメラ「Mirage Camera」。ともにGoogleのプラットフォーム向けにつくられた製品で、目標とする価格帯はMirrage Soloが400ドル以下、Mirage Cameraが300ドル以下だ。プレス向けの発表会で実機を触ってきたので、発表会の内容とともにお伝えしていこう。なお、2018年1月発表時でのレビューで、発売時と異なる可能性があることもご留意いただきたい。

 
 
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人生を空間で残すためのVR

まずプレス向け発表会で印象に残ったのが、記念日をVRで残して再体験するという用途の提案だった。

具体的には、Mirage Cameraで前方180度の範囲を撮影し、画像や映像を直接Google Photo/YouTubeに保存。そのコンテンツをMirage Soloをかぶって再生すると、まるで過去の場にタイムスリップした感覚で体験できる──という話だ。Mirage Cameraの2つのレンズは人間の目と同じ役割をはたしており、立体視して人やものの前後の位置関係も実感できる。

VRハードの発表というと、これまで取り上げられることが多かったのはゲームやB2Bソリューションだが、Lenovoは「家族や友達との思い出」という、より家庭向けの用途を前面に押し出してきたのが新鮮だった。

 

何気ない食事のシーンや。

 

旅行先での食事。

 

子供の晴れ舞台などを空間として保存しておける。そしてVRゴーグルを使えば、テレビやスマホで写真や動画を「視聴」するのではなく、過去の空間を「体験」可能だ。この感覚の差はVRでしか表現できない。「この前こんなところを旅して〜」「この前の子供のイベントで〜」という話は、写真や動画よりも、VRで体験してもらったほうが手っ取り早いのだ。

 
そして「思い出をVRで残して体験したい」というニーズに対して、とにかく手順をシンプルにしたというのも素晴らしい。

同様のことは現在でも360度カメラとVRゴーグルを組み合わせれば実現可能だ。しかし、360度カメラで撮った映像をネットに投稿するとなると、多くはいったんスマホやPCに取り込む必要があり、VRゴーグルで見るときには、まずPCやスマートフォンをつないでからの準備になる。この手間は、少しだけ興味を持って買った人にとって「うーん、面倒だからいいかな」と壁になり、次第に使わなくなりがちだ。

その点、Mirage Cameraなら、無線LANかLTEに対応しており、カメラから直接ネットの投稿が可能。本体のボタンも電源/シャッター/モード切り替えの3つだけと、操作に迷いようがない。そしてMirage Soloも一体型のVRゴーグルなので、電源を入れてかぶってアプリを起動すればすぐに「あの日」を体験できる。PCから伸びるケーブルの取り回しに悩まされないのも気持ちいい。

「できる」と「やれる」の間にある大きな溝をある程度埋めてくれそうなのが、このMirage2製品の組み合わせというわけだ。

 

Mirage CameraからYouTubeやGoogle Photoに直接投稿して、Mirage Soloで視聴。スマホでYouTube動画を投稿したり、見たりするのと、そんなに変わらない手間だ。

 

もちろん、Daydreamのアプリストアからアプリをダウンロードして、CGや実写のコンテンツを楽しむことも可能。

 

ゲームも遊べるが、プロセッサーがSnapdragon 835のため、PCのようなハイエンドなグラフィックは期待できないだろう。また後述のようにコントローラーの位置がずれやすいのも難点だ。

 
 

Soloのトラッキング範囲は狭め?

では製品自体はどうなのか。まずVRゴーグルのMirage Soloだが、位置追跡(ポジショントラッキング)できる点が大きな特徴だ。しかも外部のセンサーなしで、本体前面に内蔵された2つのカメラで空間を認識するインサイドアウト方式なので、ハードの事前準備が必要ない。

トラッキング対応ということは、例えば興味のあるものに顔を寄せて拡大してみたり、障害物の横から覗き込んで見るといった操作を直感的に実現できる。しかもケーブルレスなので、より引っかかる感覚がないところが素晴らしい。気になるのは精度だが、会場にてブレードランナーのアドベンチャー、VR180の動画視聴、Daydreamのセットアップという3つのコンテンツを試したが、特にトラッキングが大きくずれたという感覚はなかった(他の人からは一度だけずれたという話も聞いたが)。

一方でトラッキング範囲は同じインサイドアウト方式のWindows Mixed Realityと比べるとかなり狭めな印象で、少し前後左右に動くと元の位置に戻るように空中に指示が現れる。この辺は設定で変えられるのかもしれないが、筆者が体験した限りでは「ちょっと狭いな」という印象だった。

では狭いからポジショントラッキングの意味がまったくないかといえば、そうではない。頭の動きがきちんと反映されているのを感じられるだけでも、バーチャル空間にいる感覚がきちんと高まるし、VR酔いしにくくもなる。以前試したOculusの「Santa Cruz」の影響もあり、今後、すべての一体型はポジショントラッキングは必須と直感した体験だった。

 

正面に2つのカメラ。

 

右側面には電源や音量ボタン。

 

左側面にはmicroSDカードスロット。

 

内部。レンズはフレネルタイプというのがわかる。

 

底部。左側にあるボタンは、HMD部分が少しだけ前に動くリリースボタンになる。

 
解像度が2560×1440ドットというグラフィックは、さほど驚きはない。ただ、それは悪いというわけではなく「普通にきれい」ということだ。リフレッシュレートは75Hzだが、激しく動くコンテンツではなかったせいか残像はもちろんない。

ゴーグルの装着感は人を選ぶかもしれない。頭頂部にベルトがなく、後頭部のダイヤルを回して額で固定するという方式なのだが、筆者の頭の形が合わないせいもあってややずり落ち気味で、片手で支えることもあった。全体の重量バランスがゴーグルによりがちという原因もあるのかもしれない。

 

額で支えて……。

 

後ろのダイヤルで固定する。

 
最も気になったのは、片手コントローラーのドリフトだ。少し遊んでいるうちにリアルとバーチャル空間の手の位置がずれて、身体性の違和感を生み出す。この辺はスマートフォンを使うDaydreamとまったく一緒で、ホームボタンの長押しで位置を直せるのだが、頻繁にドリフトされると面倒だ。コントローラーを激しく動かすアクションやシューティングのゲームは不向きなのだが、翻って「思い出をVRで体験」という用途なら再生や一時停止などの指示にとどまるので問題ないだろう。

 

コントローラー前面。一番上のくぼみがタッチパッドでクリック可能。次いでメニュー、ホームボタンという配置だ。

 

側面には音量調節ボタンを用意。

 

背面にはDaydreamのマークが。

 
 

極力シンプルなCamera

一方、Mirage Cameraは、操作体系もシンプルで、会場ではインターネットへの直接投稿や撮影した動画のチェックが試せなかったこともあり、現状ではそこまで深く語れない(申し訳ない)。プレビューしたり、設定を変えたければ、スマートフォンに無線でつないで変更すればいい。

ただ、撮影されたVR180動画をMirage Soloで体験したところ、映像が真横まで180度ある半球ではなく、少し左右が削れていることに気づいた。込み入った話になるので細かい説明は省くが、2つのレンズで視界が微妙に異なり、立体視の範囲を取ると左右が少しかけてしまう。なので撮影時は真横に重要なものを置かないのがポイントになるはずだ。

ちなみにVR180の動画をSoloで視聴すると、背面部分はブラックアウトしているのではなくCGが入っている。そして実写/CGの境界はぼかしが入っているので、自然に過去の世界に没入できる。「空間の前だけ動画がある」という感覚はまったくない。

 

正面。

 

ディスプレーを備えておらず、スマホと無線で接続してプレビューできる。

 

画質などもスマホから変更する。

 

本体天面。左から、モード切り替え、電源、シャッターのボタン。

 

底部には三脚穴。

 

背面には、現在、静止画/動画/ライブ配信のどの撮影モードかを表すアイコン。

 

サイドを開けると、充電用のUSB端子とmicroSDカード端子。

 

なお、普通にカメラを構えると180度のレンズの視界に入ってしまうため、指が前に出ないようにするのがコツだと教わった。

 
 

VRの体験率向上にひと役買いそう

「VR元年」と呼ばれた2016年から早2年。しかしまだ2年で、VRという単語を聞いたことがある人は増えたものの、実際にかぶったという方はまだまだ少ない。筆者自身も今だにVRデモをすることがあるが、2017年末になっても「初めて体験しました!」という声が本当に多い。VR業界には「百見は一体験に如かず」という言葉があるように、この体験している/いないの差は大きい。

今回のお手軽さを推し進めたMirrage2製品は、そうしたテクノロジーに積極的じゃない方々にVRへの興味を持ってもらうきっかけになるかもしれない。店舗に行って、お任せで装着し、「わー!なにこれすごい!」と楽める「ロケーションベースドVR」が、VRの面倒さを減らして体験率を挙げているように、Mirrage 2製品も、思い出を空間で残してVRで体験するという用途を手軽にしたことで、ちょっと試してみようという人も現れそうだ。手軽はひとつの正義なのだ。

そしてSoloが400ドル以下、Cameraが300ドル以下、合わせて700ドル(約7万8000円)以下という価格帯をターゲットにしているのも大きい。VRのために、PCやスマートフォンも買い換えなくていいのだ。残念ながら日本での発売時期や価格は明らかになっていないが、ぜひ今年の第二四半期(4〜6月)という米国に合わせて、早期の登場を願ってやまない。

 

ここ数ヵ月で「Star Wars/ジェダイ・チャレンジ」と「Lenovo Explorer」を発売し、さらに今回、Mirage Soloを発表した。AR/MR/VRのフルラインナップでゴーグルを用意したことで、業界における存在感が強まったといえるだろう。

 
 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
●関連リンク
プレスリリース(英語)
Lenovo

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