英BBC、バーチャルYouTuberの特集記事を再び掲載 サムネイルはばあちゃるさん

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14日、イギリスの大手メディアであるBBCはバーチャルYouTuberの分析記事を公開した。BBCは以前にも10月にVTuberを取り上げており(関連記事:英BBCがバーチャルYouTuberの特集記事を掲載 サムネイルはキズナアイちゃん )、今回は「製造された有名人」としてバーチャルYouTuber(以下、VTuber)に関連した西洋における例を取り上げたり、バーチャル美少女受肉の考察や日本のインターネットの匿名性に触れたものとなっている。

とはいえ、ところどころは以前の記事と被った内容であるため、詳細が気になる方は前回の記事も閲覧してみるとよいだろう。なお、PANORA代表の広田稔(Twitter:@kawauso3)がインタビュー協力しており、それらに触れる形で記事の一部を紹介したい。

 

2018年の日本では安価なモーションキャプチャー技術を用いたキャラクターのアバターがYouTuberのように振る舞い日常的に話題を提供するバーチャルYouTuberが人気だった。バーチャルYouTuberランキングを運営するデータリサーチ会社のUser Local Incは、9月の時点でVTuberが5000人を超えたと発表した。

そして、このサブカルチャーに興味を持っているのは日本の人々だけではない。日本のVRニュースウェブサイトPANORAを運営するパノラプロ代表の広田稔氏は、「これらVTuberの流れは過去一年以内から注目されている傾向だ」と語る。キズナアイはヨーロッパ、米国、タイ、韓国でも人気を博し、YouTubeチャンネルの半数以上が海外から来ていると言われている。

キズナアイは2016年から活動しているが、日本で人気のあるVTuberは様々な者が現れている。広田氏は特に人気なVTuberとして「猫耳の『輝夜月』」「スーツを着た馬の『ばあちゃる』」「キツネ耳のある可愛い女の子だが声は男性でコンビニのアルバイトをしている『ねこます』」(※ねこますさんは現在は既に転職しています)を挙げている。

そのほか、BBCはイギリスに在住するバーチャル動画投稿者のAmi YamatoはCGのキャラクターでありながら実写のロケーションで撮影をして実写の人間との共演も行っていることや、8月末に輝夜月がVR空間で開催したライブ(関連記事:ライブ体験の歴史を変えた「輝夜月 LIVE@Zepp VR」レポート 玄関開けずにVRで最前列ってヤバい!!)についても触れた。

 

BBCはVTuberを「製造された有名人」として分類し、過去に類似した例として初音ミクを挙げ
、欧米における例としてはフォトリアルなCGのInstagrammerを挙げた。InstagramにはCGのモデルの投稿者が存在し、これらの著名なモデルとして150万人のフォロワーを誇る「Lil Miquela(19歳のブラジル系アメリカ人)」やフォロワー15万人の「Shudu Gram(南アフリカ系の黒人女性)」が存在する。これらのモデルはすべて大手ベンチャーキャピタル企業の支援を受けているロサンゼルスの企業と繋がっているとのことだ。

これらのモデルの写真はプロの写真家が撮影しており、「完璧な見た目であると捉えられがちな現実のスーパーモデル」と「CGの作られたモデル」は比較しても違和感が少ないという。また、日本でVTuberが実際の企業とコラボをするのと同様に、CGの黒人女性Instagrammer「Shudu」はファッションブランド「Balmain」とコラボレーションを行った。しかし、黒人女性のモデルを作成したのがイギリスの白人男性であったため「黒人モデルに費用を払うことなく黒人女性としての利益を不当に得ている」として批判された炎上もあったそうだ。

そこで、BBCは仮想的な人格においては「匿名性」が強力な力となる可能性を指摘する。

「virtual beautiful girl incarnation(バーチャル美少女受肉)」と呼ばれるサブカルチャー内のサブカルチャーの1つは、主に女性のキャラクターを描く男性のイラストレーターがボイスチェンジャーを使用して女性として振る舞うことを示す。インターネットによって人間は自分と異なる性別として振る舞うことが容易になっており、広田氏はこれを「歌舞伎において男性の俳優が女性の役割を果たす『女形』」といった日本の伝統と比較した。


 

ロンドン大学東洋アフリカ研究学院のGriseldis Kirsch博士は「日本はインターネットにおいてより匿名性を重視する慣習がある」と指摘する。広田氏は「日本ではインターネット上において顔を公開することに抵抗する人が非常に多い」ことを説明しており、実際にキャラクターのアバターを用いることによって匿名性を保ちながら大衆によりアピールすることができる。とはいえ、日本においてはマンガやアニメ愛好家のオタク文化に合わせたものがもっとも利益になるため、それがVTuberの中心になるとも指摘した。

また、こうしたCGキャラクターのYouTuberやInstagrammerは企業の広告との相性が非常に良いと指摘する。ファッションブランドにおいては、現実のモデルでは競争相手のブランドへの対抗として特定のモデルと数カ月のみ契約するといったことがあるものの、CGのキャラクターは企業が自分たちのコンセプトに合わせたオリジナルのキャラクターを開発できるからだ。日本も例外ではなく、ファッションブランドがそれぞれ初音ミクのようなマスコットを制作することが想像できる。

現在は顔認識技術が発達してるとはいえ、これほどフィクションが存在することが簡単な時代はかつて存在しなかった。バーチャルYouTuberやInstagrammerなどがインターネットに溶け込むにしろ短命のブームに終わるにしろ、現実の境界線はとてもぼやけている。

 
(TEXT by ぱソんこ

 
●関連リンク
Talking horses and perfect faces: The rise of virtual celebrities(BBC NEWS)
バーチャルYouTuber、本日5000人を突破(ユーザーローカル調べ)

 
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