「VRとVTuberが好きすぎるGoogleの人」こと水谷氏がPsychic VR Labに転職 STYLYにかける思いを聞いた

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伸びている業界というのは、多くの才能が流れ込んでくるもの。7月1日、GoogleからスタートアップのPsychic VR Labに転職し、VRプラットフォーム「STYLY」のプロダクトマネージャーを担当している水谷享平氏もその1人。

VRにどんな思いを抱いていて、STYLYをどう育てていきたいのか……という話を聞いていたところ、思いの外バーチャルYouTuber(VTuber)の話で盛り上がってしまった。VR好きがなぜVTuberにもハマったのか。その辺も含めてインタビューしてみた。

ちなみに冒頭の画像は水谷氏の3Dスキャンで、こちらのURLからVRで会うことも可能だ。

 
 

推しは「おめシス、シスター・クレア」

──何をきっかけにVTuberを知りましたか?

水谷氏 最初にVTuberを見たのは昨年の9、10月くらいでキズナアイちゃんです。最初は普通に可愛いなぁと思ってたのですが、Unityのアセットストアで1000円で友達を買うという回があって、それがバーチャルならではでめちゃめちゃツボったんです。その後年末にかけて他の人もチェックして、年末年始はVTuber一色でした。輝夜月ちゃんのひとつ目の動画も衝撃すぎて、何度も見返した覚えがあります。

 

 

 
──(笑)

水谷氏 正月休みが明けた後、僕の中ではもうVTuberは世界的大流行だと思っていたので、久しぶりに会った友達に「ミライアカリの年末生放送でアカリちゃんが泣いたところやばかったよね!!!」みたいな話をしたところ、そもそもみんなバーチャルYouTuberすら知らなかったということにも驚いたりしました。

 
──ちょ(笑)。ちなみに好きなVTuberは?

水谷氏 最近のイチオシはおめシス(おめがシスターズ)です。焼肉食べに行くといったリアルワールドでの活動や、VTuber格ゲー自作したりと技術力が高くていろいろ挑戦しようというところに惹かれて見始めたのですが、ゲームやガンダム好きでどちらかといえば真面目な姉のレイちゃんと、独特の話し方でボケ担当(?)の妹のリオちゃんのバランスが素晴らしく、一気にファンになりました。

動画の節々から伝わってくる二人の仲の良さがとても良いです。そして歌が超うまい!声質の違う二人なので曲の幅も広く、ハモったときの綺麗さは本当に素晴らしいです。

 

 
ほかですと、にじさんじ系の動画を見ることが多いです。にじさんじの方の動画(アーカイブ)は日常でBGMのように流していることがあります。委員長(月ノ美兎)、鈴鹿詩子お姉さんが好きでよく見ています。委員長はcluster.のイベントにも参加して、最前列で集合写真に写りました。詩子お姉さんは本当に面白い体験をたくさんされていて、それを赤裸々に語ってくれるのが楽しいです。このふたりが初コラボした「月ノ美兎の放課後ラジオ #2」(みとらじ2)は、演出が全て天才的で好きな動画のひとつです。

最近のイチオシにじさんじメンバーはシスター・クレアです。シスター・クレアの動画は見る薬というか、見ているだけで癒やされすぎて体調不良が治るようなものばかりで、オススメです。

 

 

 
余談ですが、自分の1歳の息子は生まれてこのかた「リアル」YouTuberの動画を見たことない、VTuberネイティブだったりします。

 
──怒涛のコメントありがとうございます(笑)。先ほど正月明けにVTuberがあまり知られてなかったという話がありました。海外でもあまり知られてない印象でしょうか?

水谷氏 そうですね、あくまで印象ですが、まだ海外ではあまり知られていないと思います。

 
──それは単純に言葉の壁ですかね。

水谷氏 確かにコンテンツが日本語というのもあるのですが、まだまだギークじゃないビジネス層の人たちのアンテナに引っかかってない印象です。これは日本でも同じですが。

あと日本と海外ですと、キャラクター文化の違いも大きいと思います。海外の友達にVTuberの話をしたときに、「なんでみんな女の子なんだい?」って聞かれて戸惑ったりしたので。

日本だとこういう文化が出てくるときに、「美少女」的なものからスタートすることにあんまり抵抗ないと思うんですよね。例えばボカロも「初音ミク」からスタートして、徐々にキャラが増えていったみたいな。でも海外だとそこにまず違和感を持つ人が多い印象があります。

 
────水谷さんはVTuberはどこに新しい価値があると思われますか?

水谷氏 僕はVTuberは、世界や我々自身がバーチャル化する未来に向けての実験みたいな位置づけなのかなと思っています。

モーションキャプチャーなどの技術的な話だけでなく、アバターで別人格を持つということは文化的にも精神的にもおそらく今まで想像できなかったことがたくさん起きるはずです。実際VTuber関連を追いかけていると、毎日追いきれないほど様々な新しいことが良くも悪くも起きていて、本当に新しいものが立ち上がろうとしているんだなと思い知らされています。そういうのを今みんなで色々試しながら見つけていって、何年後かに映画「レディ・プレイヤー1」のOASISや、ライトノベル「ソードアート・オンライン」のアインクラッドに移り住んでみんなアバター化するときの準備になるんじゃないかなと思っています。

もうひとつ、VTuberに関して最近私が体験した象徴的な出来事として、先日とあるVTuberの方の「中の人」が特定されたというニュースがTwitterを駆け巡ったことがあったのですが、私がそのニュースを見て最初に得た感想は「え、中の人っていたの?」ということでした。そして次に自分がその感想を持ったことに驚いたんですよね。

これって私の中ではこのVTuberの方が真に「一人格」として確立していたっていうことで、今までの別のジャンルの物ごとではあり得なかった状態なんです。それに気がついたときにVTuberって本当にすごいと改めて感じました。新たな人格の生成に成功しているわけなので。簡単に言ってしまうと「魂がある」ということなのかもしれませんが、これが既存のアニメキャラなどと大きく異なるところで、VTuberのあらゆる要素が連携して初めて成し遂げられるVTuberの価値のひとつなのかなと思います。

 

VR/ARはスマホどころではないプラットフォームの転換

──VTuberだけでなく、その前にもVRにも興味を持っていたと聞きました。

水谷氏 VRに初めて出会ったのは2014年の「ニコニコ超会議」で、集英社さんのブースでした。Oculus RiftのDK1(初代開発キット)を使っていたコンテンツで、めちゃくちゃ感動して家に帰って速攻、DK2(第2世代開発キット)をポチりました。VRを好きになったのはそれ以来です。

 
──そこからVRコンテンツの開発とかにもハマっていったという?

水谷氏 いや、私はMacユーザーで、家にWindows PCがなかったので大したことができず……。ただ、ちょうどその頃にGoogleが「Cardboard」を出したこともあってスマホVRというジャンルができ、愛社精神も合間って「VRで何かやるならGoogleがやってるモバイルVRだな」と思って、モバイルVRのアプリはいくつかつくりました。ほぼダウンロードされませんでしたが(笑)

 
──仕事ではなく、趣味でもVRをやってきてるんですね。

水谷氏 そうですね。第1回の「Japan VR Hackathon」に出たり、UdacityのVR Nanodegreeというオンラインコースを卒業したりしました。結局、その後、我慢できずに普通にゲーミングPCとVIVEを買っちゃうんですけどね。ちなみに家にあるVRゴーグルは、PlayStation VR、VIVE、Oculus Rift(DK2)、GearVR、Daydream、Oculus Go、OSVRですね。

 
──だいぶはまってますね(笑)。そんなVR好きが高じて今回、Psychic VR Labに転職したという感じでしょうか?

水谷氏 そうですね。VRに専念したいという気持ちはずっとあったので、色々とお話を伺った結果、今回の転職に至った形です。

 
──VRやSTYLYにかける思いを聞かせてください。

水谷氏 今STYLYをやるきっかけにもなったところでいうと、VRは完全に新しいメディアで、プラットフォームなので、今までの常識が全く通用しない世界ですよね。そのVR時代における表現だったり、文化をつくるのがものすごくエキサイティングだと感じてます。

僕は就職したときすでに誰もがスマホを使っていて、VR/ARは社会に出てから初めて経験する新しいプラットフォームの出現になります。そして、間違いなくVR/ARはスマホどころではないプラットフォームの転換になると確信しています。

そうなったときに人々が作るコンテンツがどうなっていくのか、今のネットのサブカルみたいなものがVR時代だとどうなるのかとかすごく楽しみなんです。

 
──わかります。

水谷氏 僕の好きな話で、初めて映画を撮ろうとした人が「舞台講演」を最前列から固定カメラで録画して映画にしたっていうのがあります。今だとカメラワークなどの技法が色々ありますが、当時は外で撮影するという概念すらなかったので、演劇の延長で捉えていたということなんですが、たぶん10年後くらいから今のVRを振り返るとそういうことがたくさんあるのかなと思っています。

STYLYは簡単にVR空間を作成、配信できるプラットフォームなので、VR/AR時代のコンテンツ表現、コンテンツ制作者が生まれる場にしていきたいと思っています。そのためにもまず、STYLYをクリエイターがクリエイティビティを発揮できる場所、そしてクリエイターがつくった作品を気軽に長時間楽しめるような場所にしたいです。

このVR/AR時代のコンテンツには当然VTuberも含まれていて、今後STYLYでもVTuberがコンテンツ作成する際に活用できるような機能を盛り込んでいきたいと思っています。ここらへんはまた随時情報を出していきたいので、楽しみにしていてください。

今後は、一人でも多くのVRに興味がある方がVRコンテンツを作る際に選択肢としてSTYLYを思い浮かべて貰えるようにしたいです。そしてVRユーザーの方にとっては、「STYLY行ったら、なんか面白いものあるっしょ」という状況を作っていければなと思います。ぜひご期待ください!

 
 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
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