またひとつステージを登った──ファンに聞く、アイドル部1周年ライブ「はんぱないパッション」の魅力

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5月19日、東京・お台場にあるZepp DiverCity(TOKYO)にて、VTuberグループ「.LIVE」に所属するアイドル部12人の1周年を祝うライブイベント「アイドル部 〜1st Anniversary PARTY〜 はんぱないパッション」が開催された。

 

冒頭のDJタイム「UBIBA NIGHT」では、彼女たちのプロデューサーである男性VTuber「ばあちゃる」くんが出演して場を盛り上げ、メンバーの1年を紹介する映像やビデオメッセージなども流れた。

 

その後の本編では、12人がソロ・グループで交代しながら出演し、アニソンなど21曲を熱唱。約2時間半に渡って集まった約2000人のファンを熱狂させ続けた。

 

同じ.LIVEのシロちゃんを始め……

 

有名VTuberからのお祝いのメッセージが届いていた。

 

Twitterでも「#アイドル部1周年」のハッシュタグが日本のトレンド1位に上り詰めるほど注目を集めたライブだったが、ファンの目から見てどう映ったのか。過去、アイドル部の神楽すずちゃんやもこ田めめめちゃんについてアツい記事をご寄稿いただき、今回のライブも現地参加していたみね氏にインタビューした。

 
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ファンとともに歩んだ1年を体現

──参加し終えての率直な感想を教えてください。

みね 素晴らしかった……。100%、ファン向けに振り切った内容でしたね。

 
──みねさんが一番グッときたところは?

みね 冒頭のUBIBA NIGHTの時点で既にグッときていたのですが、楽曲の初手が「*〜アスタリスク〜」だった点と、ラストが「千本桜」でアンコールが「君の知らない物語」というのが、キズナアイ → シロ の流れをくんでいるのがうまいなと感じました。

 
──といわれると?

みね 「*〜アスタリスク〜」はアイドル部ファンにとって有名なMADで、僕は行けませんでしたが昨年9月の「よみうりランド VtuberLand!」でも歌ったはずです(関連記事)。「千本桜」と「君の知らない物語」は、2018年のイベントを振り返ると

4月29日 キズナアイ・ニコニコ超会議・千本桜
6月30日 キズナアイ・生誕祭・君の知らない物語
8月11日 シロ・生誕祭・君の知らない物語
11月3日 シロ・ニコニコ超パーティー・千本桜

といった感じで、シロちゃんがアイちゃんを追いかけて歌っていたんです。その流れをアイドル部が受け継いだ形です。

 
──スゴい。VTuberの歴史を踏襲してきてる感じがありますね。

みね はい。「*〜アスタリスク〜」は絶対にやってくれると思いましたが、やっぱりよかった。実は、niconicoに投稿されたアイドル部関連の動画において一番再生数が伸びているMADに使われている曲で、動画の制作者さんはシロちゃんの生誕祭関連の動画や、アイドル部たちが3D化された際のプロローグ動画も手がけていたりします。

このMADの星のモチーフが、アイドル部のメンバーが3D化されたときのプロローグや、今日のステージ演出にも使われていたりします。

 
──そんなつながりが!

みね きちんと見えなかったのですが、最初に12人が出てくる演出も、最後にめめめちゃんとちえり(花京院ちえり)ちゃんが出てきたので、おそらく動画と同じ順番だったんじゃないかな? UBIBA NIGHTのコーナーで巨大スクリーンに映したファンアートもそうですが、.LIVEはシロちゃん時代からファンの活動をしっかり見ていて、演出に取り込むのが上手いんです。

 

12個の星などもMADが元ネタだ。

 

各VTuberごと、巨大スクリーンに……

 
 

ファンアートを映し出して紹介するパートも。

 
今回歌った中で唯一のオリジナルソングで、ライブ後に突然BOOTHでのリリースが決まった「GO!GO!ちえり!」も、元はファンが投稿したMADです。

 
めめめちゃんが歌った「ダダダダ天使」も元ネタのMADがあります。

 
開演前に延々と流れていたちえりちゃんの従業員の歌とかも、ファンとの生放送での関係性の積み重ねをちゃんとここに持ってきているんです。

 

従業員の歌は、会場から自然と歌声が上がって大合唱になるというのを3回繰り返しており、さながら謎のサバトだった。

 

地道な地固めでファンを増やしてきた

 
──そもそもアイドル部は、VTuberの歴史の中でどんな雰囲気で始まったユニットだったのでしょうか?

みね 2018年3月、シロちゃんの後輩という位置付けでリリース予定で止まっていたスマホ向けゲーム「少女兵器大戦」から10体のキャラクターを選んでVTuberとしてデビューさせると発表したのが始まりです(関連記事)。そこに個人勢として活動していためめめちゃんとちえりちゃんも加わって12人になり、ちょうどゴールデンウィークのニコニコ超会議開催でVTuber業界が沸き上がっていたときにデビューしました。

独特だったのが、地道に地固めしていく戦略です。VTuberでよくあるコラボに対しても慎重で、ひとりひとりが一歩ずつ進んでいく印象でした。最初は2Dでスタートし、徐々にプロローグ動画を出して3D化を進め、全員3D化をはたした後に全員のプロローグが始まるという。

 

 
「私立ばあちゃる学園」の生徒という設定もきちんとキープしていたり、リレー形式で毎日配信したりと、「箱」感もよく出ています。それぞれのファンが積み重ねてきた思い出、箱としての機能、さらに先輩であるシロちゃんやプロデューサー・ばあちゃるさんとの関係性──。そうしたすべてがこの1周年ライブに結実した様がまさにアイドルアニメという展開で、そのリアルとバーチャルの狭間をVTuberで表現したのがうまいなと感じました。

 

UBIBA NIGHTの途中、彼女たちの過去を振り返る動画がスクリーンに映し出された。

 

思い出のシーンに、グッときたファンも多いはず。

 
──最近ではテレビ朝日で放送された「超人女子戦士 ガリベンガーV」も転機になりましたよね。

みね 今日流れた、番組で司会を務める小峠さんのメッセージ動画もよかったですね。普段、動画が中心の牛巻(牛巻りこ)やあずきち(木曽あずき)が結構テレビ向きだったりとか、新しい発見もありました。シロちゃんの後輩という時点でスタートダッシュが恵まれていたわけですが、変にバズり過ぎるような形ではなく、しっかりファンと積み重ねて、一歩ずつ歩んできたという感じです。

 
──みねさんがアイドル部にハマったきったけはなんだったのでしょうか?

みね 僕はもともとシロちゃんが一番の「推し」なんです。アイドル部がデビューした昨年のゴールデンウィークって、多くの人がVTuberを始めて動画投稿や生配信のラッシュで、界隈がお祭り状態だったんです。そんな中、.LIVEの動画も一通り見て興味を持ち、ファンの熱量とともに、ハマっていった感じです。

当時、生放送が過多になりつつあり、すべて追うのが厳しくなってきたところで、アイドル部が1時間交代のリレー形式を提案してくれたのが心地よかった。毎日適量の「日常」という感じで、そこが僕が祭から日常に回帰するタイミングだった気がします。

ロールプレイ的にいえば、彼女たちも学園の日常を過ごしている部分もよかった。興味を持ってよくよく見ていくと、12人のバランスがすごいんです。誰一人キャラがかぶっていなくて、全員がそれぞれの個性を持っていて、それぞれのファン層を形成しています。

その上で、3Dというひとつの節目を達成していくという運営側の物語もかぶっていたりして、このあたりのやり方がうまいなあと感じました。

 

ステージに立つ組み合わせにも注目

──出演者ごとに印象に残ったところを教えてください。

みね 今日のライブでいうと、まずちえりちゃんがズルい。物販のうちわや従業員の歌、「GO!GO!ちえり」など、ファンが積み重ねてきたネタっぽいところがうまく使われていました。従業員Tシャツを着たファンもいましたしね。

歌でいえば今年4月、ニコニコ超会議のVTuber Fes Japanステージにも出演していた、もちにゃん(猫乃木もち)、なとり(八重沢なとり)、あずきちの3人が印象的でした。

 

あずきちは「*〜アスタリスク〜」のラップ部分を一手に引き受けたり、「ロキ」を歌ったり。

 

もちにゃんはもともと歌が上手い子で、ラスト前、超会議でも披露した「ラプンツェル」を熱唱していました。

 

で、なとりさんです。配信でもたまに歌っていましたが、超会議のステージで見て「この人、こんなにロックにかっこよく歌える人だったんだ」と衝撃を受けました。今日も抜群で、もちにゃんの「ラプンツェル」を受けたラストの「千本桜」で、重要な部分の歌唱を任され、見事な「こぶし」を聴かせてくれました。ちなみにもちにゃんとなとりは仲が良いので、その点でもラストの流れが「尊い」のです。

 

すずすず(神楽すず)は、声が相変わらずきれい! 途中セリフをとちっていたところも彼女らしいし、「私のアイドル姿を刮目しろ!」とかもファンにはたまらないですよね。

 

めめめちゃんもよかったです。楽曲は違いますが、ニコ生の年末カラオケでうまく歌えなかったことがあっての今日なので、ファンとしては「がんばった(涙)」という感じになる。

 

牛巻は、踊りというか立ち居振る舞いはもともとかっこいい人でしたが、歌のうまさも改めて感じました。

 

ごんごん(金剛いろは)と、ピノ様(カルロ・ピノ)は、歌ってもいつも通りで、たいへんらしくてよかったです。

 

逆にイオリンは、いつもと違う大人びたアイドル感で、あれは不思議でした……。イオリンは本当にいつもわからない、つかみどころのない人ですね。

 

ステージに立つ組み合わせも結構面白いのが多かったです。序盤の双葉(北上双葉)の歌に合わせて、たまちゃん(夜桜たま)、あずきちと出てきた3人は生徒会で、MMDなどのファンメイドではよく見る並びです。

 

ピノ様の歌になとりが寄り添うというのも、書籍「ぴのらぼ おいしい虫さんたち」をつくったタッグです。

 

その他、牛巻とあずきちのプログラマコンビが並んだり、たまちゃんが大好きな牛巻を呼んだりと、そのへんの美味しさも散りばめられていました。

 
──関係性がすごくうまく表現されていたという。それはタイムシフトで見るとより楽しめそうです。

みね 映像演出もシンプルで良かったです。VTuberのライブは映像に凝ったものも多いですが、今回は、ステージの左右に縦長で大きくVTuberを映し出し、背景はずっと星空という、とにかくアイドルたちを見たいというファンの想いを汲み取ったものだと感じました。通常のライブだと、遠方の席は人間の大きさが見づらいですが、拡大で映し出せるのがバーチャルの利点ですよね。12人並べたのもインパクトが大きかったです。

 
──まとめると、どんな意味を持つイベントでしたか?

みね アイドル部はひとつ一つ歩んでいて、節目節目があるんですけど、節目のひとつだなと。今第何話なんだ、みたいな感じですけど。とっても良いライブでしたし、これもアイドル部にとっては節目のひとつで、またここから日常を歩んで、また節目を迎えるんだろうと。頂点というより、またひとつステージを登ったように見えます。

 
──アイドルなんだけどキャラクターでもあり、ファンと同じ時を生きているけども終わりがない。そんな感じがまさにバーチャルだなぁと感じます。アイドル「部」という名前も象徴的ですよね。

みね 馬Pと一緒にシロちゃんを追いかける部活なので(笑)。今回のライブを歌詞まで深読みすれば、冒頭の「*〜アスタリスク〜」が「見上げた夜空の星達の光」で、ラストの君の知らない物語が「今夜星を見に行こう」なんですよね。アイドル部は、シロちゃんや先達のVTuberたちという星に憧れたアイドル達の物語……という見方もできます。

彼女たちが送る日常の学園生活の中で、3D化されたり、学力テストがあったり、ライブがあったりと、節目が用意されているんです。「お祭りから日常へ」がVTuberの去年から今年に至る流れだったと僕は思ってますが、そういう「ハレとケ」を体現するライブだったなと率直に感じました。今から来年の2周年のライブが楽しみです。

 

オマケ:大画面に映し出される12人

 
(TEXT,Photo by Minoru Hirota

 
 
●関連リンク
アイドル部 〜1st Anniversary PARTY〜 はんぱないパッション
.LIVE(Twitter)

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