VR ZONE史上、最高に心拍数がアガった!? 9/13オープンの「冒険川下りVR ラピッドリバー」を先行レビュー
バンダイナムコエンターテインメントは7日、VRエンターテインメント施設「VR ZONE」に13日より導入する新アトラクション「冒険川下りVR ラピッドリバー」を報道陣向けに公開した。東京都新宿区歌舞伎町にある「VR ZONE SHINJUKU」のほか、同じ13日に大阪府大阪市にオープンする「VR ZONE OSAKA」でも提供する。
PANORAでは過去、さまざまなVRコンテンツを体験してきたが、このラピッドリバーは「横方向の回転があるのにVR酔いしない」という点で驚きだった。動画を交えてレビューしていこう。
ボートが左右に回るのに酔わない不思議!
VR ZONEといえば、国内随一のVRアトラクションがそろうエンターテインメント施設だ。マリオカートやエヴァンゲリオン、ドラゴンボール、ドラクエといった有名作品の「あのシーンをやってみたい!」というVRコンテンツのほか、「高所恐怖SHOW」や「脱出病棟Ω」、「釣りVR GIJIESTA」など体験自体の面白さで惹きつけるタイトルも生み出して来た。
ラピッドリバーは後者で、最大4人でゴムボートに乗り込み、棒型のコントローラーを漕いで進行方向を調節しながら激流を下って、ゴールとなる幻の遺跡を目指すという内容だ。
オリジナルは、1997年にリリースされた同名のアーケードタイトルとなる。当時も2人がボート型の筐体に乗り込み、協力して左右のオールを漕いで川下りを体験するという内容だった(当時のプレスリリースはこちら)。VR版ではそのコンセプトを受け継いで同時に体験できる人数を4人までに増やし、VRゴーグルをかぶって激流の別世界に入れるなど随所がパワーアップしている。
筐体には2人ずつ背合わせでのるが、VR内ではみんな同じ方向を向いていることになる。
VR空間ではオールになる棒状のコントローラー。
さて、実際の体験してどうだったかという話だが、まず協力プレーがとても楽しかった。
ボートはいったん激流に乗ると勝手に前に進んでしまう。プレイヤーは目の前に迫ってくる崖や岩、倒木などを避けるために必死でオールを掻いて進行方向を変えることになるが、その際、ボートを左に向かわせたいときは右側に座ってる人が、右なら左側に座ってる人が漕ぐことになる。
つまりただオールを動かしていればクリアーできるわけではなく、状況を即座に判断して、ボイスチャットで「次のルートは左に行こう!」「左の人漕いで!」と力を合わせる必要があるのだ。この協力プレーがとても楽しく、うまくいってゲームクリアーできたときの達成感が半端ない。
VR ZONE SHINJUKUとVR ZONE OSAKAにて9/13より稼働が始まる新アトラクション「冒険川下りVR ラピッドリバー」を先行体験してきました! 4人でオールを漕いでボートの方向を調節し、ゴールの幻の遺跡を目指します。激流を高速で駆け抜ける興奮がやばい!#VRZONE pic.twitter.com/fvtm1IRfMv
— PANORA (@panoravr) 2018年9月8日
VIVE PROで体験できる水しぶきも感じられる美麗なグラフィックにも注目。ぜひ9/13以降に遊びに行って見てください!#VRZONE pic.twitter.com/XYBUVxxdI6
— PANORA (@panoravr) 2018年9月8日
激流に飲まれる体験自体も大興奮だ。
水の上を高速で走っているガタつき感や、ジャンプした時の浮遊感がとてもリアルでやみつきになってしまう。遊園地におけるジェットコースターのような、乗って景色を見ているだけでも非日常なスリルを味わえるのがポイントだ(とはいえ見ているだけだと障害物に当たるのだが)。
もう少し深掘りすると、この体験を実現するために新開発した筐体が面白い。VRゴーグルをかぶっているとわからないものの、プレー中はVR空間のボートに連動して筐体が上下だけでなく左右90度に横回転(ヨーイング)しており、体にGを生み出している。
ラピッドリバーのために新開発した上下だけでなく90度まで横回転するシートのおかげで視界と体感が一致し、左右に曲がる状況でもVR酔いしにくい状態になってます。VR開発者は注目!#VRZONE pic.twitter.com/TWp1S9PF1e
— PANORA (@panoravr) 2018年9月8日
この視覚と体感が連動してくれるお陰で激流下りのリアルさを高めているだけでなく、VR酔しにくいという効果も生んでいる。VRゴーグルでは、実際のプレイヤーの体は止まっているのに、視界だけ別世界に行ってぎゅんぎゅん動かすことが可能だ。そうなると視界と体感の不一致が違和感を生み、例えば、VRのジェットコースターものでは気持ち悪くなる人も多かった。
絶対に酔わないようにするなら動きは直進のみで、急発進・急停止をしないことが重要なのだが、そうなると今度はVRの世界をダイナミックに動き回れなくなってしまい、アクションなどでは体験としての面白さが削がれてしまう。そのバランスを取るために、歩くならゆっくりにしたり、走るなら周辺視野を黒く塗って視界を狭めたりと、今までVRコンテンツ開発者が視界表現で工夫を重ねて来たわけだ。
もちろんVR酔いは体質に大きく左右される話で、人によってはどんなに激しく動いても気持ち悪くならないのだが、特にVRアミューズメント施設では、なるべく万人が楽しく遊べるもののほうが好ましい。というわけでVR ZONEでも、マリオカートやハネチャリといった高速で動く乗り物のアトラクションは、よく見ると基本的に直進のみで、左右に曲がるとしても少しだけという仕様に落とし込んでいる。例外がボトムズだが、あれはシミュレーターなので酔うところも含めての再現なのだろう(多分)。
そんな中、筐体に横方向に回転させる新機構を入れたことで、ラピッドリバーでは今まで「禁じ手」だったボートが回るという表現と、VR酔いのしにくさを両立させたわけだ。実際、筆者も非常に乗り物酔いしやすい体質で、FPSゲームもゲーム実況を見てるだけで吐くぐらいに3D酔いしたり、数々のVRコンテンツでグロッキー状態になってきたわけだが、ラピッドリバーは不思議と酔わなかった。この出来栄えはVR開発者的にも注目なので、ぜひ体験してほしい。
企画時の資料。
他にもVR開発者的には、ベースステーションの2.0を利用しており……。
チャンネルを分けることで、壁を作らずに干渉を避けて運用しているという要素も注目しておきたい。
昨年7月にオープンして早1年が経ったVR ZONE。最近では、平日の昼間は外国人ばかりというほど観光名所化しているそうだ。VRは、テレビなどで名前だけ聞いたことがあっても実際に体験したことがある人はまだまだ少ない。VR ZONEはクオリティーの高いアトラクションが揃っているので、そんな初めてのVR体験としては最適だ。特に4人組の友達や家族と行くのがオススメなので、ぜひ時間を見つけて遊びに行ってみよう。
(TEXT by Minoru Hirota)
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